第5話 黒川医師の自殺?
 
 百合と紀子が夜勤を終えて、朝食を食べていると、7時のテレビが、昨夜、横川の外人墓地公園で女性が殺されていたというニュースが流された。
しかも、女性は全裸にされて、暴行されたとも伝えている。
ただ、身元はまだ不明らしい。

 「へえー、レイプされたんだ…」
「百合ちゃん、レイプされたい?」それは、隣で朝食を食べていた飯島由佳である。
由佳は数年前、浜川市にある、聖マリア病院からリクルートした看護婦で、歳は25歳と百合よりも年上である。

 「レイプなんて、イヤに決まってるわよ」
「百合さん。だったら、そんなこと言わないの。女性が可愛そうでしょう」百合は由佳に謝った。
「私、そんなつもりじゃなかったです…」
「分かってるわよ。百合さん、口は災いの元よ。お互いに気を付けましょうね」笑顔で百合の背中を撫でて食器を片付けていく。
 
 「だれ、あの人?」紀子の問いに「飯島由佳さんよ、内科の看護婦さんなの」と答える。
「でも、奇麗よね、モデルでも、食べていけるのに…」
「紀子、浮気しちゃだめよ」百合は紀子の股間に手を置く。
「私は、百合さんのものよ。それに婦長さんも…」
「ありがとう」2人の食器を片付けてナースステーションに向かった。

 しかし、ナースステーションでは大騒ぎになってる。
殺されたのが、看護婦の、みどりで、容疑者として、警察から黒川が事情聴取を受けているとの、ニュースがマスコミの関係者から知らされたからだ。
 
 しかし、ガンとして、黒川は犯行を否認している。
証拠もないため、すぐに帰されたが、翌日からの取り調べは、激しくなっていた。
「刑事さん、僕じゃありません。僕は何もしてません!」と言い張っている。
当日、黒川はスナックで飲んでいたのは事実だが、現場までは直ぐの距離だから、状況からしても黒川が不利である。
さらに、結婚話も持ち上がり、看護婦のみどりが邪魔になったのも事実である。

 この日も、黒川は証拠が不十分で帰宅が許された。
だが、黒川は自宅に帰らずに、病院の屋上で深夜だというのに酒を飲み続けていた。
もう、かなり酔っていていて、意識も、朦朧になっていた。
「6年前、過失の無実を背負って、ここから看護婦が飛び降りたっけ…」独り言を言っている。

 すると、背後から「そうよ、6年前にここで死んだわ。今度はあなたが無実で死ぬ番よ!」女性の声がした。
「だ、だれだ?」酔って、立ち上がるが誰もいない。
黒川はフラフラして、やっと立っていた。
「オエー!」急に立ったせいか、黒川は吐き気を起こし、フラフラしながら金網に掴まって汚物を吐いた。

 その、一瞬を待っていた影が、黒川の足を持ち上げて、金網の外に放り投げた。
黒川は、6年前の看護婦と同じように、空に向かって飛び込んだ。
 
 翌日の新聞とテレビは『殺人の容疑者、飛び降り自殺!』と、大きな見出しで報じている。
その新聞を眺めながら、微笑む者と唇を噛む者がいた。

 「これであと2人だ。姉さん、もうすぐ仇を打つからね」微笑む方だ。
「せっかく、掴んだ糸が黒川できれた…。あと少しで殺せたのに…。お母さん、必ず仇を打つからね」こちらは悔しがる方だ。

 事件は、犯人死亡という事で捜査は打ち切られたが、当然、病院は大騒ぎとなっている。
「事務長、マスコミの対策は大丈夫だろうな?」
「それが、申し訳ありません!」
「何、だめなのか!」新聞や雑誌、さらに、テレビのワイドショーまでが、公立横川病院の事件を報じている。
さらに、連日のようにテレビ局が押し掛けてきたので、病院は対応に苦慮している。

 そんな中でも、百合と紀子はお互いが夜勤の時は、ナースステーションで、普通勤務の時は寮で全裸になって乳房を揉み合い、淫裂を撫でながらレズを楽しんでいた。



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