9.反逆

 次の日予定通り正ちゃんの車に乗り込んで、ちょっと早いけど海でのデート。少しだけ心配してた町田先生からの電話連絡もなく、こんなアッサリ彼氏とデートを出来ちゃうのが不思議なくらいでした。やっぱり町田先生は悪漢だけど抜けてます。身も心も屈してしまったと言う私の演技に手もなく欺され、他の男性に中出し射精されれば解毒されてしまう、と言う致命的なスキを私に許してしまったのです。もっとも私の堕ちっぷりは完全に演技とも言えない代物でしたから、あんなに自分にメロメロの女性が浮気してしまうなんて考えられないと、町田先生がタカを括ってしまうのも無理からぬ事でした。

 おかげで、昨日まで体中に張り巡らされて解けなかった縄も外されています。どの道正ちゃんに頼めば外せそうでしたが、こんな障害物もないに越した事はありません。だけど携帯電話を持たずに行く事だけは出来ませんでした。それは呼び出されれば出るようにと言う町田先生の言葉に縛られている証拠で、途中で呼ばれてしまうのだけは不安でしたが、どうやら杞憂みたいです。町田先生は私が今デートしてるなんて夢にも思わず、疲れて休んでるのではないでしょうか。50歳近い年齢の先生は私の中に物凄い回数の射精を果たす毎日で、絶対にくたびれ切ってる筈だと思いました。

 こうして本当に気分も軽くウキウキしながら、私は水着を買うため途中で店に寄って貰いました。

「ち、千寿ちゃん! そんなの駄目だよ」
「どうしてえ? 正ちゃんが言ったんだよ、ハイレグビキニ」
「ヤバイって! みんな君の事見るだろうし」
「妬かないんだよ、正ちゃん。試着して来るからね」 

 私が手にした純白で布地の小さいビキニ水着を見て、慌ててる正ちゃん。それはこの店で最も過激なデザインだったんですけど、今日彼に初めて抱かれ解毒を果たしてしまわねばならない私にとっては必然の選択でした。それに正ちゃんが冗談半分に言ったのも覚えています。彼が私の「ハイレグビキニ」姿を本当は期待してるのもお見通しでした。

「どうかな? やっぱ小っちゃ過ぎる?」
「そ、そうだね……でも、とっても似合ってるよ」

ーー嘘ばっかり。だけど、こんな水着やっぱり恥ずかしいな。でも……これにしちゃえ!

 実際に着用してみると、とんでもないデザインだと思いました。胸の方は小さ過ぎておっぱいが半分くらいハミ出しています。そして下の方は超過激なハイレグで、陰毛をツルツルに剃られてなかったらとても着る事は出来なかったでしょう。でも、ふと正ちゃんを見ると、大いに慌てふためきながら私の恥ずかし過ぎる極小水着にエッチな視線を送って来ていました。なんだかソワソワと落ち着かないのは、股間が逞しくなってしまい、それを隠すためなのも丸わかり。店内のお客さん達からも一斉に視線が集まって来てましたが、彼氏を悩殺して初めてのエッチに持ち込まねばならない私は、大胆な決断を下しちゃいました。この水着のサインが届かず、襲って来ないようなら男じゃありません。町田先生に処女を破られ濃厚な性戯に耽っていた私は、いつの間にかこんなエッチな思考をしてしまう、はしたない女の子になっていました。 

 さて意を決して露出過多な水着を買ってしまった私でしたが、ビーチではすぐに妙なムードになっちゃいました。何しろ私の嫌らし過ぎる格好は皆の注目の的になってしまい、正ちゃんと一緒にビーチボールで遊んでても、それとなく見物の人だかりが出来ていました。やはり私にはサイズが小さ過ぎたみたいで、おっぱいは半分露わになっちゃってるし、下半身だって半端なく喰い込みまくりだったんですから。

 人目を避けて岩場で休んでる時、私の方から積極的に正ちゃんの唇を奪っちゃいました。そしてその時、彼の手を私の恥ずかしい水着の上にやったんですけど、正ちゃんは恥ずかしがってその場では襲ってくれません。結局家族で借りる事の出来る海の家の一室を借り切り、周囲を気にしながら体を合わせる事になりました。簡単な間仕切りがあるとは言え、すぐ外で沢山の人達の歓声が聞こえて来るんですから、スリル満点です。でもこのチャンスを逃すわけにはいかない私は必死でしたし、正ちゃんにもちゃんと伝わったようでした。

 お互い水着を脱がずに唇を合わせましたが、その時点でもう大興奮。とても幸せな気持ちに包まれ、町田先生との行為で味わった歓びが偽りに過ぎなかった事を思い知らされました。そう、あの狂乱は匂い中毒によるまやかしだったんです。正ちゃんと言う愛する男性に抱かれる究極の歓びに比べるべくもないに決まってるじゃないですか。情熱的なキスを続けている間に、私は感激のあまり舌を正ちゃんの口に差し入れていました。それは町田先生に教えられてしまったテクニックでしたが、恐らく経験がなかったんでしょう。彼の体がビクンと驚いたように反応して、私のイタズラ心に火が点きました。

ーーこんな嫌らしいキスは初めて? うふふ、今日は私があなたを襲ってあげる

 唇を合わせ舌を挿入して口を吸いながら、いつの間にか積極的に正ちゃんの上になってた私は、ごく自然に彼の水着の上から股間をまさぐっていました。するともちろんパンパンに張り切らせてたので、嬉しくなった私はパンツの中に手を入れると同時に、もう片手で彼の手をお乳とアソコに導いてあげました。正ちゃんの手が大事な部分に触れるだけで幸せな興奮に包まれる私は、すっかり硬くなってたペニスを愛おしく握り締めると、しばらく火のように熱くドクドクと脈動してるソレの感触を味わいます。遠慮がちだった彼の手も私の水着の中に侵入を始め、興奮がいやましに高まって来ました。

「正ちゃん、私にご奉仕させて」
「千寿ちゃん! 駄目だよ、そんな汚い所……」
「あなたの体の中で汚い所なんか一つもないわ。うふふ……私のも舐めてね、お願い」

 上になった体を百八十度回転させた私は、いよいよ彼のパンツの中からおちんちんを取り出しました。正ちゃんは男のくせにそれを隠そうとしましたが、その手をどかせて見ると立派な肉棒で、私は胸がキュンとなっちゃいます。ただ皮を被ってたので、彼はそれを気にしたのかも知れません。私がその皮をゆっくり剥きながら体をずらし、正ちゃんの顔に大事な部分を当てるえっちなアピールをすると、覚悟を決めた彼も極小水着をずらしてくれました。無毛が気になった私は言い訳を口にします。

「ハイレグを着るために剃っちゃったの。恥ずかしいな」

 全部剃っちゃうのはどうかと思いましたけど、すっかり興奮して鼻息が荒くなってた正ちゃんは、もう無言で私のアソコに見入ってるようでした。愛する男性にその部分を見られる恥ずかしさを紛らわせようと、私が皮をむき終えた町田先生に勝るとも劣らない立派なペニスをゆっくり口に含んでいくと、正ちゃんもアソコに口を付けてくれました。

 ああ、何て幸せなんでしょう。彼はもしかすると女の子とエッチするのが初めてかも知れません。夢中で私のアソコを舐めてるんですけど、とてもヘタクソでした。だけど彼の男性自身を頬張って感極まりそうな私にとっては、テクニックなんか問題じゃありません。彼の逞しいモノをゆっくりと味わいながらネットリしゃぶり上げると同時に、アソコを舐めて貰う私は凄く気持ち良くて、体が宙に浮き上がりそうでした。そして気が付くと私は、彼を窒息させようかと言う勢いで太股を強く挟み付けると、自分から気持ち良い箇所を押し付けるよう淫らに振る舞い、とうとう絶頂が訪れると同時に、正ちゃんのペニスも大爆発を起こしていました。私はもちろん彼のザーメンをゴクリと飲み下し、さらに後始末まで施しながら言いました。

「ごめんね、顔に一杯出しちゃったかも。だけど、正ちゃんだってこんなに……オアイコだね」

 私が嫌らしい体液を顔に吹っ掛けてしまった事を謝りながら精液の残滓を始末し終える頃には、正ちゃんの肉棒はすっかり逞しさを回復していました。いえ、さっきよりさらに硬く鋼のような物凄い勢いです。一度射精を終えたペニスがより一層逞しく勃起するのは、町田先生との行為で経験ずみでしたが、相手が最愛の正ちゃんだけに感激も一塩。天にむけてズキズキと脈動する唾液まみれのソレを見つめる私の目はウルウルで、アソコはキュンキュン。彼とは初めてなのに、一刻も早く繋がって愛を確かめたい気分の私は、とてもエッチでイケない女の子でした。

 そしていよいよ私が上になって合体です。匂い中毒で異常な愉悦を覚えてしまう町田先生とのセックスみたいな事はなく、正ちゃんをスムーズにくわえ込んだ心地良さはずっと優しい快感で、私を幸せな気持ちで満たしてくれるものでした。そして彼にしがみ付き、口を吸いながら腰をゆっくり動かすと、その歓びも徐々に高まっていきます。

ーーああ、素敵だわ。このままずっとこうしていたい。あんなケダモノみたいなセックスなんか、忘れてしまえばいいんだわ

 町田先生とのセックスは肉欲だけで、そこに「心」の入り込む余地はありませんでした。でも今愛する男性正ちゃんと初めて一つになったセックスは、肉体の快楽はさほどでなくても「心」の満足度が桁外れなんです。これが本当の愛があるセックスなんだなと思い、早く中に射精して貰って町田先生の悪夢を追い出したい一心になってしまいました。

「千寿ちゃん、ヤバいよ! 俺、もう出ちゃうかも知れない」
「出して! いっぱい出してちょうだい、お願い、正ちゃん」
「いいのかい?」
「もちろんよ!」

 気が付けば、町田先生との忌まわしいセックスで鍛えられてた私のアソコはきつく正ちゃんのペニスに絡み付き、ギュウギュウと締め付けながら腰を動かしてたんです。彼はもう限界だと弱音を吐きましたが、これこそ私の望んでいた中出し射精です。ますます大きくお尻を振った私の中に、正ちゃんは一声呻きながら精液を放ってくれました。

ーーああ、嬉しい! ザーメンって本当はこんなあったかいのね

 町田先生の悪魔が出したような冷たい精液とはまるで感触が違いました。私は一度出して貰ってもなお正ちゃんにしがみ付き、柔らかくなってしまいそうなペニスとの合体を維持して余韻を楽しみます。

「千寿ちゃん」
「駄目えっ! いかないで、もっとちょうだい、もっとお!」
「でも、もう2回も出しちゃったから、さすがに無理だよ」

 離れていこうとする正ちゃんにしがみ付き逃すまいとペニスを締め付けて「もっともっと」とおねだりしてしまった私は、彼の言葉で恥ずかしくなっちゃいました。薬の効果で人間離れした回数の射精が可能な町田先生じゃないんです。普通の男性は限界があるんだと当たり前の事実を知らされた私はしかし、それでもしばらく正ちゃんとの繋がりを保とうと必死でした。正ちゃんはこんなはしたない私にヤレヤレと苦笑しながら抱いてくれてるんですけど、その時私は嫌らしい悪魔の囁きを聞いてしまいます。

ーーあんなに幸せな気持ちになって、中出し射精までされたのに、私の体全然満足していない! もっと欲しいの、正ちゃんお願い……

 だけど仕事を果たした正ちゃんのペニスはどんどん萎れてしまい、私がいくらはしたなく繋がっていようとしてもポロリと出てしまいました。私は「もっと欲しい」と言う気持ちを殺して、彼と離れます。何度も極めた挙げ句に失神までしてしまう町田先生との激し過ぎるセックスの後遺症なんだと思いました。さっきタップリ精子を膣内に浴びて、解毒された筈です。まともな女の子に戻るため、我慢しなくちゃいけません。

 こうして正ちゃんとの初体験、そして中出し射精を施して貰った私は、とても満ち足りた気持ちで家路に付きました。もう町田先生に怯える事もなく、明日になったらあの男の処遇について正ちゃんに相談するつもりでした。初体験をすませた直後でしたから、今日あんな男の事を彼に相談するのはとても億劫だったんです。

 でもそれは大きな誤りでした。町田先生の事を相談するのが億劫だったんじゃなく、本当はしたくても出来なかったんです。そして体のモヤモヤは解消されず、気が付けば私は寝床の中で指を使っていました。初めて正ちゃんに抱いてもらって精神的には満たされてるのに、体の方が肉欲に負けてしまうのはとても恥ずかしく、イケない事だと思いながらウトウトすると自然に指が胸と股間にいってしまうようでした。これは解毒されてもなお私の体に残る町田先生の悪影響でしょう。やはり一刻も早くあの男を警察に突き出し、私の目の前から去って貰わねばなりません。

 こうして夢うつつにどうしても指で秘所を弄ってしまう口惜しさにたゆたっていると、携帯電話の呼び出し。こんな夜中に非常識な電話はあの男からに違いありません。でも、もう操られる事のない私はこんな電話は無視する一手です。ところが。

「……もしもし」

 私の体が勝手に携帯を取り、口がそう話した時、私は愕然としました。

ーー解毒されてる筈なのに、どうして?
 
 でももう体の動きは止まりません。真夜中に声を潜めながら忌まわしい男と勝手に応答してる操り人形の私がいました。

「町田だ。おう感心感心、こんな夜中でも言い付け通りちゃんと電話に出るんだな」
「はい」
「今日のお前の行動を言ってみろ」
「田岡君と一緒に海へ行きました…]

 町田先生に聞かれるままにベラベラとしゃべってしまう私の口。未だあの男に操られてしまってる事に気付いてショックと絶望に胸がドス黒く塗りつぶされていきます。そして彼に抱かれて中出し射精して貰った事まで告白させられると、こう言われました。

「千寿、お前、俺の女になるんじゃなかったのかよ」
「そんなつもりはありませんでした」

 この男を怒らせるだけだと思っても、正直に話してしまう口は止まりません。

「まあ良い。嫌がる女を屈服させるのが楽しいんだからな。まずは浮気のお仕置きをしてやろう。今すぐ家を出て、学校に来い。俺も部屋で待ってるからな。服装は……」

ーーい、嫌だあ!

 こんな真夜中に家族の目を盗み、コソコソと外出しろと言うんです。おまけに「お仕置き」だと聞かされた内容は、とても恥ずかしくあり得ないものでした。

 なのに受話器を握り締めて一言も聞き漏らさぬよう恥辱的な「お仕置き」の内容を確認してしまう私。天国から地獄に叩き落とされたような気分で、悪魔に会いに行く私の大事な部分はしかし早くもおぞましい興奮で失禁したかのように濡れていたのでした。




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投稿官能小説(3)

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