ファンタジー官能小説『セクスカリバー』

Shyrock 作



<第35章「武術家メグメグ」目次>

第35章「武術家メグメグ」 第1話
第35章「武術家メグメグ」 第2話
第35章「武術家メグメグ」 第3話
第35章「武術家メグメグ」 第4話
第35章「武術家メグメグ」 第5話
第35章「武術家メグメグ」 第6話
第35章「武術家メグメグ」 第7話
第35章「武術家メグメグ」 第8話
第35章「武術家メグメグ」 第9話
第35章「武術家メグメグ」 第10話
第35章「武術家メグメグ」 第11話

『セクスカリバー世界地図』
『ピエトラ・ブルの地図』




<登場人物の現在の体力・魔力>

~オデッセイ大陸を冒険する仲間たち~

シャム 勇者 HP 960/960 MP 0/0
イヴ 神官 HP 760/760 MP 810/810
アリサ 猫耳 HP 780/780 MP 0/0
キュー ワルキューレ HP870/870 MP480/480
エリカ ウンディーネ女王 HP 660/660 MP 890/890
マリア 聖女 HP 650/650 MP 920/920
チルチル 街少女 HP 600/600 MP 0/0
ウチャギーナ 魔導師 HP 690/690 MP 860/860
リョマ 竜騎士 HP 1060/1060 MP 0/0

⚔⚔⚔

~ロマンチーノ城に向かった仲間たち~

シャルル 漁師・レジスタンス運動指導者 HP 1020/020 MP 0/0
ユマ 姫剣士 850/850 MP 0/0
エンポリオ アーチャー HP 760/760 MP 0/0

⚔⚔⚔

~ピエトラ村(自警団)~

メグメグ 武術家(女性) 21才 自警団団長 拳法の達人
ルッソ 村人(男性) 35才 自警団副団長 自警団の知恵袋
マルツィオ 剣士(男性)16才 ピエトラ公国王子 ピエトラ城から避難
ジェーロ 神官(男性) 28才 ピエトラ城から合流
🛡
アウジリオ 村長(男性) 52才 村人たちの信頼が厚い
ブルネッタ 狩人(女性) 村長の娘 18才 
アリーチェ 街人(女性) 26才 村に逃亡中夫を殺害される



⚔⚔⚔



第35章「武術家メグメグ」 第1話

 シャムたちは隊列を組んで村の西側に近づいていた。
 村の周囲には魔物の侵入を防ぐため頑丈な柵が設置されており、まるで砦のような殺伐とした風景を呈している。
 村の出入口は予想したとおり西側に存在した。
 出入口の内側には高さが6メートル程の見張り台がそびえていて魔物の侵入に備えている。
 見張りがシャムたちの接近に気付いたようだ。

見張り「この村にどんな用だね?」
シャム「先程この近くで街の人が魔物に襲われて亡くなった。葬ってあげたいので中に入れてくれないか?」
見張り「なんと……それは気の毒に……。ところであんたはどちらの人だね?」
シャム「おいらは魔物を倒すため旅をしているシャムという者だ」

 シャムの名前を知っているようで、見張りは目を丸くしている。

見張り「シャ、シャムさん……もしや? あなたが噂の救世主様ですか!?」

 急に見張りの言葉遣いが丁寧になった。

シャム「そんな大袈裟な呼び方をする人もいるようだけど」
見張り「これは驚きました! ちょっと待っててください。上に話を通してきますので」

 自身の判断で外部の者を入場させることを禁じられているのだろう。
 見張りは階段を駆け下りると小走りで去っていった。

 しばらくすると上司らしき男が現れ、自分は自警団副団長のルッソだと名乗った。
 シャムたちはルッソの案内で村の集会所に向かった。

⚔⚔⚔

ルッソ「なるほど、お話はよく分かりました。ルーカさんのご無念お察しします。ルーカさんはこの村で埋葬しましょう。アリーチェさん、よろしいですね?」
アリーチェ「ううう……ルッソ様のご厚意に大変感謝いたします。亡きルーカもピエトラの地で眠ることができてきっと喜ぶと思います」
ルッソ「同じ国に暮らす民として当然のことです。それからアリーチェさん、街に戻るのは危険です。よろしければこの村で暮らしてください。お住まいはこちらで用意しますので」
アリーチェ「何から何まで親切にしていただき、感謝してもしきれません。本当にありがとうございます」

 ルッソはポリュラスから食料と水を届けてくれたシャムたちに深く感謝した。

ルッソ「実は畑に魔物が出没するため耕作もできないし、街には魔物が溢れているので買い出しにも行けず、とても困っていました」
シャム「村の人は何人いるの?」
ルッソ「現在村には、村民が80人、街からの避難民が20人、城からの避難民が10人、合計110人います。全員が魔物と戦えるように男性だけでなく女性も子供も訓練に明け暮れる毎日です」
シャム「おいらたちもいっしょに戦うよ!」
ルッソ「何と! 救世主様のご支援があればどれだけ心強いことか。ありがとうございます! よろしくお願いします!」
シャム「ところで、団長さんはどこに行ったの? こんなことを言うのはどうかと思うけど、この大変な時にボスがいないって拙くない?」

 突然ルッソの表情が曇った。

ルッソ「実は、団長のメグメグはシャム様たちが来られる1時間ほど前に街の教会に向かいました」
シャム「礼拝に行くことは悪くはないけど、何もこの大変なときにここより危険な街に行かなくても良いと思うんだけど」
ルッソ「これには事情がありまして……」
シャム「何か深い訳がありそうだね。聞かせてくれる?」

 ルッソは理由を語りはじめた。
 ピエトラ公国の王子マルツィオがわずかな手勢とともに城を出て村に逃れてきたのは1か月前のことであった。
 その後マルツィオは若干16才ながら剣に未熟な村人たちに剣技を教えていた。
 ところが肝心の剣があまりにも少ない。
 村に武器屋がないため街まで行かなければならない。
 魔物たちが徘徊する街だが危険を承知でわずかな兵をともなって3日前に街に向かった。
 しかし夜になってもマルツィオたちは村に戻ってくることはなかった。

 翌日、伝書烏が飛来し手紙に『マルツィオ王子を預かった 王子を助けたければ明日正午 団長1人でラピスラズリ1,000カラットを持ってこい 仲間を1人でも連れてくれば王子の命はないと思え デルピュネより』と記載されていた。

 シャムたちは隊列を組んで村の西側に近づいていた。
 村の周囲には魔物の侵入を防ぐため頑丈な柵が設置されており、まるで砦のような殺伐とした風景を呈している。
 村の出入口は予想したとおり西側に存在した。
 出入口の内側には高さが6メートル程の見張り台がそびえていて魔物の侵入に備えている。
 見張りがシャムたちの接近に気付いたようだ。

見張り「この村にどんな用だね?」
シャム「先程この近くで街の人が魔物に襲われて亡くなった。葬ってあげたいので中に入れてくれないか?」
見張り「なんと……それは気の毒に……。ところであんたはどちらの人だね?」
シャム「おいらは魔物を倒すため旅をしているシャムという者だ」

 シャムの名前を知っているようで、見張りは目を丸くしている。

見張り「シャ、シャムさん……もしや? あなたが噂の救世主様ですか!?」

 急に見張りの言葉遣いが丁寧になった。

シャム「そんな大袈裟な呼び方をする人もいるようだけど」
見張り「これは驚きました! ちょっと待っててください。上に話を通してきますので」

 自身の判断で外部の者を入場させることを禁じられているのだろう。
 見張りは階段を駆け下りると小走りで去っていった。

 しばらくすると上司らしき男が現れ、自分は自警団副団長のルッソだと名乗った。
 シャムたちはルッソの案内で村の集会所に向かった。

⚔⚔⚔

ルッソ「なるほど、お話はよく分かりました。ルーカさんのご無念お察しします。ルーカさんはこの村で埋葬しましょう。アリーチェさん、よろしいですね?」
アリーチェ「ううう……ルッソ様のご厚意に大変感謝いたします。亡きルーカもピエトラの地で眠ることができてきっと喜ぶと思います」
ルッソ「同じ国に暮らす民として当然のことです。それからアリーチェさん、街に戻るのは危険です。よろしければこの村で暮らしてください。お住まいはこちらで用意しますので」
アリーチェ「何から何まで親切にしていただき、感謝してもしきれません。本当にありがとうございます」

 ルッソはポリュラスから食料と水を届けてくれたシャムたちに深く感謝した。

ルッソ「実は畑に魔物が出没するため耕作もできないし、街には魔物が溢れているので買い出しにも行けず、とても困っていました」
シャム「村の人は何人いるの?」
ルッソ「現在村には、村民が80人、街からの避難民が20人、城からの避難民が10人、合計110人います。全員が魔物と戦えるように男性だけでなく女性も子供も訓練に明け暮れる毎日です」
シャム「おいらたちもいっしょに戦うよ!」
ルッソ「何と! 救世主様のご支援があればどれだけ心強いことか。ありがとうございます! よろしくお願いします!」
シャム「ところで、団長さんはどこに行ったの? こんなことを言うのはどうかと思うけど、この大変な時にボスがいないって拙くない?」

 突然ルッソの顔色が曇った。

ルッソ「実は、団長のメグメグはシャム様たちが来られる1時間ほど前に街の教会に向かいました」
シャム「礼拝に行くことは悪くはないけど、何もこの大変なときにここより危険な街に行かなくても良いと思うんだけど」
ルッソ「これには事情がありまして……」
シャム「何か深い訳がありそうだね。聞かせてくれる?」

 ルッソは苦しげな表情で語りはじめた。。
 ピエトラ公国の王子マルツィオがわずかな手勢とともに城を脱出して村に逃れてきたのは1か月前のことであった。
 その後マルツィオは若干16才ながら剣に未熟な村人たちに剣技を教えていた。
 ところが村には肝心の剣があまりにも少ない。
 村に武器屋がないため街まで買い求めに行かなければならない。
 マリツィオは団長や副団長の制止も聞かず、危険を承知でわずかな兵をともない3日前に街に向かった。
 ところが夜になってもマルツィオたちは村に戻ってくる気配がなかった。

  翌日、伝書烏が飛来し手紙に『マルツィオ王子は預かった 王子を救いたければ明日正午 団長みずからラピスラズリ1,000カラットを持って街の教会に来い 仲間を1人でも連れてくれば王子の命はないと思え デルピュネより』と記載されていた。



第35章「武術家メグメグ」 第2話

シャム「それで団長は王子を救出するために1人で街の武器屋に出掛けたの?」
ルッソ「はい、いくら止めても無駄でした。私たちを振り切って鬼気迫る表情で出掛けて行きました」
シャム「ゴールドではなくラピスラズリを要求してきたのはどうして?」
ルッソ「魔物はゴールドにはまったく興味を示しません。興味があるのはラピスラズリだけなのです」
イヴ「ラピスラズリは魔物にとってパワーの源なのよ。分かりやすくいうと魔物の体力と魔力の数値が大幅に上がるの」
シャム「そう言うことか。ラピスラズリが欲しくて王子を捕らえて身代金代として要求してきたのだな?」
イヴ「それはあくまで表向きだと思うの。ラピスラズリを渡せば王子を返してくれるかどうか分からないし、団長の命も危ないわ! 彼らの本音は自警団の団長であるメグメグさんを捕えて自警団の力を削ぐことが狙いだと思うの」
シャム「ルッソさん、これは罠かもしれないぞ!」
ルッソ「ま、まさか!? 彼らの狙いはラピスラズリなので渡せば王子を返してくるはずだ……と団長は言っていましたが……」
リョマ「甘い! 団長が出掛けたのはいつ頃ですか?」

 リョマが血相を変えて椅子から立ち上がった。
 ふだん温厚なリョマとしては珍しいことだ。

ルッソ「そんなに時間は経っていません! 皆さんが来られるよりも少し前でした!」
シャム「よし! みんな、すぐに街へ向かうぞ!」
ルッソ「私もいっしょに行きます!」
イヴ「ルッソさんは副団長なのでここに残って。いつ魔物が攻めて来るか分からないので」
ルッソ「いいえ、団長を1人で行かせた責任は私にもあります。村は村長に託し、私も皆さんと参ります」

 その時、村長の娘のブルネッタと神官のジェーロが集会所に飛び込んできた。

ブルネッタ「ごめんなさい、部屋の外でお話を聞いていました! 私も連れていってください! 副団長はここに残って村の指揮をとってください!」
ジェーロ「道案内人として私が同行します! ブルネッタさんがいうとおり副団長は村を守ってください!」
ルッソ「分かった。では2人はシャムさんたちに同行してくれ。村は私の命に替えても守ってみせるから」

⚔⚔⚔

 時は少し前にさかのぼる。

メグメグ「マルツィオ様を街に行かせたのは私の失敗……何としても止めるべきだった。マルツィオ様、どうかご無事で……」

 メグメグは武器の調達のため王子マルツィオを街に行かせたことを大いに後悔した。
 しかしいくら悔やんでも今となっては後の祭りだ。今はマルツィオが無事であることを祈るしかない。
 王子を助けるためにはやむを得ない……と村長は苦渋の決断をし村の財産であるラピスラズリ1,000カラットをメグメグに託したのだった。

メグメグ「たとえ私の命に替えても必ずマルツィオ様を守ってみせるわ」

 教会に到着するまで随所に敵は潜んでいるだろう。
 それらを撃破して教会にいるマルツィオを救出する。
 メグメグは固く心に誓った。

 まもなく街に到着した。

メグメグ「ああ、街がむちゃくちゃだわ……」

 見慣れた街並みは無残に壊され、道路には魔物やゾンビで溢れている。
 ところどころに人々の遺体が横たわっておりその悲惨さを物語っている。
 もしかしたら建物の中で息を潜めて耐えている人々がいるかもしれない。
 マルツィオを救出した後、一刻も早く人々を救わなければならない。

(そのためにも早く王子様をお助けしなければ……)

 そんなことを考えていると数体のスケルトン兵が襲いかかってきた。
 メグメグはローキックで次々にスケルトン兵を倒していく。
 雑魚相手に体力を消耗する大技は要らない。
 武器に注意して敵の関節を蹴れば簡単に倒すことができる。

 スケルトン兵を倒すと、次に現れたのはゾンビであった。
 ゾンビは非力なうえスピードにも劣るのでメグメグほどの達人なら恐れることはないが、一撃で倒すなら脳を粉砕しなければならないので結構厄介だ。
 とにかく噛まれないように注意すれば問題ないだろう。
 結局4体のゾンビを一撃で葬ってしまったメグメグは東側にある教会へと急ぐ。

 まもなくピットバイパーという赤い蛇が3匹現れた。
 メグメグの技術があれば容易に倒すことができるが、毒を持っているので注意が必要だ。
 メグメグは素手による攻撃は控えてヌンチャクを取り出し瞬く間に3匹を葬り去った。

メグメグ「次々に出てきてうっとうしいなあ。ふんっ、またお次のお出ましか?」

 次に現れたのは2体のオークであった。
 接近型魔物であり魔力や飛び道具がないので対処しやすい相手といえる。
 メグメグはオークのタックルを軽くかわし、頭にハイキックを見舞った。
 崩れ落ちる2体のオーク。

メグメグ「もうすぐ教会だわ! 急がなくては!」



第35章「武術家メグメグ」 第3話

 雑魚ばかりとはいえ、これほど続けて敵が現れると辟易する。

メグメグ「喉が渇いた……」

 敵が途切れるとどっと喉の渇きが襲ってきた。

(水が欲しい……)

 水筒の中はすでに空っぽになっている。
 メグメグは小さくため息をつくと、辺りをぐるりと見回してみた。
 すると無残に壊された商店近くにある馬の水飲み場が目に入った。
 
メグメグ「あっ、あれは馬の水飲み場だわ……これぞ天の助け!」

 ただし水飲み場は馬が飲み易い高さに造られているので、人が使うには高いが、少しだけ背伸びをすれば飲むことが可能だ。
 メグメグは水飲み場に駆け寄ると両手で水を掬って何度も口に運んだ。

メグメグ「ああ、美味しい……」

 その時、メグメグはふと背後に不穏な気配を感じた。
 常人であればおそらく気付かなかったろう。
 メグメグは稀有の気配察知能力の持ち主なのだ。

 メグメグは手のひらいっぱいに水を掬って、振り向きざま相手の顔面に水を浴びせた。
 水は武器にはならないが、突然顔に掛けられたら人でも魔物でも一瞬ひるんでしまう。
 メグメグの背後にいたのは襲いかかろうと構えているリザードマンであった。
 リザードマンは二足歩行型のトカゲとであり、言葉は話さないが知能は意外に高い。
 武器は持たず自慢の力でパンチを繰り出してくる。また足の筋肉が発達しており恐るべきスピードを持っている。

 リザードマンがパンチを繰り出そうとするとさらりと躱し、敵の顔面目掛けて正拳突きを浴びせた。
 よろけながらもさらに挑みかかってくるリザードマンだが、メグメグの敵ではなかった。
 二撃目を浴びせられると堪らず逃げ出した。
 メグメグは追いかけるがリザードマンは意外に足が速くなかなか追いつかない。

メグメグ(あの魔物を捕らえて締め上げ、王子様が本当に教会にいるのかを吐かせてやるわ)

 リザードマンは壊れかけた建物の中へと逃げ込んでいく。
 瓦礫の隙間に駆け込んだリザードマンは、はたと立ち止まると急に屈みこんでしまった。
 先程メグメグから受けた正拳突きが効いてきたのかもしれない。
 メグメグがリザードマンに接近すると、横合いから何やら甘い空気が流れた。

メグメグ「うっ、なに?……?」

 メグメグは突然激しい眠気に襲われそのままへなへなと崩れた。
 そして瞬く間に深い眠りに落ちていった。

⚔⚔⚔

 村を出発したシャムたちはメグメグの後を追い街へと向かっていた。
 道案内に自警団の神官ジェーロと村長の娘ブルネッタをともなって。
 街に入る途中、ゾンビの一団による急襲を受けたがシャムたちは圧倒的な力差で退けてしまった。

ジェーロ「あそこから先が街です」
シャム「うわ~、かなりやられているなあ」
ブルネッタ「あの美しい街がどうしてこんな酷い目に……」

 ブルネッタは頬に涙を浮かべた。

イヴ「ブルネッタさん、泣かないで。魔物たちを倒して必ず街を元に戻しましょう」
ブルネッタ「イヴさん、ありがとう。ここでくじけていてはダメだよね」

 街に入るとメグメグが倒したスケルトン兵の残骸があった。

ジェーロ「おそらく団長が倒したんだと思います」
キュー「団長のメグメグさんって聞きしに勝る武術家なのね。スケルトン兵が完全にぶっ壊れてる……」

 メグメグの強さに舌を巻くキュー。
 同じ戦士としてその破壊力は骸を見ただけで分かるのだろう。

ジェーロ「団長は強さもさることながら、村のみんなを統率する力が凄いのです。それにとても思いやりのある優しい人なんです」
ウチャギーナ「べた褒めなのね。それほどすごい人なんだね」
アリサ「魔物だらけの街に1人で乗り込むなんて凄い勇気だね。と言おうとしたら、目の前にゾンビの死体が転がってたああああ」
シャム「全部、一撃で頭が壊されているぞ」
エリカ「道路に転がっている魔物やアンデッドを追いかけて行ったら、メグメグさんにいる場所にたどり着くことになりますね」
シャム「いや、そんな単純ではないと思うぞ」
マリア「メグメグさん、どうかご無事で」

 マリアは立ち止まり祈りを捧げた。

 さらに進むと毒蛇ピットバイパーとオークの死体を発見した。

ブルネッタ「もう少し行くと教会が見えてくると思います。急ぎましょう!」
チルチル「ねえねえ、あそこに水飲み場があるよ。水を飲んで行こうでピョン♫」
リョマ「そうですね。突入前に一口飲んでいきましょうか」

 シャムたちは小休止して喉を潤すことにした。
 水飲み場に行くと、マリアは足元に何か光っている物が落ちていることに気付いた。

マリア「あれ? これは何でしょうか……? ロケットでしょうか?」

 拾い上げてみると花柄を模した銀のロケットだった。

ブルネッタ「あっ、これは団長がいつも着けているロケットだわ! どうしてここに落ちているのかしら……?」

 シャムたちの心に不安がよぎった。



第35章「武術家メグメグ」 第4話

メグメグ「えっ……ここはどこ……?」

 目が覚めたメグメグは自身が今どこにいるのか分からなかった。
 最初に目に飛び込んできたのは、天井近くまでそびえ立つ巨大なステンドグラスだった。

メグメグ「もしかしたらここは教会……!? うっ……頭が痛い……」

 立ち上がろうとしたが両手を後手に縛られたうえ足を長椅子に繋がれていては座るのがやっとだ。

メグメグ「王子様はどこ!?」

 周囲を見回した。
 マルツィオの姿はない。
 夕刻、マルツィオ救出のため街に来たことは覚えているが途中からは覚えていない。

 教会の壁など目に付くところで崩れている箇所があるのはたぶん魔物の仕業だろう。
 ステンドグラスを通して入る夕陽がメグメグを照らす。
 建物内部の調度品は少なく木の長椅子は中央のレッドカーペットを挟み三列づつ並べられている。
 人々の守護であるべき教会が魔物に占領されてしまうとは何という不条理であろうか。
 魔物たちは教会を破壊することで人々を帰伏させようとしているのかもしれない。

 その時、メグメグの耳に男のうめき声のようなものが聞こえてきた。
 だがメグメグの位置からは声の主が見えない。

メグメグ「誰かいるのですか?」

 すぐに返事があった。

司祭「ううう……私は司祭のサムエーレです……」

 かなり苦しそうである。

メグメグ「だいじょうぶですか!? 私は自警団のメグメグです、縛られて動けないのでここからお話します」
司祭「おおっ……メグメグ様ですか……実は突然魔物が王子様を連れてここにやってきたので、魔物と戦いましたが敵うはずもありません。力及ばずこの有様です……私はもう長くはないと思います……」
メグメグ「司祭様、しっかりしてください!」
司祭「メグメグ様……どうか王子様を助けて……ください……あなた様もどうかご無事で……」
メグメグ「司祭様っ!」

 返事がない。おそらく息絶えたのだろう。

メグメグ「司祭様~~~っ!」

 その時、どこからともなく地響きのような不気味な声が聞こえてきた。

謎の声「メグメグよ、よく来たな。そなたの勇気を称えてやろう」
メグメグ「だれ!?」
謎の声「知ったところで仕方がないだろう。おまえはまもなく死ぬのだからな。それはさておき王子に会いたいか?」
メグメグ「王子様はどこ!? ラピスラズリを持参したので約束どおり王子様を解放して!」
謎の声「よいだろう。ただし1つだけ条件がある。詳しいことはデルピュネから聞け。おまえが運よく生きていたらまた会うことになるだろう。さらばじゃ……」
メグメグ「待って!」

 声が消えると同時に、祭壇から複数の人影が現れ、メグメグの方に近づいてきた。
 蛇兵がマルツィオ王子の前後を固め、最後尾には奇妙な歩き方をする女がいる。
 二足歩行の蛇兵と異なり女は蛇行して進んでいるのだ。
 おそらくラミアと同種の下半身が蛇の魔物なのだろう。
 彼女は名前をデルピュネと言った。
 なかなかの美女である。

マルツィオ「メグメグっ! おまえまでが捕らえられるとは……!?」
メグメグ「王子様! このような無様な姿をお見せして申し訳ございません。不覚にも捕らえられてしまいました……」

 デルピュネが2人の会話を遮った。

デルピュネ「団長さん、よく眠れたようね。私のスリープ魔法はよく効くでしょう?」
メグメグ「あなたはテルピュネ! 私を眠らせたのはあなたね? 卑怯な!」
デルピュネ「戦いに卑怯も正々堂々もないわ。それより今からゲームをしない?」
メグメグ「ふざけないで。ラピスラズリ1,000カラットを持って来たのだから約束どおり早く王子様を解放して!」
デルピュネ「ラピスラズリはあなたが眠っている間にいただいたわ、ありがとう。でもラピスラズリを渡せば帰れると思ってたの? 甘いわ」
メグメグ「そんな……約束が違うわ!」
デルピュネ「約束なんかしたかしら? じゃあ1回だけチャンスをあげるわ」
メグメグ「どんな?」
デルピュネ「今からゲームをするわね。ゲームは1回戦と2回戦があって2回とも成功したら2人とも帰してあげるわ」
メグメグ「その言葉に偽りはない?」
デルピュネ「悪魔に誓って偽りはないわ」
メグメグ(神なら笑うよ)

 デルピュネが砂時計を見せた。

デルピュネ「これは砂時計。砂は5分で下に落ちる。すべての砂が下に落ちるまでに、口だけで王子様を射精させること。5分以内に射精させることができたら1回戦通過よ。ただし縛られたままやってもらうから手は使えないからね。うふ、できるかな?」

 破廉恥な要求をぶつけられメグメグは愕然とした。
 続いて2回目の説明が行われた。

デルピュネ「2回目の制限時間は10分。2人にセックスしてもらうわ。王子様の縄は解いてあげるけどあなたは縄のままよ。体位は好きにして。王子様が無事に射精したら2回戦終了。ただし、1回目と2回目の間に脱衣タイムがあるだけよ」

メグメグ「そ、そんなっ……王子様とそんなことをできるわけがないわ! そんなことをするぐらいなら一思いに私を殺して! そして王子様を解放して!」
マルツィオ「そんな辱めを受けるならいっそ私を殺すがよい! ただしメグメグは助けてやってくれ!」
デルピュネ「ほほほほほ、お涙ちょうだいの美談だね。ゲームを拒むなら仕方がないわね。望みどおり2人とも死んでもらうわ。蛇兵、死刑の準備をして!」
メグメグ「待って! 分かったわ、やるわ……。王子様、これから行なうこと、どうかお許しください……」

 マルツィオに許しを乞うメグメグの目には涙が溢れていた。

マルツィオ「泣かないで、メグメグ……」

 すでに覚悟を決意した様子のマルツィオであった。



第35章「武術家メグメグ」 第5話

 デルピュネの命令一下、蛇兵はマルツィオのブレーと下穿きをあわただしく脱がしにかかる。
 下半身を覆うものがまたたく間に失われた。
 マルツィオは頬を紅潮させメグメグから顔を背けている。
 椅子に着座させられたマルツィオの前にメグメグが背中を押され転がるように膝をつく。

 蛇兵が砂時計を置くと同時に1回戦が開始した。
 5分以内に口だけでマルツィオを射精させなければならない。
 日々戦いに明け暮れるメグメグにとって恋をするいとまもなく当然性に関しても疎い。
 勝手がよく分からないまま懸命に口を駆使するメグメグ。
 マルツィオを助けたいというメグメグの想いが彼に伝わってくる。
 亀頭が柔らかな唇の隙間に添えられると、そのまま咥え込み口内に招き入れた。
 萎えていた肉柱がメグメグの口の中であっと言う間に膨張する。 
 舌を絡みつかせ、精一杯、口内で奉仕をする。

メグメグ「んぶっ、ちゅっ、れろっ、んふっ……チュッ、んっ……レロッ……」
マルツィオ「あああっ……そ、そんなっ……メグメグっ……ううっ!」

 メグメグはマルツィオの気配をうかがう余裕などなく黙々と口淫に勤しんでいる。
 マルツィオは日頃自警団団長として活躍するメグメグの異なる一面を見て、この上ない快感の痺れが肉柱に伝わってくるのを感じる。

メグメグ「うぷっ、んぐっ、んむっ、うぉっ……んんっ……!」

 メグメグは歯を立てないようにしながら、ひたすらマルツィオの肉柱を吸いつづける。
 砂時計がまだ半分にも到達していないのに、早くもマルツィオがぶるっと身体を震わせた。

マルツィオ「ううっ……!」

 マルツィオの微妙な変化を察して、メグメグは太い肉柱を手のひらでしごきながら亀頭を激しく吸い込む。
 敏感な肉柱はそれだけで悦びに震え、マルツィオは身をよじらせる。

マルツィオ「あぁっ、メグメグっ……」

 口淫の快楽に悶えるマルツィオの切ない表情に誘われ下半身が熱くなるメグメグ。

(ドブッ! ドグッ! ドビュッ!! ビュルッ!!)

 先端からドロリとねばつく大量の白濁液が放出され、メグメグの喉奥へと流れ込む。

メグメグ「んっ、んふぅっ……レロッっ、レルッ、じゅぽっ……んぷっ、んぅっ……」
マルツィオ「うっ、メグメグっ……!」

 マルツィオの精液を喉に流し込まれ、蒸せ返るような雄の匂いと吐き出しそうになる苦しさに耐えながらも、メグメグは精液をゴクリ、ゴクリ、と喉を動かしながら嚥下していく。

マルツィオ「はぁっ……はぁっ……」

 射精を終えたマルツィオは腰が砕けそうな快感に震えながら、メグメグの口から肉柱を引き抜く。
 そのイチモツは、いまだ鎮まることなく上を向いている。

デルピュネ「団長さん、口できれいにしてあげてね」

 口淫を終えたばかりのメグメグに引きつづき肉柱の掃除を命じるデルピュネ。

デルピュネ「やるじゃなの、1回戦合格ね」

 デルピュネは砂時計を見つめながら微笑む。

デルピュネ「砂時計がまだ半分程度だわ。王子様はよほど団長さんのお口がお好みなのね、おほほほほ。それじゃ、すぐに2回戦の準備をして。蛇兵、団長さんの服を脱がせてあげて」

メグメグ「ちょっと待って。2回戦の前に水を飲ませてくれない……?
デルピュネ「いいでしょう。蛇兵、2人に水を持ってきてあげて」

⚔⚔⚔

 その頃、シャムたちはブルネッタとジェーロの案内で教会の前にたどり着いていた。
 教会の外壁には所々に生々しい戦いの爪痕が残っている。

ジェーロ「こちらが教会です」
ブルネッタ「団長、王子様、どうかご無事で……」

 ブルネッタは神に祈った。

シャム「入口は表だけか?」
ジェーロ「いいえ、裏側に勝手口があります」
シャム「では正面と裏側、2部隊に分かれるぞ」

 裏側へは、教会の内部に詳しい神官ジェーロに案内を任せるのが得策だろう。ちなみにジェーロは剣だけでなくヒール魔法も使えるのが頼もしい。

シャム「別動隊はジェーロさん、リョマ、キュー、エリカの4人で裏の勝手口に回ってくれ。残りの者は本隊だ。先ず別働隊が裏から突入しかく乱する。すぐ直後に隙を見て本隊が正面から突入する。作戦は以上だ。いいな?」

 シャムが作戦をひと通り説明し終わると一斉に拳を握って親指を上にあげた。声を出せない状況での『了解』のサインである。

<本隊> シャム、イヴ、アリサ、ウチャギーナ、マリア、チルチル、ブルネッタ
<別動隊> ジェーロ、リョマ、キュー、エリカ

 先行して別働隊が裏側に向かった。
 少し遅れて本隊が正面入り口の鍵を壊すと足を忍ばせ玄関に入る。
 窓がステンドグラスになっているので、見つからないよう身を潜める。

 内部の状況が知りたい。
 アリサがステンドグラスの端からそっと覗いてみた。

アリサ「うわぁ……大変なことになってる。縛られた男女がエッチする寸前だよおおおお」
イヴ「どういうこと? アリサちゃん、ちょっと替わって!」

 アリサは場所をイヴに譲った。

イヴ「ボスっぽい蛇女と大勢の蛇兵がいる。その中央に若い男女がいてセックスしろと脅されてるみたい! ブルネッタさん、あの2人はもしかしたら……!」
ブルネッタ「イヴさん、私に見せてください!」

 ブルネッタは覗きこむとみるみるうちに青ざめ唇を震わせた。

ブルネッタ「向かい合っているのはマルツィオ王子とメグメグ団長に間違いありません! 早く救出しなければ!」
シャム「分かった! 裏側の別動隊が突入したら、直後においらたちも突入するぞ! みんな、準備はいいか?」

 仲間たちは再び親指を上にあげた。



第35章「武術家メグメグ」 第6話

アリサ「シャム、ちょっと待ってええええ」
シャム「なんだ?」
アリサ「キューちゃんたちが攻撃しやすいように、アリサがおとりになって敵を引きつけるよおおおお」
シャム「おとりって……それは無謀だろ? ちょっと待て、アリサ!」

 アリサはシャムの阻止をよそに、敵がひしめく礼拝堂に飛び込んでいった。
 ただしアリサと礼拝堂の中央にいる敵との間に一定の距離はある。
 参拝者を装って声高らかに問いかけるアリサ。

アリサ「あれ? 今日は礼拝やってないのですか? お祈りできませんかああああ!?」

 アリサの姿を見たデルピュネたちは、てっきり信徒の訪問だと思い込んだようだ。

デルピュネ「事情があって今日はお休みさせていただいております、またお越しください」
アリサ「それではお祈りだけでもさせてくれませんか?」
蛇兵「つべこべ言ってないで早く帰るんだ!」

 1人の蛇兵がアリサに近づき乱暴な口調で威嚇する。
 デプピュネたちの注意がアリサに注がれている。

⚔⚔⚔

 一方勝手口で待機中の別動隊は、見張りの蛇兵2人を捕らえて口にさるぐつわを噛ませた。

ジェーロ「ここでしばらく大人しくしてろ」
リョマ「おっ、アリサさんが敵を引きつけてくれていますね。この機会に突入すると敵は混乱間違いなしです。そろそろ行きませんか?」
ジェーロ「ここまでの道案内は私の役目でしたが、この先の指揮はリョマさんにお任せします」
リョマ「承知しました。ではキューさん、予定どおりゴーレムを召喚してもらえますか?」
ジェーロ「なんと! ゴーレムを召喚できるのですか? すばらしい!」

 キューがチャンドラーの剣を真上に掲げ呪文を唱える。

キュー「正しき道を進む人々を救いたまえ。出でよゴーレム!」

 チャンドラーの剣が強い光を放ち強い炎の魔力が流れた。
 まもなく光の中からゴーレムが現れた。

キュー「進め! ゴーレム!」

 裏の扉からゴーレムが現れ、リョマたちの先陣を切る。

ジェーロ「王子様、団長! お迎えにまいりました!」

 マルツィオとメグメグは性交を強いられ行いかけた直後であった。
 そのためマルツィオの膝の上にメグメグが跨る格好で結合している。

マルツィオ「おおっ、ジェーロか!?」
メグメグ「ジェーロ!」

リョマ「デルピュネ! おとなしく2人を解放しろ!」
デルピュネ「おまえは竜騎士のリョマではないか? なぜ自警団にいる!?」
リョマ「ピエトラ・ブルがおまえたち魔物に滅ぼされるのを黙って眺めているわけにはいかないんだよ」
デルピュネ「リザードマン、蛇兵たちよ! こいつらをやっつけておしまい!」
リョマ「おとなしく解放しないならおまえたちを倒すだけ!」
キュー「ゴーレム! あの蛇女をやっつけて!」
ジェーロ「王子様! 団長!」

 別働隊と魔物たちが正面から激突した。
 この時点では人数に勝る魔物が圧倒的に優勢に見えたが……

アリサ「魔物さんたち~! そっちばかり気を取られてこっちを忘れていないかなああああ!?」
デルピュネ「猫耳……?」

 アリサの声を合図に、シャムたちが一斉に進撃を開始した。
 数の上で優勢のデルピュネたちだが、前後から挟み撃ちに遭い浮足立つ。
 さらに、後方からウチャギーナとエリカが魔法で支援し、ブルネッタも負けじと矢で攻撃を繰り返すと形勢が完全に逆転してしまった。
 傷を負った仲間たちをイヴがヒールで治療する。

 攻撃力に優れたリザードマンはゴーレムに戦いを挑むが岩石のような胸板に跳ね返される。
 デルピュネは得意のスリープ魔法を唱えるが、どういうわけかまったく効果がない。

マリア「デルピュネさん、残念でしたね。あなたがスリープ魔法の名人だと聞いていたので、つい最近『アンチスリープ・オール』魔法を習得したので使ってみました。こちらの魔法が少し遅れていたら先に眠らされていたでしょうね」
デルピュネ「むむっ、おまえは聖女マリアだね。小癪な真似をするわね。ならばこれはいかが!?」

 マリアには魔法よりも肉弾戦が効果的と見たのか、デルピュネは尻尾を振り回した。
 カウンターパンチを喰らったマリアが吹き飛ぶ。

マリア「きゃぁ~~~~~!」

 エリカが駆け寄り、マリアにヒール魔法をかけるが、マリアのダメージが大きく1回のヒール魔法では立ち上がれない。
 つづけさまにヒールを唱えるエリカ。マリアの体力が回復し始めた。

リョマ「私が相手をしよう!」
デルピュネ「望むところだわ!」

 デルピュネは口を大きく開くと、リョマに向かって炎を噴いた。

リョマ「何の!」

 リョマは飛び跳ね炎をかわした。

リョマ「ふう、まともに喰らってたら、こんがりと焼かれるところだったな。今度は私の番だ! とりゃあ~!」



第35章「武術家メグメグ」 第7話

 リョマの剣をU型の槍でがっちりと受け止めると、果敢に尻尾で反撃に出るデルピュネ。
 危うく尻尾を躱したリョマだが態勢は崩れてしまっている。

リョマ「ほう、叉護杖(さごじょう)か、珍しい槍を使うなじゃないか」

 叉護杖は別名『刺又(さすまた)』とも呼ばれている。武具としての殺傷力は低いが、相手の動きを防ぐには効果的な槍といえる。

 リョマたちの後方ではウチャギーナが敵に取り囲まれている。

ウチャギーナ「もう、私は接近戦が好きじゃないんだから~」

 ぶつくさ言いながらも杖を駆使して蛇兵をなぎ倒し囲いから脱出を図る。
 しつこく襲い来る蛇兵の頭を背後から、チルチルがバトンでぶん殴った。
 声をあげて気絶する蛇兵。

チルチル「ウチャギーナちゃん、だいじょうぶでピョン?」
ウチャギーナ「ありがとう、チルチルちゃん、これだけ敵が近いと魔法がかけられないよ」

 チルチルに接近してきた蛇兵を今度はウチャギーナが杖を奮う。

 破廉恥な砂時計ゲームを強要されていたメグメグとマルツィオは、シャムたちの急襲により、性交中の状態で放置されていた。
 戦闘に陥った際、敵兵はメグメグたちの逃走を阻止するため2人の足を椅子の足にロープで固定してしまったのだった。
 そのため2人は立ち上がることすらできなくなっていた。
 幸い両手は使えたので、時折、敵が襲ってきた際はパンチで躱すことができた。

メグメグ「王子様、お願いがあるのですが……」
マルツィオ「なんだ?」
メグメグ「畏れ多いのですが、私の中に入ったままのアレを抜いてくれませんか? 敵にパンチを繰り出すたびに擦れて、何とも堪らない気持ちになるので、戦いにくいのです」
マルツィオ「抜いてやりたいのは山々だが、腰を上げられないので無理だ」
メグメグ「ではせめて小さくなりませんか?」
マルツィオ「それも無理だ。小さくしたくてもおまえの肉がギュッと締め付けるので萎まないのだ」
メグメグ「あっ! 王子様の後ろから敵が! えい、パンチ!」

 対面座位で抱き合ったままの2人だが、これが見かけによらず恐ろしく強いのだ。
 とはいっても不自由な体勢での勝利がいつまでも続けらる保証はない。
 そんな2人にブルネッタが敵を搔い潜ってようやく駆けつけた。

ブルネッタ「王子様、団長、ご無事で何よりです! すぐにロープを解きますのでお待ちください!」」
マルツィオ「おう、ブルネッタか、よく来てくれた!」
メグメグ「ありがとう! ブルネッタ!」
ブルネッタ「まあ、嫌ですわ……下は何も穿いていないじゃないですか?」

 ロープを解きながらブルネッタは顔を赤らめた。

メグメグ「あっ! ブルネッタ! 後ろに敵がっ!」

 突如ブルネッタの背後に剣を掲げた蛇兵が現れた。

蛇兵「死ね~~~!」

 ブルネッタの背中に剣を振り下ろす蛇兵。
 もはやこれまでと思われたが、電光一閃リザードマンの剣が弾き飛んだ。

蛇兵「誰だ!?」
シャム「後ろから襲うなんて卑怯な真似はよくないな~」
蛇兵「ひいっ!」
シャム「おい、蛇野郎、剣を拾えよ、武器を持ってないやつを切るのは性に合わないんだ」

 蛇兵は剣を拾うやいなやシャムの剣が煌めいた。

蛇兵「ぎゃぁ~~~!」

ブルネッタ「シャム様、おかげで助かりました! ありがとうございました!」
メグメグ「ブルネッタ、こちらの方は?」
ブルネッタ「副団長のお話だと、シャム様は各地の魔物を倒す旅をしているすごい人らしいです!」
メグメグ「もしかしたら、噂の勇者ってシャム様のことですか?」
シャム「噂は知らないけど、おいらがシャムだ、よろしくな」
マルツィオ「もしかしたら、魔物退治のために旅立ったロマンチーノ城の王子ってシャムさんのことですか!?」
シャム「し~、声が大きい。王子と呼ぶのはやめてくれ。シャムだけでいい」
マルツィオ「ごめんなさい。シャムさん、この国を助けに来てくれてありがとうございます」
シャム「父王のご不幸は副団長から聞いたよ。残念だったな……でも負けるなよ、この国は王子のがんばりにかかっているんだからな」
マルツィオ「ありがとうございます……うううっ……」
シャム「それはそうと……」
マルツィオ「はい……何か?」
シャム「王子と団長、2人してパンツ穿いてないけど……もしかして2人の体勢から考えて、アレを結合中なのか?」
メグメグ「これには深いわけがありまして……決して不純な動機ではなく……」
シャム「いいってこと、いいってこと。おそらくデルピュネの企みでこうなったことぐらいは想像が付くさ。それはいいとして、よく戦闘中でもそれだけ勃起が続けられるな」
マルツィオ「いやあ、メグメグの締りがあまりにも良いので、勃起が止まらないというか……」
メグメグ「王子様! 変なことを言うのはやめてください!」
シャム「メグメグが名器である証かも知れないな~」
メグメグ「シャム様までそんな嫌らしいことを言って……」

 その時、マルツィオがシャムの背後に敵が迫ったことを告げた。
 シャムは振り向きざま、蛇兵を一突きした。もんどりうって倒れる蛇兵。

シャム「とにかく早く解こう! ブルネッタ、おいらが見張っているから2人の足のロープを切ってやってくれ!」

 ブルネッタは2人の足のロープを短剣で瞬く間に切り落とした。
 シャムが上の位置にいるメグメグを担ぎ上げる。
 メグメグの股間から白濁色の液体がたらりと滴り落ちた。



つづく


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武術家メグメグ


王子マルツィオ


狩人ブルネッタ











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