もえもえ 発火点

Shyrock作



第30話「ひとつに重なり合う瞬間」

 一平は手元スイッチで照明を豆電球に切り替えた。
 時計の針は午後6時を指していたが、9月上旬ということもありまだ日暮れには少し早い。
 豆電球に切り替えても、残照がカーテンの隙間から漏れてくる。
 その時、ふともえもえの脳裏に俊介が浮かんだ。
 どこかで彼が見つめているように思えて、もえもえは胸にわずかな痛みを覚えた。
 だがそんなささやかな感傷など、一平に抱きしめられるとすぐにかき消されてしまった。

 覆うものを失った花弁は、唇と指による愛撫でおびただしい花蜜を滴らせた。
 花芯の奥深くまで指は挿し込む一平。
 まるで内部の構造を確かめるような淫靡な指の動き。
 もえもえは眉間に皺を寄せ切ない声を漏らした。
 濡れた肉襞は一平の指に絡みつく。

「あぁぁ……一平……ダメ、あぁ、ダメ……」

 このような状況における女性の『ダメ』は、時として合意の意味を持つ。
 女体を熟知している29才の一平は、もえもえの『ダメ」』の意味を十分理解していた。

 一平の舌が蜜をふんだんに溜めた蜜壺に触れようとする。

「やだ、だめだよ、汚いよそこ」
「もえもえに汚いところなんてないよ」

 そうつぶやくと、一平はもえもえの脚を大きく開かせると、溢れでる蜜をすくうように舌を動かした。

「やっ…いや……んっああんっ」

 一平はミルクを舐める子猫のように、わざとピチャピチャと音をたてて舌を動かした。
 その音と舌の動きがもえもえに快感を与え、その快感は身体を突き抜け口からは絶え間なく甘美な声が漏れる。
 そしてもえもえの中に一平の長い指がゆっくり挿入されると、その指を小刻みに動かした。

「んっ…ふっ……あ…んっ」
「もえもえすごい、トロトロだよ」
「ん…いやっ……」

 クチュクチュという卑猥な音がもえもえの耳にも届き、その音と乱れた自分の甘い声とが部屋に響き渡り、もえもえの身体はさらに熱くなっていく。
 次第に指の動きが激しくなりもえもえの中を掻き回す。

「っあ……っ! はぁんっ…っああっ! いやっっ」

 もえもえは一平にしがみつき絶頂を迎えた。
 息が乱れ、身体は燃えるように熱い。

「もえもえ、きれいだよ。もっともっともえもえを知りたい」

 一平はがむしゃらにもえもえを抱きしめ汗ばんだ身体に唇で愛の印をつける。

「もっと声を聞かせてほしいな。もえもえが欲しい」

 もえもえを見下ろす一平の燃えるような眼差し。
 その顔に手を伸ばし「私も一平が欲しい」と肩で息をしながらもえもえも一平を求めた。
 その広い胸、たくましい腕にもっと抱かれたい。

 一平は舞い上がりそうな気持ちを抑えながら、花芯に怒張したモノを宛がった。

「あっ、スキン着けて……」
「なしじゃダメか? 途中からちゃんと着けるから」
「ダメ、最初から着けて」
「そうか……うん、じゃあ」

 一平は予め枕元に準備していたスキンを、手際よく自らの怒張したものに装着する。
 もう一度もえもえに宛がった。

 もえもえは静かに目を閉じる。長い睫毛がとても愛らしい。
 まもなく訪れる快楽のときを息をひそめて待っているのだろう。

 薄いスキンをつけた一平のモノがもえもえの中に入っていく。

「あぁ…っ」
「くっ……もえもえ……」
「ああっ、一平っ」

 一平の熱いモノが全てもえもえの中に入った。

「大丈夫? もえもえ。痛くない?」

 一平は眉間にシワを寄せたもえもえを見てやさしく声をかけた。

「……うん、大丈夫」
「そう、よかった」

 もえもえはゆっくりと少しずつ動く一平の背中に手をまわし名前を呼びつづけ身体を預ける。
 一平が動くたびにグチュグチュとイヤらしい音がし、身体に快感が駆け巡り頭の芯が痺れる。

「……ああ、もえもえの中はとても温かくて気持ちいい」

 徐々に動きが激しくなっていきもえもえは快感の波にのまれていく。

「ああ、もえもえ。好きだよ、大好きだ」
「あんっ……い…っぺ…い、一平、私も大好き……」

 激しく何度も突かれ、何も考えられないほどの快楽のうねりが何度も押し寄せもえもえを包みこんでいく。
 もえもえの高ぶりを感じとった一平は、もえもえの膝を抱え込む屈曲位の体勢に変え力強く肉柱を突き込んだ。

「ああっ……! 一平、も…もう……ダメッ!……イクッ……」
「イキそうなの? うん、イッてイッて……」

 もえもえに一回目の絶頂が訪れた。
 久しぶりに味わう強い快感。
 俊介と会えないため燃えたぎる肉体を持て余し、悶々と過ごした日々を償うかのような鮮烈な感触。

(この感触だわ……私が求めていたのはやっぱりこの感触だわ……)

 いつも私のそばにいて、いつも甘えさせてくれる人が欲しい。
 そしていつも激しく愛されたい。
 俊介にはそれが望めない。
 でも一平とならきっとそれができるはず。
 もえもえは自分のために激しく腰を動かす一平を眺めながらふとそう思った。

 日々鬱積した渇望を取り戻すかのように、もえもえは一平のリズムに腰を合わせた。
 そして結ばれてもなお貪欲に一体感を求めた。

「一平……キスしてぇ……」
「うん……」

 もえもえの両膝を抱え律動させていた一平は、膝から手を離し前屈みになった。
 もえもえの上に覆い被さりキスをする体勢に入る。
 身体は合体させたままだが、腰の動きは一時的に止めた。




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