第19話(最終回)


(なんと!相思相愛ってか?こりゃやばいぞ!相手は一体誰なんだろう?同じクラスの男か?それとも以前年上の男性が好きとて言ってたことあったからもしかして先生とか?う~ん、分からないなあ。でも俺は今ネコ語しか喋れないから、こっちから聞くこともできないし。まあ、静のことだしそのうちポロッともらすだろう。くそ!それにしてもいまいましい・・・)

「レオぉ、このことは絶対に秘密だよぉ。レオはネコだから話しちゃうけど、その人の名前はねぇ“俊介”って言うのぉ~、アハ。ぶっきら棒なとこあるんだけど、静ぅすごくタイプなのぉ~アハハハ」
「にゃっ!にゃふ~~~~~~~~~~~~~~~~~!!!!!」
(なんだって!しゅ、俊介って俺じゃないか~!?トホホ、そんないまさら・・・。ふうむ、ってことはあのレオのヤツ、人間になれたことを良いことに静に接近してやがるんだな~?むむむ、許せない!!)
「レオ、どうしてびっくりしてるのぉ?そんなわけないよねぇ、レオは俊介さんのこと知らないものねぇ」
「にゃぁご~~~(知らないはずないだろう!俊介は俺だっちゅうの~!)」
「今週土曜日デートすることになったのぉ、嬉しいよぉ」
「にゅわっ!(お、おいおい!静、やめろよ!相手はネコのレオだぞ!?)」

 静から衝撃の事実を聞かされた俺は愕然とした。
 心の動揺を隠しきれないまま、俺はすごすごとリビングの隅にあるねぐら『LEO BOX』に戻っていった。

(ああ、ショックだなあ。まさか静が俺を好きだったなんて・・・。むむ、ところであのレオのヤツ一体何を考えているんだか・・・週末静とレオがデートとはなあ。これは大変なことになって来たぞ~。もしも初デートの日から盛り上がっちゃってエッチしてしまったら、こりゃ一大事だぞ!静はネコとエッチしたことになってしまうじゃないか。おえっ!それって獣姦じゃないか!むむむ、これは絶対に阻止しなければ!
 ん?ちょっと待てよ。確かに俺の姿はレオになってしまったけど、不思議なことにナニだけは人間のままだったなあ?ということは、あのレオのヤツ、俺に成りすまして静とエッチしようとしても・・・わっはっはっはっはっは~!あの短小極細チンじゃ無理だ~!わっはっはっは~!仮にやったとしてもまるで『太平洋でごぼうを洗う』の喩えどおり静は全然気持ちよくないはずだぞ~!その点、俺は幸いなことに人間のナニを持ったままだ。それに今は静といっしょに暮らしているし、チャンスを見て静と・・・むふふ~!そう考えると俺もまだまだ捨てたもんじゃないなあ~)

 人間に戻れなくなった俺にもかすかな希望が沸々と湧いてくるような気がした。



 俺は次第にネコとしての生活にも慣れ、毎日静と暮らせることに満足を見い出していた。
 今日はポカポカ陽気。俺はバルコニーでのんびりと寝そべって、うららかな春の陽射しと静の奏でるピアノの音色を愉しんでいる。
 だけど最近、俺の感覚や思考がだんだんとネコ化して行ってるような気がする。
 それに簡単な言葉なのに思い出せないことが時々ある。
 キャットフードのガツガツとした食べ方も用便時の恥じらいの無さも、人間らしさが薄れネコそのものになってきたように感じる。
 それに大事なナニまでが次第に萎んで行くような気がする今日この頃・・・





18/















ヒロインsizuちゃんのブログ『Sizu Photo Studio』


かつてはネットアイドル界の頂点に輝きその名を轟かせたsizuちゃん
その名声はファンの心の中に永遠に刻まれることでしょう
いつの日か再び旋風を巻き起こしてくれることを信じて……












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