第1話
俺の名前は俊介。ごくふつうの高3男子。 静は俺のことをすっかり飼い猫のレオだと思い込んでいる。 静はレオと俺が入れ替わったことに全く気づいていない。 「にゃ~ご~」 「アハ。レオ、お腹空いたのぉ~?ご飯の時間までもう少しだからがまんしてねぇ~」 学園ナンバー1ともっぱら噂の静は、俺にとっては高嶺の花だ。 俺のようなパッとしない男が、静に見向きをしてもらえるはずが無い。 それでも静のことが俺の頭から片時も離れなかった。 例え1日でも構わない。静のそばにいたい。 俺はひたすら頭をひねった。何かよい方法は無いものかと。 そんなある日、俺の頭に突如として名案がひらめいた。 「そうだ。俺はネコ語が話せるんだ!」 静家には3匹のネコがいると彼女が友達に話しているのを聞いたことがある。 俺はそのうちの一匹でオスの虎ネコ・レオにコンタクトを取ることに成功した。 「なあ、レオ、頼むよ。1日だけでいいんだ。俺と入れ替わってくれよ」 「入れ替わるってトランスするってことかにゃ?お前何を考えてるんだ?」 「俺は静のことが好きなんだ。だからたとえ1日でもいいから静のそばにいたいんだ」 「ダメダメにゃ。何か不純なことを考えてるだろう?」 「考えてないよ~。純粋な気持ちだよ~」 「嫌だにゃ~。お断りだにゃ~。オイラには静お嬢様をお守りする義務があるんだにゃ~」 「そんな硬いことを言わないで。ねえ~」 「ダメなものはダメだにゃ~」 「じゃあ、こうしないか?」 「ん?にゃんだ?」 「レオ、お前に良い物をやろう。キャットフードだ」 「キャットフード?そんなの毎日静お嬢様から貰ってるもんじゃやき~。だから要らないにゃ~ 」 「はっはっは~、でもこれは簡単に手に入るキャットフードじゃないんだぞ。聞いて驚くなかれ 、これは神戸牛100%のキャットフードなんだぞ~」 「にゃ、にゃ、にゃんと~!神戸牛100%のキャットフード!?う、う、美味そうだにゃ~ご ~、ゴクリ」 「欲しいか?」 「欲しいにゃ~。ゴロゴロ~」 「じゃあやる!」 「わ~い、ご馳走さま~!」
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