官能小説『惠 絶頂感』

Shyrock作




第10話「愛の飛沫」

 やがて俊介も服を脱ぎ、二人は立ったまま抱き合い、キスを重ね、ベッドにもつれ込むように倒れた。

「今日は……君からしてくれるかな……」

 俊介の言葉に惠は静かにうなずく。
 惠には痴女動画に興奮する傾向があり、チャットセックスやテレホンセックスで俊介から『痴女のようないやらしい台詞の練習』をさせられ、それを彼とのセックス時にフィードバックする。そんなことを幾度となくしていたので、惠は男性を責めるS感覚に目覚めてしまい、俊介もまた少年時代のMっぽさを思い出していた。

 一つスイッチが入ってしまうと、惠は自分でも信じられないほどの『痴女』ぶりを発揮するようになっていた。
 あえて役職名を使って、

「あら部長、いけない人ね……こんなに硬くして……」

 肉柱を握りながら、俊介にささやく惠。

「エッチですわ……この乳首も……」

 こんなキャリアウーマン的でクールな口調の惠も俊介はお気に入りなのだ。
 俊介の敏感な乳首を、惠は舌で転がし、唾液を塗りつけてもてあそぶ。

「あ……っ……うぅっ……惠……くん……そこ……」
「感じます? ここ?」

 今度は両手で乳首をつまんだり、転がしてみたり……
 その都度、俊介は声を上げ、悶え狂っていく。
 そんな柔弱な姿に興奮してしまうのだ。
 あの『切れ者部長』が、今は惠の思うがままになっている。

 腋の下もわざと顔に押し付ける。
 汗ばみ、わずかだが匂いの漂う腋毛も俊介のお気に入りなのだ。

「惠くん……お願い……だ……顔に……来て」

 惠はその言葉を待っていたように、力士がするような蹲踞の姿勢で顔にまたがり、俊介の鼻先に秘所を近付け彼が興奮する台詞を口走る。

「さぁ、部長の大好きな匂いですよ。嗅いでもらえます?」

 俊介は夢中になって嗅ぎまわる。
 初めは死ぬほど恥ずかしい行為であったが、慣れてしまった今は惠にとって強烈な興奮材料といえる。
 俊介が舌を伸ばして舐めようとすると……

「いけませんわ部長……まだ、おあずけですわ。ほら、もっと嗅いでください」

 惠は自身の溢れる愛蜜を指ですくい、俊介の鼻に塗ったりもする。

「あぁぁ、狂いそうだよ……」
「いいですわ……狂ってください」

 ようやく惠は俊介の顔に座り込み、秘所を押し付け、こすりながら、自身のペースで快感をむさぼる。
 舌だけでなく、顔全体で秘所を愛してもらう。
 女性にとってこんな幸福な快感が他にあるだろうか……と惠は思った。

 絶頂は何度も訪れた。
 耳の奥でキーンと耳鳴りがしている。

 惠は突然尿意を感じ、セックスを中断しその場を離れようとした。

「どこにいくの?」

 と尋ねる俊介。
 素に戻った惠は、

「あ、すみません、ちょっとお手洗いに……すぐに戻ります」
「……待って……ここで……してみてくれないかな……」
「えっ……?」

 俊介は、自分の口に出して欲しいと驚くべき要求をしてきた。
 俊介の部屋で鑑賞したビデオにそんなシーンがあったので、惠としては行為そのものに予備知識はあったが、まさか俊介が実践で要求してくるとは思いもよらなかった。

「いいよ……本当にいいんだ……惠のモノを飲みたいんだ」
「いくらなんでも、それは……ダメです」
「お願いだ……どうしても飲んでみたい」
「いけません、そんなこと……ダメです、できません」
「飲ませてくれないなら……抱いてあげないよ」

 俊介は意地悪を言いながら、ニヤリと笑みを浮かべた。
 惠は俊介に完全にしてやられたと思った。

 とはいっても、惠としてはさすがにベッドで行なうのは抵抗があったので風呂場に行くことにした。
 俊介は風呂場の床に仰向けに寝転び、惠は再び彼の顔にまたがった。

「いいよ…出して」

 さすがに俊介の顔を正視することができない。
 惠は観念して、目を閉じ、上を向き、尿道を緩めた。
 せせらぎの音がして、熱いしぶきが惠自身の足にもかかり、尿臭が立ちのぼった。
 俊介の飲んでいる音が惠の耳にも届いた。

(飲んでる……本当に飲んでる……変態……でも、私も……変わらないかも……)

 そんなことを考えていると、惠は得も言われぬ恍惚感に包まれた。
 恥ずかしさを通り越して、気持ち良さに打ち震える。
 やがて放出が止まり、俊介は秘所に吸い付き残りの尿を舐め回した。

「あああああ~~~~~!」

 強烈な快感が惠を支配し、思わず悲鳴をあげた。
 そして……

「ほら、ワンワンになって」

 惠は言われるがまま、ふらふらと風呂場の床で四つん這いになり、俊介を受け入れた。
 こうなると、惠としてももう痴女ではいられない。
 普通の女性に戻る惠。
 夫以外の男のモノに狂わされる雌に変貌するだけだ。

 そしてそのときは、

「ああっ! 俊介……なんか違う! 違う! すごい! すごいの……ああっ!」

 惠の尿を飲んだ後の俊介の肉柱はまるで鉄柱のように硬くなっていた。
 
「惠、君のおかげだよ……愛してる、愛してる……」
「私も……私も……愛してるわ……俊介!」
「今日は一段とすごいよ、自分でも分かる……君のオシッコのおかげだよ」
「ああああ、こ、こんなの……初めて……あああっダメ……もうダメっ!」

 挿入から一分も経っていないのに、いきなり絶頂が訪れてしまった。
 そこで俊介は一度肉柱を引き抜くと、二人してシャワーを浴び、またベッドに戻った。

 ベッドで再び激しく愛し合う二人。
 正常位で……対面座位で……後背位で……そして騎乗位で……

 俊介の肉柱は衰えを知らず、野獣のように私を犯しつづける。
 惠は「もしかしたら死ぬのでは……」と思ってしまうほど、絶頂感を数知れず味わった。
 まるでジェットコースターに乗っているように何度も昇り何度も下る。

「ほら……どう? ご主人より感じさせてあげるから」
「あぁ、そんな……全然違うわ……夫とは……違うの……すごくいいっ!」
「僕の方がいいの? うれしいな」
「いい……俊介のが好き……俊介の方がいい……いいっ……愛してます……ああ……ああああっ!」

 俊介が達する瞬間、肉柱は引き抜かれ、惠は俊介の愛を口で受け止めた。
 
(私の尿まで飲んでくれたもの。これぐらいは当然だわ……)

 かくして、惠と俊介の婚外恋愛は、新たなステージへと上がり、季節は冬を迎えて行った。





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