第1話「美味な鴨が葱を背負ってやってきた」

 私は放射線技師の横田俊介といいます。
 医療関係の中でもあまり目立たず、地味な存在である放射線技師ですが、意外と美味しい仕事であることは案外知られていません。
 いいえ、その方が私にとっては都合がよいのですが。
 診察や治療という目的で女性の裸を拝めるのは、一般的に内科医のように思われていますがそれは間違いです。
 本当は私たち放射線技師の方が圧倒的にそのチャンスが多いのです。
 とりわけ、深夜当直の仕事と言うのが絶好の狙い目でして……エヘン。
 昼間の病院では患者も多く、次から次へと検査をしなければなりませんので、滅多によいチャンスと言うものは訪れるものではありませんが、深夜は違います。
 と言いますのも、深夜の当直は人手が少なく患者と二人きりになりやすいうえ、患者も急患できているという遠慮や負い目があるからか、こちらの指示によく従ってくれます。
 その中でも先日起こった出来事は特筆ものと言って良いくらい刺激的なものでした。

 深夜二時頃だったでしょうか、若い女性が発熱と腹痛を訴えて来院した時のことです。
 私はその女性を見て驚きました。
 その女性は私が時々友人を伴ってカクテルグラスを傾けに行く都内ホテルのラウンジでピアノを弾いている娘で、ステージ名を『仲大路 惠』と名乗っていました。
 もっと本音を言いますと、そのラウンジに通うようになったのは、ピアノ奏者の惠を見たかったからだと思います。
 彼女はよく通った鼻筋とくっきりとした目元が印象的で、どこか良家の令嬢を匂わせる雰囲気さえ漂わせていました。
 私はそんな彼女にいつしか憧憬の想いを抱き始めていたのでした。

 内科医師の診察が終わり、胸部と腹部のレントゲンを撮るよう指示が出されました。
 看護師が私のいるX線室に彼女を連れてきて、脱衣する場所で「胸とお腹のレントゲンを撮るので、そこで服を全て脱いでください。それとブラジャーもワイヤーが写りますので取ってください」と言い残し、外来へと戻って行きました。
 惠は熱のため顔が赤くボンヤリしていましたが、さすがに恥かしかったのか、ワンピースの前のボタンを途中まで外した後、キョロキョロと見回し検査着を探していました。
 しかし従来ならあるはずの検査着は、私が意地悪く予め隠していたためそこにはありませんでした。

 惠は私の方を向いて何か言いたそうでしたが、私は気が付かないふりをして無視をしていたら、諦めたのでしょうか、私に背中を向けたまま、ワンピースを脱ぎキャミソールを下ろしていきました。

 彼女は外見から想像する以上に見事なプロポーションで、胸は小ぶりですが形がよく腰廻りも見事な発達を見せていました。
 水色のショーツ越しに見えるお尻のプリプリ感は実に素晴らしく、見る者を興奮させるには充分過ぎるほどでした。
 やがてブラジャーを外し、両手で乳房を覆い、ムチムチした大腿をよじり合わせるようにしながら、ショーツだけの姿でこちらにやって来ました。
 既に私の男たるものは熱く変化し、白衣がなければ彼女に悟られていたのではないかと思います。

「では、両手を後ろに廻してもらえますか?最初は、胸部のX線写真を撮りますので」

 私は事務的に言いました。
 この方が女性に安心感を与えることも今までの経験で知っているのです。

 惠は最初、乳房から両手の覆いを外すことに少しためらっていましたが、直ぐに観念したのか、私の言葉に従ってくれました。
 彼氏以外の男性の前で裸になることは抵抗があって当然です。
 私は医療行為という名の元に堂々と惠の痴態を拝むことができました。
 いいえ、拝むどころか……ゴッホン、ゴッホン、まあ、それから先のことは後ほどご説明するとして、一応順を追ってお話します。

 X線を撮るときは上下左右、微妙に体勢を整える必要があります。

「もう少し下がってもらえますか。そうそう、それから顎をそこに乗せてください」

 体勢を整えるのに少し時間が掛かりました。
 正面からの撮影です。

「はい、じゃあ、撮りますよ。しばらく息を止めてくださいね」
「はい……」

(パシャ)

「はい、結構です。では次は側面を撮りますのでこちらを向いてくださいね」
「は、はい……」

 レントゲンに対しては横向きですが、私の方から見れば正面を向かせました。
さすがにこちらを向くのは恥かしかったようで、またもや手で乳房を隠そうとしました。

「あっ、手で隠してはダメですよ。恥かしがらないで手を除けてください」

 私は無表情を繕って惠に言いました。
 彼女はいったん覆いかけた手を恥かしそうにそろりと降ろします。
 形の良いお椀型の乳房が丸見えになりました。


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