第3話「ピンク色の部屋にて」
惠が先にシャワーを浴びることになった。
俊介といっしょに入浴するのも悪くはないが、二人で入るとおそらく浴室内で盛り上がってしまうだろう。
今日は姫初めということもあり、浴室よりベッドでゆっくりと過ごしたい。
結局二人は軽くシャワーを浴びるだけにとどまった。
冷え切った身体は抱き合えばすぐに温かくなるのだから。
惠は白のTバックを穿くと、バスタオルを巻きつけてベッドに向かった。
全裸よりも下着を着けて現れる方が俊介が好むことを、惠はよく知っている。
俊介は飲み掛けのミネラルウォーターを枕元に置いて惠を迎えた。
照明のコントローラーを調節しながら惠に尋ねる。
「明るさはどう? 暗すぎる?」
「ううん、ちょうどええよ」
ほの暗い灯りが惠の美しいシルエットを映し出す。
惠は俊介の横に並んで座った。
「寒くないかい?」
「うん、だいじょうぶ……」
俊介は惠の肩に手を廻し、そっと抱き寄せた。
女の甘い香りが俊介の鼻腔をくすぐる。
唇を重ね合うふたり。
言葉を交わさなくても愛を語り合える至福のひととき。
ずっとこうしていたい。
時間が止まればこのままでいられるのに……
「惠……?」
「ん……?」
「今年もよろしくね」
「あはは、うちの方こそよろしゅうに。ちゅうか、こんなええ場面で挨拶したら変やでぇ」
「変かな?」
「うん、変や。せやけど嬉しいわ」
「どうして?」
「大好きな人とこうして新年からいっしょにおれるんやもん」
「いっしょにいるだけでいいの?」
「ううん、いっしょにいるだけやのうて、一つになれるんやさかい……」
「惠……」
俊介は惠を仰向けに寝かせ強く抱きしめ、首筋に唇を這わせた。
「あぁ……」
「惠……」
「あぁ、俊介……好きや……」
「僕も惠が大好きだよ……」
唇を合わせる音がなまめかしい。
「あぁぁぁ……」
俊介の唇はひとところにとどまらない。
まるで軟体動物のように場所を変えていく。
首筋から耳……耳から唇……
唇から乳房……乳房から乳首へと……
「あっ……ぃやぁん……あぁっ……そこあかん……あぁぁぁ~……」
唇だけでなく指も加わり活発なうごめきを見せる。
唇と指の小気味よい愛撫のハーモニーが惠を一気に昂ぶらせていく。
「あぁ~……あぁん、あぁん……あぁ~……あぁ~……」
俊介は乳首を愛しながら、ゆっくりと指をさせていく。
吸いつくような肌の感触が、俊介の五感を覚醒させていく。
下腹部に到達した指がTバックショーツに掛かった。
惠がピクリとうごめく。
まだ鋭敏な箇所には到達していないのだが、人は予兆で敏感に反応してしまうことがある。
こんもりと小高い恥丘に指が触れ旋回を始める。
喉の奥から声を漏らす惠。
「あっ……」