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第13話「前門の虎 後門の狼」
「どうだ、めぐみ、聞こえたか?」
「……」
めぐみは頬を真っ赤に染めている。
「磯野、めぐみとの結合音はどんな音がする? 擬音語で言ってみろ」
「ニッチョニッチョですかね」
「ほほう、なるほど。ニッチョニッチョか、それはいいぞ。なあ、めぐみ、おまえもそう思うだろう?」
「し、知りません……」
「愛想のない女だな。ははははは~。まあいい。めぐみ、それはそうと」
「……」
「俊介と比べてみてどうだ? ヤツの方がいいか ? さあ、いうのだ」
「あぁっ……そんなこと分かりません」
「旦那様は歳のわりにまだまだ凄い、などと褒めてくれるかと思ったが、やっぱりそれは無理か。ははははは」
ぶつくさと喋りながらであっても、いっこうに疲れをみせない泰三。
「あぁ~……あぁ、いやぁ……」
「磯野、ではそろそろととり掛かれ」
泰三は正面からめぐみを抱きしめ腰を動かしながら、磯野に何やら催促した。
(私はすでに旦那様に辱めを受けているというのに、そのうえにまだ何か仕打ちを受けるというの!?)
めぐみは泰三の不可解な指示に不安をおぼえた。
そして、せめて目隠しを解かれて、磯野の動向が確かめられたら良いのにとも思った。
そんなめぐみの心中を察したかのように、突然泰三が耳元でささやいた。
「見えないと不安か? なあ、めぐみよ。ぐっふっふっふ」
泰三は恐怖におののくめぐみの顔を寄せ強引にキスをした。
「……!」
めぐみは泰三を避けようと試みたが、それもかなわず呆気なく唇を奪われてしまった。
まもなくめぐみの背後から磯野の声がした。
「めぐみ、少しひんやりとするが、しばらくの間がまんするんだよ。いいな……」
その直後、無機質で不快な感触がめぐみの菊門を襲った。
何やらゼリー状のものを菊門に塗っているようだ。
「い、磯崎さん!な、何を塗っているんですか!?」
あまりのおぞましさに『ひっ』と喉の奥から声が漏れる。
「こちらの方にも太いものを挿し込んでやろうと思ってね。だけどこちらは未経験だろう? ゼリーをつけて少しほぐしてやれば痛みが和らぐはずだからね」
「ええっ!? そんな所に入りません! そんなの絶対に無理です! やめてください!」
「無理かどうかはやってみなければ分からないよ。おまえは旦那様を裏切ったのだから、その償いは受けなければならないんだよ。分かったな」
「そこだけは絶対にいやです! やめてください!」
磯野はめぐみの哀訴を応答することもなく、ひたすら指を動かせている。
最初は蕾の外側にクリームを塗っていたが、まもなく蕾の中にも指を押し込みマッサージを始めた。
めぐみは磯野の魔手から逃れようとして尻を振ってもがいてみせたが、前方からは泰三に肉柱を挿しこまれているため、避けることもままならなかった。
「さて、そろそろ頃合いですかね」
「ぐっふっふ、めぐみをサンドイッチで食べるのも乙なものだよ。さあ、磯野、入れてやれ」
磯野は挿入しやすいように、めぐみの尻肉をグイッと左右に広げる。
弾力のある尻の感触が五指に伝わってきた。
「よく引締まったいい身体をしているじゃないか。最初は少し痛いかもしれないが我慢するんだぞ」
磯野は腰を突き出し怒張した肉柱をめぐみの菊門にあてがった。
「いや、いや、いやです! お願い、許してぇ~~~!」
涙をボロボロとこぼして哀願するめぐみに、冷徹な男たちは前後から肉槍をグイっと突き立てた。
『前門の虎 後門の狼』とはこのことをいうのかもしれない。
「ぎゃあああ~~~! い、痛いっ! いやぁ~~~っ!」
いくら予めゼリー状の薬剤を施されたといっても、めぐみにとって『後方』は未開地である。
その痛みは尋常なものではなかった。
めぐみは顔をゆがませ歯を食いしばって激痛に耐えた。
前方の泰三のことは現在意識下になかった。
後方一点に全神経が集中しているといってよいだろう。
瞼からはポロポロと涙がこぼれ落ちる。
狭い空間にめぐみの苦悶に満ちた叫び声が響いた。
◇◇◇
その頃、ドアに耳を当てて室内の様子をうかがっている者がいた。
泰三と磯野はめぐみへの折檻に没頭しており、室外のことに気づくはずもなかった。
◇◇◇
「どうだ? 前後を責められる気分は?」
「いや、いや、いや……お願いです……もう許してください……」
「ふっふっふ、つらいか? おまえは私を裏切った。その罰は受けなければならないのだ。分かったか?」
「くうっ……ううっ……やめて……お願い……」
めぐみの身体から滲む汗と、泰三と磯野の運動による汗が入り混じり、そのおぞましい地獄絵図がひときわ淫猥なものへと変化していた。