第7話

 ただし座位で女性を攻めるにしても、若輩の男性と円熟期を迎えた芳雄を比較した場合大きな相違点があった。
 芳雄の場合、若い頃のようなパワーはないものの、花弁附近を左右に広げ散々焦らしたうえじっくりと捻じ込むという老獪さを見せていた。
 ネチネチと執拗な攻撃を受けたきょうこは、その卓越した技巧の前になすすべなく崩壊していった。

「ふぁあ~、お、お父様、もう許してぇ……」

 溢れた出した無色透明の蜜は芳雄の物を濡らすばかりか、褥にまで達しようとしていた。
 さらには性交による摩擦のせいできょうこの蜜は白く濁り始めていた。

 座位で数分交わった頃、芳雄は多少の疲労を感じたのか、自らが仰向けに寝転びきょうこを上に招き入れた。

「きょうこ、もっと腰を使って……」

 遠慮会釈なく注文を飛ばす芳雄。
 きょうは観念したのか、芳雄の指図どおり腰を上下に律動させる。

(グッチョ、グッチョ、グッチョ……)

「あぁ……あぁぁぁ~……」
「くぅっ……なかなかいい締め付けじゃないか……これはたまらん……」
「あぁ……お父様……もう許してぇ……」

(グッチョ、グッチョ、グッチョ……、ニッチョ、ニッチョ、ニッチョ……)

「きょうこ、あんたは実にいい道具を持っているな。光治は幸せ者だよ。ふっふっふ……。名残惜しいがぼちぼち爆発しそうだ。では仕上げと行こうか」

 芳雄はそうつぶやきながらきょうこを仰向けに寝かせつけたので、フィニッシュは正常位で果てるのかと思われた。
 ところが芳雄がきょうこに指示した体位は意外なものだった。
 きょうこは仰向けになって足をあぐらに組んだ。

「え……?」
「ふふふ、きょうこがいまだかつて体験したことがない面白い体位を教えてやろう。体位名を『女郎座禅突き(にょろうざぜんづき)』と言う。ロープなど小道具を一切使わずSM気分を満喫できる幻の体位なんじゃ。どうだ?楽しみだろう?」
「……」

『女郎座禅突き』は女性が仰向けになってあぐらをかくことから始まる。クロスした足の状態が男性に「縛り」を連想させ、女性を蹂躙するという欲求を満足させる一方、女性にとっても性器が露出するため、羞恥心が強い性的刺激になる。そして下半身の不自由さが、さらに性感を高めることになる。
 また、この体位は男性が体重を女性の組んだ足に乗せたり緩めたりすることによって、膣壁に与える刺激が自由に変えられるという利点があるのだが、当然きょうこは知るよしもなかった。

「お父様……」

 きょうこは初めて耳にする奇妙な体位名に不安を隠し切れない。
 きょうこは恐くなってあぐらに組んだ足を解こうとしたが、芳雄が腹で圧迫しているため容易に解けはしない。
 きょうこは眉をひそめあぐらを解いてくれと哀願した。

「ふふふ、味わったことのない快楽の世界に連れてってやろうと言うのに遠慮しなくていいよ。この体位はね、あんたのように逃げたがる女には持って来いなんだよ。というのもね、脚があぐらにされているから簡単には解けないんだ。まあ、縄を使わないSMってところかな?ふふふ……おしゃべりはこの辺にして、さあ入れさせてもらうよ。ぐふふ……」

 あぐらに組んで仰向けになると秘所は当然露出する。
 きょうこの薄い陰毛の奥にはスッと縦に一本線が走り、皮を被ったクリトリスがぼんぼりのように愛らしく顔を覗かせている。
 芳雄はためらうことなくその中心部にいきり立った一物を突き立てた。

(ズズズン……)

「あああ~~~!お父様、いけないです!」

 芳雄はさらに腰を突き込む。

(グジュグジュグジュ……)

 きょうこは芳雄の腹で圧迫されているため足を閉じることができない。
 怒張したものはきょうこの秘所を自由自在に翻弄する。
 芳雄は単調なピストンだけではなく、挿入角度を変えたり捻りや回転を加える。
 きょうこの顔には赤みが差し、額にはうっすらと汗さえ浮かべ始め、次第に甘美な悦楽の沼へと溺れていく。

「あぁ……お父様ぁ……ダメですっ……す、すごい…あぁ、もうダメ……あぁあぁ……」

 芳雄はまるで獣のような唸り声をあげながらただひたすらきょうこに挑んだ。
 あぐらを前後左右に揺すりながらきょうこに圧迫を加える。
 こうすることによって、膣壁は歪み快感が増し、足首の性感帯のツボまでが自然と刺激されるのだ。

「あっ、ダメッ!お父様、ダメッ!私、もうダメッ!」
「ふっふっふ、イキそうか?いつでもイクといい」

 芳雄は自分よりも40歳以上若い女をよがり狂わせることに至福の歓びを感じていた。


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