イヴ |
ありさ |
第1話 オレとイヴは結婚してちょうど2年目になる。 「ねえ、あなた。明日の土曜日、学生時代の後輩のありさが遊びに来るんだけど、泊めてあげてもいいでしょう?」 「うん、別に構わないけど、ありさって初めて聞く名前だねえ」 「ええ、結婚式の時は二次会しか来ていないから、あなたは憶えていないと思うけど。テニス部の後輩で2つ下なの。すごく可愛い子なので、ちょっぴり心配だけど、あなた浮気しちゃダメよ」 「ばか。する訳ないじゃないか」 「うふふ、それなら安心した。じゃあ、ありさに電話するね」 土曜日の夕暮れ時、ありさがやって来た。 イヴの言うとおり、スタイルが良く愛くるしくきれいな顔立ちをしている。 イヴは自慢の腕に選りをかけてご馳走をこしらえ、ありさを喜ばせた。 会話は大いに弾んだが、話題はもっぱら学生時代の思い出話が多く、当時を知らないオレは必然的に聞き役に回っていた。 ありさはかなり酒がいけるようで、オレがワインを勧めると遠慮しながらも結構飲んでいた。 「まあ、もうこんな時間だわ。話が弾むと時間を忘れるわね。ありさちゃん、疲れたでしょう?お風呂に入って休みましょうよ。ありさちゃん、先に入って」 「あ、先輩、いいんですか?それじゃお先に入らせていただきますね」 ありさはイヴに軽く会釈をして、風呂場へと向かっていった。 「イヴ、ありさちゃんはどこに寝てもらうの?」 「そうね。私達の隣の和室しか無いわね。押入れにお客さん用の布団が入っているし」 「うん、そうだったな」 イヴがありさの布団を敷きに行った頃、オレは尿意をもよおして来たのでトイレに向かった。 トイレと風呂場は隣り合わせになっている。 まだシャワーの音が聞こえてこないところをみると、ありさはまだ脱衣中のようだ。 風呂場のドアは『がらり戸』になっている。 罪意識はあったものの「見たい」という不埒な欲望がメラメラと燃え上がった。 オレはがらりの隙間からそっと中を覗いてしまった。 ありさの白い裸身がチラリと見えた。 (……!!) ありさはちょうど下着を脱ぎ終わって、髪の毛を後で束ねゴムで止めているところだった。 想像以上に豊満な肉体が、オレの目を釘付けにしてしまった。 ありさはまもなくタオルを手にしてバスに入っていった。 (ふう……) ほんの数秒の出来事であったが、夢のような光景に出くわしたオレは大きく息を吐き、イヴの方をチラリと見て、トイレに入っていった。 オレは便器に放物線を描きながら、ありさの白い裸体を思い描いていた。 (う~ん、きれいな肌をしていたなあ……。うん?ダメだ、ダメだ。オレはどうかしてるぞ。妻がいる身だというのに何という不謹慎な事を……) もう1人のオレが、不埒なオレを責め立てた。 「お風呂、お先にいただきました~」 ありさは風呂上りの艶やかな笑顔で戻ってきた。 「あら、ちゃんと温もってきたの?もっとゆっくり入って来ればいいのに」 「ゆっくりと入らせてもらいましたよ~」 「そう?それならいいんだけど。ありさちゃん、あなたはこちらの和室で休んでね」 「あ、布団まで敷いてくださって。先輩、すみません」 ありさはイヴにぺこりと会釈をした。 「ドレッサーはこっちにあるので適当に使ってね。化粧水もそこにあるから」 「は~い、使わせてもらいます~」 イヴとありさが会話を交わしている間に、オレは風呂に入る事にした。 風呂場に入るとムッとするような女の香りがした。 (つい数分前まであのありさが入っていたのだ……) オレは妙な興奮を覚えた。 (このバスに浸かっていたのだ……) (この椅子に座って身体を洗っていたのだ……) そんな想像をするだけで、オレの分身は早くも硬直化し始めていた。 (オレは一体何を考えているんだろう。ああ、いけない、いけない……) またもや別のオレが顔を覗かせた。 オレが風呂から上がり部屋に戻った時には、ありさはスキンケアも終えて戻ったのか、既にドレッサーの前に姿はなかった。 (もうありさは寝たのかな?いや、よその家に泊まると寝つきにくいものだ。きっとまだ起きているのだろう) ベッドに入ってしばらくはそんなことに思いを馳せていたが、いつしか睡魔が襲ってきて、うとうととし始めていた。 イヴが風呂から上がった事も気づかなかった。 「ねえ、あなたぁ……」 ところが、それも束の間、イヴが甘え始めてきてオレは完全に目が覚めてしまった。 「ねえったらぁ……」 「ちょっと、まずいよ」 「いいじゃないのぉ」 「よくないよ。今日は後輩のありさちゃんが隣の部屋にいるんだよ。声が聞こえたらどうするんだよ」 「だいじょうぶよ、声は出さないようにするからぁ……ね……?」 オレはイヴの誘惑に勝てず、いつのまにかイヴの乳房を愛撫し始めていた。 「あぁ……」 NEXT |