敦子






第5話「ミラー向こうの夫を見つめながら」

「ダメ、ダメです……社長とはこんなことをしてはいけないんです……もう五年前に別れたのですから……」
「そんなつれないことを言わなくても……」

 敦子は壁に押しつけられ、ついばむような大輔のキスを避けきれず、唇をふさがれてしまう。
 唇をこじ開けて進入してくる舌。
 吸いつくように絡めとられ、歯列をなぞり唇を甘く噛みつく大輔。
 呼吸も荒くなり朦朧としてくると、ようやくキスを止めて大輔はポツリとつぶやいた。

「僕たちは嫌いになって別れたんじゃない。やむを得ない事情で別れたのだから」
「どんな事情があったにしても、私たちはもうこんなことをしてはいけないんです……」
「それは分かっている。だけど君への熱い想いは今も変わっていないんだ」
「社長……」

 ふいに大輔の指先が敦子のうなじをなぞる。

「んあっ、社長、やめてください……」
「敦子、先日君の机の下に潜って君を愛撫しただろう? 結局最後までできなかったから、あの夜気持ちが昂って眠れなかったよ」
「社長には奥さんがいるじゃないですか」
「ひどいことをいうね。君に昂った気持ちをほかの女性にぶつけろと言うのかい? それは絶対に無理だよ」

 耳もとで大輔が小さな声でささやく。

「敦子に興奮したのだから、最後まで敦子が面倒みてくれないと……」

 指先がスカートの上から尻をまさぐる。

「あぁぁっん、だ、ダメです……」

 大輔の手がスカートの中に忍び込み、ストッキング越しに太腿や尻を触る。

「社長……ガラスの向こうに皆がいます……」
「マジックミラーだから大丈夫だよ。こちらが電気を点けない限り、向こう側からはただの鏡なんだから」
「でも、夫や皆に見られてる感じがして……」
「じゃあ、見せてあげればいいじゃないか」
「そんなむちゃなことを……」

 大輔は敦子をソファに押し倒し、ショーツの上から擦るように肉豆に触れた。

「ひゃぁっっ……ダメっ……!」

「かわいいね。もっと脚を開いて……」

 スカートをまくりあげ、太腿をM字に広げられる敦子。
 繊細な指先が肉豆を刺激する。

「っん……あん……社長っ……」

 ソファに押しつけられた敦子に逃げ場はなく、大輔から与えられる激しい快感に目が回りそうになっていた。
 大きく開かされた脚には、もう力が入らない。
 秘所に触れると早くも熱を帯びているのが分かる。

「あれ?敦子、パンツに染みができちゃったね。汚れちゃうから脱がしてあげるよ」

 はぁはぁと息が荒くなる敦子は、大輔の強引さに負け、自然と腰をあげ大輔が脱がせやすいように手伝っていた。

「今日はどんな味かな?」
「いやぁ……」

 そうささやくと、大輔は敦子の脚に顔を埋め舌先で優しく秘所を舐めた。

「あれ? お汁を舐めているのに、どんどんいやらしいお汁が出てくるじゃないか」
「そんな恥ずかしいこと言わないで……あっ…ん……」

 ピチャピチャといやらしい水音が鳴る。

「社長……やめて……んっあっっ……イッちゃいそう……あっ……んっっ……ダメぇっっ……」
「イッたみたいだね。でもまだまだこれからだよ」

 そうつぶやくと、すぐ指が肉裂に入ってきた。

「…しゃ…ちょう……ダメっっ……!あっっっ……ダメダメ……んっっっ……」

 大輔は敦子の弱いところを知っているかのように、やさしく激しく責め立てる。

「あぁっ…やめて……またイッちゃう………あっ、んぁっ……ダメっ……あっっ……んっっ……」

 再び昇りつめてしまった敦子。

 大輔は敏感になっている敦子の身体をやさしく抱きしめた。

「2回もイッちゃって、敦子はエッチな子だね」
「『子』ってなんですか……私はもう人妻ですよ」
「いいや、僕にとってはいつまでも、かわいい子だよ、敦子は……」
「社長……」

 敦子に覆いかぶさる大輔。
 ふと大輔の下半身を見ると、ズボンの中が苦しそうに主張している。
 ズボンの上をそっとなぞる敦子。ビクンっと動く。

「急に触るとびっくりするじゃないか、敦子」
「じゃあ、触るのやめようかな?」
「ダメダメ、触って、というか咥えて欲しいな」

 そそくさとズボンを脱ぐ大輔。
 パンツの上からでも分かるぐらい先走りで湿っていた。

「うふ、社長、まだ若いですね」
「すてきな人といると、男は若返るものなんだよ」

 大輔のパンツを下ろすと、敦子は肉柱の根元から先端に向かって、つ~っと舌で舐めあげる。
 大輔がこの舐められ方が好きなのだ。
 敦子の脳裏にはなつかしさが蘇った。

「うううっっ……」

 肉柱がビクンと反応する。

「ねぇ、挿れていい?」
「もう……ですか?……は、はい……」
「君とは久しぶりだから異常に興奮してしまって」

 敦子は急に恥ずかしくなってキュッと目を閉じた。

「敦子……挿れるよ」

 大輔の硬くなった肉柱が肉裂に触れた。
 数回上下に擦りつけながら動かし、肉豆を刺激する。
 挿入の手順が以前とちっとも変っていない。

「…んっ……あっぅ……」

「痛くない?」

 大輔は敦子を気遣いながら、ゆっくりと押し込む。
 敦子は気持ちよさと懐かしさで頭がいっぱいでただひたすら、大輔を受け入れた。

「…んっっ。あっ…。社長っ……いい……あっっっ……」

 感じすぎてしまった敦子は腰を引こうとすると、大輔にさらにぐいっと引き寄せられた。

「逃げないで」
「でも気持ち良すぎるから……」

 そう言って大輔はぐいぐいと押し込む。
 奥に、くる……。

「あっ、そこはダメ……そこ突いちゃダメっ……」

 子宮手前のポルチオスポットに触れたのかもしれない。
 敦子はびくりと身体を震わせのけぞった。

「ぁっ、ゃっ……っ!」
「ここすごく感じるようだね。一輝君にもここをしっかりと突かれるんだろう?」
「夫のことは言わないでください……」
「あ、そうだ、敦子、僕の膝の上に、お尻を僕に向けて座ってくれないか」
「は、はい……」

 そうつぶやくと大輔はソファにどっかと座り込んだ。

「さあ、座って」
 
 大輔が背面座位で交わろうとしていることを、敦子はすぐに分かった。
 大輔に背を向けて座ると、ガラスパーテーションの向こう側の光景が敦子の目に飛び込んできた。

「社長、それだけは……それだけは許してください……」
「一輝君の仕事風景を見ながら、僕とセックスするのもいいものじゃないか。さあ、座って」

 敦子は羞恥に頬を染めながら、火照った肉体を大輔の膝の上にゆっくりと沈めた。
 大輔の肉柱は恐ろしいほど大きく怒張している。
 敦子の肉裂と、大輔の肉柱が重なり合った。
 正面を向くと一輝の顔が目に入ってきた。
 思わず顔を背ける敦子。

「ダメ、顔を逸らしちゃダメ。しっかりと一輝君の方を見るんだ」
「そんなっ……」
 
 大輔は敦子の視線が一輝からずれないように、両頬に手を副える。

「恥ずかしい……私のこんな姿、見せたくない……」

 敦子は律動をためらったが、いやがおうでも大輔が下から突き上げてくる。
 大輔の動きは次第にせわしくなってきた。
 敦子の腰がビクビクと震える。
 大きくゆったりとした大輔の腰の動きに、敦子の身体はたちまち快感に屈してしまった。
 最奥に押しつけられる肉棒の先に、全身が甘くしびれる。
 快感に腰が跳ねそうになるが、大輔に双臀を抱え込まれているため、のけ反ることができない。

「あぁん……はぁ、あぁん……」

 グチュ、ヌチャ……といやらしい水音がはっきり聞こえるようになってきた。
 肉裂を出入りする肉柱の感触に、身体の芯がゾクゾクして呼吸が荒くなっていく。

「はぁん……社長っ……大輔さん……」

 無意識のうちに大輔の名を呼び、上半身をもだえさせる敦子はそろそろ昇りつめようとしていた。
 絶頂に導くようにグリグリと一番奥を刺激され、敦子の背筋を強烈な快感がほとばしった。

「や、あ、あ、あぁぁぁっ……」

 ふと意識が真っ白になった瞬間、肉柱が引き抜かれ、床に四つ這いになった敦子の白い背中に熱い液体が注がれていた。






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