第10話
ありさは両足を踏ん張り腰をせり上げながら自ら回転させる。
何と淫靡な光景であろうか。肉棒が一段と硬くなっていく。
硬化した亀頭の先端が再びボルチオ附近を擦ってしまい、ありさが悲鳴を上げた。
顎を上げ左右に広げた手がシーツをつかみ、言葉にならない言葉をつぶやいている。
「はぁ~ん、あっ、はぁぁ~~~っ……あ~っ、あぁぁぁっ……」
感極まって逃げようとするありさの腰をがっちりとつかみ、グルングルンと回転を見舞う。
「きゃぁ~~~!す、すごい!Shyさぁん、すごい~~~!ありさ、こんな気持ち初めて~~~!イッちゃう、イッちゃう!イッちゃう~~~~~~~~~~~~!!!!!」
「くうっ!すごい締め付け!ありさちゃんすごい!!ううっ!!これはたまらない!!!!!」
ありさはマニュアル車がギアと速度が合っていないときに起きるノッキング現象のように、身体をカクンカクンと痙攣させている。
ありさのつややかな仕草と嬌声とともに、僕も限界が訪れたようで一気に発射してしまった。
僕の分身が脈を打ち、液体をありさの中にドクドクと注ぎ込む。
「ああっ…Shyさぁん、奥が熱くなってくるぅ……」
「ううっ!ううう~~~~~っ……」
ありさの背中に手を回しギュッと抱きしめると、それに応えるように僕にしがみついてきた。
ありさの顔を覗いてみると、目を閉じて絶頂の余韻に浸っているのがうかがえる。
僕は急にありさが愛おしくなって、繋がったまま強く抱きしめた。
「ありさちゃん……」
「すごく良かったあ。Shyさん、ありがとう……」
「僕こそありがとうと言いたいよ、だって最高だったもの」
「そう?すごく嬉しい……」
(チュッ……)
唇を重ねる。
ありさも応える。
(とてもいい香りがする……甘ったるくてどこか切なくなるような香り……これがありさの香りなんだ……)
くすぐるような甘い香りが僕の中枢神経を刺激する。
射精を終えてすでに委縮していく途中なのに、まだありさの中にとどまっている。
抜こうとすると、ありさが「まだ繋がっていたいから」と抜くことを許してくれない。
先程から冷房は入ったままだが、激しい運動のせいで身体中から汗が噴き出している。
あまり汗はかかないと言ってたありさだが、僕に負けず劣らず汗びっしょりになっている。
タオルでありさの額と首筋の汗を拭いてやる。
「ありがとう、Shyさん……」
ありさは僕からタオルを奪い、お返しだと言いながら僕の汗を拭ってくれる。
「す~ごくよかったぁ……ありさ、アソコでイッちゃった……」
「イけてよかったね」
「うん、アソコで初イキ……」
「おめでとう」
「うふふ、感激~」
ありさの目頭にキラリと光るものがあった。
過去クリトリスでオーガズムを感じた経験はあるが、膣でイッたことがないと言う。
一人エッチで膣オーガズム体験はあるが、セックスだとないと言う。
別にオーガズムを知らなくても生きていくうえで不便はないし、オーガズムを知らなくてもうまく行ってるカップルはごまんといる。
「でもね、ありさちゃん」
「うん?」
「イったことがない、経験したことのない女性はね、セックスの歓びを半分くらいしか味わっていないと言えるかも知れないんだよ」
「うん、何か分かるような気がする。ありさも今日初めてイッてみて、今まで見たことがない世界に飛び込んだような気分がするの」
「女性はね、絶頂に達することを含めて、肉体的、精神的に満たされたセックスは、日々の生活に張りを与えるし、ストレスを軽減すると言われているんだよ」
「へえ、そうなんだ!イクことっていいことなんだね!」
「そうだよ、だから男性としても女性を絶頂に導くよう努力することはすごく大事なことなんだよ」
「そうなんだ。ってことは、女性もどんな男性に出会えるかによって人生が変わるってことね?」
「まあ、そういうことだね。結局運だね」
「Shyさん?」
「何?」
「じゃあ離さない」
「ははははは、僕なんてつまらない男だよ。人生は長い、出会いは無限にあるんだよ~」
◇ ◇ ◇
ありさと濃厚なセックスをしたせいで、びっしょり汗をかいてしまった。
彼女を浴室に連れて行きシャワーで背中を流してやることにした。
浴室は入ると窓の外から朝の訪れを告げる光が差し込んで来た。
ありさと一戦を交えている最中には気にも掛けなかったが、時間が経つのは早いものだ。
(まずい。こんな状態でUSJに行くとありさが可哀想だ……たとえわずかでも眠らなくては……)
風呂上がりにミネラルウォーターをたっぷり飲んだ後、ありさにも少しは眠るように言い含めツインベッドのありさがいない方に潜り込もうとしたら、ありさがポツリとささやいた。
「Shyさん、こっちに来てよ。今日でお別れなんだからありさの横で寝てよ」
「でも、今日もUSJに行くんだろう?ちょっとでも眠っておいた方がいいよ」
「うん、そうだけどぉ。でもいいの~、ありさね、帰る直前までずっとShyさんにくっついていたいのぅ~」
「でもUSJを楽しみにしてたじゃないか。まだ見ていない所も沢山あるし」
「うん、それもそうなんだけどねぇ……USJはまた大阪に来たら行けるじゃん。でもShyさんはもう抱いてくれないかも知れないもの……」
ありさは寂しそうな表情でポツリとつぶやいた。
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