第26話  “恋人つなぎ”

「穿き心地はどう?」
「うん、大きさピッタリ~♪サイズよく分かったね☆★☆」
「ブラジャーってサイズが細分化されているけど、ショーツってだいたいS・M・Lの3つだけじゃん。ありさちゃんのウェストは見たところ60センチぐらいだし、ヒップもだいたい86か87ぐらいだと思ったので、Sサイズで注文したんだよ」
「び、び、びっくり~!シャイさんにまだサイズ教えてないのにどうして分かるの?☆★☆」
「だって前回USJのお泊りでありさちゃんの美ヌードをたっぷり観賞させてもらったから推定はできるよ~」
「まさか……二泊三日のお泊りだけで女の子のスリーサイズまで分かるなんて……。もしかしてシャイさんは権威ある女体博士とか?☆★☆」
「なんじゃそれは?僕はホストでもないしプレイボーイでもない、ありさちゃんがいうような何ちゃら博士でもない、ごく普通の男だよ。ただし平均よりちょっとだけエロくはあるが」
「ちょっとだけじゃなくて、かなりだと思うんだけどなぁ☆★☆」
「ひどいなあ~」
「でもその果てしなくエロいところが大好きなの~♪☆★☆」
「果てしなくエロいって言い過ぎじゃないか」

 突然ありさは強くシャイの胸に飛び込んだ。

「ねぇ、チュ~して?☆★☆」

 ありさはキスをねだった。
 シャイはありさの頬に唇を寄せる。

「そこじゃなくて……☆★☆」

 今度はありさ唇にキスをする。

「んん……はぁ……☆★☆」

 ありさの息苦しそうな吐息が漏れると、愛おしそうに口を離すシャイ。

「ありさちゃん、Gストリングスショーツよく似合ってるね」
「似合ってる?嬉しいなぁ~♪☆★☆」
「ローターちゃんと収まっているようだね」

 シャイは少しかがんでクロッチのポケットに収まっているローターに軽く触れた。

「きゃっ!ここ、ちょっと触られるだけでも感じちゃう☆★☆」
「この程度で感じるようだと、ローターが振動し始めると大変なことになっちゃうね」
「想像するだけで恐ろしい……☆★☆」
「あ、そうそう、一つだけ大事なことを言っておくと、ローターの遠隔操作は十メートルが限界なんだ。それ以上離れると反応しないと思う」
「うん、分かった。ドキドキするなぁ~。シーに入園してからどのタイミングでローターが振動するか分からないって少し不安だなぁ……☆★☆」
「ちょっとだけヒントを上げるよ。絶対に振動しない時間帯は二つあって」
「うん☆★☆」
「一つ目。ありさちゃんが食事をしているときと飲物を飲んでいるとき。急に動き出してありさちゃんが驚いて喉を詰まらせても困るし、飲物を噴き出しても困るからね。口に物を入れているときは絶対にスイッチを押さないからね」
「うん、飲食していときぐらいゆっくりと摂りたいものね。もう一つは?☆★☆」
「二つ目はありさちゃんが洗面所に入っているとき。化粧直しをしている最中に作動してずれちゃったりしたら困るものね」
「うんうん、確かにそうだね。その二つ以外はいつ動き出すか分からないんだね☆★☆」
「でも辛くなったらいつでもギブアップしていいからね」
「ありさがんばるも~ん☆★☆」

◇◇◇

 8時30分、二人は昨日と同様にミラホスタゲートを通ってディズニーシーに入場した。
 ありさはミッキーを大きくプリントしたカジュアルなTシャツに、白のミニフレアスカートを合わせガーリーないでたちで、さらにはキャップでカジュアル感を出し、足元は厚底のサンダルで女の子らしさをしっかりと強調している。
 昨日のワインカラーのワンピース姿とはがらりと変えている。
 シャイは紺色のポロシャツに昨日と同じベージュのチノパンツと至ってシンプルだ。

「今日のコーデもすごく可愛いね」
「そう?ありがとう~♪☆★☆」
「ほら、他の男の子もありさちゃんに注目しているよ」
「そんなことないよ~、気のせいだって~☆★☆」
「今日最初に行くのはミステリアス・アイランドの『センター・オブ・ジ・アース』だったね」
「かなり強烈なのでシャイさん覚悟しておいてね~☆★☆」
「ほほう~脅かすね~。押すつもりが無くてもびっくりして例のスイッチ押してしまうかも知れないよ。ありさちゃんも覚悟しておいてね」
「もう~やめてよ~、絶叫マシーンに乗ってる最中にボタン押されたら、ありさ気が狂っちゃうかも知れないよ☆★☆」
「ははははは~」
「あはははは~☆★☆」

 シャイはありさと手を繋ぎゆっくりと歩き始めた。
 数歩進むと今度はありさの方から、五本の指を交差して絡め合ってきた。
 いわゆる“恋人つなぎ”だ。
 指を絡め手と手がしっかりとくっつくとお互いの存在を常に感じることができ、さらに距離が縮まり親密になったように思えてくるから不思議だ。
 恋人つなぎは他の人とはしない、その二人だけの特別感がある。
 今までは普通の手のつなぎ方をしていた二人も恋人つなぎに変えると相手をより特別な存在と感じることができる。
 事実二人にとってお互いがかけがえのない存在になりつつあった。


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