第六話「妖術浮き雲」

「ふふふ、ここまで追い詰められても、あいも変わらず元気な娘じゃな。おまえには少々恐怖を与えてやらねばならぬのう……」
「ほざくな!」
「これはどうじゃ……妖術浮き雲!」

 玄が呪文を唱えると、ありさが背にしていた柱がスルスルと天に向かって伸び始めた。

「えっ……なにっ……!?」

 柱が伸びるのと同時に、緊縛されたありさの身体も上昇していく。
 ありさに絡みついた蛇は執念深く一向に離れようとしない。

「むむっ!」

 身体がどんどん上昇していく。
 あたり一面靄が立ち込め一寸先も見えないので、どのくらい上昇したのか見当もつかない。
 ようやく上昇が止まると、突然背中の柱が消えた。

「……!?」

 しかしありさは落下しない。
 身体が上昇して背柱がなくなれば、ありさの身体が宙に浮いている、ということになるが……

(そんな馬鹿な……これはきっとあやかしだ……)

 足首に何かが絡みついてきた。
 またもや新手の蛇か。

「……!?」

 蛇と思って足首を見ると、それは蔓草であった。
 蔓草ががんじがらめに両足首に巻きつき、すごい力で両足を上に持ち上げ、さらには左右に割り広げていく。

「や、やめろ~~~!」

 両足首が顔より少し高い位置まで上がったところで動きが止まった。
 広げられた足を閉じようと試みるがビクともしない。

「浮き雲に乗った気分はどうじゃ?爽快じゃろう」
「浮き雲? ふん、どうせまやかしの術だろう?」
「まやかしと言うなら、試しにここから落としてやってもよいぞ。ぐふふ……」
「ふん、勝手にしろ」
「まあ、そんなに死に急ぐな。落とすのはいつでもできること。今は蛇どもの相手をしてもらうことが先じゃ。真田のこともしゃべってもらわんといかんでのう。ふふふ」
「……」
「さあ、蛇どもよ、このくノ一娘をかわいがってやるがよい」

 玄の言葉を理解したかのように、四匹の蛇が一斉にありさへの攻撃を開始した。
 緑と茶色の蛇は乳房や乳首を舐めずり、青い蛇は実をチロチロと舐め回し、赤い蛇は菊門を味わう。
 敏感な個所を一斉に襲うおぞましさに、気丈なありさはたまらず悲鳴をあげた。

「ひぃ~~~~~~!」

 その中でも青い蛇の攻撃が強烈だった。
 実を無遠慮にもてあそばれ、喘ぎを漏らすありさ。

「あっ、そこは……ああっ……そこは舐めるな……」

 快感にびくびくと身体を震わせる。
 青い蛇が実を強く舐める。

「んあぁ……やめぇっ……」

 時折、実から離れて、花弁から滲み出す蜜を美味そうに舐めとる青い蛇。
 蜜を舐めとると、再び実に舌を移す。

「ふあ、いやぁ……やっ、もう……やめろぉ……」

 身体がビクンと痙攣し、花弁から蜜がこぼれ出した。
 次の瞬間、ありさの眼下に、ぬっとひときわ大きい漆黒の蛇が現れた。
 ほかの蛇より断然太く、直径が二寸ほどあるだろうか。
 ありさは思わず息を飲む。
 鎌首をもたげた先端はさらに巨大だ。
 ねっとりと冷たい感触がありさにまとわりつく。

「ひぃっ……」

 口先から赤い舌を出し、ありさを見つめている。
 先端の鎌首はまるで男性のそれに酷似していた。
 漆黒の蛇が近づくと、青い蛇は場所をゆずる。
 もしかしたら漆黒の蛇が大将格なのかも知れない。
 漆黒の蛇の舌先が秘所に触れた。
 花弁を舐め回し、ときおり花芯に舌を滑らせる。

「や、やめっ、やめろ……いやっ……」

 漆黒の蛇は花弁の舐め回すが、決してその身を沈めようとはしない。
 蛇の唾液がありさの蜜と混じって、ビショビショになってしまっている。
 
 左の乳房を責めていた緑の蛇が、ありさの唇を近づいた。

「ひっ!」

 蛇はありさの唇に自らの鎌首を押しつけてきた。
 冷ややかでぬめぬめとした感触が唇を襲う。

「んぐっ……」

 強引に口腔を犯される。
 無遠慮な緑の蛇が、口の中でうごめいている。

「んぐぬぐ……」

 吐き出したくても吐き出せないのはどうしてだろうか。
 口腔を犯され続け、唇の端からはだらだらと涎がこぼれ落ちる。

 その合間も、他の蛇たちはありさを責め続けていた。
 実を舐める蛇舌は、ネバネバの粘液を放出している。

「あっ……熱い……どうして……?」

 さらに他の蛇たちは、乳首をしごきあげるように刺激し、菊門にまで、ぬるぬるとした粘液を塗りつけるようにして愛撫している。
 ありさは次第に身体がほてっていくのを感じていた。
 五色の蛇たちがもたらすこの世のものとも思えない愛撫の前に、どろどろにとろけてしまいそうになっていた。

 悦楽に支配されながら、口内の蛇に舌を絡め、情熱的に吸い上げる。
 口の中に溜まった粘液を唾液とともにすすり上げると、まるで媚薬を一気にあおったように、かあっと全身が熱くなった。
 蛇たちも、そんなありさの変化に気付いたのか、さらに激しく責め立てる。

「んんっ……んぐっ……」

 自らの口を犯す蛇に積極的に奉仕した。そう、ありさ自身の意思に反して。
 さらには、口内で激しく舌を使って鎌首の部分を舐めしゃぶる。
 蛇の動きが、ますます激しくなった。

「ブシュッ!」と口内に大量の熱い粘液が溢れた。

「んんっ!」

 緑の蛇は、さらに口からドロリとした粘液を放ちながら、自らを口内から引き抜いた。

「はあぁ……っ……」

 うっとりと声を漏らすありさの顔に、大量の白濁液がかかる。
 蛇に陵辱されながら不可解な快感を味わっていた。

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