第六話“花芯のほてり” 現在槍を操っている執行役人に、待機中の役人が話しかけた。 「力を入れ過ぎて姫を殺めるでないぞ。『時をかけてゆっくりといたぶるものとし、あやまって臓腑を突き破ることなきように』との親方様からのご命令じゃからのぅ」 「承知しておるわ。間違いて殺めてしまえば元も子もないからのぅ。姫君にはじっくりと愉しんでもらわねばのぅ」 「それにしてもかかる美しい姫君の女陰を、張形槍で突き回すことになるとは夢にも思わざりきな。それがしも執行役人のお役目を頂戴して久しきがこのようなる刑は初めてじゃ」 「それがしとても同じ。血生臭い刑よりずっとありがたいお役目じゃ」 「なお望めるならば我が肉槍を挿し込みたいものじゃがのぅ」 「しっ、声が大きいぞ。殿の耳に入っては拙いぞ」 陶器のような白い肌、ほどよい大きさの乳房、見事にくびれた腰の線、適度な肉付きの太股、さらにはきれいに剃り上げられた小高い恥丘、いずれをとっても非の打ち所がないありさ姫の麗しき肉体。 それだけでも十分に衆目に値するのだが、そのうえ美姫の毛を失い生々しい柔肉の割れ目に穂先が食い込む光景を観衆は食い入るように見つめた。 「うう……」 刑の執行が進むにつれて、ありさ姫の表情にわずかな変化が訪れていた。 最初は破瓜の痛みもあって顔を歪ませていたありさ姫であったが、媚薬は治癒効果もあるのか次第に苦しそうな表情は消え去り、頬にうっすらと薄紅が差していた。 かすかではあるが肉体の奥からふつふつと沸き立つ不思議な快感が、徐々にありさ姫を支配し始めていた。 (あぁ……いかで……?身体が燃ゆるように熱き……。それにこのむず痒いようなる感覚……はて、これはいったいどうしたというのじゃ……?) 身体の痒みとほてりは、張形に塗り込められた媚薬が次第に効果を現したことによるものであったが、そもそも媚薬の効果など知らないありさ姫は身体の異変が媚薬によるものだとは知る由もなかった。 次第に芽生えくる肉の歓びに疑念を抱きつつも、その気配を他人に悟られないようにと懸命に耐えていた。 「あぁっ……」 張形を介して膣粘膜に塗り込められた媚薬は体内へと沁みこんでいき、ありさ姫の肉体を歓喜の渦中へと巻き込んでいった。 「あっ……あぁ、熱い……」 ありさ姫の唇から最初にこぼれ落ちた言葉は、身体の熱さを訴える言葉だった。 少量塗布するだけでも十分に効果を発揮する媚薬を、秘部内外に隈なく塗り込められたありさ姫が平然としていられるはずがない。 身体が燃えるようにほてり出すばかりか、秘部が激しく痒くなる特徴があった。 その兆候は早くも現れ、熱さを訴えるばかりか、次第に息遣いも荒くなっていた。 執行役人が突きこむ槍に対して、ありさ姫はわずかだが腰を震わせうめきをもらした。 刑の執行を見守っていた黒岡源内は淫靡な微笑を浮かべたあと、執行役人に対して突如刑の中断を命じた。 「しばし槍責めをやめい!」 「ははっ!」 ありさ姫を責めていた執行役人の動きがぴたりと止まり、女陰に挿し込まれていた槍はそっと引き抜かれた。 「そろそろ薬が効きて来たようじゃな。痒くて堪らなくなると聞き及ぶよし、槍使いは一休みして眺めてみるもおかしぞ。皆の者、姫がよがり狂うを見物しようではないか。そのうち槍で女陰を挿してくれとすがるはずなれば。がははははは~」 「ははっ!御意!」 執行役人は槍を抜いた後、後方に下がりありさ姫を見上げた。 その光景はまるでもぎたての水蜜桃の割れ目から、紅いうしおがぽたりぽたりとしたたるようで、不思議な艶やかさが漂っていた。 奇抜で淫猥な前代未聞の処刑方法に観衆はただ呆然とするばかりであった。 中には、竹の柵にしがみつき目を爛々と輝かせて食い入るように見つめている男もいた。 「すげえ・・・こんなすごいものを見せられたら、おれ、こんにゃ悶々として眠れないよ」 「ところで刑はもう終わったのか?槍のお役人さんが休んでいるが」 「おい!お姫様を見てみろ!なんかずうたいをもじもじさせ始めたぞ。いったいどうしたんだんべい?」 浪人風の男が村人たちの疑問に答えた。 「あれは媚薬のせいじゃ」 「ん?媚薬だと!?お武家様、そりゃ本当か!?道理でお姫様の様子が変だと思っただぁ」 「それも並みの媚薬ではなさそうじゃ。この先、目を放すではないぞ。とんでもないことになりそうじゃ。がっはっはっ」 前頁/次頁 |