第6話 美少女の乳房は男子トイレで歪まされて バタンと音がして扉が閉まった。 カチャリと金属音がして、ロックが掛けられた。 「ふぅーっ、はぁーっ」 「クスクスクス」 男が鼻息も荒く呼吸し、見上げた少女が口に手を当てて微笑んでいる。 「本当にいいの?」 「うん、だからこんな処に入ったんでしょ」 美紗が言う『こんな処』とは、どこなのか? およそ1m四方を合板の壁に囲まれ、鼻を突くアンモニアの匂い。 その中心には、上蓋がされた洋式便座が設置されている。 「ふ~ん、わたし初めて入ったけど、男の人用ってアレがないのね」 「アレって?」 「アレと言ったら、アレなの。わたしだって月に一度は経験してるし、ほら、アソコに入れたり下着に貼り着けたりする」 「おぉ、おい……そんなことをしたら、見えちゃうだろ」 美紗がスカートを捲り上げていた。 風もない密室で自ら太腿を露わにさせると、その付け根を覆うピンク色の薄布までチラリとさせる。 「あらぁ、おじさんって案外初心なんだね。顔が真っ赤になってる。うふふっ」 出会ってからずっとこの調子である。 腕を引かれるままに、改札手前の公衆トイレへと美紗に連れ込まれたのだ。 それも女子専用の方ではなく、男子専用の方へと。 太一はもちろん構わない。 けれども美紗は、どう見ても女の子である。 今もチラチラさせている女子高生のパンティーを、ズズっと下げたら立派なモノが…… で、なければの話だが。 「み、美紗ちゃんだったよね。それよりも……む、胸を触って欲しいんだろ?」 気弱で優柔不断な性格は、自らも認めている。 しかし、10才は年下の少女にからかわれるのは、あまり良い気はしない。 太一は腹の底に力を込めた。 やっぱり女なんだと主張している、美紗のパンティーの、縦に刻まれたスリットのシワを泳ぎそうな目で見つめて、干からびた唇をパクパクとさせる。 振り絞って吐いた声音で、年上の男の貫禄を無謀にも見せつけようとして…… 「ぬ、脱いでる?! ここで……」 スカートをたくし上げていた美紗の指が放れた。 行為を促しておきながら唖然とする太一を横目に、少女は胸元に手を寄せると赤いリボンを解いていた。 続いて金ボタンがあしらわれたブレザーも、慣れた手付きで脱いでいく。 「やだ……そんなに見ないでよ。エッチ……」 ブラウスにも手を掛けて、美紗が恥じらいの言葉を口にした。 今までのあっけらかんとした少女を封印したように、年頃の女の子の当たり前の羞恥を見せ付けてきた。 (可愛い……なんて可憐な少女なんだ……) 胸の前で縦に並んだ丸くて小さなボタンが、ひとつ、またひとつと美紗の指に外される。 顔をやや俯かせて、繊細な指使いで肌を晒していく彼女の姿に、太一はゾクゾクとした感動を覚えていた。 『美少女』 世の中に出回り過ぎて、ありがたみの失せた単語だが、それしか太一の頭には浮かばない。 癖のないストレートな髪の毛が、トイレの薄汚れた灯りの下でもキラキラと輝いていた。 まるで定規で線を引いたように前髪が綺麗に揃えられ、その下に覗く眉は、くっきりとしているのに細く柔らかみを帯びていた。 俯かせても尚、宝石のように輝く瞳は、鮮やかな二重のまぶたに守られ、垂れ気味な明美とは異なり、目尻はやや上向き加減である。 いくらか勝気な性格の感も否めないが、それもご愛敬というものだろう。 小顔にマッチした、小さくて整った鼻筋。 艶やかに光る閉じ合わされた薄い唇に、やや尖り気味のアゴ。 駅のホームで出会って、早20分余り。 今さらながらに太一は、美紗が湛える美しさと、その少女が行おうとしている飛躍すぎる行為に、やはり夢ではないのかともう一度疑ってみる。 ブラウスのボタンを外し終えた彼女の指にも目を落とし、微かに残る頬の痛みまで意識していながら、それでもやっぱりである。 「おじさん……ねぇ、聞いてるの、おじさん……?」 だからだろう。 太一は美紗の呼び掛けに気付かなかった。 パンティーとお揃いのピンクのブラジャーを晒して、上目遣いに見つめる少女に、おぼろげな目線を落としたまま。 「痛ァッ!」 またほっぺたを抓られた。 夢ならわたしが起こしてあげるというように、細い指がまるでペンチのように開いて、太一の頬肉をギュィッと挟んだ。 「お姉ちゃんと比べて……どうかな? わたしのバスト……」 「ど、どぉって?」 無理やりに覚醒させられた頭に、美紗の声が浸透する。 現実を教えてくれるアンモニア臭も吸い込んで、太一は少女の問いに訊き返していた。 「だからぁ……えっと、美紗のおっぱいはどんな感じ? おじさん、お姉ちゃんの胸をモミモミしたんでしょ?」 「……ち、小さいかな……う、ううん……女の子らしい可愛い胸だと思うよ。ブラジャーも女子高生らしいし」 冴えた脳ミソは、太一に見たままを口にさせた。 その後で、取り繕うように見たままをアレンジさせる。 卑屈に角を取って、まろやかに。 「やっぱり……だよね。美紗のおっぱいって、小さいよね。お姉ちゃんには勝てっこないけど……でも……」 あっけらかんとして、恥じらってみせて、今度はとても落ち込んで。 相変わらず顔は俯かせたまま、美紗の片腕が背中に回される。 ツルリとした脇を露わにさせたまま、折り曲げた肘がモゾモゾとし…… カチッ……シュル、シュル…… 「ち、ちょっと美紗ちゃん……?」 推定Aカップのピンクのブラジャーの、ふたつ並んだカップが緩められる。 咲き誇るお花畑がプリントされたソレを、美紗のもう片方の腕が支え、背中に回された片腕を舞い戻らせる。 ピンとした張りを失ったブラのストラップを、彼女の両肩からスルリと滑らせた。 「ふぅっ、はぁっ……」 太一は、美紗の漏らす羞恥の吐息を聞いた。 猫の目のように変化する少女の、偽りのない本音を耳にした気がした。 「くうぅっ……おぉ、おじさん、ちゃんとだよ……ちゃんと見て……てね」 胸に貼り付かせていた腕がほどかれる。 乙女のバストをガードしていた愛らしいブラジャーが、全ての支えを失い取り払われた。 太一は目を見開いていた。 いつのまにか顔を真っ赤にしていた美紗が見上げるなか、その顔を俯かせることも、そむけることもなく、ただじっと……潤み始めた眼差しで…… 「ああぁぁ……きれいだ……美紗ちゃんのおっぱい……」 半分だけ呻くような悲鳴にさせて、残り半分を言葉にして、その視線を美紗に集中させる。 真っ白な膨らみが二つ、零れるように曝け出されたその部分を凝視する。 「や、やだ……わたし……」 駅の男子トイレで。見ず知らずな異性の前で。 自分のしている行為に、それなりの自覚はあるのだろう。 美紗は恥じらいの色だけを更に濃くさせた。 赤いリボンに、ブレザーの上着、白いブラウスに、ピンクのブラジャー。 脱いだモノを全部重ねて乗せられた便座の隣に立ったまま、身を固くして佇んでいた。 ただし役目を終えた両腕は、気を付けの姿勢のように腰横に押し付けたままで。 前頁/次頁 |
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