第1話 夜の営み……その後……
「は、はあ……んん、綾音ぇっ!」
「ああ……はあぁっ、もっと、もっとぉっ……突いてぇっ、吉貴ぃっ!」
おぼろげな灯りのなかで行われる夫婦の営み。
ミシミシとダブルベッドのスプリングを軋ませては、夫の吉貴が妻の彩音の上に圧し掛かっていた。
愛する夫のペニスをなるべく深くで受け取ろうと、仰向けの姿勢で両足をM字に開く綾音。
その股の中心、成熟しきった花弁を貫くように腰を上下に振る吉貴。
じゅく、じゅく、じゅにゅ、にゅちゃ……
「ああぁ、ううんっ……吉貴の……オチ○チン、感じるぅ、ふぅぅぅっ」
「綾音ぇっ、僕も……お前のオマ○コがぁ……んんっ、最高っ!」
綾音は濡れそぼったヴァギナを突かれるたびに、吉貴の息遣いを耳元で聞いた。
その熱い吐息が汗の滲む胸元に降りかかり、心が切ないもので満たされていく。
(綾音は、アナタをもっと感じていたいの。1分でも1秒でも長く愛してもらいたいの)
恥肉と剛肉がぶつかる衝撃を感じて、潤滑油のように溢れる愛液を股の付け根に感じても、綾音は一途にそれだけを想い続けていた。
膣ヒダを擦り上げる膨張しきった肉棒にも、その願いを託してみる。
「んはっ! 綾音、そろそろ……」
「うん、吉貴……いいからぁ、そのまま中へ……あっ、あぁぁ……出してぇっ!」
(まだお願い、出さないで。もう少しの間、綾音を愛して!)
矛盾したふたつの声音。妻としてのけじめの声と、胸に秘めた想い。
けれども、彼女のささやかな願いは、寸分で消え去っていた。
単調なピストンにも関わらずにひと回り大きくなったペニス。
それを膣内に感じた綾音は、持ち上げた両手を吉貴の背中に乗せた。
筋肉質な背中を手のひらで感じ取りながら、夫が気持ちよく射精できるように、括約筋を軽く締め上げてみせる。
「はあぁ、で、出る」
どぴゅ、どぴゅ、どぴゅうぅぅっっ!
「ひゃあぁぁんんっ、中で感じるぅっ! 熱いのが掛けられてぇ……すごいぃ、ふあぁぁっっ!」
膣奥深くにまで挿入されたペニスが、勢いよく弾けていた。
20代後半の若々しいペニスは、同じく20代後半の若々しい膣肉を男の精で染め上げていく。
綾音は硬直した吉貴のモノがピクピク反応し、それに絡みつく膣ヒダをリアルに感じた。
噴射された熱い水流が子宮の扉を叩くのも、当然のように受け止めていた。
その液体の海を渡って、吉貴の精子が無事に卵巣へ到着するのを。
二人の愛の結晶が子宮に定着することを。
「はあ、はぁ……」
妻の中で射精し萎えたペニスを晒したまま、仰向けで寝転ぶ吉貴。
その隣で、豊満な乳房を上下させながら夫の目線を追う綾音。
「んはぁ、はあぁぁ……吉貴、赤ちゃん出来るといいね」
暗い天井を見つめながら、綾音は呟いていた。
けれども吉貴の返事は聞こえない。
すやすやと安らいだ寝息を立てて、既に夫は夢の中へと旅立った後だった。
「もう、吉貴ったら。アソコくらい処理してからオヤスミでしょ。ホント仕方ないわね」
綾音はけだるそうに身体を起こすと、吉貴の顔を見つめた。
愛のあるセックスをして性欲を解消した寝顔は、まるで小さな子供のようである。
彼女はベッド脇にあるサイドテーブルに手を伸ばすと、ティッシュを数枚抜き取り、自分の股の間に挟んだ。
そして、もう数枚ティッシュを抜くと、吉貴のペニスを清めていく。
起こさないようにそっと、ティッシュの肌面で柔らかく包み込むようにして、綾音の淫水とスペルマの残液を拭い取っていた。
いつもの光景。習慣づいたいつもの仕草。
やがて綾音は、軽く自分の股間も拭うと再びベッドに横たわっていた。
仰向けでイビキを掻き始めた吉貴に背中を向けると、悶々としたままの綾音自身の性欲に語り掛けてみる。
(吉貴って、私のことをとっても愛してくれて、とっても優しいけど……でもね、もう少し肉体でも結ばれたいなぁ、なんて。
綾音は、やっと感じ始めたところなのに、吉貴ったら、さっと出して寝ちゃうんだもん。確かに綾音だって、早く赤ちゃんが欲しいわよ。でも、夫婦なんだし二人だけの愛をもっと確かめ合いたいのに……)
「吉貴の……バカ……」
綾音はちょっぴり不満な顔を作ると、唇を尖らせた。
その間にも右手がするすると下腹部へと降りていき、覆うモノがない股間に宛がわれた。
(いやだわ。さっき拭いたばかりなのに、もうびっしょり)
夫のペニスに愛撫された花弁に、指先を1本、2本、3本と沈める。
吉貴の怒張したペニスの太さを思い浮かべながら、束にした指を膣腔に挿入させる。
ずにゅ、ずにゅ、ずにゅ、にゅちゅぅ……
「んはぁぁ……はむぅっ……」
嫌でも漏れる吐息を、空いた左の手が食い止めていた。
綾音は、手のひらで口元を覆いながら、オナニーを始めたのだ。
ヴァギナで抽送する指の束を、愛する夫のペニスに見立てて。
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