第24話 バトンという模擬ペニス


「治彦、準備できてる?」

智花が手を伸ばした。

「これでどうだ?」

差し出された手のひらに、治彦は手にしていたソレを乗せた。

「サンキュー♪」

長さ300ミリ、直径は39ミリ、継ぎ目のないソレの端を、滑らかな指使いで智花が握りしめる。

「バトンでつながるのね。わたしと智花と……」

「そうなの。あたしと真由美は、このバトンで一つになって、そして真由美は……」

「処女を卒業するのね。陸上部で使ってた、このバトンのオチ〇チンをアソコ……わたしのオマ〇コに挿しこんで……」

青色に塗りこめられたバトンという筒状のアイテムを、真由美は見つめた。
円柱の両端に、『コンドーム』という肌色をしたスキンを装着させたバトンという『淫具』を、愛おしそうな眼差しで眺め続けていた。

「後悔なんて、無しだからね」

「後悔なんてしてたら、智花とはもう、サヨナラをしてたかも。とっくの昔に……」

「先にあたしが入れるわね」

「だったら、わたしが……」

膝を立てて内腿の肌を晒して、智花と真由美は会話を重ねた。
智花が手にしていたバトンは、いつしか真由美の手に委ねられる。

「わぁ、智花のオマ〇コ……ヌルヌルの液で光ってる」

「ヌルヌルって……真由美のオマ〇コだって、ヌラヌラしてるでしょ。エッチなお汁で……」

「でも、智花の方は、犬山君が出した液も残ってるんでしょ?」

「いいから、早く挿して……だけど、ゆっくりね」

治彦は、机の端でかぶりつきにさせた身体を乗り出した。
腰をしゃがませ、向かい合う二人の少女の股間に、激しく目線を往復させる。
そして、紺色の股布をいつもの要領で脇に寄せずらし、女の子の亀裂を自らの指で開かせた智花のソレに目を固定させる。

(意外と太いな。それに硬そうだし、こんなのを穴に入れて大丈夫なのか?)

そのアイテムを選んだのは、治彦本人である。
深夜の校舎に侵入し、その時に頭に閃いたまま行動を起こし、体育倉庫まで全力で駆けた少年は、八色揃えられたバトンの内の一本を掴み取り、彼女達が待つ教室へと駆け戻って来たのだった。

「うふふ、バトンなのに両手で握ったりして……これじゃ陸上部失格だよね」

「大丈夫よ。あたしも真由美も、陸上部は引退しちゃったから……あぁ、硬いの……そうよ、そのまま真っすぐ……」

スキンをかぶせられたバトンの端が、智花の花弁を撫でた。
円形のラインをスプーンのようにすべらせ、ねっとりとした光る液体をすくい取る。
発情した女の匂いと、ティッシュで拭い清めてもまだ残される、発情した男の残液と、ミックスされたそれらをバトン型をした淫具に丹念に塗りこめ、それから……

ずりゅ、ずにゅ……ずずぅ……

「んぁ、あぁっ……入っちゃうぅ、智花のアソコ……飲みこんじゃうぅっ!」

「わ、わたしが……智花を……あぁ、手が止まらないの」

水気を含んだ肉ビラが、ざっくりと割り裂かれていた。
乙女の膣口を目いっぱいに開いて、長大で極太な淫具と化したバトンを秘孔の奥底へと挿入させる。

智花が喉を震わせ、己の下腹部を見つめていた。
過剰なほど両手の指に力をこめた真由美が、慎重に、スローに、バトンの一端を押し続けていた。

「ひふぅっ! ゴツンって、当たってる……」

三分の一、いや半分近く。
膣穴に埋まるバトンが止まった。

智花が背中の筋をズンと弾ませた。
鼻に抜ける甲高い声を漏らし、ブルマが食いこむヒップをもぞもぞとさせた。

「は、入った……智花の中に、わたしが……これを……」

まるで刃物の柄でも握りしめるように、真由美は強張る指に目を落とした。
虚ろにも感じる瞳を堰を切ったように涙で溢れさせ、声帯を絞るようにして低く声を吐いた。

「男になっちまったな、智花」

この場で声をかけるのは、場違いな気もした。
けれども治彦は、見たままの光景を口にした。

「えへへ……あたしって、男の子になっちゃったんだ。でも……んんっ、青色のオチ〇チンを生やすのって……んくぅ、なんか変な感じ」

「智花ったら……うふふ、やだぁ」

生々しくて、妙に張り詰めた空気が、わずかにでもほぐされる。
智花が揺らぐ身体を押し立て、控えめながらも腰を振ったのだ。
男性器よろしく、股間からぶら下げたバトンがぶらぶらと揺すられる。
そして、その淫靡でもあり間抜けな感もある光景に、感情を昂らせた真由美が、思わず顔をほころばせた。



「いよいよだね」

「なんか緊張するけど……ふぅーっ、はぁーっ……なんとか平気みたい」

真由美は深呼吸を繰り返した。
ぎこちなく肺に溜まった空気を入れ替えると、仰向けな姿を取る智花を見下ろした。

「騎乗位で卒業するのか?」

治彦が訊いた。

「なによ、そのためにあたしとセックスして見せたんでしょ?」

正に片足を持ち上げ、女体を跨ごうとする真由美である。
その彼女と合体の時を待つ智花が、首をねじ曲げて呆れたように言い返してくる。
処女な股間に狙いをつける青色の淫具が、恥肉を無理に引き伸ばすようにしてそそり立つボディを晒している。

「女どうしでエッチするんだろう? こんな格好はどうだ?」

かぶりつきの少年は、そう言い残すとなぜか床に伏せた。
全裸の身体を這いつくばらせ、角ばった男の腰をズンズンと前後に振った。

「ねぇ、何してるの?」

「犬山君、床の上で四つん這いになって、その……お尻を振ってるよ」

寝そべる智花の代わりに、視界から消えた治彦の様を真由美が解説してくれる。

「男って、ホントに勝手なんだから」

「でも、わたしはそれでも……」





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