第3話 少女のヒップを包むのは……


バストは78。ウエストは54。
ヒップは81。

もちろんメジャーを使って計ったことなど、あるわけもない。
すべては治彦の憶測である。

お互いに異性の身体を知らないまま、初々しい恋人関係から肉体関係へと。
それからも、治彦の自室で、智花の自室でも、それぞれの両親の目を盗んでセックスを経験したのだ。
そしてその都度、目に収めた清らかな裸体に瞳のメジャーを宛がい……

「そういえば、俺の悦ぶモノって……?」

「悦ぶモノ……うふふ、なんでしょう」

バストに這わされていた手の指は、左右とも競い合うようにして下っていた。
治彦の顔面もまた、磨かれた背中の肌に頬ずりを繰り返しながら後を追う。

そして、くびれたウエストを絞めるゴムのラインのところで、治彦は訊いた。
女の子の身体に夢中になっても忘れはしない。
心の隅に保存していた気になる問いに、智花の方はというと、はぐらかすように笑い、逆に訊き返してくる。

「もしかして……?」

直角に折り曲げられた智花の腰の付近で、治彦の指がごわついた生地を押した。
女の色気を打ち消したハーフパンツの股間部分を控えめに撫でこすり、それからポンとジャンプするようにして、ウエストのサイドへと飛んだ。

「その、もしかしてかも?」

「ということは、下ろしてもいいってことだよな?」

「うん、そのつもりで穿いてきたの。だから脱がせて」

主語の単語が見当たらない会話を交わした。
それなのに治彦は、キーワードなソレを脳裏に強く描いていた。

胸の鼓動が高鳴りをアップさせる。
ハーフパンツのウエストを摘ませた指の腹すべてが、汗の滴をにじみ出させている。

「はぁっ、ふうっ……」

治彦は弾む呼吸をなだめた。
ライトブルーに色付けされたソレを、じんわりと下へと引いた。

絞めつけは、ゆるやかに見える。
けれども意外にしっかりと、女の子の素肌に食いこんでいるウエストのゴムに親指を差しこみ、残りの指を添えたままズルズルと下ろしていく。

「あぁっ! 穿いてる……智花、そうだよな?」

幾重にも横シワを刻み、折りたたまれる野暮な生地の下から、なめらかに張り詰めた濃紺な生地が覗いた。

治彦は押し寄せる興奮を抑えきれなかった。
額からはどっと汗を噴き出させ、ゆるゆるとさせた指の下降を一気に加速させる。

「いやん! 治彦ったら、乱暴なんだから」

智花が甘ったるく不満をぶつけた。
脱がされたハーフパンツを膝関節のところに引っかけられたまま、丸みを露わにさせた腰を揺すった。

「ご、ごめん……でも……ブ、ブルマだよな」

「そうよ。これはピチピチの紺色ブルマなの」

ここまで、なぜか声にするのをためらわれた単語である。
それを上ずる唇に乗せて、治彦は念押しして訊いた。
すかさず智花が、男心を悦ばせる単語を継ぎ足してありのままに答えをくれた。

「朝からずっと穿いてたのか。短パンの下に?」

「そうなの。パンツ……ううん、パンティーの代わりに智花は、ブルマを穿いて学校に来たの」

「えっ! それじゃ、この中はノーパン……って、ことだよな?」

「よーく、見てよ。パンティーのラインとか浮いてないでしょ」

治彦のまぶたが目いっぱいに開かれる。
机に両手をつく智花が、その治彦の顔を目がけてヒップを突き出させた。

「はあぁ……どこにも、パンティーのラインは……」

「そうでしょ……んんっ、恥ずかしい……」

少女の身体から大人の女へ。
ムチムチとした脂肪を薄く盛りつけさせた智花の臀部である。
真円というより楕円形に拡がった腰には、魅惑的な性の色香に満ち溢れていた。

(智花は俺のために……俺を悦ばせようとして……)

そんなキュートな尻肉を包むように、濃紺色をした逆三角形の布地が貼りついているのだ。
昭和の時代にタイムスリップしたようなブルマと呼ばれる体操着を身に着けて、治彦の愛する少女はその身を晒し続けているのだ。

「触ってもいいだろう?」

「いいけど……まだ、めくらないでよ」

本音を白状すれば、鼻の頭を押しつけてクンクンと匂いを嗅いでみたい。
二つに割れた尻の谷間をブルマの上から探り当て、思いっきり息を吸いこみ、智花が隠し持つ恥ずかしい匂いのすべてを肺の中に詰めこんでしまえば……

「ひうぅっ……治彦の手が当たってる……」

差し出された少女の下半身がビクンと乱れた。
指の先まで伸ばしきった手のひらが二枚、まろやかなヒップの曲線に貼りついたのである。

「このブルマ、どうしたのさ?」

「それって、今、気になることなの?」

「ああ、そうだよ。これからエッチするのに、相手の女が着けているアイテムはちゃんと把握しておかないと。特にコレはね」

貼り合わせた指が動き始めた。
バレーボールを輪切りにさせたようなヒップのラインに添わせて、さわさわと指の腹で撫でつける。
伸縮性に富んだ生地の肌触りをじっくりと愉しみ、それから腿のつけ根に食いこむ股グリのところを摘まむと、中に隠された肉肌を覗いた。

「あぁんっ、智花のエッチなお肉を見ないで。ネットの通販で買ったの。コスプレとか販売してるサイトで、治彦が好きだって言ってたから、わたし……ブルマを注文したの」

「ふーん。でもこのブルマって、智花のヒップサイズより小さくないか? お尻の形とか、ほとんど丸見えじゃん」

「ひふぅ、お尻の割れ目をこすらないで……ち、小さなブルマを穿いた方が、くぅんっ……治彦がよろこぶって思ったから……」

智花の告白をバックミュージックに、治彦の指は大胆さを増していく。
いじらしい少女の想いに胸の筋肉を抉られながら、神経を過敏にさせた指先が沈む。
まっさらなブルマの生地を強くへこませながら、深い切れこみを辿るようにさらに奥へと埋めていく。

「はくぅ……智花のお尻の穴に……」

されるがままの少女のヒップが、電流を帯びたように弾んだ。



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