官能小説『隣人 改』
しょうた&リレー小説参加者の皆様

※第1話~第2話はしょうたさんの直筆により、
第3話以降はリレー小説の皆様の合作によります
編集はしょうたさんです



第20話

「あ、すみません。吉川ですけど」
「あぁ、吉川さん、先ほどはどうもありがとうございました。とても助かりました」
「いえ、いえ、困ったときはお互い様ですからね。それでですねぇ~、実はさっきお伺いした時、どうやら、キーケースを落としたみたいなんですよ」
 さっきの男に媚びを売るような声とはうって変わった久美の言い方に頬を緩めながら、俺も余所行きの真面目な声で応えた。
「えっ、どんなケースですか?」
「モスグリーンの皮のキーケースなんですが」
「ちょ、ちょっと、待ってくださいね。今、探してみます!」

 ガチャ、と受話器が置かれた音がしてから、どのくらいだったのだろう。ずいぶん待たされているような気がする。
 五分経ったのか? 十分過ぎたのか? 腕時計もしていないし、携帯電話も持っていないので、時間の経過がわからない。
 タバコでも吸っていれば、多少気もまぎれるし時間も潰れるのだが、もちろんタバコも持っていない。それに、感じていた尿意が強くなったきた。
「はぁ~、まいったなぁ」
 のどかな風景を眺めながら、呟いて、愛液が乾いて痒みを感じるペニスをスゥエットの上からポリポリとかきはじめると、ドアが開く音が耳に入った。慌ててペニスから手を離し、振り向くと久美が半開きのドアから半身を出し
「ごめんなさい。探したんですけど、ちょっと見当たらないみたい」
 と困った表情を浮かべながら言った。
「……まいりましたねぇ~」
 間違いなく久美のうちのどこかにあるはずなのだが……。
「でも、わたしの探し方が悪いのかもしれません。よかったら、ご主人もご一緒に探していただけませんか?」
「そうさせてもらいますか。なにしろ、鍵がないことには家にはいれませんし。それに、これ……」
 染みになったところを指差すと、久美が言葉無く「まぁ」と口を動かして、頬を染めた。

   そうして再び久美のうちにはいると、久美は俺の耳元で、
「彼女には電気を見てもらった御礼に食事に招待したっていってあるから。それと、ちょっと髪の毛を乾かしてから、もう一度探してみますから、リビングで待っていてください」
 と、早口で囁いた。
「えぇ、わかりました。けど、その前にお手洗い貸してください」
 既に尿意は限界に近付いており、じっとしていられない状況だ。格好をつけている場合ではなかった。
「えっ、えぇ……」
「す、すみません」
 俺は恐縮して、玄関からリビングへ向かう廊下の間にあるトイレにはいり、生の膣にはいった肉棒の生臭い匂いを感じながら、一応、尿を放つ音が聞こえぬよう水を流しながら便器に向かって、尿を放った。
 そして、すっきりとした俺はLDKにはいった。
 すると、ソファの傍で、こちらにホワイトジーンズの包み込まれた丸いヒップを突きだしているみどりが顔を向けた。
「こんにちは」
「あ、こんにちは」
(あぁ、めちゃくちゃいいなぁ)
 美人でボリュームある肉体を持つ久美もいいが、可愛くてスリムなみどりも魅力的だ。どちらも甲乙つけがたい魅力があるが、もし、どちらかを選ばなければならいならば、みどりにする。
 なにしろ、自慰の際の妄想のお相手はみどりの方が久美よりも圧倒的に多かった。




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