第一話 屈辱の罠

 それは師走を迎える寒い日であった。
 加賀の城下町の呉服問屋吉野屋に役人が押し入ってきた。
「おい、吉野屋、娘のお美和はいるか。隠し立てするとためにならねぇぜ、すぐにここに連れて来い」と同心が大声で叫んだ。
「お、お役人さま、なんでございましょうか、娘がなにかしたのでしょうか」
「うるせぇ、黙ってここに連れてこい、お美和のいいなずけの鉄之進が盗人の首領厳八を牢抜けさせたんだ。鉄之進も盗賊一味の仲間だったらしい、お前の娘に盗賊の仲間の嫌疑がかかったんだ。つべこべ言わず連れて来い」
「そ、そんな、それは濡れ衣です、娘に限ってそんな大それたことできるわけがありません。何かの間違いです」
「うるせぇ、間違いかどうかは番所で調べればわかる、かまわねぇ、踏み込んで家捜ししろ」と同心達は土足で踏み込んできた。
「お待ち下さい、お役人さま」と吉野屋の主人が止めるのを振りきり役人達は店の奥へと入っていった。
奥座敷で琴を弾いていたお美和は突然のことに唖然とした。
「お前、お美和だな、黙ってお縄につくんだ」と役人達はお美和の体を押さえつけ手を背中に捻じ曲げ後ろ手にきつく縛りあげていった。
「お役人さま、わたしがなにをしたというのですか」とお美和は縛られながら同心に聞くのだ。
「うるせぇ、こんな可愛い顔して盗賊の仲間かよ、わからねぇもんだな」
「えっ、盗賊、それは何かの間違いです。お許し下さい」
「調べればわかることだ、引き立てろ」と同心が叫んだ。

 お美和は無理やり押されるようにして廊下を引き立てられていく。
 お美和はまだ十六歳の箱入り娘だった。
 同心をしている鉄之進とは昨年から恋仲になり、来年には祝言をかわすことになっていた。
 そんな二人をうらやましく、嫉妬した同じ奉行所の同心勝俣源之助が仕組んだ罠だったのだ。
 そんなこととは知らないお美和は番所の牢にいれられるはめになったのだ。
 お美和にはこれから自分に降り掛かる耐えがたい色責めが待ち構えていることなど夢にも思っていなかった。
 番所の中まで引き立てられたお美和は唖然とした。
 なんと、天井に取りつけられた滑車から鉄之進が褌一本の姿で後ろ手に縛られ吊り下げられていたのだ。
「あっ、鉄之進さま」とお美和は駆け寄ろうとしたが、縄尻を引かれ土間にしりもちをついて転がった。
「おい、鉄之進、お前のいいなづけを連れて来てやったぜ、へっへっへ」
「お美和さんには関係がないんだ、なんてことを」と鉄之進はくやしさに歯を食いしばった。
「へっへっへ、調べればわかることよ」と同心は吊られてる鉄之進の体を十手で押した。
 鉄之進の体がゆっくり回りながら揺れた。
「それじゃあ、お嬢さん、そんな綺麗な着物汚すと大変だ、囚衣に着替えてもらうぜ」と同心は目で合図した。
 お美和の縄尻をつかんでいた岡引は一旦お美和の縄を解き出した。
 後ろ手の縄を解かれたお美和を役人達が取り囲んでいる。
「おい、娘、その着物を脱いで、これに着替えるんだよ、早くしろ」と同心が乱暴な口調で言った。
 その時、
「やめろ、お美和さんに触ったら許さんぞ」と鉄之進が叫んだ。
「うるせぇ、黙ってろ、誰かこいつに猿轡かませろ」と同心が命令した。
 鉄之進は岡引達に無理やり猿轡をかまされてしまった。
 鉄之進の顔が屈辱と無念さに激しく歪んだ。
「へっへっへっへ、これで少しは静かになるだろう、さぁ、娘、早く脱いで着替えるんだよ」と同心は急き立てるのだ。
 大店の一人娘で育ったお美和にとってこんな男達の前で素肌を晒すことなどできるはずがなかった。
「おい、早くしねぇと、無理やり剥ぐことになるぜ、いいのか」と同心は薄笑いを浮かべお美和の体を嘗め回すように見まわすのだ。
 お美和は観念したのか自分で帯を解きだした。
 役人達はニヤニヤして腕組などしながら凝視している。
 鮮やかな花柄の振袖がお美和の肩をすべり落ちた。
 男達の目がお美和の湯文字一枚の姿に釘付けになっている。
 恥ずかしさに耐えながらお美和は腰のもの一枚の姿になり、両手を交差するようにして膨らみかけた可愛い乳房を隠している。
 処女の香りが部屋中に漂った。
 恥ずかしさのあまりお美和はその場にしゃがみ込んでしまった。
「おい、娘、早く腰のものも取ってこれに着替えるんだよ」と同心が急かせるのだ。
その時、この罠を仕掛けた源之助が部屋に入ってきた。
「ほほう、お美和殿、大変なことをしたものですな、ヒッヒッヒ、奉行からのお達しだ、娘は素っ裸のままで吟味しろとのことだ。囚衣は着せることはない、そのまま亀甲縛りにするんだ」と源之助は岡引達に言った。
「えっ、素っ裸のままでいいのですか」
「かまわぬ、厳重に縛りつけろ」と源之助はニヤニヤして言うのだ。
 役人達は薄笑いを浮かべ体を折り曲げしゃがみ込んでいるお美和の手を無理やり背中に折り曲げ、華奢な手首を揃えさせ縄を巻きつけていった。
 お美和の膨らみかけた小さな乳房の上下に、痛々しく麻縄が食い込んでいく。
 露になった乳房が男達の視線に晒された。
 お美和の頬は恥ずかしさに赤く染まっている。
「おい、立たせろ」と同心の声が響きわたった。
 上半身裸のお美和が無理やりその場に立たされた。
 すぐに、お美和の縄尻は天井の滑車に通され、その縄尻が男達に引かれつま先立ちの状態まで吊り上げられた。


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