後編(2) いつの間にか気を失っていた。 あのままディルドゥと指で何度もいかされ、百合子は悲鳴をあげて何度となく失神した。 だがすぐに起こされ、尻を叩かれ、アナルまで弄られた。 涙と唾液が顔をぐちゃぐちゃにし、未だに股間は痙攣を起こしたかのようにひくついている。 (もう…嫌…) こんな目にあうことに、百合子は限界を感じていた。 毎日与えられる気の狂うような快楽。 だがけして少年は百合子の快楽を満たしてはくれない。今日も結局… (どうして…?) 彼自身を挿入してもらったことは一度もない。 それに触れさせてもらったことすらないのだ。 己の身に与えられる快楽は、確かにこの世のものとは思えない最上のものだ。 だが欲が出る。玩具や指では足りない。男の物が欲しい。それで狂いたい。 欲求不満は確かに解消されている。それなのに、女の体とは難儀なものだ。 放置された惨めな己の体を抱きしめながら、百合子はフラフラと立ち上がる。 軽く目眩がするが、いつまでもここにはいられない。早く着替えて帰らないと。 服を着終わり、百合子はおもむろに空を眺める。 夕方の、薄暗い空。 冬間近だからか、最近は日が落ちるのが早い。 すでに夜のような空を見ながら、百合子は涙を一筋流していた。 *--- いつもと同じ帰り道。ふと霧がこいことに気付いて立ち止まる。今日は雪が降るかもしれないと、天気予報がいっていた。 最近急激に気温が下がっているせいだろう。 (嫌だわ…今日は傘もないのに…) 朝よりも、百合子は帰りの方が気が楽だった。 誰もいない道を選んで登下校している百合子にとっても、下着をつけづに歩くことは苦痛なのだ。 だがそれ以上に快楽を得る体を、百合子は最近憎くて堪らなかった。 だが帰りは特に人通りもなく、薄暗いために羞恥も反撃する。 もう家に帰れるのだという安心感も、彼女の気を楽にさせているのだろうが。 「ねぇお姉さん」 ふと声をかけられ、百合子は足を止める。 他に女性はいない。背後からの声に、百合子は振り返る。 「…私に、何か?」 そこにいたのは、青よりもコバルトブルーに近い髪の、高校生くらいの少年だった。 染めた色なのか、そう思ったが、それ以上にその魅力的な瞳に百合子は立ちすくむ。 すると少年は、ニッコリと微笑んだ。 「お姉さん、願い事とかあるでしょう?」 「え…?」 すべてを見透かすような髪と同じ碧眼は、誘うように見つめてくる。 「ついてきなよ。願いを叶えてあげる。信じないなら構わないけど…来ないときっと後悔するよ」 少年の言葉は信用出来るとかのレベルではなかった。 ナンパかなにかの勧誘。そんなレベルにしか思えない言葉。 …なのに。 百合子の脚は少年を追うように歩き出していた。 *--- 連れられて来た場所は、大きな屋敷の前だった。 少女時代に夢見た絵本の中の城のような外観に圧倒されつつ、百合子は中へと招かれていく。 「僕本当は接客苦手なんだよね。人見知り激しい方だし」 その割に笑顔を崩さない少年を見つめ、百合子は溜息をつく。 屋敷の敷地に入る頃から、少年は何かしきりに楽しそうに話しているのだが、百合子には興味はなかった。 今更ながら何故ついてきてしまったのかと、自分に問い直していたのだ。 こんな子供についてきてこんな屋敷にきて。 (…子供に振り回される人生なのかしら…) 学校の先生だって、やりたい訳じゃない。それでも多少生徒が可愛いと思えるレベルになってきたのに。 「…一体どうして…」 ふと言葉を止めたのは、眼の前に現れた大きなドア。 真っ黒なドアの回りには、色々な色のドアがある。 「ただいま帰りました~」 「ご苦労様。どうぞ」 中から聞こえた声に答えるように、少年はドアを開ける。 そこで百合子が目にしたのは信じがたい光景であった。 「…!?」 部屋の中は真っ黒なインテリアに飾られていて、その中にやっぱり真っ黒なワンピースに身を包んだ少女がいた。 彼女は……!? 「黒河さんっ…」 「おや…誰かと思えば…。先生でしたか」 少女--黒河妖子はいつもの眼の見えない程長い前髪を揺らしながら微笑む。 いや、彼女はいいのだ。その下が問題なのだ。 真っ赤な髪を振り乱し、全裸で四つん這いになっている青年。 その背には、妖子が座っている。 脂汗をかきながら、青年は苦しげにも呼吸しようとしているのだが、口にはボールギャグが噛まされているらしく、その端から唾液が零れているのだ。 そして見える美しい脚線美は震え、その原因が腰の方にあることが目に見える。 青年の双臀の間からは、あるはずのない尻尾が生えていたのである。 それがアナルに玩具を埋められている証であると気付くのに、そう時間はかからなかった。 前頁/次頁 妖子 |
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