後編(7)

「ぁがぁぁあァあアあぁッッ!!?」
「いい声…」

貫かれた乳首が脈打ち、チリチリと神経をあぶられるような痛みに、鬼人は首を横に振って堪えようとする。
が、腕とのチェーンに固定されているせいで少し動かすと首がしまる。

苦しげな鬼人の呻きをBGMに、妖子は二本目の針をとり、今度は反対側の乳首にあてる。
先程よりも今度はあっさりと針を差し込めば、悲鳴も途切れもせずに響き渡る。

「ヒッ、ぁ、あ…ぃぎぃいぃぃいいィぅぅぅうーッ!
 クぅッ…ぐァアあアあアぁアァァーッッ!!」

口端に泡が堪り、白目を剥きつつある鬼人の唇を撫でてやると、おとなしく舌をだしてくる。

「流石に料理人の舌にゃさせませんからねぇ。唇で我慢なさい」
「ん、ぅ…ひゃぃ…」

舌を指で摘まれ爪を立てられると、堪らないのかギュッと目をつぶって鼻にかかった甘い声を出す。
返事にならない返事をした鬼人を満足げに見つめ、妖子は三本目の針を手に取った。

「あぐぅうぅうううっッー!!
 ひ、ぃ…ぅぎゃあ゛あ゛ア゛ア゛あ゛あ゛ア゛ァ゛ぁ゛ァ゛ーッッ!?!」

引っ切り無しに鬼人から悲鳴があがり、首が絞まるのも構わず首を奮って悶えている。
乳首にはあの後一本ずつ増え合わせて四本、唇に一本、二の腕に左右合わせて六本、太腿にも六本、尻に四本、腹や背中に五本と、二十本以上の針が体中に刺され、それも神経まで見通すように痛覚を刺激されるせいで、どこを刺されても絶叫が続いていた。
涙もでないのか、舌を出して必死に空気を求めて喘ぐ鬼人の姿に、妖子は嬉しそうに針を持つ。

「あと四本は…勿論ここに刺しやしょうねぇ」
「ひゃぅう…らめぇ…も、ふぁあァ…ッ」

言いながら妖子は、先走りが零れるピアスまみれのペニスを撫でてやる。
これだけの針を、二時間近くかけていたぶりながら刺されているというのに、鬼人のそこは萎えるどころか射精寸前まで張り詰めている。
今にも白濁を零しそうな先を突くと、トロンとした瞳と声が返ってくる。

「そ、こ…刺したら…い、ちゃうぅ…」
「おやおや、お前はこんな敏感な場所に針を刺されて、いたぶられていくような変態なんすか?
 体中刺されてるのにここをこんなにして感じて…何ていやらしいマゾなんでしょ。そんな子にはちょいとお仕置きをしやしょうねぇ」

妖子は、お仕置きという言葉に嬉しそうにビクンと震える鬼人を尻目に、棚の1番上に入っているリングを取り出す。

「変態マゾの馬鹿猫は、どうせ我慢出来ないっしょ?
 ここをいけないようにして、針で虐めてあげやしょう」

リングはなんの変哲もない小さな金色のわっかだが、鬼人はその辛さをよく知っていた。
妖子が魔法をかけてある小さな金のリング。
彼女思う通りに締め付け緩まるそれは、いつも鬼人を極限まで苛む。

外す時はわざとぎりぎりにして苦しめたり、内側に小さな刺を生やしていたぶるのだ。


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