前編(6) 無条件に振り下ろされた爪を避けもせず、妖子の肩から胸にかけてに襷掛けの傷が出来る。 「あの方を…あの方へのあたしの想いを侮辱することは許さないっ!」 威嚇する猛獣のような殺意に、妖子は動じることなく微笑む。そしてゆっくり歩きだした。 「なっ…!?」 わざにより、動けないはずの妖子が突然平然と歩きだしたせいで、ダリアは目を見開いた。 「アンタまるでわかっちゃいない…。いいでしょう。あたしはまだ終わるつもりも戻るつもりも毛頭ありやせんからね。……お相手しましょ」 パチンッ。と妖子が指を鳴らした。その音が空間に響いた瞬間、床や天井が歪みだした。 「ッ…ここはっ…」 妖子の館だ。それもあの銀色のドアの部屋。調教具の揃った広いホール。 「ようこそ。あたしの空間(テリトリー)へ」 ニッコリ微笑む妖子の服が変わっていく。胸元と局部だけを隠すような水着のようなドレスが纏われ、腰から下にだけスカートの裾のようなレースが現れる。 「くっ…いつのまに…どうやってあたしの術をッ…!」 「…あの男の力を八割以上コピーしてるあたしにゃ、他人の空間を自分の空間に転じることくらい訳ないんすよ」 憎々しげに後ずさるダリアに冷笑を向け、妖子は前髪をかきあげる。その腕を下ろす事なく、そのまま横一文字を切った。 「ッ!?」 ダリアの腕と足に、鎖が絡まり一気に引き上げる。 X型に宙に浮く体制になったダリアは、必死にもがいて鎖から逃れようとした。 だがいくら魔力を込めても、鎖はじゃらじゃら音を立てることすらしない。 「…元々平和主義者なんすよあたしは。だから、アンタがこれきりにしてくれるってんなら、すぐにでも解放しやしょ」 「こんな拘束をしておいて何をいけしゃあしゃあと!」 「だってこうしなきゃ、アンタ攻撃するっしょ」 あっけらかんとした口調で言うと、妖子はニッコリ微笑む。 「あたしの一件から、手を引いてくれやせんでしょうか? 出来れば可愛いお嬢さんに手荒なことしたくねぇんで」 「フンッ。アンタに屈服するくらいなら、死んだ方がマシよ!」 ダリアは憎悪の篭った瞳で妖子を睨み付ける。 「…やれやれ、仕方ありやせんねぇ」 溜息混じりダリアの服を見つめると、前触れもなくダリアのドレスが消える。 真っ白な裸体があらわになり、ダリアはますます悔しげに唇を噛み締める。 体の割に少し大きめの胸が惜し気もなく曝され、胸の先端はつんと上を向いている。 くびれはあまりないがプルンとしたかわいらしい尻と大きめの胸のおかげで、凹凸がはっきりしている。 「条件呑む気になったら、言ってくださいね」 妖子はゆっくりダリアの側に来て、その具合のいい胸に触れる。 「ンンッ…!」 同族故か妖子の全身媚薬効果はあまり見られないが、それでも充分敏感なのがよくわかる。 「…胸、ご立派っすねぇ…少し鳩胸みたいだけど、かわいらしい乳首の色をしてらっしゃる」 前頁/次頁 |
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