第1話

 学校の給食に出る豆まき用の豆は、明らかに子供の数ではない。子供達は残すでもなく、全部平らげて満足している。
 そんな中、豆を摘みながら妖子は溜息をつく。

「ホントなら何粒食べなきゃなんないんすかねぇ…」

 実際は何百と生きて来た彼女の分の豆は、高々30程の袋では、賄えないのである。

*---

 屋敷に戻ると、いつものように怪が預かった娘達の調教をしていた。
 三人の少女達は、メリーゴーラウンドのような責め具に乗せられていた。
 言わずもがな、座席の部分にはバイブが取り付けられ、下から生えたそれは馬の上下運動の度に抜き差しされる仕組みになっている。
 更に乳首のピアスは床からゴム紐で繋がれている。
 つまり木馬が上がればピアスが引かれて乳首が痛み、木馬が沈めば膣内を暴れ狂うバイブが責め立てるのである。

「ヒッ、ひぃいーっ!!」
「お許しをっ!あ、あ、もうやめてぇえっ!!」
「キィーーッッ!?ち、ちぎれるぅっ!?」

 少女達の悲鳴が不協和音を奏で、怪はそれを見ながら時折悲鳴がやみかけたり気を失いそうになった者に鞭を与えて覚醒させていた。
 もっとも三人共悲鳴を上げ疲れるくらいで気絶など出来る状況ではないのだが。

「精がでやすねぇ」
「お帰りなさいませ、妖子様」

 頭を深々下げる怪を横目に、妖子は悶える三人を見つめる。そこでふと、口元に悪戯っぽい笑みを浮かべた。

「…怪。今夜、豆まきしましょうや」
「? はい、こちらに来てからは毎年していますから、今年も…」
「じゃなくて。今年は…この子達とするんすよ」

 妖子は、少女達の悲鳴を聞きながら、そう囁いた。

*---

 四人の食卓は、大きなテーブルのある食堂。そこからは公開調教や拷問を行う、更に大きなホールが見渡せる。
 ホールには、首輪とピアス、恥辱を誘う拘束具以外付けられず、X字に張り付けられた三人の少女。

 夕方調教を受けていた娘達だ。一時間程休んだがまだ回復しておらず、これから何が行われるのかと怯えている。

 見ればまだ三人共幼く、中学生くらいの娘もいる。
 彼女達は、バストサイズは様々だが、敏感になるようにと胸を根本から搾り出すようにされ、先端で尖った乳首にはピアスが揺れていた。

 そこに、襟元に黒いファーを付けつつも、臍の辺りまで胸元を開けたボンテージを着ている妖子がやってくる。

「お嬢さん方。今日は節分なもんで、豆まきのお手伝いをしてほしいんすよ」

 豆まき。
 その言葉の意味を理解するのに、そう時間はかからなかった。自分達を鬼にして、豆の的にするに違いない。
 少女達の顔に諦めの色が浮かんでいる。

 しかし妖子からは予想外の言葉が発せられる。

「鬼になんてしやせんよ?」
「ぇ…?」

 不思議に思って顔を上げた少女達の前には、妖子のペットである三人の調教師達が立っていた。


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