前編(1)


平凡。平和。普通。日常。

素晴らしい言葉だと思う。

それが当然(まぁ当然のことだからなのだろうが)だからといって、刺激を求めるなんて、大変不可思議だし、不自然だ。ナッシングなのだ。

それなのに…

*---

「--…つきっ…おいっ光輝!いつまで寝てやがる!とっとと起きやがれ!」

俺、天童光輝(てんどう・みつき)。今年から晴れて高校生になり、実家から離れて下宿しながら生活してる平凡な少年だ。

成績だって真ん中よりちょっと上だし、背だって普通だ。顔はちょっと中性的らしいけど、女に間違われるほどじゃない。
両親も健在だし、金持ちって程贅沢して生きて来た覚えはない。

至って普通だと思わない?
だがそんな平凡さとは掛け離れた世界が俺の回りには広がっている。

「…おりょう、ドア蹴破らなくても起きてるから…」

ドアをブッ壊す勢いで入ってきたのは、築館龍香(つきだて・りょうか)。
俺の一つ上の親戚で、あんな乱暴な口調だが、れっきとした女だ。

襟足が長いくらいのショートヘアは、日本人にしては少々金に近い亜麻色。
瞳は青く、睫毛も長い。タッパは俺よりもあり、制服から覗く腕や脚は大変引き締まっている。

「大の男がギリギリまで部屋でグータラしてんじゃねぇよ。ちったぁ早起きして体力作りくらいしたらどうだ? 生っ白い体しやがって」
「ハイハイすみませんね。用意したら行くから玄関にいてくれ。着替えられない」

そういうと、龍香はムスッとしたまま階段を降りていく。
黙っていれば綺麗なんだよなぁ…けど俺より男らしい顔立ちと体型って、どういうことだ?
制服に着替え、俺は階段を降りてキッチンにいく。

下宿といっても、父方の親戚の人の家に泊めてもらっているだけだ。
食事はたまに用意されるが、よく出掛ける人なので基本自分で。俺は朝飯は面倒だから食べない派。
そしてさっさと俺を玄関で待っているだろう三人の元へ向かった。

壁に寄り掛かって待っていた龍香の側には、二人の美少女がいる。

「おはよう光輝」
「おはよ、ミオ」

読んでいた小説を閉じながら挨拶をしてきた少女は幸生美凰(ゆきお・みおう)。
腰まで伸びた黒髪が美しく、上品なのがひしひしと空気で伝わってくる。
それに反比例するかのような蒼い瞳は、人形のようだ。和服を着るとよく似合う、大和撫子系。

「あれ。今日も朝抜き?」
「まぁな」
「体に悪いょ~?」

悪戯っぽく笑う少女は羽永真麟(はなが・まりん)。
二人よりは背は低く、中学生くらいのサイズなのに、胸ははち切れそうなくらいでかい。
ロリ顔巨乳って男の夢だが、セミロングの紅い(といっても赤茶の、世間ではワイン色といわれる程度だ)髪を揺らす真麟を見ると、確かにときめく物がある。

三人は、俺の実家の天童の分家の子達で、実家からでて『修業』しなくてはいけない俺の世話役としてやってきた…というか、俺より世間にでるの一年早いから待ち伏せていた感じだな。



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