第1話

 女性向け風俗?
 性感マッサージ?

 そんなものの存在を知らされたのは、私が商社のOLとして二十五歳を迎え、友達から相談を受けてのことだった。
「ねえねえ、美恵。ちょっと興味あるんだけど、安全なのか気になるじゃない?」
「いや、まあ……」
「安心してくつろぎたいじゃない?」
「普通のマッサージじゃいかんのか」
「そうなんだけど、やっぱり興味あって……」
 縋るような目つきで私を見てくるのは、さしずめ自分が行くのは怖いから、まずは私が試しにサービスを受けて来てはくれないかという目論見あってのことだろう。
 ……やばいって。
「普通は逆じゃない? どうして女が男に金を払って」
「確かに良い人と素敵な経験って方が理想だけどさ。そうもいかないじゃん?」
「だから金を払って素敵な時間を買ってみようと?」
「そういうこと!」
「ふーむ……」
 性欲があるのは悪いことではないのだろうが、果たして貞操観念的にセーフといえるか。よしんばセーフということにしたとしても、本当に安らぎの性感サービスなど受けられるのか。
 春野恵美、今年で二十五歳。
 男日照りの私とその友達は、彼氏を持たない数年間を共に過ごした底辺の仲である。社内にはイケメンらしきイケメンがおらず、まあ顔の良し悪しは横に置いても、仕事の出来る性格良好なイイ男は他の女子社員に持っていかれている現状だ。
 社内には良いと思える男が残っていないが、かといって外で出会いがあるわけでもない私達は、つまるところ一人寂しい肉体を持て余している。
 ならばお金を払ってでもという発想になることで、ホストにハマる女というのは誕生するわけなのだろうか。
 いや、わかんないけど。
「ねえ、いいでしょ恵美。試してみない? お金は私が半額出すから」
「そんなことを言って私を生贄にされても困りますぞ」
「わかった! じゃあ、駄目だったらどこでも好きなお店で奢ってあげる!」
 そこまでして興味があるとは、ちょっと心配になってしまう。
 ここで私が断ったとて、この子なら仕方なく自分で店を訪れて行くだろう。そこで万が一危険なことになったらやばいのでは?
 大げさな心配かもしれないが、例えば金を出したのは女の方なのに、男の方がフェラチオだとかを頼んできても、サービス業としては最悪だ。安全性ばかりでなく、癒しとくつろぎがあるのかどうかも重要だ。
 ネットでレビューを見ればいいのだが、本当のところは自分で確かめるしかないだろう。
「本当にどこでも?」
「うん! 約束するから!」
「で、半額出してくれるの?」
「うん!」
「ならば致し方あるまい」
 私が結局引き受けたのは、マッサージには小さな思い出があるからだ。

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検査や診察で女性の(主として少女の)体を隅々まで調べ羞恥を煽る官能小説。
少女の頬が桜色に染まるのを眺めているような錯覚に陥ります。

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