第5話
びゅっ! びゅるびゅるびゅる! びゅ、ぶびゅるううぅぅぅぅっ!
「んっ・・・く、あ、ああぁーーーっ!」
背筋を反らし、膣と腸に注ぎ込まれる快感に身を灼き、ありったけの声で叫ぶ
どぷっ、びゅうぅーっ、びゅう、びゅぅぅぅ、どぴゅーーーーー・・・
子宮内に侵入した舌からも精汁が迸り、子宮全体をねっとりとした白に染め上げていく
それは強い粘性を持ち、半ばゼリーのようになっていた
一体どこからくみ出されるのか、大量の、成人男子の何十倍とも言えるほどの量が放出されている
その圧倒的な質量は、瞬く間にラァラの子宮はおろか、卵管、卵巣までもを占拠した。限界を超えた量により、ラァラの下腹部はまるで妊婦のように膨れ上がり、熱を帯び始めている
ごぷごぷと、胎内に注がれる音がラァラの耳に入る
次いで、身体中を弄っていた触手たちも射精した
びゅぅっ! びゅくっ、ぶびゅっ! ぶしゅ、ぶしゅぅ!
どびゅ、どびゅ、どびゅっ! ぶしゃぁ! ぶしゃぁぁぁっ!
くぐもった水音が響き、少し黄色がかった精汁がラァラに振りかかる
強い粘性を持つそれはラァラの至るところに付着し、白い胸を、腹を、腕を、脚を、美しい銀色の髪を汚して行く
未だ精汁を吐き続ける触手を、ラァラはどろりとした液体のついた手で、いとおしく擦る
「あはぁ・・・いいのぉ・・・。もっと、もっとかけてぇ・・・あははは・・・」
すでにその瞳にはかつての輝きはなく、澄みきった闇が支配していた
ずるる、という音を伴い、胎内から触手が這い出てくる
ごぽっ、ごぽぽ・・・
ラァラの流した蜜と、破瓜の血と、触手自身が出した精汁とが入り混じった薄桃色の液体が、だらしなく開かれた秘腔からあふれ出る
冷たい石の床の感触を背に、熱い精汁の奔流を脚に感じながら、ラァラの意識は闇に沈んだ
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意識の中、ラァラはふわふわと漂っていた
身体中に力は入らず、ただ、ふわふわと漂っている
だが、不快とは思わない
空に浮いているような、水の中を漂うようなその感覚は、むしろ安らぎを覚える
ふと、ラァラは指先に妙な感覚を覚え、気だるそうに指先を見た。そして、我が目を疑った
指先がまるで砂のように、音もなく崩れていく
崩れた砂は意識の中に溶け込んでいく。自分が、なくなって行くように
失い掛けた心が、恐怖に打ち震えた
「いや・・・いやぁぁ・・・」
だが、もう逃げられない
いかに涙を流しても、懇願しても、悲鳴を上げても、聞き届けられる事はない
ただ、消え去るのみだ
「やだ・・・助けて・・・誰か、助けてよぉ・・・」
指先から手首、手首から肘、肘から肩・・・ラァラの見ている前で、次々と崩れ、溶け、消えて行く
脚のほうも、つま先から足首、足首から膝、膝から股へ・・・同じように、崩れて、消える
ついに腹が崩れ、胸も崩れ始めた
「いやっ! 消えたくない! 消えたくないよ! 誰かっ・・・誰か助──」
慟哭の叫びは、最後まで発せられることはなかった
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漆黒の闇に染まった石牢の中で、白い影が起き上がった
未だ身体中に粘液をこびりつかせたラァラである
緩慢な動作で立ち上がると、顔に張りついた精汁を拭う
だが、ぬるりとしたそれは一筋縄では剥がれてくれそうにない。少し手に力を込めると、精汁はその整った顔面から未練がましそうに糸を引きながら剥がれた
重力にしたがって垂れ落ちる精汁を伴って、ふらふらと歩を進める
その先は、今まで自分を犯していた血肉の塊であった
ラァラはゆっくりと、それにむかって手を翳した
「[滅(ルイン)]」
ぼじゅうっ!!
かつて覚えた、単音節の禁呪を唱える
影響を受けた塊が煙を吹き上げながら、じわじわとその存在を虚無へと食われていく
食われていく様を尻目に、ラァラは壁に立て掛けられた錫杖を握った
「・・・これでもう数百年は保ちますね・・・これで心置きなく、新たな呪法を刻み込める・・・」
ラァラは──いや、かつてラァラだったものは、その口元を、にやりと歪めた
完
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