<第31話:ディナー>

夏とは言え、流石に外も暗くなってきた。
恵はシャワーを浴び、身支度を整え直すと、ベットルームのソファーに座ってぼんやりと外を眺めていた。
昨夜の搭乗口で見せていたキリっとした雰囲気は無いものの、髪型も綺麗な夜会巻を作り直し、メイクも洗顔をして塗りなおされている。
ソファーに座って斜めに下ろす黒いパンストに包まれた美脚と黒光りするパンプスも健在であり、見た目だけは十分に美人CAとしての体裁を保っていた。

今までの人生で経験したこと無いような酷いことが、こともあろうか乗務中の機内で起こり、醜態を目の前で見ていた客のオフィスに来る羽目になった。
しかも応接室で待っている間に寝てしまい、起きてみたら制服着たまま破廉恥な姿で座り、股間から流れ出た自分の愛液でソファーを汚す。
そんな私の姿を従業員らしき女性が、蔑むように眺め、そしてこの部屋に案内した。ここに来る道中も惨めな気持ちで一杯だった。
シャワールームに入って鏡を見たら、アイメイクは崩れて目の周りに黒い染みを作り、口元も口紅があちこちに引き延ばされて、何とも酷い顔になっていた。
何故私がこんな目に遭わなければならないのか。誰がどうやって私をこんな目に遭わせているのか。

部屋に例の女性が入ってきた。

「ほら、社長が帰ってきたから準備なさい。」

慌てて恵はバッグを持って、女性の後に続いた。
そのままスイートルームの別室、ダイニングルームに通された。
この部屋は広い。複数のベッドルームにリビングダイニング。一体どれだけの広さを持った部屋なのだろう。
ソファーに男性が腰掛けている。機内販売で対応した乗客である。

「あ、山田様。この度はお見苦しいところを何度も、大変失礼致しました。」

「いや、お仕事大変なんだろうなと思った程度ですよ。気になさらないでください。
 これ、どういう訳か分からないのですが、機内販売で購入した袋に入ってましてね。」

深く頭を下げて詫びる恵に応じつつ、太郎は恵にパスポートを手渡した。
恵もバッグから白い封筒を取り出し、商品とクレジットカードを太郎に返却した。

「時間も遅いですから、食事していってください。用意してありますから。後ほど、ご自宅の近くまで秘書に送らせますので。」

そう言うと、恵をダイニングテーブルに案内した。
ホテルのルームサービスで用意させたのだろう。テーブルには美味しそうな料理が並べられている。
グラスに赤ワインを注ぎ終えると、二人は食事を始めた。

交わされる会話と言えば、他愛もないものばかりであったが、30分は経過したであろうか。
食事も大分進み、終わりが見えてきた。

「もう暫くするとデザートが運ばれてきますから、ゆっくりと待ちましょう。」

「デザートが別にあるんですね。申し訳ありませんが、ちょっとお手洗いに行かせていただきます。」

そう言うと、恵は席を立ち、ベッドルームに入っていった。
恵は食事の途中から、妙に体が火照ってきていた。
最初は空腹に入れたワインのせいかと思っていたのだが、次第にアソコも疼きだしたのが気になっていた。
機内であんな事があったし、心配だからちゃんと確認しないと。
そう思いつつシャワーブースに入ると、スカートの中に手を入れて、ストッキング越しにアソコの辺りを触ってみた。

「やっぱり。。。」

悲しそうな顔をしならが、恵は呟いた。
気のせいではない。やはり湿っている。
恵はその場でストッキングとパンティを下すと、空港で購入した制汗ティッシュでアソコ、そしてパンティを丁寧に拭き取った。取り敢えず気休め程度にはなるだろうと考え。
もうこれ以上は居たくない。どうにか帰れないだろうか。これ以上いると、また機内で晒した醜態の二の舞になり兼ねない。
そう思いながら、恵は身支度を整え直し、鏡でメイクや髪形をチェックして、リビングルームに戻った。

長椅子に太郎が座って恵を待っていた。テーブルにはボトルとフルーツが置かれている。デザートワインであろうか。
太郎は恵に気が付くと、立ち上がってソファーに促した。

「今さっき届いたところです。デザートタイムといきましょうか。」

「美味しそうなフルーツですね。有難うございます。」

恵は太郎に促されるまま、並んでソファーに腰を掛けた。

「実は、プレゼン用の資料が部下から届きましてね、これからモニターで確認したいんですけど、よろしいですか?
 実は内容が航空関係ですので、高橋さんからも忌憚ない意見を伺えると嬉しいと思って届けさせたんです。」

「そうなんですね。私でお役に立てることでしたら、喜んでご協力させていただきます。」

「それは良かった。では、デザートをいただきながら見ましょうか。」

どうやら簡単には帰れなさそうだ。何とか醜態を晒さないように気を張って、乗り切るしかないか。
それにしても、この疼きは何とか止められないだろうか。まさか、どこかでまたバイブなんて入れられようものなら。いや、考えるのは止そう。
今は山田様と私、二人しか居ないのだから、何処かで隙を見てなんて事は無い筈。無いと信じたい。

悩む恵を横目に、太郎はモニターのスイッチを入れた。
二人が座るソファー前の壁に掛けられた大型液晶テレビが起動し、画面にタイトルが映し出された。



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画像は相互リンク先「PORNOGRAPH」CAアンリ様からお借りしています
(原寸より縮小しています)






























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