第6章 ―堕落する聖職者(1)―
「じゃあ放課後お待ちしてます。」
ピッ…
俺は電話を切る。
ふと思ったが目の見えない炎之花に非通知は意味がなかった。
そんなくだらない考えを振り払い、通学の準備をする。
誰もいない家。両親は仕事でほとんど家にいない。半独り暮らしの状態。
俺は朝飯を済ませ、髪型を整え、家を出た。
「ふあ~…眠い。若さを過信しすぎたか…」
あの後、立て続けに一美と綾香の相手をしたため、寝たのは3時ごろだった。
「午前の授業は寝よ…」
ブツブツと独り言を吐きながら学校までの道をゆっくりと歩く。
「うるせぇんだよ!」
律海女子の前を通ると勇ましい女の声が聞こえてきた。
その声の方を見ると、ミッション系の学校に似つかわしくない女がいた。
金髪のロングヘアに170後半くらいの長身、そして明らかに校則違反なミニスカート。
更には耳にピアス。律海の制服だから生徒なのだろうが…
たぶん服装のせいで風紀委員かなにかと言い争っているようだ。
「あんな生徒がいたんじゃ炎之花も大変だな。」
俺はさほど気にせず歩いてその場を離れた。
…
…
…
学校で適当に授業を受け、放課後友達と一時間ほど話した後喫茶店に向かう。
カラン…カラン…
「いらっしゃいませ~」
「綾香さん、こんにちわ。アイスコーヒー1つね。」
「はい。そこ座ってなさい。」
いつも通りな綾香。これを見ると奴隷とは思えない。ここら辺にコイツの切り替えの良さを感じる。
「炎之花さんは?」
「ん~まだ来てないわね。あの娘気に入った?」
「まぁね。次はもっと仕込むつもりです。」
「頑張りすぎて壊さないようにね。」
「ええ。壊れた奴隷なんざ興味ありませんから。…綾香さんも壊れるギリギリまで調教してあげますよ。」
「…楽しみにしておくわ。」
綾香は顔を赤らめ、調理に取り掛かった。
カラン…カラン…
その時扉が開き女が入店してくる。
軽くウェーブのかかった肩辺りまでの黒髪、白いスーツ、紺のタイトスカート、デカイ胸、くびれたウェスト、綺麗な尻、炎之花だ。
相変わらず美人。垂れ目気味な大きな目、光を失い黒く濁った瞳、スッと筋の通った鼻、少し厚めの唇。この美人をまた抱けると思うと股間に血液が集中する。
「ああ炎之花さん。ちゃんと来ましたね。」
「来たくて来たんじゃありません。写真を返してください!」
他に客がいないとわかったのか、いきなり怒鳴り始める。
「嫌です。あれは炎之花さんの脱処女記念にとっておくつもりですから。」
「ふざけないでください!」
「ふざけてないです。…ふぅ…ここじゃ商売の邪魔ですね。場所を変えましょう。ついてきてください。」
「嫌です! また私に変なことをするつもりですね!?」
「ええ、そうです。まぁ嫌と言っても拒否権は無い。ついて来いと言われたら黙ってついて来い。」
「ひ、酷いぃ…」
少し声を強めて言ったら、炎之花は泣き出してしまった。
俺は気にせずに炎之花の手を引き店を出た。
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