官能小説『父親の面影を追い求め』

知佳 作



桂子(image)





11 したくてたまらない夜が来る 貸し出し

桂子を貸し出し覗き見
 古の昔、その喫茶が華々しく開店したころ文化を求め通い詰めていた若夫婦がいた。 見た目普通の町家だったが、引き戸を開けるとコーヒーの香りが漂ってくる。 元々の造りが造りだっただけにそれに合わせるべく中はウエスタン調の飾りが施された。 わけても珍しかったのはカードゲームでコントラクト・ブリッジというとても頭を使うゲームを店長を囲んで顧客が繰り広げていた。 それにのめり込んだのが件の若い夫で見る見る間に負けが込み、とうとう妻をして大勝ちした顧客の質草に使ってしまったのだ。

両親と同じような運命を辿ることになった桂子
 その賭場で大勝ちした地区の有力者は裏の小部屋を利用し、夫の目の前で妻を寝取り性興奮で男の持ち物と絡まり合う彼女のアソコの具合を魅せつけた。
最初こそ嫌だと口にし夫に助けを求めていた妻も、脇で夫が寝取られに興奮し助けるのも忘れ自慰し始めたのを見て、ついに観念し彼女を口説くために苦労してくれた漢への情と背徳ゆえの突き抜けるような快感に負け抜き差しならぬ状態に陥りながらも振り払うことができず、ついに 「来て!」 と口にし他人棒の胤を奥深く迎え入れてしまう。

妻が快楽に溺れ孕ませられたことを知った夫は借金をひとりで背負って失意のうちにいづこともなく消えた。

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 この時彼女の耳元で甘い言葉を囁き天国に導いてくれた漢は彼女が彼の言いなりになり始めると面白さが失せたからと彼女を捨てた。 それに加え夫に去られ、寂しさのあまり妻は方々歩き周るようになり、やがてそれが好色な男たちの目に留まり慰み者になっていったのである。
むろん、手を否、真ん中の足を伸ばしてくるのは金持ちの老齢の男たちと決まっていたが・・・ 妻こそ渾身の力を出し切り抱こうとするこの老齢の男たちに、夫もそうなら夫を騙し彼女を寝取った男も去った今となっては久しくご無沙汰だったこともあり夢中になってしまったのである。

したくてたまらない夜が来る女たちにとってこれらの男に対するワレメの貸し出しは快楽はもちろんのこと己の生活を支える為にも必要不可欠だったのだ。
喫茶のオーナーの本来の仕事はそんな女を見つけ出し男の世話をしてやり彼らからの上がりも得、時に自分のモノを使い満足させつつ惚れてくれるまで嬲ってあげていたのである。 つまり床師とか竿師と喫茶のオーナーを掛け持ちしていたのだ。
逸物がいつの間にか強く逞しくなり、女たちの扱きに耐えれるようになったのもそれが理由だった。

オーナークラスになると亀頭の先で子宮や膣内を調べることにより胤がついてしまうような危険な状態にあるか、ナマ中で大丈夫かを計ることができるという。
ワレメの中がいつもよりやや微熱を帯びとろけるように柔らかくなって引っ張り込むような動きをみせるようなら危険信号とみてよいのだとか。
この地区は過疎故狭い、しかもこの時代この喫茶は女のシモの処理を専門に請け負っておりどこのなんという女がそんな発情状態になって困り果てているかを職業柄知り尽くしていたのだ。

そんな状態にある時こそ怒り狂った逸物を心行くまで口に含ませ、或いは触らせ惑乱させてやってから改めてワレメに挿し込み中を掻き回し征服してやるのだ。
この際中に出したくて胃がせり上がるが耐えなければ堕とせない。
女の方が満足しきり飽いて放してくれるまで挿し込み続けなければ他の男に走られ後々悔やむことになる。

親子ほど年の違う嫁さんを貰うと早死にするとよく言われる。
それだけ歳の離れた女を娶ると奪われないよう、逃げないよう嫁さんに対し昼夜を問わず一生懸命尽くすということのようだが・・・
傍目から見てもオーナーと桂子はまさにそんなカップルだったのだ。

本来己が望んだ普通の喫茶をお金に目がくらみ業界の手を借りて賭博場に仕立てた。
それだけならまだしも、郊外のある喫茶を見習い少々小銭が貯まったからといい気になって若い女を引き込み、お客様の前で平気で乳繰り合ったのである。
ここまで育て上げてやったのにと、顧客はもちろんだが業界の中でも賭博に手を染めなければならなかった下っ端は良い気がしなかった。

加えて地区を上げ業界締め出しにかかっていて、その矛先が実行犯である下っ端に向けられていたのである。
下っ端としては逃げおうせ、当分の間凌ぐためまとまった金が欲しかった。
なのに上納金を利率どおり納めない輩がいる。 ならば己の力でせしめるほかなかったのである。

業界上層部が絡むゲーム賭博ならではの集金、しかも業界自ら乗り出し売り上げが上がるよう台の調整にかかっている。
この期に及んで勘違いも甚だしいが、オーナーは桂子に危害が及ばないよう懸命に調整に手を貸したものだ。
それゆえトラブルがあったその日の夜は桂子を業界に晒さないよう追い返していた。

抱いてくれなかったことに腹を立て、しどろもどろに言い訳を繰り返すオーナー。 桂子はつっけんどんに 「わかってた、そんなこと」 と言い放ってしまった。
「そうか・・・悪かったよ桂子ちゃん。 埋め合わせはちゃんとする」

大の男が小娘に素直に謝った。 桂子は返す言葉に窮し、背中に抱きついて泣き出してしまった。
開店前の下ごしらえでてんてこ舞いのこんな時間と言えばこんな時間、よりによってキッチンで淫交を始めてしまったのだ。

が、そこは年配者。  軽く味見を済ますと気持ちをすぐに切り替え 桂子をなだめつつ桂子の歩調に合わせ、何事も無かったかのように支度に取り掛かってくれていた。
いよいよ開店の時間になり桂子が表のドアを開けると昨日までの雰囲気とは一変するような空気が表に漂っている風に、桂子には思えてならなかった。

建物の角々に誰かがいて、こちらをジーッと見ている風に思えたのである。
桂子の寝姿を覗き見て自慰してくれてたオーナーのような視線と違って、やたら鋭い刃を突きつけられているよな感覚を覚えたのだ。
いくら鈍くても桂子にもそれが誰なのか分かったような気がした。 

上納金が大きければ大きいほど業界は至れり尽くせりでバックアップをしてくれる。 が、一旦上納金が減ったり滞ったりしたときの、その後の取り立ては存外厳しかった。
仲間と己らに飯を食わせ小遣いを与えてくれる兄貴分と思わなくなったのだ。

何かあったとき業界はすぐに駆けつけ対処にあたってくれる。
そこまでは良いとして、その直後から草鞋を履かない (とんずら) か、見張りが四六時中店に張り付く。 風体の怪しげな人物がうろつく、それは客足にも影響する。
ゲーム機に向かい数万賭けると遊ぶ側の癖が読み取れる。 するとセットを変え業界がうろつく。 こうなると一時的に儲かったとしてもその後は客が恐れをなして来なくなるのだ。

それでも上納金を減らしてくれるなどということは、仲間ではないと見たら決してない。
借金してでも納めなければ店は厳しい取り立てにあう。
オーナーも必死に上客に電話でツナギを取り、なんとか呼び寄せはしたがいかんせんセットが替えられたゲーム機では客は金をほとんど落とさなかった。
怖くて仕方がないから元のパチンコ屋に走ってしまうのである。

上納金の差額は借金として残った。
これまで、なぜ小さな扉の奥に同じようなゲーム機が並んでいるか桂子にはわからなかったし、その場所に客の姿を見たこともなかった。 が、ここに来てその理由がわかった。 そこに夕刻、表看板を下ろして小一時間、目つきの鋭い客が入ったのだ。

それも、見も知らぬ客ばかり入った。
喫茶の注文など一切取らないでただひたすらゲームに熱中する連中。
後で知ったことだが、遠く離れた場所に住む博徒相手に三度の飯より好きな金持ち相手の表とはレートの桁が違う賭博が興行されていたのだ。

ゲームが引けるのは明け方近く、オーナーは軽い仮眠をとって昼の開店に備える日々が続いた。
それでも稼ぎはトントンだったという。 サラ金への借金は日ごとに増していき苦境に立たされた。
常人ならここで担保不要の裏のサラ金に手を出すが、業界人とわかると貸す業者はいない。

ある日、疲れ果てて昼寝のつもりで・・・と思うが オーナーは珍しく部屋に入って横になったそうな。 気を張って生きてきた精神が崩壊しかかっていたからだ。
桂子も心配でオーナーの脇に付き添って面倒を見ていた。
その時に、確かに鍵を掛けたはずのくぐり戸が開き、男が独り入ってきた。

オーナーは横になっていた畳の上から跳ね起き、脇のソファーのある場所に青ざめた顔をして下がった。
何が起こったのか、一瞬桂子にはわからなかった。 ただ事ではないということだけはオーナーの豹変した様子で分かった。
おずおずと、部屋を出て行こうとした桂子の手首が、その男に摑まり抵抗を試みたが強引に引き戻された。

オーナに向かい目顔で威嚇する男。 コクリと小さく頷くオーナー。 蛇に睨まれたネズミの如くの有様だった。
そうしておいて桂子を男は布団に投げ出し覆いかぶさってきた。
オーナーに助けを求めたが下を向いているだけで来てはくれない。 だが怯え切っていたはずのオーナーの視線が桂子と男が絡み合う下腹部に熱く注がれていた。

それでわかった。
男はオーナーの女を寝取ろうとしていて、何も知らないうちに桂子はこの男に借金のかたに売られていたのだ。
この世界で言う体の良い貸し出しだとわかった。

オーナーやスタンドの彼との情事の時と違い、男は優しさなど微塵も示さず強引に割入って来た。
衣服は引き裂かれパンティーをも毟り取られそうになり恥じ入ると、オーナーのようにアソコではなく目をまっすぐ睨み返してきた。
射竦ませておいて己も脱ぎにかかった。

剥き身を取り出すと桂子にしゃぶれと目顔で指示する男。
ご奉仕を始めるが、怯えているせいか上手く舌を這わせることができず挿入可能なほどに雄々しくなってくれない。
すると男はやにわにポケットの中から何かを取り出し口に入れた。

ものの数分後、雄々しさを増してくれた怒張にこれならと安心しきり口の中で放精を促そうとして遮られてしまう。
口から引き抜かれた怒張は通常の男根と異なり青筋がくっきりと浮き上がり、グロテスクな形と化していたのだ。
まるで男の怒りをそのまま体現したような、鋭い何かを当てれば血が噴き出しそうなほど腫れ上がった亀頭が今度は桂子の目を睨みつけている。

その気になってのしかかる男の力にかなうはずもないと感じ、桂子は言われるまま剥ぎ取られず残っていたミニなどを全て脱いで男に向かって開いて魅せた。
だが所詮恐怖で怯えている女に愛液など出るはずもなく、男は指に唾をつけ桂子の膣口を荒々しく濡らすと無理やりあのグロテスクな形と化していた逸物をアソコにめり込ませてきた。
薬物を使って怒張させたそれを挿し込まれ強引に深々と結合された。 女とは悲しい。 自分の躰に欲情してくれたと分かると時間経過とともに女の部分がそれに応じ始める。 殊に薬物を使われると中折れという状態が発生しない。 その分女は一気に短時間で快感が全身を貫き始める。 男の真の狙いはそこにありオーナーが貸し出した狙いも恐らくそこにあるものと思われた。 頂点に向かって躍動する牡と牝の痴態を食い入るように見つめるオーナーの目が嫉妬で充血し始め、やおら自分のモノを摘まみだし自慰が始まっていた。
いつかどこかで見た、映画にでも登場するようなシーンが実際に自分の躰を使って行われてたのである。

長い長い時間、桂子は甚振り続けられたように感じたが、終わって男が離れて掛け時計を見るとほんの30分ほどの出来事だったのだとわかった。
恋する、オーナーではない男の侵入。 それを観て自慰に耽ようとするかつての恋人を無視をするよう装うとしたにもかかわらず桂子の秘部の奥底では勝手に女が蠢いて男を扱きあげ三人三様のヒトトキを喜ばせてしまっていた。
だが、男とは悲しいもので終始無表情の桂子に、しかもこの短時間で薬物の効果が失せたのか途中で萎えが始まった。 桂子が萎んだモノを咥えたままでいてくれているのに勝手にさっさとこの行為から降りてしまい挙句 「この淫売が!」 と吐き捨てるように桂子にではなくオーナーに毒づき去っていった。

桂子は乱れてしまった布団も、激しい交合で膣の中から血液交じりの白濁液が漏れ出て汚したシーツも片付けようともせず自分の服をもってくぐり戸を抜け、店側からトイレに飛び込んでそこで服を着てそのまま振り返ることなく帰った。
幸いにも孕まされた様子はなかったことが不幸中の幸いだったが無理強いされたためか出血が止まらず腰に鈍痛が走った。

桂子は、怯えと屈辱で普段なら絶対やらない玄関に鍵を掛け、音も立てず夜を、夫が帰って来てくれるのを待った。
だが、このようにして潜んでいた翌日の昼前、オーナーからではなく業界からの電話で店に呼び出された。
逃げるわけにはいかなかった。 呼び出されて顔を合わせると開口一番、こちらの要求通り客をとれと言われた。
それもまた、オーナーの観ている前で客と寝るように言われたのだ。

夜は違法賭博場、昼間は寝取られ・覗き見を意識しつつ女をひさぐ宿と変わった。
そんなことが何日も続いた。
昼間の店にはむろんゲームをしに来る客はいなくなり、ゲーム機も子供のおもちゃのようなものに入れ替わったが、恐れをなし客足は遠退き無人状態だった。
桂子はその頃は昼間だけ呼び出されていたので深くは知らない。 呼び出された時の雰囲気からして夜の賭場だけが賑やかに開いていたように思われた。

桂子の精神はズタズタだったが、不思議と男たちとの絡みが始まってしまうとそこは男と女、慣れもあり熟し切った躰は素直に挿し込まれた男根に反応し始め、それがまた覗き見しつつ順番を待つ顧客を夢中にさせたようだ。
昼休みのひと時 (表面上は表看板を掲げているように見せかけ) 桂子を抱こうとする客は最初に比べ徐々にではあるが増え、彼女に対する要求はどんどんエスカレートしていった。
オーナーに近寄って観てろと言い、枕元から愛撫をしろと命じ桂子を嬲らせ負け犬になる様子を見て逆に己はいきり勃たせ、桂子が気の毒に思え助けを求める仕草を魅せるも恐ろしさに怯えるだけ。 だから桂子は不貞の興奮からか窮状を訴えるつもりが喘ぎ声を漏らしてしまいそれが男たちの逸物を更に雄々しくさせ、そうなるとそのような状態になった結合部を診に集まる連中もいて乗っかってる男は図に乗り完全に逝くまで責めるようになっていった。

交合中の牡とかつての愛人である牝の眼前に引き出されたオーナーのソレは体内に埋まってしまったかと思えるほどに萎え、男らしさは失われていったのである。
覗き見て勃起させる力さえ無くした男。 桂子の中に、もうオーナーは大好きな男でも憧れた男でもなくなってゆくのがわかった。
諦めた途端獣になれた。 かつての恋しい男の前で借金の質草とはいえのしかかる男との快楽に耽り裏切る歓びを甘受し、かつて夫を裏切った時のようにワンナイトの漢であっても不倫の快楽をも貪るようになっていった。

こうなって初めて、桂子は貸し出される意味を、その喜悦・快楽を躰の芯から知ったし女の内部が男を弄ぶ楽しさを知ったのである。 亀頭冠を肉球でまるで予測フナ能な方向から摘まみ男の性感帯を嬲る動きまでできるように変わっていったようにも感じた。

そんな時である。 「ふん、自分の親のような男にコレを使わせるとはな!」 一見の男が結合が始まってしばらくの頃こんなことを言い始めたのだ。 「いい加減な事言わないで! ウチに父親なんて・・・」 こう言い返そうとするのを制し「ホレッ、あいつのダチがお前の母親を孕ませた胤の主だよ」 憎々しげに言い放つのを聞いて、桂子は初めてオーナーの本当の歳を、母が何処で何をやらかしていたかを知った。

したくてたまらなかったオーナーは父親と同年代でしかも父親を騙しすっからかんにしその謝金のカタに母親を寝取ったと教えられたのだ。 父親が見ている前で母親をオーナーが寝取ってその結合部を魅せ付けたと。

部屋の片隅に博打で家も土地も奪われ放心状態になった老人がボンヤリ焦点の定まらぬ目を床に投げかけへたり込んでいたのである。
この男も覗き見が趣味なのかと嘲りをもって見たものが、そういわれて変わった。 父親が出ていかねばならなくなった理由が業界の仕打ちにあったと悟った。
オーナーも母を狂わせたひとりだったのだ。 堪えがたい仕打ちを受けたことで、やっと桂子の中にあった女が開花したように思えた。

そうしたある日、アルバイトだから仕方ないといつもの時間に出勤してみたが店の扉は開け放たれたまま中は無人になっていて、賭博機も壊され店内も破壊されて廃屋のようになっていた。
数日後、風の便りにオーナーはなきものにされたと伝え聞いた。
あっけない幕切れだった。



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<筆者知佳さんのブログ>

元ヤン介護士 知佳さん。 友人久美さんが語る実話「高原ホテル」や創作小説「入谷村の淫習」など

『【知佳の美貌録】高原ホテル別版 艶本「知佳」』



女衒の家系に生まれ、それは売られていった女たちの呪いなのか、輪廻の炎は運命の高原ホテルへ彼女をいざなう……

『Japanese-wifeblog』










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