官能小説『掘割の畔に棲む女』

知佳 作





 

第24話 ~女囚同士の淫交を勃起力に変え~

 隆宏さんが千里さんを特別な目で見るとき、そこには女囚の一面ももちろんありますがそれ以前に彼女の場合夜伽という合法的ともいえる婚外恋愛・背徳行為がありました。 田舎ゆえそもそもデリもそうならソープなど興奮が治まらない間に辿り着けるような店と言いますか事務所はないのです。

 千里さんが大塚家に入り込んでくれたことで隆宏さんにとってこれらデリやソープに代わる妄想の対象となる女が出来たのです。
 
 彼はひたすらその種の雑誌を読み漁り千里さんにアプローチできる手段を考えました。 奥さんの篤子さんに見つかれば一大事ですので用事で仕事場を離れたすきにまた別の場所で仕事をしている千里さんの元へ走りちょっかいを出し続けました。

 その手法たるや実に単純で、どこやらから拾ってきたその種の雑誌の袋綴じを千里さんが休憩に使う小屋の彼女が疲れて横になる、その枕元に忍ばせておくんです。

 この小屋は時にはおばあさんが手伝いに来てくれることもあるんですが常日頃はお師匠に当たる大塚家の当主 源蔵さんがひょっこり顔を覗かす程度で普段はまず彼女以外出入りしません。 そこにこっそり忍び込み枕の下に置いて帰るのです。

 何も好き好んで山の中で農作業にいそしんでいるわけではないんです。 かつて棲み暮らした藤乃湯旅館にだって田舎とはいえそれなりに情報は溢れ返っていました。

 ところがこの山奥の農場では --- 何も好き好んでではありませんでしたが --- テレビも無ければラジオもない、ましてや新聞・雑誌の類は農業用資材として持ち込むことはあっても読ませるために持ち込んではもらえなかったんです。 なので隆宏さんが計画した通りその雑誌の切れ端を千里さんは貴重な情報源として利用するしかなかったのです。

 後になって忍び込み、その問題の記事がそれなりに千里さんによって利用されていることを知るにつけ隆宏さん、益々千里さんに向かって恋慕の情を深めていきました。

 こうして隆宏さんは千里さんのために彼女にとってオカズとなる何かを暇さえあれば持ち込むようになっていったのです。 それらを利用したであろう痕跡を見つけると隆宏さんはすかさず分身を取り出し擦りました。 放出したものを千里さんの衣類に付着させ愛憫の情なるものを伝えました。 もしも万が一必要とあらば使わせてあげないでもないという意味合いを込めてです。

 千里さんにとってあの優しいおばあさんの気持ちを顧みない隆宏さんに心を寄せる気持ちにはなれませんでしたが男根だの精液となれば別でした。 世間と隔絶した生活を強いられてる千里さんはともすれば藤乃湯旅館で夜伽した折の男の肌の温かみを思い出し女の部分が締め付けられるような感覚に囚われるのです。 そうなった折の自慰たるや正しく女のはしたなさを絵に描いたようないやらしさがありました。

 千里さん、本来ならば大塚家の一室をお借りしているのでそこで寝泊まりしても良いのですが、作業が繁多になるとこの小屋に寝泊まりするのです。 今回のように見られて都合の悪い自慰などを行う場合、この小屋に下手な理由を付けて泊り隆宏さんが持ち込んでくれた雑誌の切り抜きや衣類目掛けぶっかけてくれた精液の類を利用し妄想にふけったのです。

 隆宏さんはだから、いつか近いうちに千里さんの方から年下の隆宏さんのチ〇ポのお世話になりたくモーションかけてくれるんじゃないかと期待して待ちました。 ところが千里さんは一向に隆宏さんのチ〇ポに靡いてくれないんです。

 その原因はどうやら千里さんがこれまで生きて来た生活の中にありそうでした。 女であることを利用されお金儲けのための手段としてオ〇ンコを使っていたからではないかと思え、試しに妻の篤子さんに使うディルドを置いておいたんです。 バイブをとも思わなくもなかったんですが、実際見たことも使ったこともなかった場合、ただ単に子供のおもちゃぐらいにしか捉えてもらえないからでした。 その点ディルドなら見た目にも男根です。 篤子さんも狂喜してくれましたので、まず間違いないと踏んだのです。

 山の作業小屋は夜になると明り取りに蝋燭を使います。 慣れないものにとってこの程度の灯りではモノがよく見えません。 隆さん、こっそり覗き見たからと言って決して千里さんにバレることはないだろうと高を括って自慰を覗きに行きました。 しかしそこで見たのは一心不乱に例の雑誌の切り抜きを読む千里さんの姿だったのです。

 ディルドはこれらの文章を読み疲れた折に凝った首筋を楽にするため叩く道具として使われていたのです。

 千里さんにとって隆宏さんが渡してくれた資料とはまさかに再び夜伽のような仕事に就けば如何にしたら男の人を喜ばせることが出来るか、その学習のために使っているのみに思えたんです。

 しかし実際には千里さん、女として男衆の前で三つ指ついて夜伽を申し出るからには女として男衆が喜ぶ躰でなくてはならぬとワレメから自由自在に愛液を溢れさせる練習を、乳房をピンと張らせ乳首を勃起させる練習を繰り返していたんです。

 自分の中にある女の部分が衰えぬよう修練を積み重ねたと言っても過言ではなかったようなんです。 あの日川辺でふたりの男を相手に乳首を吸わせ、そのお礼にチ〇ポを擦り上げてあげ、終いにはしゃぶって飲み干してあげたのも修練の一環だったのです。

 女囚一歩手前まで行きつき、恋する宮内司に見放された今となっては万が一に備え刑期を終えたら再び女を売って生活費に変えなくちゃならない。 そのための修練を繰り返していたんです。

 女囚同士が欲情を掻き消すため乳首を吸いあったりオ〇ンコを舐め、指マンしあったりというようなことを千里さんはまるで知りません。 そんなことをしなくても躰の空く間が無いほどひっきりなしにチ〇ポを突っ込まれ掻き回されていたからです。

 それとは知らない隆宏さん、意味深な雑誌の切り抜きを読んでは身をよじる千里さんを見て女囚とは如何に男に飢えているのかとの妄想を膨らませ分身を擦り上げていたんです。 存外に立派なチ〇ポを持っているくせに近隣の人妻に声を掛けられない、ナンパできない彼はこのような飢えた女からの申し出を待ち望んでいたんです。

 千里さんから見れは隆宏さんの存在自体、アレの部分ではウザくてしようがなかった。 自分の前から消えて欲しかったんです。

 妻の篤子さんが日頃のらりくらりとして働かず愚痴ばかり並べ立てる亭主に愛想をつかし実家に帰らないのはひとえにこの女囚妄想による亭主の逸物が夫婦生活を潤わせてくれているからでした。

 そうでなければ亭主の隆宏さんと違い同窓生や女子会で知り合った人の亭主を時につまみ食いするほどのスキモノ、つまり婚外恋愛に刺激を求める不貞妻が実家に逃げ帰らないわけがなかったのです。



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<筆者知佳さんのブログ>

元ヤン介護士 知佳さん。 友人久美さんが語る実話「高原ホテル」や創作小説「入谷村の淫習」など

『【知佳の美貌録】高原ホテル別版 艶本「知佳」』



女衒の家系に生まれ、それは売られていった女たちの呪いなのか、輪廻の炎は運命の高原ホテルへ彼女をいざなう……

『Japanese-wifeblog』










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