5.お仕置きされる千恵利
一言も聞き漏らさぬよう大音量にしてからイヤホンを耳に当てる。黒いソファーが置いてあるだけの殺風景な白い部屋が写り、失礼しまーす、と入って来たのは、長身の美女。見紛う筈もないわが妻千恵利だったが、いきなりその格好だけで、俺はアッと思った。
ーーメイド服じゃないか。そんなの聞いてないぞ……
千恵利はごく普通のカフェで制服などないと言ってたのに、画面に現れた彼女はメイド喫茶のウエィトレスみたいなフリフリのゴスロリメイド服を着ていたのだ。おまけにスカートが異様に短くて、すぐにも下着が見えてしまいそうだ。まるでさっきまで鑑賞していたAVの撮影に使われるような恥ずかしい衣装である。そして千恵利はソファに座ったのだが、一瞬白いものがバッチリと見えてしまい、自分の妻なのにドキッとしてしまった俺は、あろう事か中断したせんずりの続きをやりたいと言う衝動に駆られてしまった。見た事のない破廉恥で扇情的なメイド服を着た千恵利はまるで別人のように淫らで、しかしとても魅力的だ。ハッキリ言って、さっきのガキっぽいAV女優など勝負にならないと思った。
「では始めましょう、奥さん。ハイッッ!!」
ビデオカメラに向けて白パンツを見せてしまった事に気付いた千恵利が、必死で短か過ぎるスカートを伸ばそうとしていると、そこに現れたラフな格好の男が大きく手を叩いた。背中を見せているが、声の感じから佐々木に違いない。痩身長躯でイケ面風の所も昔の記憶と合致していた。そして佐々木が手を叩くと同時に、千恵利の様子がおかしくなる。スカートを気にして下を向いていた顔をゆっくりと上げると、目が泳ぎ始めて明らかに普通でない表情に変わったのだ。俺が知っている限りでは、それは薬物中毒患者が正気を失った時の危険な顔だ。そしてゆっくりと立ち上がった千恵利は、あり得ない言葉を口にする。
「はい、ご主人様」
佐々木の前に進み出て立った千恵利は、自分の両手でミニスカートを持ち上げて、妙に小さく股間に喰い込んでいる純白のパンツを晒して見せる、恥辱的なポーズを取った。
ーー千恵利がこんな事を……バカな!
それはまだホンの序の口に過ぎなかったのだが、貞淑で慎ましい妻の姿しか知らない俺にとっては十分な衝撃であった。俺の帰宅をハグとキスで出迎えてくれる千恵利だが、海外経験の長い彼女にとってそれはただの挨拶代わりであり、性に関して奔放なわけでは決してない。彼女が男を挑発するがごときエロポーズを取るだなんて絶対に信じられず、目を疑った俺はこう推測した。
ーー催眠術か。佐々木のやつ、そんな汚い手で……
佐々木が大きく手を叩くと同時に、千恵利は変身したのだ。自白剤だけならともなく、催眠術だなんてうさん臭いにも程があるが、画面の中の信じ難い状況を説明するにはそう考えるよりなかったのだ。
千恵利が術に掛かったのを確認したためか、佐々木の口調も変わっていた。
「よしよし、ようやく自分からご挨拶出来るようになったんだね。えらいよ、チェリー」
「ありがとうございます、ご主人様。あ、あの、チェリーのおパンツをお受け取り下さいませ」
そう言った千恵利は、ヒモ状になって大事な箇所に喰い込んでいた白パンツをずり下ろし、長い足首から抜き取ると、両手で広げて恭しく佐々木に献上していた。愛する妻が操られて憎い男に痴態を晒す画面にしかし、俺は異様に昂ぶるものを感じてしまい、スクリーンを凝視する。そしてどうやらパンツを愛液で汚していたために、千恵利の長い美脚まで濡れて光っているのを認めた時、俺はもう我慢出来なくなってカチカチに固まったペニスを握り締めていた。
「どうしてこんなに濡らしちゃったんだい? チェリー」
「そ、それは……こんな格好が恥ずかしくて」
「チェリーは変態だから、小っちゃくてオマタに喰い込んだパンツをお客さんに見られて、興奮しちゃったんだね」
「……ああ、ご主人様、恥ずかしいですう」
「では今度からサービスタイムになったら、その格好でお店に出るのですよ」
「はい」
「パンツを汚しちゃったチェリーには、もっと恥ずかしいお仕置きしてあげようね。チェリーはお仕置きが、大好きなんだろう?」
「はい。チェリーは、恥ずかしいお仕置きが大好きです」
ーーうう、何をバカな事を言ってるんだ、千恵利。言葉まで操られてるのか?
だが佐々木の次の言葉がますます俺を打ちのめす。何とやつは俺がこの動画を見るであろう事を想定して、千恵利との問答を続けたのだ。
「全くチェリーはどうしようもない淫乱だね。夫の孝志さんが知ったらビックリするだろう。それとも孝志さんもお前がこんな変態で嫌らしい女だって、知ってるのかい?」
「いいえ、彼は知らないと思います」
「そうか。でもチェリーは孝志さんを愛してるんだね」
「はい、もちろんです」
「チェリー、さっきクスリは飲んだね」
「はい、ちゃんと飲みました、ご主人様」
するとここで佐々木はビデオカメラに大接近し、小声で言った。どうやらこの動画を見るであろう、俺だけに聞かせるつもりらしい。
「良かったな増田。チェリーちゃん、お前の事愛してるってよ。クスリは飲んでるから、絶対嘘じゃない筈だぞ」
俺はもうギンギンに猛り狂うイチモツを握り締めながらその言葉を聞く。いつの間にか、これから最愛の妻千恵利に課せられる「恥ずかしいお仕置き」に期待してしまっている、自衛官にあるまじき品性下劣な俺が、それをオカズにせんずる体勢に入ったのだ。
「ではチェリー、愛する夫に隠れて嫌らしい事してるお前にふさわしいお仕置きだよ。孝志さんに見せてるつもりで、カメラに向かってオナニーするんだ」
「はい、ご主人様」
「さあ、大きくアシを開いて、指でおまんこを広げなさい。はい、くぱあ」
無修正のAVではお馴染みのその行為も、どんな女優にも負けない美形のわが愛する妻千恵利の性器だと思うと、俺は脳の血管が切れそうな程に興奮して、せわしなく手を動かし始めていた。そして佐々木は、さらにとんでもない要求を千恵利に吹っ掛ける。
「いつも呼んでる言葉で旦那さんに呼び掛けてオナるんだよ。どんな気持ちなのかも、隠さず言いなさい」
「た、タカくう~ん。見て見て、千恵利のオナニーだよ!」
「旦那が構ってくれねえから、いつも一人でオナってたんだってな」
「そ、そうなのっ! だってタカ君も一人でしてるんだもん。あ~っ! 気持ちいい~っっ!!」
千恵利が張り上げる快楽の絶叫を塞ぐかのように、再びカメラに接近した佐々木は俺に囁いた。
「な、俺が言った通りだろ」
画面の中で完全にトチ狂ったように性器を弄り回し淫語をわめき散らしている千恵利に合わせるように、俺もスパートを掛けていたので、佐々木が何を言いたいのかすぐにはわからなかった。
「あ~っっ!! 千恵利、イっちゃうよおっっ!! 見て見て、タカくう~ん!」
「おっと待った。チェリーの大好きな、お尻の穴にも指を入れるんだよ」
「オ、オシリい~っ! 凄い! 凄いの、タカくう~んっっ!!」
「ドバッと潮を吹かなきゃお仕置きは終わらないよ」
AVでよく見る「潮吹き」はたいてい男優が協力して吹かせているもので、そうでなければただの小便だ。女が自力で潮を吹くなんてよほどの事で、アナルを弄れと言う佐々木のアドバイスが的確だったのだろう。千恵利は尻穴まで性感に恵まれた、感受性の強い女性だったのだ。連れ添って20年近くになろうかと言うのに知らなかった妻の肉体の秘密をこんな形で知らされるなんて屈辱以外の何物でもなかったが、そんな苦渋の思いすら俺を倒錯した興奮に駆り立てる。そしてアナルに指を入れた快感に、半狂乱で取り乱した千恵利が本当にクジラのように自ら快楽の潮を吹き上げた時、俺の股間も記憶にない程の大爆発を起こして書斎の床を汚してしまっていたのである。
作者二次元世界の調教師さんのブログ 女子校生を羞恥や快楽で調教するソフトSM小説が多数掲載。 また、詰め将棋、お勧めの単行本、懐かしのJ-POP紹介、広島カープ情報などコンテンツは多彩。 『新・SM小説書庫2』 |