14.再会

 それからさらに半年後。この春から高校の新米教師として教壇に立つ私は、いつも実習生の頃と同じような黒いスーツをビシッと着こなし、生徒達から憧れの視線を浴びていると思います。とりわけ性欲旺盛な男子生徒達は、長身でスタイルも良く学生時代はミスキャンパスに選ばれた程のルックスである私に皆ムラムラして、勉強どころじゃない事でしょう。教壇からでも授業中彼らがカチカチに股間を張り切らせて居心地悪くしてるのがわかっちゃうんです。ご主人様の精液をタップリ浴びた私は近寄ると危険な程のフェロモン体質になってしまってるんですから。

 だけど、誰もこのタイトなスカートの中に私が黒革T字型の貞操帯を装着してるだなんてわからないでしょう。私はかつて町田先生だったご主人様と奥方様に絶対服従でお仕えしてる奴隷メイド。服装も含めて私の行動は全てコントロールされており、選択の余地などありません。以前は二穴バイブを仕込まれてた事もある貞操帯ですが、身も心もすっかり奴隷メイドとして躾けられてしまった今では、本来の用途で性欲の解消を禁じられてるんです。そのため改造されて常時発情状態にある私の体は浅ましく疼き上がり、頭の中はいつもエッチな事ばかり考えてしまいます。学校でも足繁くトイレに通ってオナニーしてしまうのが止められないんですけど、ワイヤーがサイドに入り、小用の穴の奥に自慰防止板が入った頑丈な貞操帯は完璧に刺激を遮断してしまい、ノーブラの胸を揉み、ピアス穴の開いた乳首を弄り回して気をやるのが関の山。ご主人様や奥方様に貞操帯を外してかわいがって頂く至福の時を待ち望むばかりでした。寝ても覚めてもはしたない女性器は壊れた水道のように愛液を垂れ流して貞操帯の脇から滴り落ち、私はしょっちゅうそれを拭いながら酷く辛い禁欲に耐えねばなりません。でもそうやってイジめて頂いている事自体がマゾヒズムに訴え掛けて、私はかわいそうな自分に陶酔してしまいます。そしてようやく貞操帯を外して頂くと、ご主人様達が呆れてしまうくらいに乱れてしまうのが常であり、それは中毒患者が禁断の薬物にありつくようなものでした。

 実質上は町田家の住み込み奴隷メイドとなった私ですが、親を欺くため偽装結婚の形を取らせて頂きました。でもまるで冴えない中年男のご主人様の内縁の妻としてこの家に嫁ぐと告げると、父も母も猛反対。気でも狂ったのか、それとも何か弱みでも握られてるのか、と勘ぐられてしまいました。それもそのはず、ご主人様はその時点では仕事を辞めて無職状態。親には存在を隠してましたが、奥方様の収入のみで暮らしてたわけですから。私の両親はほとんど怒鳴り込むような感じで何度かこの家を訪れましたが、ご主人様は千寿さんの好きにされたら良い、といつも冷静に応対されて、私は奪うように実家へ連れ戻されました。ところが親がご主人様と別れるようにと、どんなに説教しても無駄なんです。一生町田家の奴隷メイドとして絶対服従を誓い、強力な催眠暗示を施された私の脚はすぐにこの家へと向かってしまうんですから。ご主人様が催眠を解除して下さらない限り私が奴隷メイドである事を辞めるなんてあり得ませんでした。こうして何度か無駄な努力を試みた親も結局諦めるよりなく、今では晴れて町田家から学校に出勤している私でした。

「あ、あのう……今日はかわいがって頂けないのでしょうか?」
「何だって! 奴隷の分際でナマイキなんだよっ!」

 それは一学期が終わり、生徒達は明日から夏休みと言う節目の日の事でした。ご主人様の趣味により、フリフリの超ミニスカメイド服の下に貞操帯だけと言う嫌らしい格好でテーブルの上に食事を用意した私は、床に這いつくばって自分用の食事に口を付ける直前に、ついその言葉を口にしてしまい、奥方様からバシインッと猛烈なビンタを頂いてしまいました。さらに奥方様は私の後頭部を足で踏み付けられたので、トレイの食事に顔が当たって汚れてしまいましたが、手を使って食べてはいけないと厳しく躾けられている私には何も出来ません。

 そんな辱めを受ける事がわかっているのに、つい生意気な申し出をしてしまったのには理由があります。もう4日貞操帯を外して頂けず、本当は毎日朝昼晩愛して頂きたいほどに浅ましい体の私は禁欲も限界。そしてこの淫らなメイド服姿で四つんばいになり、食事に口を付けながら犯して頂くのが、ご主人様の大変好まれるプレイだからです。ひょっとしてご主人様は体調が優れないなどの理由があるんでしょうか? 

「まあまあ。綺麗な顔が台無しだぜ、千寿」
「ふん! 若くて美人ってだけで甘やかされやがって、全くいいご身分だね」

 ご主人様がベトベトに汚れた顔を優しく拭いて下さりながら言いました。

「明日まで我慢しろ。ウンコは大丈夫か?」
「はい、何とか……」

 ご主人様の前で私の口はウソなど吐けません。そう暗示されてるんですから。  

「明日の午前中に大切なお客様が来るんだ」
「そんなに早く、ですか」
「そうだよ! わかってるね、いつものように接待するんだ」
「ああ……はい」

 私の声は期待で慄えていたと思います。それは奥方様の勤めておられたSMクラブのつながりで、この家にやって来られる「お客様」なんでしょう。その人の前でさまざまなSMプレイで痴態を晒す性的な接待が、高校教師を務めながら私の行っているもう一つの仕事でした。稼ぎで言えばこちらの方が本職だとからかわれた事もありますが、ずっと禁欲調教を施されている私にとってもむしろ好ましく、今ではその仕事を想像するだけで体中が期待と興奮で打ち震えてしまう始末でした。服従を誓ったご主人様や奥方様以外の人に責められると、私はより一層乱れてしまうんです。そんな事、口が裂けても言えませんでしたけど。

「だから今夜はオナニー禁止だ。乳もイジるんじゃないぞ、千寿」
「はい」
「お客様の前で目一杯よがり狂えって事だよ。嬉しいか、この欲求不満の奴隷メイドがっ!」
「はい、とても嬉しいです、奥方様」

 もちろんこれも本音です。今日も「おあずけ」を喰らって、貞操帯にガードされた股間からは積もり積もった欲情が火となって噴き出そう。そのため何度も何度も乳房をこねくり回して不完全燃焼のアクメで慰めねばならなかったのに、その代替行為による絶頂さえ禁じられてしまったらどうなってしまうのか、私にもわかりません。だけど我慢すればする程解放された時の快感が凄まじいものとなって私をトチ狂わせてしまう事はよくわかってます。私は恐らくこの世のものとも思えぬであろう素晴らしい悦楽が待っている事を夢見て、悶々と眠れそうにない一夜を過ごさねばならないんでしょう。

「四つん這いになってケツを上げろ! 今日はお客様の前でテーブルになるんだ、千寿」
「コレ外したげるから、ウンコをしときな。でも、気をやるのはまだおあずけだよ」

 次の日朝から私はお客様を接待するための準備です。「人間テーブル」と言うそのプレイはまともな神経の人には信じられないでしょうが、変質的なSM好きのお客様にはとても喜ばれるもの。朝からそんな変態女の格好でお迎えするとは、今日のお客様は特別に大事だと言うご主人様のお言葉に半分納得です。四つん這いの背中に透明なテーブル板を置かれてその姿勢を維持するのはとてもハードなんですけど、その状態でバックから犯されると挿入された途端に気をやってしまう程、私にとっても被虐の歓びを満喫出来る刺激的なプレイでした。禁欲が限界に達している私はもう嬉しくてなりません。ご主人様はテーブル板を置くと私の体にストラップで固定して下さり、奥方様が貞操帯を外して下さると尻穴から一週間近く溜め込んでいた汚物がブリブリと下品な破裂音と共に流れ落ちて、下に置かれた金だらいの中にとぐろを巻きました。

「クソの始末までさせやがって、全くいいご身分だね」
「あ、あ、あ、奥方様、いい~っ!」
「まだイクんじゃないよ」

 奥方様が尻穴の中まで指を突っ込んで排泄物の処理をして下さり、私はその心地良さですぐにも弾けてしまいそうなのを我慢するので必死でした。

「そうだぞ千寿、まだイッチャいかん。お客様が来られるまでの辛抱だ」

 奥方様の排泄処理が終わり、金だらいを持ってトイレに向かわれると、今度はご主人様が改造された体にアクセサリーを付けて下さいました。ビンビンに尖ったクリトリスと両乳首にはキラキラと光る金銀のピアスが嵌められ、女性器の左右のラビアには鎖でピンクのハート型ペンダントが吊るされてブラブラ揺れます。今ではもう全く苦痛は覚えず、その度毎に痛烈極まりない快感が迸って挫けそうになりましたが、ご主人様がイクなと暗示して下さったおかげで何とか絶頂を回避する事が出来ました。でも、ラビアから下にぶら下がって揺れるペンダントと競うかのように、愛液がダラダラと下にこぼれ落ちて、酷くだらしない淫らな眺めだと思います。

ーーああっ! は、早く、メチャクチャにして! イキたいの、もう我慢出来ないいっっ!!

 こんな早朝からの接待なんてもちろん初めてでしたけど、私は間違いなく恐ろしい程乱れ狂ってしまう事でしょう。「お客様」に犯された瞬間、いや触れられた途端、あるいはもしかするとこの人間でなくなった恥ずかし過ぎる姿をその方に見られてしまっただけですぐさま気をやってもおかしくありませんでした。「お客様が来られるまでの辛抱」だと言う催眠暗示が切れてしまうんですから。

 そしてそんな私の気持ちを知ってか知らずか、ご主人様と奥方様は私の口をボールギャグで塞ぎ、目には黒い布が巻かれてしまいました。

「お早うございます」
「久しぶりだな。まあ、入りなさい」
「では失礼します」

 視覚を奪われて鋭敏になった私の耳に飛び込んで来た「お客様」の声は予想だにしないものでした。いつものように年配の男性だろうと思っていたのに、まるで若くしかも男女お二人いらっしゃるようです。私は大いに驚くと同時に「まさか」と言う疑念が胸に芽生えました。夜でなく朝早く来られる事から私の体目当てのSM愛好家ではないのでは? と多少は思っていたんですけど、ではなぜこんな凄まじく卑猥な格好で接待をさせられるんでしょう。それは「お客様」が、町田家の奴隷メイドとして私が仕えてる事を知っている方だからに違いありません。そう考えると、もうこの二人の若い男女が誰なのか、他には考え付きませんでした。

 だけどご主人様と奥方様に出迎えられた若い二人のお客様が家に上がり、「人間テーブル」と化した私の待つ居間に来られるまでの間、不思議なくらい何も特別な感情は覚えませんでした。それはさしたる理由も述べず「内縁の妻」として町田家に入ろうとする私を、懸命に翻意させ取り戻そうと無駄な努力をした両親に対しても、気持ちが揺れる事がなかったのと同じ。身も心も悪魔に売り渡した私にとっては、絶対服従の奴隷メイドとしてご主人様と奥方様に一生を捧げる事こそが生きている唯一の証であり、そのためにはこれまで生きて来た一切のしがらみを絶ってしまうよりなかったんですから。たとえ結婚まで誓ったかつての恋人と再会しようとも、少しも心が動かされる筈はないんです。

 いよいよ若いカップルが居間にやって来て、あたかも卑猥な人間テーブルの存在を無視してるかのように平静を装いながらも緊張は隠せず、大事な話をされるのを聞いて、私は彼らの正体を確信しました。目と口を隠され体には淫らな装飾が施されていても、因縁浅からぬ彼らが私に気付かない筈はありません。そのため、とりわけ男性の方はドギマギとどもっているのがおかしなくらいでしたが、このお二人は近く結婚されるそうで、引き合わせてくれた恩人であるご主人様に、仲人を依頼しに来られたのです。

「ところで、中々面白いテーブルだと思わないか? どうだ、ちょっと触ってみないかね」
「いえ、ぼ、僕にはそういう趣味はありませんので」
「あなた、若い方には刺激が強過ぎましてよ」
「仲人の件、どうかよろしくお願い致します。それでは、これで失礼します」

 女性の方がしっかりした口調で話を切り上げ、結局私には一指も触れずに二人が帰って行こうとすると、目隠しと口枷が外されました。

ーー正ちゃん、菜穂さん、お幸せに。おかしいな、どうして涙が出ちゃうんだろう

 悪趣味の極みのような「人間テーブル」に度肝を抜かれたのか、逃げるようにそそくさと立ち去ろうとする二人の後ろ姿を見た時、どこかに置き忘れて来た人間らしい感情がわいて来ました。スーツを着てもまるで似合わない正ちゃんは相変わらずでしたが、菜穂さんは見違えるように綺麗になっているのが後ろ姿でもわかります。背の低い二人はとてもお似合いの微笑ましいカップルで、私は心の底から祝福したい気持ちになりましたが、なぜか目が急に潤んで視界がぼやけ、せっかく見送っている二人の姿がよく見えなくなりました。

「お前何だって泣いてるんだい」
「触って貰えなくて辛かったんだろう。ホラ、しゃぶらせてやろう」
「そうかい。じゃ、とびきりでかいチンポをやるよ」

 ご主人様のペニスを口いっぱいに含み、奥方様の極太ペニスバンドにズブリと背後から犯されると、途方もない歓喜に包まれて、私の涙はたちまち嬉し泣きに変わっていったのでした。







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投稿官能小説(3)

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