1. 美形だがナマイキな家出少女

「大倉先生、神様になって遊びませんか?」
「何だソレは?」

 今日もクソ面白くもない大学での講義が終わった後、懇意にさせてもらっている中山君と一杯やっていると、彼が突然妙なことを言い出したので俺は驚いた。俺は大倉正樹。九州の片田舎で高校の教員をやっているのだが、教頭になる資格を得るため義務付けられている研修を首都圏のこの大学で受けるため、夏休みを利用して1か月ほど単身赴任で上京しているところだ。妙なことを言い出した中山健二君はこの大学の教育学部の院生で、日本全国から集まった教頭志願者たちと一緒に講義を受けたりワークショップを行ったりしているのだ。俺もそうだが、中山君もあまり他と交わらない主義らしくお互いやや孤立していたので、どちらともなく話をするようになり、1週間ちょっとたった今ではすっかり意気投合。共に気楽な1人暮らしとあって、毎晩酒を酌み交わしている。

「神待ち少女って、ご存知じゃありませんか?」
「若いもんの流行には、うといんだよ」
「いえ、こちらでは誰でも知ってますよ。テレビで特集されてから、有名になったんですがね」

 なるほど、俺の田舎では聞いたことがなかったが、都会の流行なのか。中山君の話では、日本全国にいるんじゃないですか、とのことだったが、少なくとも俺にとっては初耳だ。

「家出した女の子なんですけどね、泊まる家や食事がなくて困っている子が、都会じゃゴロゴロしてるわけです」
「おい、まさかヤバい話じゃないだろうな」

 そこまで聞いた俺は、もうピンと来た。なぜなら、俺も中山君も、いわゆるロリコン少女趣味と言う共通点があって、それを知ってから一気に仲良くなったのだから。すると中山君はニヤリと笑って言った。

「大倉先生、奥さんは教え子だったそうじゃないですか」
「ま、まあな」
「羨ましいです。僕、先生のように教え子の女の子と仲良くなりたくて、教師を目指してるんです」
「そうか……そうだったな」

 酔っているからだろうが、身もふたもない中山君の教師志望の弁を諌めてやることは、俺には出来ない。何しろ俺自身がそんな不埒な願望を実現するため高校の教師となり、新任でいきなり当時3年生だった女生徒に手を付けて孕ませ、卒業後すぐに結婚したと言う、とんでもない男なのだ。当時はちょっとしたスキャンダルとなり、白い目で見られたりもしたが、セーラー服の良く似合う美少女を射止めた俺は有頂天で、幸福の絶頂を味わった。だがそれも昔の話だ。5歳下のスレンダーな美少女だった妻は、その後2人の娘を出産して体重が激増し、見事なメタボ体型となって、かつての姿は見る影もない。俺だってもうすぐ50の大台に届くのだから仕方ないだろう。

 そしてかつては非常になり易かった教職も、昨今では少子化の影響もあって、教員養成大学を卒業してもなかなかなることの出来ない難関らしい。中山君は、諦めて一般企業へ就職していく同期生たちを尻目に、20台後半になってもなお教職をめざして、大学に残っているのだ。アルバイトを掛け持ちして食い繋いでいるようだが、教え子の女の子と仲良くなるため教職をめざす、と言う彼の一見理解に苦しむ夢も、不況で若者の就職がままならない今なら、あながち笑えない話なのかも知れない。

「それで、そういう子たちが泊まる場所と食事を提供してくれる『神様』を探して、今ネットの掲示板じゃ大量の書き込みがあるってわけです」
「そういう、いかがわしい話に首を突っ込んじゃいかんぞ」

 中山君の気持ちは痛いほど理解出来る俺はしかし、人生の先輩として釘を刺した。そういう家出少女を泊めてやると言って、いかがわしい関係に持ち込もうと言うのだろう。だが、俺のような年齢になればもちろんのこと、20台後半の中山君も、それがいかに危険な行為であるのか理解しなくてはいけない。相手が未成年なら犯罪だし、そういう少女は性病を持っていたりHIVに感染している危険すらあるのだ。ところが中山君の次の言葉に俺は参ってしまった。

「実は……僕、そういう子の神様になっちゃったんです」
「何!?」
「泊めてやってご飯を食べさせたら、すっかりなついて僕の下宿に居ついちゃったんですがね」
「どういう子だ?」
「高校生だと言ってましたけど……もっと幼いような……」
「おいおい!」

 俺はいっぺんに酔いが醒めるような気分になると同時に、周囲が気になった。ここは小料理屋のカウンターだ。

ーーこんな話を人に聞かれるのはまずい。俺は公費で出張に来ている学校の教員だぞ……

 学校の教員に対する世間の風当たりは強く、淫行などで報道されて懲戒免職となる例が後を絶たないのはご存知だろう。痛くもない腹を探られても困る。中山君のことより自分の保身が先に来るのは申し訳ないが、これは職業病だ。それに彼だって、こんな所で大っぴらにして良い話ではあるまい。俺は正直に言ってやった。

「そういう話をここでやるのは良くない。店を出てから話そう」

 すると彼もヤバい話であることに気付いたのか、すみませんとボサボサの長髪をかいて謝った。

「その女の子は今君の下宿にいるんだな」
「ええ、たぶん……」

 店を変えてもまずい話であることには変わりがなく、結局彼の下宿で話をしようと言うことになった。歩いて15分くらいと言うので、酔い醒ましにもちょうど良いと思い、道すがら話を聞く。すると驚いたことに「居ついた」と言っていたその少女は、今も下宿にいるだろうと言うのだ。

「鍵を掛けてないの?」
「いえ、その子に合い鍵を渡してるんです」
「えらくぶっそうじゃないか」
「そう思いますよね、やっぱり……」

 独身男の1人暮らしだから盗まれるような物がないのかも知れないが、常識外れだ。中山君は見ず知らずの家出娘などに、どうしてそんなに入れ込んでるのだろう。俺は単刀直入に聞いた。

「もう犯っちまったのか?」
「え!?」

ーー何だ、コイツ? ビックリ仰天みたいな顔しやがって……

「やっちまう」と言う言葉が理解出来ないようなリアクションをした中山君。俺はさらに話を続けていくに連れて、唖然としてしまった。

「あ、あの、それって、彼女とえっちなことをしちゃったか、と言うことですか?」
「ありていに言えば、そうだ」
「とんでもありません」
「じゃあ、何で家出娘なんか泊まらせてるんだ」
「かわいそうじゃないですか。食べる物も、寝る場所もないんですよ……」

ーーウソ付け

「中山君、悪いけど、君女の子とやったことあるの?」
「……」
「その子と、えっちなことをしたいと思ってるんじゃないの?」
「……会ってくれたら、わかると思います。その子、ビックリするくらいカワイイんです」

 俺は真っ赤になってボソリとそう口にした中山君がかわいい、と思ってしまった。そして彼は途中でコンビニに寄り、弁当にお茶、さらにはアイスやお菓子類まで買い込んだ。

「それ、ひょっとして全部その子のためか?」
「そういうことです」

 いかにカワイイからと言って、どうしてそこまで見ず知らずの少女にしてやらねばならぬのか。しかも家に泊まらせ自由に出入りさせながら、手を出してもいないとは。どうやら童貞らしい中山君は、彼女とヤリたいと思いながらうまく言い出せないでいるのだろう。彼が財布から千円札を2枚出して勘定をすませ店を出ると、俺は駄目押しのように聞いてみた。

「中山君、君、その、女の子と付き合うのが苦手なんだろう?」
「はい。それに……それに大人の女性は駄目なんです。制服を着てるくらいの子でないと」
「だな。俺もそうなんだ」

 話し辛そうにしていた中山君の顔がパッと明るくなる。俺はさっきやめろと忠告したことは棚に上げ、次第に俺と同じ性癖を持つこの哀れな青年に思いを遂げさせてやりたい、と言う気持ちに傾斜していった。そして彼がそこまで入れ込み「カワイイ」と力説する家出少女にも俄然興味がわいて来た。

ーーどんな子なんだろう? まさかアイツだったりしてな……

 彼が下宿している、学生用らしき安アパートに上がり込む直前、ひょっとして自分の娘が姿を現すのではないかと言うあり得ない妄想が頭に浮かんで、俺は内心苦笑した。何を隠そう、俺の下の娘は中学に上がってからグレてしまい、しょっちゅう家出を繰り返す困ったやつなのだ。歳の離れた上の娘は逆に引きこもり中で、高校を中退してから20台も半ばになろうかと言う今でも、家に閉じこもり外に出ようとしない。学校の先生の子供ほどグレる可能性が高いとはよく言われることだが、我が家は正にそんな状態なのである。だが、そんな2人の娘も母親に似て器量はとても良いのだ。

「ただいま、帰ったよ、ミナコちゃん」
「お帰り、ケンジー」

 俺たちが家に帰るなり、まるで同棲中のような言葉を交わした2人だったが、セーラー服の少女は何と腕を枕に寝転がって、スナック菓子を食べながらテレビを見ていた。何と言う図々しい女だと腹立たしく思った俺はしかし、彼女がこちらを振り向き俺と目が合った瞬間絶句してしまった。もちろん娘が九州からこちらに来ているなんてことはなかったが、良く似た感じの美少女だ。いや、違う。正確には彼女の母親、つまり俺の妻の昔の姿にソックリだったのだ。  

「誰? この人」
「大学でお世話になってる人。高校の数学の先生だよ」
「あ、大倉です。どうも」

 全く物怖じしない様子の、このミナコと言う美少女のパッチリした大きな瞳に見つめられて、あろうことかドキドキしてしまった俺は、辛うじてそう口にした。少女はやはり幼く中学生くらいに見えたが、非常に整った美人顔でまるでお人形さんみたいだった。髪の毛はツインテールに分け、小柄で華奢な感じだが胸の膨らみだけは意外にボリュームがありそうだ。ロリータ趣味の中山君が夢中になるのも無理はない。会ったばかりの俺でさえ、クラクラ来そうなのだから。

「お弁当買って来たよ。アイスとお菓子もね」
「ありがとー」

 だが幻滅したのは、座りなおした彼女がやけに短いスカートの下からだらしなく青いスパッツを見せていたことだ。このスパッツと言う代物、百害あって一利なし、と言いたくなるくらい困り者で、下着を見せる心配がないと思って、中高生女子のスカート丈がどんどん短くなり、うちの娘もそうだが非常に行儀悪い振る舞いを見せるようになってしまう。だからうちの高校では着用を禁止しているくらいだ。俺はだが、教師としてでなく、ロリコン趣味のオヤジとして、今すぐそのスパッツを脱ぎなさい、と言いたくなる衝動に駆られていた。パンツくらい見せなさい。君だって男の家に泊まらせてもらって、タダですむと思っちゃいないだろう?

ーーホントに高校生なのか? こんな無防備な子が……

 だがしかし。悪びれもせずキョトンとした表情で体育座りになった幼い外見の美少女が、全く無防備に晒している白い生アシと、ピッチリ食い込んだ中学生っぽいブルーのスパッツと言う眺めに、俺は不覚にもひどく興奮してしまい、吸い寄せられるように視線を釘付けにしてしまっていた。そしてハッと気付くと、股間が痛いほどカチカチになっていたのである。

「高校生だって?」
「1年生だそうです」
「家出してるの?」
「らしいです」

 ミナコと呼ばれた美少女は、俺が高校の教員だと紹介されてもまるで動ぜず、パッチリした大きな瞳で怪訝そうにこちらを見ている。俺は彼女のスパッツの妙な色気に動揺してしまい、中山君とそんな詰まらない話を交わした。するとミナコの方から口を開いたのである。

「私、家に帰る気はありません。連れ戻しに来てもムダです」

 どうかすると、小学生か? と迷ってしまいそうなロリっぽい外見からするとずいぶんしっかりした話しぶりだと思ったが、高校生だとすれば普通だ。俺はこんな小娘に気圧されてしまった自分を恥じ、直接彼女と話すことにした。

「どうしてそんなこと思うの?」
「だって先生なんでしょ」
「ああ。だけど遠く離れた九州で高校の教員をやっているんだ。わざわざ君に説教しに来たわけではないよ」
「じゃあ、どうして?」
「中山君の友達なんだ。彼に誘われて来た」
「ケンジに?」
「ミナコちゃん、そう言ったでしょ。僕の友達だって」

 どうもまだるっこしい。このままではまるで話が進展しないと思った俺は、中山君のため核心に触れるべく切り出した。

「ミナコさんだったかな?」
「はい」
「もうここにどのくらい泊まってるの?」
「3日目」
「それで、ご飯も食べさせてもらってるんだ?」
「そうだよ。ケンジは神様だもん」

 そう言って中山君の腕を両手で取り、照れ臭そうにする彼にシナを作って見せるミナコ。間違いない。中山君をナメて、どうせ何もされやしないとタカを括っているのだ。30手前で童貞と言う中山君のだらしなさはさておき、小娘の分際で自分の倍近い年齢の男の純情を弄ぶミナコに、俺は猛烈に腹がたった。それに近寄らないと良く見えなかったが、両耳に高価そうなピアスが光っており、これも腹立たしく思った。どうせ手術代も含めてどこかの男に払わせたのだろう。

「なあミナコさん。君高校生ならわかるだろう。男の家に泊めてもらって、タダですむとは思っち
ゃないよね」
「何のことお?」

ーークソ、この女わかってるくせにシラを切りやがる。ムカつくぜ……

「つまり、中山ケンジ君に抱かれてやれ、と言うことだ」
「大倉さん!」
「何ソレえ~? ヘンタイ! ケンジはそんなことしないもん。えっちなことはしないって、約束だったよね、ケンジ」
「あ、ああ、そうだよ……」

 恐らく実際にそんなバカげた条件で、中山君はこの生意気だがめちゃくちゃにロリコン心をくすぐる家出娘の面倒を見ているのだろう。それこそ正に「神様」である。だが、世の中にそんな私心のない「神様」など存在しないのだ。

「君は間違っている。中山君は人がいいから言い出せないでいるんだろうけど、本当は君とヤリたいと思ってるんだぞ」
「何このオッサン! 先生のくせに……ねえ、追っ払ってよ、ケンジ」
「ちょっと待ってよ、ミナコちゃん」
「何よケンジ。私とえっちしたいと思ってたの? サイッテー」

ーー何やってるんだ、中山君! 本当の気持ちをこのクソガキにぶつけて、押し倒せ! 君にはそれだけの権利はあるんだぞ……

 だが、そんな俺の願いもむなしく、中山君はオロオロするばかりで、ミナコに「サイテー」と罵られても、何も答えられないのだ。他人事ながら頭に来ていた俺は、業を煮やしてミナコに迫った。いやそれは嘘だ。もう妻には10年以上覚えたことのない猛烈な股間の欲情が俺を突き動かしたのだ。

ーーこの子を犯りたい! 中山君と一緒に、この生意気なクソガキにチンポをぶち込んで、ヒイヒイ言わせてやるんだ!

「何がサイテーだ! 人のお世話になりながら、何のお礼もしないお前の方がサイテーだろうがっ!」
「いーんだもん、ケンジは神様なんだから! もう、サッサと出てってよ、このクソオヤジ! ヘンタイッ!」
「ミナコちゃん!」

 罵り合いになって来た俺たちの間に割って入った中山君は、意を決したように口を開いたのだが。

「ごめん、この人の言う通りだ。僕は君とえっちしたいと思って、ウソをついて掲示板に書き込んだんだ」
「マ~ジで? サイッテー!」
「頼むよ、僕とえっちしてくれないか?」
「ヤダッ! 私、もう帰る」
「おい待て! 一体どこへ帰るつもりだ?」
「放せよ! このクソジジイッ! うちに帰るに決まってんだろ」



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作者二次元世界の調教師さんのブログ

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