官能小説『性教育』
Shyrock作
本作品はフィクションです。
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第1話
観音山高校に通う愛川未来(2年生・17才)は、1学期の期末試験が終わる頃、夏休みに特別授業があることを知らされた。
それは保健の授業の一環で、2年生男女を対象にクラス単位で「性教育」の授業が行なわれるというものであった。
テーマは『命の尊さと性』と壮大な命題が掲げられていて、講師には石崎良摩(28才)という保健体育の教師が務めることになっていた。夏休み中に登校しなければならない煩わしさはあったが、生徒達にとって内容が興味深いものだけに、内心楽しみにしている生徒も多かった。
未来もその内のひとりといってよかった。
特別授業のある朝、バスが交通渋滞に巻き込まれ、予定より到着が遅れてしまった。
バス停から駆け足で学校に向かったが、教室に着いた時は既に授業開始時刻を10分過ぎていた。
「すみません、先生。バスが渋滞で遅れてしまい遅刻しました。」
「おお、愛川、来たか。よし、いいから席に着け。」
「はい・・・」
みんなの視線を避けるように、未来はそっと席に着いた。
石崎は未来が席に着くのを見て、演台の前に立った。
「ゴホンッ。みんな、今日は夏休み中ご苦労様。では今から保健の特別授業を行なう。学校側は『命の尊さと性』などと大層なお題目を掲げているが、私はあまり小難しい授業にするつもりはない。それにたった2時間でこんなでかいテーマを説明できるわけがないとも思っている。
性教育のテーマといえば、一般的に、「性器」「性交」「ジェンダー」「家族」「多様なセクシュアリティ」「2次性徴」「恋愛との関連性」「性感染症(エイズなど)」「商品化」「性暴力・性的虐待」などと挙げればキリがないくらい沢山ある。 時間の都合もあるので、今日はその中から、みんなが最も興味を持っている「性器」と「性交」だけに絞り込んで授業を進めていきたいと思う。」
石崎がそう述べると、男子生徒を中心に拍手喝采が巻き起こった。
また、女子生徒達のほとんどが照れ臭そうにクスクスと笑っていた。
高校2年生ともなれば、男女とも性経験のある者、ない者、まちまちであり、反応もまた様々といえた。
石崎の言葉が続いた。
「今日の授業内容をしっかりと理解するために、ぜひとも必要なものがある。」
「・・・?」
「・・・・・・??」
「先生、必要なものって何ですか?」
「生きた教材だ。」
「えっ・・・?」
「生きた教材?」
「生きた教材って、もしかしてナマの人間のこと!?」
「きゃあ~~~!いやだぁ~~~!」
「先生、エッチぃ~~~!」
「静粛に」
(シーン)
「医学書のイラストをコピーして配布することも考えたが、それでは臨場感がなく理解しにくい。その点実物は最も分かりやすく最高の教材といえる。学習するうえでこれほど適した教材はない。」
「それはそうかも知れませんが、誰が一体そんな教材になるんですか?」
「お前たちの中から女子1名立候補してもらいたい。」
「きゃぁ~~~!恥ずかしい~~~!」
「やだぁ~~~!立候補なんて絶対無理です!」
「男はいいのですか?」
「お前やりたいか?」
「いいえ、遠慮しておきます。」
「そうか。男性の身体の構造は女性よりも単純なのでイラストでも十分に事足りる。だから教材は女子だけで良い。」
「はぁ・・・そうなんですか。」
「男の教材もあったらすごいことになると思ったのに~!」
「ははははは~!本当だ~!」
「わははははは~~~!」
「静粛に」
(シーン)
「で、女子は誰が教材になるのですか?」
「ふうむ。そうだなあ・・・よし、教材は愛川になってもらおうか。」
「ええっ!!う、うそっ!?」
未来は突然石崎から名指しされて仰天してしまった。
「遅刻したバツだ。」
「そ、そんなあ~~~~~!!それはあんまりです~!!遅刻はしましたけど朝寝坊とかじゃありません!クルマの渋滞でバスが遅れたから遅刻したんです!!」
「愛川はそう言っているが、みんなはどう思う?よし、ひとつここは民主的に決めることにしよう。」
第2話
石崎は未来を教材にすることを、自分だけの判断ではなく生徒たちの意志でもって決定したことにしようとした。
そうすれば、後々トラブルが発生した場合も、教師としての自分の責任が多少は軽減されると考えたのだ。教室内の最高責任者が教師である限り、生徒に責任転換できるなどと言うことは先ずあり得ないことなのだが、この時点では石崎はそう考えたのだった。
いずれにしても未来としては、大変な迷惑であることには変わりがなかった。
「ここは私だけの判断だけではなく、教材を選ぶのはみんなであることをよく認識してもらいたい。愛川を教材にするかどうかは多数決で決めたい。」
未来は当然異議を唱えた。
「多数決だなんてそんなぁ。先生、本人の意思をもっと尊重してください!」
「お前は黙ってろ。」
「そ、そんなぁ。」
石崎は未来の言葉を遮って言葉を続けた。
「では今から多数決をとる。愛川が教材モデルになることが相応しいと思う者は手を挙げてください。」
石崎がそう述べると、1人の女子生徒が激しく抗議をした。
「先生、そんなの酷いです!本人が嫌がっているじゃないですか!未来を教材にするなんて絶対にやめてください!」
石崎に反発したのは、未来の大の親友である吉山理美であった。
未来には理美ともうひとり利代子という親友がいる。
利代子はたまたま今日は欠席しているが、もしここにいれば、理美と同様に未来救済に乗り出していただろう。
「ん?なんだ?吉山か。これはあくまで授業であり、授業に教材は当然必要となってくる。より分かりやすく説明するために愛川に協力してもらおうとしているだけだ。しかも、みんなの総意で決めようとしている。反対する者が多いようなら、取り止めにしようと思ってる。それでもダメだと言うのかね?君は。」
その時、理美の斜め後に座っている播磨と言う男子生徒が理美に罵声を飛ばした。
播磨は停学を2度までも喰らうほどの悪であったが、不思議なことに石崎に対しては至って従順であった。
「やい!理美っ!お前黙ってろよ!先生のやり方に文句垂れるんだったら、お前が代わりに教材になったらどうだ!?」
「そ、そんな・・・」
播磨はクラスに3人の子分を従えていた。
そのうちのひとりは矢野と言い、成績もよくなかなか口も達者であった。
当然のように播磨の援護に廻ってきた。
「俺達にとっては性教育も大事な勉強だ。それを石崎先生がみんなにより分かりやすく説明しようとしているんだから、俺達も協力しなければいけないと思うんだ。友達の未来を守ろうとしている理美の気持ちも分からないではないが、もっとクラス全体のことを考えて発言すべきだと思うよ。」
矢野はまことしやかに全員にアピールするかのように周囲をグルリと見回しながら大きな声で語った。
もうひとり播磨の彼女という噂の女子生徒岸本リエが、未来と理美に攻撃を仕掛けてきた。
「こうすれば?未来と理美でジャンケンして負けた方がやればいいのよ。」
この言葉に未来は顔を紅潮させて反論した。
「理美を巻き込まないでよ!これは私の問題なんだから・・・」
未来は理美を庇ったが、逆にそれが播磨を煽る結果となってしまった。
「おお~おお~!優しいね~!おい、未来!そこまで腹を決めているんだったら、多数決なんてしないでお前が教材になれ!早くパンツを脱げ!」
「はははははは~~~!」
「わっはっはっはっは~!」
「まぁ、いやだわ。」
教室内は笑い声に包まれた。
石崎は播磨を叱った。
「播磨、暴言は慎め。こんなことで議論していても時間が経つだけだ。みんな夏休みにわざわざ登校したんだから時間は有意義に使わなくてはならない。では今から採決をとるからな。愛川が教材になることに賛成の人、手を挙げて。」
第3話
教室内に緊張感が漂った。
未来が見回すと約半数の生徒が挙手をしている。
微妙な状況だ。
「1、2,3・・・4、5・・・6・・・7・・・」
石崎は端から順に数えた。
未来のクラスは31名で構成されている。
賛成者が16名以上いれば過半数を超え可決してしまう。
未来自身も挙手した生徒数を無言で数えていた。
「13、14、15・・・16・・・17・・・ふむ、賛成は17名だな」
未来は愕然とした。
播磨と彼の仲間達が賛成に回ることはおおよそ予測されたが、まさか他にもこれほどの賛成者がいるとは。
日頃、未来に対して友人のように振る舞い接していた生徒達も、『未来=教材』に賛成してしまったのだ。
非情の雨が激しく降り注ぎ、未来は呆然と立ち尽くしていた。
教室内は騒然としている。
結果は分かりきっていたが石崎は採決を続けた。
「反対の人、手を挙げて」
当然先程より挙手の数は少ない。
「1、2、3、4・・・12名か。」
「では引続いて態度保留と言う人、手を挙げて。・・・2名か」
石崎は結果をノートに記録しているのか、教壇でボールペンを走らせた。
「賛成17名、反対12名、保留2名。多数決の結果、愛川未来さんが教材モデルに決定した」
教室内でどよめきが起こった。
播磨に至ってはおどけて手まで叩いている。
「よ~っ!未来ちゃん~やったね~!がんばってね~!」
未来は顔を紅潮させて、口惜しそうに唇を噛みしめていた。
その時、すすり泣く声が未来の耳に入った。
それは理美であった。
「酷いわ・・・あんまりだわ・・・未来ちゃんが可哀想過ぎるわ・・・」
岸本リエが一瞥を投げかけ理美を非難した。
「多数決で決まったんだからさぁ、後からつべこべ言うのはやめてもらいたいわ!」
石崎はふたりを制して授業の開始を告げた。
「どちらも言い合いはやめなさい。授業が遅れるからな。では、愛川さん、教壇まで来なさい」
未来は重い鎖で繋がれたような足取りで教壇へと歩いていった。
教壇までのわずかな距離も、未来にとってはまるで13階段を登るような心境であった。
教師や生徒達の前で恥部を晒すことは、耐え難い屈辱であり、未来にとっては死ぬほど辛いことであった。
身体中の血液がすべて脳に集まったのではと錯覚するほど、顔がほてり、身体の震えが止まらなかった。
教壇までたどり着くと、石崎の残酷な言葉が待ち受けていた。
「では今から女性器について講義をする。愛川さん、下半身に着けている物は全部脱ぎなさい」
未来がもじもじしていると追い討ちを掛けるかのように、石崎の催促が耳に飛び込んできた。
「さあ、早く」
「はぃ・・・」
未来は消え入りそうな小さな声で辛うじて返事をした。
第4話
「誰でもいいので、そうだな、男子生徒がいいかな?2人ほど来てちょっと手伝ってくれないか」
「はい~」
「はい!}
直ぐに返事をしたのは先程の播磨だった。
石崎にはやたら媚びている感がある。
播磨の舎弟も播磨のあとに続いた。
石崎はふたりに教壇を横へ移動させ、生徒たちが使用している机2脚を、教壇があった場所に置くよう指示をした。
未来を教材とするために教壇は少し位置が高過ぎるのと、それに教壇はいささか不安定で未来が乗ると転倒する惧れがあった。
播磨たちはまるで事前に申し合わせをしていたかのように、直ぐに2脚の机を手際よく並べ終えた。
「ごくろう」
石崎は事務的な口調で、未来にスカートと下着をすべて脱ぐよう言いつけた。
未来は俯いたままモジモジとしていた。
石崎が促した。
「早くしなさい」
「はい・・・」
返事はしたものの、なかなか行動に移らない。
石崎は痺れを切らせて再び催促をした。
「時間が無いんだ。早くしなさい」
「はい・・・先生・・・でも・・・」
「なんだね」
「ここで脱ぐのですか」
「ここで脱ぐのかって言ったって、他に脱ぐところは無いだろう?ここで脱ぎなさい。」
「・・・・・・」
未来は生徒たちと目を合わさないようあえて視線を逸らし、ゆっくりとスカートのホックを外した。
かなり顔がほてるのか、未来は顔を真っ赤に紅潮させていた。
(私は教材なんだ。これも学習の一環なんだ・・・)
未来はそう自分に言い聞かせた。
そうでもしなければ、皆の見ている前で衣類を脱ぐことなどとても出来そうもない。
男子生徒だけではなく女性生徒までが、息を凝らして興味深げにその様子を見つめている。
理美は未来の惨めな光景に思わず涙ぐんだが、他の生徒たちは気にもとめず未来の脱衣場面に釘付けになっていた。
生徒たちが一瞬息を潜め教室内に静寂が訪れた。
そのため未来の身体から離れていくスカートのきぬ擦れの音さえ聞こえてきた。
下に着けていたショーツは真っ白でシンプルな木綿だった。
未来が持つ品格とその清楚な身なりが、いっそう生徒たちの興味を誘った。
いや、未来に最も注目していたのは教師の石崎だったかも知れない。
その石崎は未来に対し続けてショーツも取るよう促した。
まさに『まな板の鯉』とは、今置かれている未来のことを言うのであろう。
未来は小さくため息をつき、ゆっくりとショーツを下ろした。
第5話
生徒たちは息を潜めて成りゆきを見守っている。
未来の肌からショーツが離れた時、一瞬どよめきが起こった。
手で隠そうとはしているが、隠し切れず指の隙間から黒い翳りがチラチラと見え隠れしている。
「手をのけなさい」
残酷な言葉が未来を突き放す。
威圧に屈した未来は手をゆっくりとのけた。
生徒たちの目に未来の黒い翳りが飛び込んできた。
頬を染めてうつむいている未来に、石崎の冷徹な言葉が飛んだ。
「机に上がりなさい」
「・・・・・・」
未来はおずおずと机に近づいた。
半べそをかき今にも泣き出しそうになっている。
出来るだけ足を開かないように注意しながら、机に尻を着きゆっくりと卓上に登った。
生徒たちへは目を逸らし、身体も正面を向かず横向きのままだった。
またしても石崎の非情な言葉が飛んだ。
「横を向いたままじゃ授業にならないよ。身体を皆のいる方へ向けなさい」
「は・・・はい・・・」
「体育座りで座りなさい」
「はい・・・」
未来は石崎の指示どおり、尻を机に着け折りたたんだ足を両腕で抱え込んだ。
足をたたんでいるため、すべての生徒から恥ずかしい箇所を覗かれることはなかったが、斜めにいる生徒からは膝の隙間から白い下着が覗けて見えていた。
播磨とその仲間に至っては、わざわざ立ち上がって覗き込み、卑猥な言葉をつぶやいた。
未来に恥辱の命令がなされた。
「では今から女性器について説明をするので、愛川、足を開きなさい」
「・・・」
未来は膝を揃えたままなかなか体育座りを崩そうとしない。
「さあ、早くしなさい」
石崎の冷徹な催促が飛ぶ。
未来は顔を真っ赤に紅潮させ、ゆっくりと膝を開き始めた。
生徒たちは固唾を飲んで見守っている。
膝を約45度開いた頃、未来は膝の動きを止めてしまった。
「先生・・・もう・・・もう無理です・・・」
「何を言ってるんだ。しっかりと開きなさい!」
石崎は未来の中断を許さなかった。
未来は俯いたままゆっくりと膝を開いていった。
(あぁ・・・恥ずかしい・・・皆に見られてるのに・・・)
未来は激しい羞恥に襲われながら身を震わせた。
まもなく黒い繁みが衆目に浴びせられた。
少なめの繁みでは秘所を隠す効果は乏しく、くっきりと縦に割れた女の印が生徒たちの目に飛び込んだ。
生徒たちは唖然としている。
一部の男子生徒は食入るように見つめている。
数多の視線を浴びた未来は、恥ずかしさから身体の震えが止まらなかった。
石崎が指し棒を取り出し説明を開始した。
いよいよ性教育授業の幕が開いた。
指し棒が性器に近づけられた。
「一口に女性器と言っても大きくは外性器と内性器に分類させる。外性器は外から見える部分を言い、内性器は子宮のように外からは見えない部分を言う。今日は外性器について説明をしたいと思う。え~、愛川、もっと皆が見やすいように股間をもっと前に突き出しなさい」
M字開脚のポーズをとるだけでかなり恥ずかしいのに、さらに恥辱のポーズをとるよう要求された未来は愕然とした。
(そんな格好、とてもできないわ・・・)
ためらっていると今度は男子生徒から催促が飛んできた。
第6話
「おい、未来!遠慮しないでおマ○コしっかり見せろ~!」
「そうだそうだ!拡げて中までちゃんと見せてくれないと勉強にならないからな~!」
「はっはっはっは~!そのとおりだ~!」
播磨たちの口から聞くに堪えない言葉が次々に飛び交った。
これにはさすがの石崎も堪りかねたのか彼らに厳重な注意を与えた。
「おい、おまえら、そういった卑猥な言葉はこの神聖な教室では使ってはいかん!今度使ったら停学処分にするからな!」
「うわっ!おっかねえや!あ、でも教室の外なら使っていいんですね?」
「へ理屈を言うな!」
石崎は播磨たちを叱った後、平静に戻り授業を再開した。
未来の恥部に指し棒を向けて女性器の説明を行った。
「ゴホン。この箇所を大陰唇という。女性器を包む一番外側にある肉ひだで、肛門近くまで覆っている。個人差はあるものの一般的に脂肪がついてふっくらしているのが特徴だ。男性器の陰のうに相当し、性交時にはクッションの役目を果たすんだ。それから大陰唇の内側にある2枚の襞を小陰唇といい、個人差はあるがビラビラしている女性の方がやや多い。弾力性と伸縮性に優れ、膣内に雑菌等が入らないようにするフタの役割も果たしている。 性的な興奮で充血し徐々に開く特徴を持っているんだ」
「すげ~うまく出来ているんだな~!先生、一度試してみてくれませんか?」
「俺も将来のためにぜひ見てみたいです~」
その時、彼らの発言を腹に据えかねた理美が怒りをあらわにした。
「あんたたちいい加減にしてよ!」
目を吊り上げて激怒している。
「性教育のモデルをするだけでも恥ずかしいのに、さらに未来を辱しめるような発言は慎んでください!」
これには播磨たちもたじろいでしまい口を閉ざした。
性教育は感情を表に出さず、クールに淡々と語るのがうまい話し方かも知れない。
そういった意味で石崎の語り口調は実に巧みなものだった。
「小陰唇の大きさや形は人によって様々で、セックスの回数とは全く関係がない。成長するに従って、色が濃くなっていき大陰唇から飛び出したようになる。そしてこの中央の穴が膣だ。セックスする時、ペニスを受け入れる場所がここだ」
「きゃぁ・・・」
「いやだぁ・・・」
石崎がそう述べた直後教室全体がざわついた。
「しずかにしろ」
「・・・・・・」
静けさが戻り石崎の講義が続く。
「膣は子宮へと繋がっていて、長さ7cm~12cmの管で、普段は膣壁によりペッタンコの状態なんだ。 出産時には赤ちゃんの頭を通せるほど伸縮性を持つ部位でこれは驚異と言えるだろう。内部は湿った粘液と襞で覆われている。膣口付近は神経終末が集まり感じやすい他、膣壁上部にはGスポットと呼ばれる場所もある」
「Gスポットってすごく感じるしいわ」
「やだぁ~あはは~」
性感帯の話題になると女子生徒からひそひそと囁く声が聞こえてきた。
女子生徒にとって性感帯は興味の的らしく、Gスポットの名称が飛び出した瞬間強い反応を示した。
「膣の入口附近を膣口という。セックスの時にペニスを迎え入れ、出産の時には産道となる膣の出入り口となる。 月経の時は、経血の出口に早変わりする。それから、膣の少し上に尿道口があって、ここからおしっこが出る」
「先生」
眼鏡を掛けた真面目そうな感じの女子生徒が突然手を挙げた。
「なんだね?」
「後ろ過ぎて良く見えないので、もっと近づいていいですか?」
「見えないのか?」
別の生徒からも同様の声が聞こえた。
「はい、私も後なのでよく見えないんですけど」
「僕も見えないんです」
「俺も~」
1人の女子生徒の挙手を皮切りに、後方の生徒たちから次々に「うしろ過ぎて見えない」と不満の声を漏れ始めた。
第7話
石崎は仕方なく後方の生徒達へもっと前にくるよう告げた。
ただし全員が近寄ることは無理なので、約3メートル離れて見学するよう指示をした。
生徒達は一斉に未来の周囲を取り囲んだ。
「押すなよ!」
「だって見えないんだもの」
「おい、喧嘩するなよ!」
生徒たちは良い場所をとろうと押し合いへし合いしている。
石崎はそれをいさめる。
大勢の生徒達が未来の間近まできたことで、未来の羞恥心に一層の拍車が掛かった。
(いやだぁ・・・みんな、近づかないでよぉ・・・恥ずかしいよぉ・・・)
未来は生徒たちに秘部をさらす恥ずかしさに顔を赤らめ終始俯いていた。
そんな未来の羞恥心をさらに煽るような心ない言葉が飛んできた。
またもやあの播磨である。
「先生、指し棒が離れすぎて具体的な場所がよく分からないんです~。説明する時は指し棒をその場所に当ててくれませんか~?」
「分かりにくいか~?よし、では次から当てて説明するから」
即座に未来は不満を洩らした。
「指し棒で当てるのやめてください!」
「しかしねえ、場所が分からんといってるのに、それを説明しなきゃ学習にならんだろう。愛川には悪いが、しばらくの間我慢してくれ」
「・・・・・・」
未来は要求を撤回するしかなかった。
石崎はどんな理屈をつけてでも、指し棒で秘部を触れることをやめないだろう。
彼の言葉どおりしばらくの間我慢するしかないないのだ。
未来は自分にそういい聞かせ唇を噛んだ。
性器の各箇所に関する授業引き続き行なわれた。
「どこまで説明したっけ?」
少し中断している間に、石崎は自分がどこまで授業をしたかを忘れてしまったようだ。
いや、もしかしたら、わざととぼけているのかも知れない。
播磨が挙手して大声で答えた。
「Gスポットまで聞きました~!」
実際にはその後の、膣口、尿道口まで説明が終わっていた。
播磨はわざと石崎に差し棒で触れさせるため2つさかのぼって答えたのだった。
「Gスポットまで説明したか~?じゃあ、次は膣口から説明する」
播磨のわざとらしい嘘の言葉に、未来は再び憤怒して石崎に訂正を求めた。
「先生、尿道口まで終わってます!説明はその続きからお願いします!」
「ん?尿道口だったか?どっちだったかなあ?まあいいか、大事なところだしもし説明していたとしてももう一度説明しておこう」
「ええ~~~!?」
さかのぼって説明するということは、あの差し棒が大事な場所に触れてくるではないか。
未来は愕然とした。
「膣の入口附近を膣口という」
石崎はそう言うと指し棒の先端で未来の膣口を軽く突いた。
「きゃっ!」
「愛川、静かにしろ!授業中なんだから変な声を出さないように。しばらく我慢しなさい」
「・・・」
デリケートな箇所に触れられると声が出てしまう、それは女性として自然の摂理であった。
それでも我慢をしなければならない。
指し棒先端を膣口にあてがいながらさらに授業が続いた。
「膣口はセックスの時にペニスを迎え入れ、出産の時には産道となる膣の出入り口である。月経の時は経血の出口となる」
石崎はレコーダーのように先程とまったく同じ説明を行った。
違う点は指し棒が膣に触れている点だけであった。
「それから、膣の少し上に尿道口がある。ここからおしっこが出るんだ」
石崎はそういいながら膣口の少し上にある尿道口に指し棒で触れた。
(いやっ・・・そこは触れないで・・・)
第8話
石崎の指し棒が少し上に移動した。
「性器の上部にポツンとついている突起がある。皮をかぶっている場合が多いがこの部分を陰核という。クリトリスと言った方がみんなもよく知っていると思うが」
先端がクリトリスを覆う包皮に軽く触れた。
皮の上からであっても敏感な箇所に触れられて、未来は思わず声を上げてしまった。
「きゃっ・・・」
「発生学的には男性のペニスにあたり、神経終末が集まり女性の身体の中で最も感じやすい部分と言われている」
今度は播磨の手下が注文をつけてきた。
「先生、皮に隠れてるからよく分からないんですけど。後学のためにしっかりと見ておきたいので、ちょっと皮を広げてくれませんか?」
未来は血相を変えた。
「それはだめです!先生、触らないで!」
「そうだなあ・・・。私も別に触りたい訳ではないのだが、これも教育の一環だ。愛川、悪く思うな」
「ええ~~~!?そんなぁ~!!」
石崎は親指と人差し指の2本をあてがい陰唇を広げた。
「いやぁ・・・」
未来は耐え切れず顔を背けてしまった。
「すげえ!」
「・・・・・・」
「わぁ!」
生徒たちは唖然としている者もいれば、食い入るように見つめている者もいる。 広げられたのは陰唇だけではなかった。
陰核包皮も指で丹念に広げられ、その奥に潜む艶やかな真珠が曝け出されてしまった。
未来は顔を伏せて上げようとしない。
「大部分の女性は普段包皮に包まれているが、まれに皮のかぶっていない剥き出しの女性もいると言われている」
すでに指し棒で指し示す必要などないように思われたが、石崎はあえて先端で艶やかな真珠を突付いてみせた。
「いやぁ・・・」
「性的に興奮すると充血して勃起する。大きさは人それぞれである」
石崎はそう説明しながら先端でグリグリといじくる。
「いやぁ・・・やめてください・・・」
「ふふふ、触られてちょっと興奮してきたのかな?少し硬くなったような・・・」
「うわ!ほんとだ!コリコリしてきたぞ~!」
播磨がわざと大げさに喚きたてる。
「もうやめてあげてよ」
「そうだわ。もう十分よ」
堪りかねた女子生徒が顔をしかめ、中止を訴えた。
「もう少しで説明が終わる。愛川もここまでがんばってくれたのだし」
「そうだそうだ!ここまで聞いたんだし最後まで授業を聞こうじゃないか!」
「オレもそう思う」
数人の男子生徒が石崎に続行を促した。
石崎が肯き授業を続けた。
「それからこの陰唇の下恥と肛門の間の部分を会陰という。別名蟻の門渡り(ありのとわたり)ともいわれている。初産の時にここを少し切開する場合が多いんだ」
「へえ~」
「こわぁい・・・」
「それからここがみんなもよく知っている肛門。説明するまでもなく大便排出用の部位だね。ただ肛門は男女共に性感帯の一部で、舌や指先によるソフトな愛撫で快感を得られる事が多いのだ。こっち系に走ってしまうとアブノーマルになってしまうけどね」
「へえ、そうなんですか」
第9話
肛門についての説明が終わると、指し棒は再び膣へと戻った。
小陰唇を親指と人差し指で拡張させ指し棒を宛がう。
未来は指し棒が挿し込まれるのではないかと気が気ではない。
「一番大事なことを説明しておこう。知っている者も多いと思うが、この奥に子宮がある。つまり胎児が育つ場所だ。長さは8cm~9cm、厚さ1~3cmの筋肉でできた袋状の臓器で、通常は小さい握りこぶしぐらいの大きさと考えたらよい。一番内側の壁は子宮内膜と呼ばれ、経血はこの内膜が厚くなり剥がれ落ちたものだ。それから・・・」
石崎は説明をするたびに指し棒で微妙な部分を突っ突きまわす。
未来は頬を赤らめ時折荒い息を漏らしている。
「この辺りに処女膜がある。ん?愛川の場合はすでに失われているようだが・・・」
石崎は憎々しそうにわざと大声で説明をした。
「へえ?愛川はもう処女じゃないんっすか!?」
「開通したのは誰だ~~~!がっはっはっはっはっは~!」
「そんなこと関係ありません!先生!プライベートなことは詮索しないであげてください!」
そのとき、石崎と播磨の会話に堪りかねたのか、1人の女子生徒が眉を吊り上げて抗議した。それでもかわし上手な石崎は一向に動じず、引き続き処女膜について説明を始めた。
「おおっと、すまんすまん。ちょっと脱線したかな。よし話を戻そう。処女膜というのは膣の内壁の粘液性ヒダのことで名前は膜がつくけど決して膜じゃないんだ。そのヒダの隆起には個人差があって、真ん中の穴が大きく、初体験時に全く出血や痛みの無い人もいれば、反対に穴が小さかったり、最悪の場合塞がっている人などもいるんだ。なのではじめてなのに出血しなかったり、かなり痛かったり、開通しにくかったりと、人によって色々あるんだ。
また、よく『処女膜が破れた』などと言うが、最初から穴が開いているものなので、破れたという言葉は適切ではないんだ。処女膜も伸縮性のあるヒダだから、初めての性交の時は、十分に潤った状態、ゆっくりとした挿入を心がければ出血する事もないんだ。
男性の中には処女=出血という意識がある人も多く、それを喜ぶ人もいるようだが、出血は本来喜ぶべきことではなく、男性として『恥じる』事だと考えておくように。そして潤ってない状態で、強引に挿入しようとすれば、処女膜だけではなく『会陰』まで裂けてしまうことがあるので、より出血もひどくなり、場合によっては、女性は性交そのものに恐怖と感じてしまうケースもあるのだ。 こういった点も踏まえて、男性は焦らずゆっくりと行動しなければいけない」
「へえ~なるほど~。勉強になるなあ~」
「あたし初めての時ひどく出血したけど、その時の彼がへたくそだったってことか~」
「わはははははは~~~!そんなことここで告白していいのか~?」
「では今日はこれにて授業は終了とする。愛川、ご苦労だったな」
「はい・・・」
やっと終わった。
未来は大きく息つき、開脚していた足を閉じ合わせ下着を身に着けた。
授業は90分だったが、未来にとってはもっと長い時間に思えた。
「愛川、ちょっと保健室へ寄りなさい」
「え?何故ですか?」
「先程ちょっと腹部にしこりが感じられたので」
「ほ、本当ですか!?」
「今日たまたま保健室の先生も出勤されているので、診てもらった方がいいと思うので」
「はい・・・分かりました」
腹部にしこりがあると言うのは真実なのか。
未来は不安に駆られながらも、石崎の後を追って医務室へ向かっていった。
夏休みの特別授業を終えた生徒たちは、石崎と未来を気に掛ける様子もなく、潮が引くように早々と消えていった。
ところがひとりだけ未来のことが気掛かりで、石崎たちの後を追いかける生徒の姿があった。
それは未来の親友理美であった。
さらにその後方で、理美を尾行する黒い人影があった。
完
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