第7話
「アハ、レオはまだ眠くないの?いつもならもう私のベッドに潜り込んで先に寝ているのにぃ~」 「にゃあ~」 (な、なに?レオはいつも静のベッドで寝ているのか?やったぜ!こりゃいいこと聞いたぞ~。ってことは俺が静のベッドに潜り込んだとしても、静には全然怪しまれないんだ。しめしめ) 「静ねぇ、明日の朝、演劇クラブの練習で学校に早く行かないといけないのぉ~。だからぁ今夜は早く寝なきゃぁ~。ピアノの練習やパソコンもしたいんだけど、今日はもうおやすみするぅ~」 「にゃお~」 (うんうん!それでいい、それでいい!早く寝るんだ!今からピアノとかパソコンを楽しまれたら、12時を過ぎてしまうかも知れないものね。そうなるとせっかくのチャンスがなくなってしまうものね~。イェイィェイ~!幸運がめぐってきたぞ~!ワクワク) 俊介は突然訪れた大きなチャンスに心躍らせた。 心が躍ると身体は猫なので思わず喉が鳴ってしまう。 (ゴロゴロ、ゴロゴロ~) 「レオ、どうしたのぉ?ゴロゴロ喉をならしてぇ。何がそんなに嬉しいのぉ?あ、もしかしていつもより早く静とおネンネできるから嬉しいのかなぁ?」 (ゴロゴロ、ゴロゴロ~) 「アハ、そうなのぉ?アハハハハ~。じゃあ、先にベッドに入って暖めておいてねぇ。静、寒がりなんだからぁ」 「にゃ~ご~(ゴロゴロ)」 髪を乾かし歯磨きをした静は、そっとコンタクトレンズを外して眠る準備を始めた。 静から頼まれたこともあり俺は早めにベッドに入って暖めておくことにした。 (ゴソゴソ) 俺はベッドに潜り込んだ。 (うぉ~~~!静の香りがたっぷり残ってるぞ~!風呂上りの香りも良かったけど、ベッドの香りも何か生々しくていいな~!くう~っ、こりゃ堪らない~!これが夢にまで見た憧れの静の香りなのかあ~。うっとり・・・) 俺は香りに酔いしれながらも、辛うじて冷静さを保っていた。 俺にはまだそれ以外に、いやそれ以上に期待するものがあったから冷静さを保てたのかも知れない。 俺が最も楽しみにしていたのは、静の寝姿つまり就寝時の衣装であった。 女の子の場合、男とは違って色々な種類がある。 一般的にはパジャマだが、ネグリジェの子もいるし、Tシャツにショートパンツ、トレーナーやジャージの子だっている。たまにランジェリーやヌードで寝る子もいるが、腹が冷えるのを嫌うからか案外少ないようだ。 もしかしたら意表を突いて純和風の寝巻き姿なんかだったりして。いや、静的にそれはないだろう。 果たして静はどんな衣装で眠るのだろうか。妄想は限りなく広がる。 できるだけ薄着であって欲しいとよこしまな期待を膨らませてしまう。 (う~ん、やっぱりパジャマかな~?それともジャージかなあ) 1人、いや1匹妄想に耽っていると、ごそごそと誰かが布団に入ってくる気配がした。 (おお!ついに静姫のご入城だ~!) 俺の胸の鼓動が激しく高鳴った。
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