Shyrock作







第1話

 惠を連れだって平安神宮へ参拝をした帰り、彼女の和服姿を見ていると沸々とよこしまな想いが湧き立ち、はからずもラブホに誘ってしまった。いや、もっと正確にいうなら、普段の惠とは違って髪をアップにしていたためそれが新鮮だったことと、白いうなじについ目が行ってしまいあの独特の色香にノックアウトされてしまったのかも知れない。
 惠はうなずいてはくれたものの、

「でも、私、ちゃんと着付けができないから、脱いじゃうと後が大変なのよね~」

 と微妙な返事。
 返事が「ノー」じゃないのだから、ここは押せ押せしかない。

「だいじょうぶ。脱がさないでするから」

 と自信満々にいうと、

「すごい自信ね。それって過去に経験あるから言えるのかな」

 ときついツッコミがリターンエースのように返ってきた。
 俺はたじろぎはしたが、ここは踏ん張って、

「いや、経験はないんだけど、脱がさないでエッチする方法って聞いたことあるから」
「ふ~ん」

 惠は興味津々な面持ちで俺の耳元に近づき、

「脱がさないで・・するって、どういう風にするの?」
「うん、着物は帯を解いちゃうとあとが厄介なので、帯を解かないように工夫をしながらエッチすればいいらしいんだ。例えば」
「例えば?」
「バックでするとか」
「バックねえ。騎乗位好きな私としては多少不満が残るけど、まあいっか~」
「俺もどちらかというとバックより、正面から惠の顔を見ながらって方が好きだけど、惠とひとつになるれるんだったら別にどんな体位だって構わないさ」
「あはは、そうなの?じゃあ早速行く?」

 京都は景観保持のため規制が厳しく、東京や大阪のようにホテルが密集しているホテル街なるものがなく、あちこちに散在していた。
 二人が向かったのは繁華街から1本入った裏通りにひっそりと佇む北欧風のホテルであった。

 ロビーに入ってみると、すでに数組のカップルが退屈そうに順番を待っていた。
 彼らの視線は一斉に和服姿の惠に注がれた。
 惠は一瞬たじろいだのか組んでいた腕に急に力がこもった。
 さらに俺の耳元で、

「やだぁ・・・みんな私を見てるわ・・・」
「気にすることはないよ。それはそうとかなり混んでいるね」
「どのくらい待たないといけなんだろう」

 フロントで待機組数を確認することにした。
 4組のカップルが部屋が空くのを待っているらしい。
 ふたりは他のカップルたちの前を通り抜け、フロントから一番離れたところにあるソファに腰を下ろした。

 ラブホで待つと言うのはどういう訳か、話題の店の行列などで待ったりするよりも断然長く感じるものだ。
 でも正月なので混んでいたって全然不思議ではないだろう。
 ドリンクサービスがあったので、缶コーヒーを2本もらうことにした。
 他のカップルはたまにチラチラとこちらの様子窺っているが、俺たちはできるだけ視線を合わさないようにした。

 ようやく順番が廻ってきた。
 おそらく30分程度だったと思うが1時間以上にも感じられた。
 303号室・・俺たちの部屋は3階だ。
 好きな部屋を選ぶほど余裕が無いのは少し残念だが、混み合っているんだから贅沢は言えないだろう。
 フロントで鍵を受け取った俺たちはエレベーターホールへと向かった。

 ◇

 部屋に入るとすぐに俺は惠を抱きしめた。
 着物の中に指を滑らせ、胸と太股を愛撫。着崩れしないよう最大限に気遣う。
 惠はすぐに甘い声を奏で、潤い始めるのに多くの時間を要しなかった。
 秘所をまさぐる頃にはすでに大量の蜜が溢れていた。
 俺自身もその時すでに激しく昂ぶっていたのでフェラチオはできるだけ省略して、すぐにバックからの挿入することにした。
 惠の着物の裾をグイッとまくりあげると、和装用の白いショーツが現れた。
 ふだん惠が愛用しているセクシーなTバックとはかなり異なる。
 でもいきり立った今の俺には、そんなことはあまり大事ではない。
 俺が和装用ショーツを一気に引き下げようとすると、惠が「待った」を掛けてきた。

「?」
「うふ、これって脱がさなくてもできるのよ」
「え?どういうこと?・・・あっ!」


第2話

 和装用ショーツをよく見て、俺は唖然とした。
 何とクロッチ部分に穴が開いているではないか。
 穴あきパンティを見たことはあるが、まさか和装用ショーツにも穴開きがあるとは驚いた。
 俺は思わず顔を近づけて覗いていると、惠は、

「あまり見つめないでよ~。恥ずかしいじゃないの」

 と腰を振って俺の視線を避けようとした。

「見ちゃだめと言うなら、触ることにしよう~」

 俺はクロッチに開いた穴に指を伸ばした。

「いやぁん」

(クチョクチョクチョ・・・)

 穴開きパンティは脱がす楽しみこそないが、直ぐに触れることができると言う長所がある。
 それに和服女性のパンティを脱がせようとすると、必然的に着衣が乱れてしまうもの。
 着衣を乱さずにいたすためには、穴開きパンティは最適の選択かも知れない。

「さすが惠!考えたね~」
「な、何が?」
「穴開きパンティ」
「そ、そう?」

 そんな会話の間も俺は指を休めない。
 クロッチの小窓に伸ばした指をせわしく動かせる。

(クチュクチュクチュ・・・)

「はぁ~ん」

 惠は鼻から抜けるような甘ったるい声を漏らせた。
 女性が穴開きパンティを着用してきた場合、ふだんのセックスよりも愛撫がつい性急になってしまう。

 穴開きの中をかき回された惠は早くも潤沢な蜜を湛えていた。
 俺は十分に怒張した俺の分身をクロッチの小窓に宛がった。
 和装女性の着物と襦袢をめくり上げ、背後から挿入するのは実に醍醐味があるものだ。
 俺は腰を前方に突き出した。

(ズン!)

「あぁっ」

 惠はベッドに肘をつき、腰を高々と上げ俺の分身を受入れる。

「あぁっ、いい~・・・」
「はぁはぁはぁ、今日は姫初めだね」
「そう、姫初めぇ、あぁん、すごく嬉しい~・・・」
 
(ズンズンズン)

 惠は『姫初め』と言うなまめかしい言葉に敏感に反応し、さらに昂ぶってしまったようだ。
 俺の猛り狂ったイチブツが窮屈な肉道をぐんぐんと突き進む。
 突き進む先はおびただしい潤滑油が溢れ俺を奥へと導いてくれる。

「しゅ、俊介ぇ~」
「なんだい?」
「顔を見ながらしたいのぉ~」
「正面からってこと?」
「そう」
「でも正常位だと着物が完全にめくれあがってしまうよ」
「騎乗位なら大丈夫では?」
「騎乗位だって同じだよ。バック以外だとかなり乱れるよ」
「でも、バックだけじゃ物足りないの~」
「そんなこと言ったって・・・」

 もしも着衣が乱れてしまったら大事になる。
 騎乗位で激しく悶える惠を見たいのは山々だが、着衣を乱すわけにはいかない。
 俺はバックで突つきながら、懸命に惠をなだめようとしている。
 奇妙なシチュエーションだ。
 だけど・・・

「ねえ、もうだめ~、我慢できないわ~」

 惠の肉体にすっかり火が灯ってしまったようだ。
 
「じゃあ、できるだけ激しく動かないようにしてね」
「うん」

 俺は仰向けに寝転び惠を導く。
 惠はできるだけ足をすぼめながら上に乗ってきた。
 膝を揃え、膝から下だけ左右に開いた形だ。
 しかし着物の裾がじゃまになって上手く腰を下ろせない。
 惠は自ら裾をまくり上げ、両手で束ねた。
 そしてゆっくりと腰を下ろす。
 穴開きパンティを穿いたままで。


第3話

 俺のそそり立ったものがスリットに触れた。
 惠は腰を前後させコックに照準を合わせようとしている。
 腰が深く沈みこみスリットが亀頭部分を含んだ。

(ズニュッ)

「あ~っ・・・」

 惠は喉の奥から悩ましい声を漏らした。
 渓谷の中はまるで熱帯雨林のようにぐっしょりと潤いを湛えている。
 でも惠の動きはまだ小刻みだ。
 いつものように大胆に上下動はしない。

(まあ仕方ないか・・・)

 派手に動き過ぎると着崩れし肌蹴てしまうことを、惠が恐れ動きが緩慢になってしまっているのだ。
 足を拡げ過ぎると帯が緩んでしまい元も子もなくなってしまう。
 そのため膝を閉じたままの『閉脚騎乗位』という風変わりな体位になってしまった。

「ごめんね。これ以上拡げると着物が完全に乱れてしまうわ・・・」

 俺は笑って答えた。

「うん、無理しなくていいよ」

 惠の膝は閉じさせたままにして、俺は尻を抱え下からググッと突き上げた。
 怒張したものが惠の中へ食込んでいく。
 惠は甘ったるい歓声をもらす。

「あぁっ・・いやぁ~」

 膝を閉じているせいで膣が締まってしまい、必然的に肉棒への締めつけが厳しくなる。
 俺は構わず窮屈なスリットに挿入したものを出し入れさせた。
 痛々しいぐらいにエラの張った先端が激しく膣壁を擦りつける。

(グリグリグリ、グリグリグリ)

「いやぁ~、あっ、あっ、いい!す、すごい~~~~~!」

 騎乗位はつぶさに女性の表情が眺められる。
 惠の顔に赤味が差し明らかに感じていることが分かった。
 俺の突き上げに敏感に反応している。

 悠然と惠の尻を支え、俺はゆっくりと腰を持ち上げた。
 最初は浅く小刻みに動かすだけであったが、だんだん深くなり動きも激しくなっていく。

「あっ、んっ、あぁっ、あぁん~」

 腰を回すようにして動かすと、惠もそれに合わせるように腰を回転させ始めた。
 刹那、ビシッと脳天に届くような快感が惠の身体を走り抜けた。

「ひっ~~~!いやっ!そこ、すごい! そこ、感じる~~~!」

 ぴっちりと閉じていた惠の膝はいつのまにか緩み腰を激しく上下動させていた。
 もはや感情の昂ぶりを抑えきれないのか、髪を振り乱し俺の上で激しく喘いでいる。
 着衣を乱してはいけない、という俺の理性もどこへやら吹き飛んでしまったようだ。
 帯は胸の方へずれてしまいすでに着崩れしてしまっている。

(ズンズンズン!)

「ああっ、それ、そこ、そこぉ~~~!」
「ここ、いいの? ここ?」

 惠が「いい」という箇所を怒張したものでグリグリと擦りつける。
 惠は「ひぃひぃ」と喘ぎ女性垂直系騎乗位の態勢が維持できなくなり、ついには前屈し俺に覆いかぶさってきた。
 前屈してきた惠を俺はしっかりと受け止め、腰を突き上げ激しく攻め立てた。

(ズンズンズン!ズンズンズン!)

「いやぁ~!もうだめ~!ひぃ~~~!イキそう!」

 俺は無言で下から高速回転の鉄槌を見舞う。
 惠は「濡れている」などという生易しいものではなく、すでに洪水状態になっていた。

「い、いっ、いいっ、イッちゃう~~~~~~~~~~~~~~!!!!!」

 惠は俺の耳元で絶頂時に発するあの言葉をつぶやいた。
 何度聞いても心地よい名文句だ。
 艶っぽい惠の嬌声を聞いた途端、突然俺の中に激しい昂ぶりが渦巻いた。
 惠が激しく喘ぎ続けるさなか、熱い液体は惠の中へ注ぎ込まれた。
 ドクンドクンと液体が断続的に注入される度に惠は身体を痙攣させた。


第4話

「イッったの?」
「うん・・・イッたぁ・・・」

 惠は満足そうに微笑みを浮かべながら小さく肯いた。
 俺の胸に顔をうずめて、まだ冷めやらない恍惚の余波に浸っている。
 耳を澄ますと惠の心臓の鼓動がせわしく鳴り響いているのが分かる。
 俺は惠を抱きしめながらそっと頭を撫でてやった。

 女と男とは絶頂を極めた後の余韻がまるで違う。
 男は発射した後急カーブを描いて急降下するが、女は緩やかな弧を描いてゆっくりと坂を下っていく。
 今更ながらその余韻の格差に一種の羨望を感じつつ惠を強く抱きしめる。

 俺の上でまどろむ惠の着物に目をやった。
 想像以上に乱れている。
 これはかなりやばい。直すのが容易では無さそうだ。

 ようやく恍惚の余韻から解放された惠に俺はつぶやいた。

「惠、着物ちょっとやばいかも・・・」
「えっ!ほんと!?」

 惠は俺の一言で一気に素に戻ってしまったのか慌てて飛び起きた。
 慌ててベッドから下りるとシャンプードレッサーの前へいき着衣の乱れを調べている。

「こちらを見ないでね」
「なんで?」
「自分で着付けしてみるわ」
「着れそう?」
「ううん、やってみないと分からない・・・」

 俺は惠から目を逸らした。
 でも不思議だ。
 先程まで俺に抱かれて散々痴態を演じておきながら、素に戻ると着付けする姿は見られたくないと言う。
 女性心理とは本当に不可解なものだ。
 いや、元々女性とはそういった不思議な生き物なのかも知れない。

 5分ほど悪戦苦闘した末、惠は眉を曇らせて戻ってきた。

「困ったわぁ・・・うまく着れないの。どうしよう」
「そういえばラブホって着付師を呼んでくれるところがあるって聞いたことがあるけど、ここはどうなんだろう」
「ふうむ、でも予約もしてないし、すぐに手配がつくのかしら・・・」
「ちょっと聞いてみるね」

 俺はフロントに電話をして聞いてみることにした。

「はい・・・はい・・・あぁ、そうなんですか。ちょっと待ってね」
「惠?」
「うん?」
「着付師を呼べるらしいけど、正月なので混み合ってて3時間ほど待たないといけないんだって」
「えっ!3時間も!?でも仕方ないかぁ。じゃあ頼んでおいて」
「分かった。あ、もしもし、じゃあお願いします。はい・・・はい・・・分かりました」

(ガチャリ)

 電話を切った後つぶやいた。

「3時間もあるけどどうする?カラオケかゲームでもする?それとも・・・」
「それとも?」
「俺に言わせるのか?」
「うん、言わせてあげる」

 惠はそういってクスクスと笑った。
 俺はずばり聞いた。

「もう1回戦行っとく?」
「あは、せっかくラブホに来てるんだしね。それが一番いいか」
「そうと決まったら、さあ始めよう!今度は着付の先生が来るし、惠を素っ裸にしてやるぅ~!」
「きゃぁ~~~!!」

 そういって俺は惠に襲い掛かるそぶりを見せた。
 ところが和装に不慣れな男にとっては脱がすことすら難しく、結局、脱がすことすら惠の手を借りる結果となってしまった。
 惠の色香漂う襦袢姿に鼻息を荒くした俺は、

「全裸にならないで~」
「なんで?」
「最後の1枚を脱がす楽しみは置いといて」
「あはは。もうほとんど裸なのに」

 襦袢の紐を解くぐらいはこの俺でもできると張り切り、ついには最後の紐を解いてしまった。
 惠を腰巻姿にしてしまった俺は、そのままお姫様抱っこをしてベッドへと担いでいった。


第5話

 3時間といえばたっぷり愛し合っても、まだおつりがあるほどの時間だ。
 俺は惠と抱き合った後、感じ過ぎるからといって逃げまどう惠を掴まえてうなじにキスの雨を降らせた。
「いやん、いやん」と言いながら身体をくねらせる逃げる惠。
 とりわけ遅れ毛の生え際辺りが感じるのか、口付けをするとキュッと首をすくめた。
 背中に唇を這わせながら腰巻の紐に手を掛けた。
 紐がぱらりと解ける。
 恥じらいながら色っぽく腰をくねらせる惠の秘所に指を滑らせた。
 秘所はすでに満々と潤いを湛えている。

「いやぁん・・・」

 蜜壷を指と唇でゆっくりと慈しんだあと、惠はたまらなくなったのか俺の肉棒に舌を這わせてきた。
 肉棒はもう十分怒張している。これ以上惠の唇で愛されると不覚にも途中で暴発してしまうかも知れない。
 俺は希望を尋ねてみた。
 通常なら尋ねたりせずこちらの主導で行なうのだが、たまには尋ねてみるのも愉しい。

「どんな体位がいい?」

 惠は恥らいながらささやいた。

「騎乗位・・・」

 本当は尋ねるだけ野暮なのた。
 なぜなら惠の答えはそう答えるに決まっているから・・・

 俺は仰向けに寝転び惠を迎え入れた。
 惠は俺にまたがり腰を沈めた。

(ヌチュヌチュ・・・グチュグチュ・・・)

「あぁ・・・」

 惠の騎乗位は乗馬とよく似ている。
 初めのうちは上下運動を繰り返しているが、感極まってくると前傾姿勢になって動きが急に速まってくる。
 前傾姿勢になると惠の腰がわずかに浮くので、俺はその瞬間を見逃さず下から激しく突き上げを見舞う。

「あぁ!あぁ!そんなぁ・・・!」

(ズンズンズン!ズンズンズン!)

「だ、だめぇ~~~~~~~~!!」

 ◇

 仕切り直し後1ラウンド目が終わり2ラウンドに突入した頃、部屋の電話がけたたましく鳴り響いた。

「えっ?」
「もう?予定より早いんじゃないの・・・」

 電話はフロントからだった。
 着付師が予定より早く来たのだと言う。
 人間とは勝手なものだ。待望の着付師が来てくれたのだから喜ぶべきなのに、どういう訳か今はそれほど喜べない。

「す、すみません。5分だけ待ってください!」

 裸のまま着付師を迎えるわけにもいかないので、慌てて身支度を整えることにした。
 ふたりは急いでベッドから飛び下り右往左往した。
 惠は下半身に腰巻を着け、上は襦袢を肩に掛けて待つことにした。
 俺の場合は一応ズボンまでは穿いておかないとあまりにも格好が悪い。
 5分後どうにか身支度を整え終えた頃、訪問を告げるチャイムが鳴った。
 俺はドアのある方へ向かった。

「失礼します」

 ドアを開けると50才代ぐらいの女性が丁寧に頭を下げた。

「着付のご希望はこちらのお客様でしょうか」
「あっ、はい、そうです。よろしく頼みます」

 着付師が部屋に入ると、惠ははにかみながら着付師にお辞儀をした。

「よろしくお願いします・・・」

 すでに腰巻は惠が自ら着けていたので、着付師は和装ブラジャー、肌襦袢等の手順で流れるように装いを仕上げていった。
 その間、着付師はふたりに関する話題はあえて避け、神社の混み具合のこと等当たり障りのない話題を選び、惠の緊張をほぐすことに努めているようであった。

「どうもありがとうございました」
「ご苦労様でした」

 まもなく無事惠の着付が完了し着付師は部屋を出て行った。

「ふう、やっと終わったね」
「なんだか疲れたわ」
「じゃあ、ぼちぼち帰ろうか?」
「あのぅ・・・もうちょっとだけしたいなぁ・・・」
「な、な、なんだって!?せっかく着付師まできてもらったと言うのに!」
「今夜一晩泊まって明朝もう一度来てもらうって言うのはどうかしら?」
「え~~~~~~~~~~~~!!うそ~~~~~~~~~~~~~~!!」
「明日まだ仕事はないでしょう?」
「そりゃまあそうだけどさ」
「じゃあ決まりね!さあ脱いで脱いで」
「よ~~~し~~~!!じゃあ徹底的に惠をいじめちゃおう~~~~~!!」
「あれぇ~~~~~~~!!」

 せっかく締めたはずの帯はシュルシュルと言う衣擦れの音とともに、またもや床に落ちてしまった。








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