本編はフィクションです









第11話

「ぐっふっふ……気の済むまで喚けばいいんだよ。声は絶対に漏れないからね。」

 無骨な指が繊細な陰裂を割り、うごめく度に見え隠れする様が実にいやらしい。
 身体をよじって抵抗を試みるイヴリンの腰を、美樹が背後からしっかりと押さえつけた。

「ほらほら、イヴリンちゃん、逃げたらダメじゃん。社長さんにしっかりと可愛がってもらわなくちゃ~。」
「外面だけじゃなくて中身もなかなか良い器量をしているね、ふふふ……。おい風田君、ぼちぼち記念撮影と行こうか。」
「へっへっへ、いつでもOKで。」

 風田は至近距離まで近づき、あられもない姿のイヴリンにストロボを炊き続ける。
 さらに風田は美樹に命じイヴリンの女芯をわざと広げさせ、ふだん目にすることのない奥襞までフィルムに収めていく。
「撮らないでぇ……お願い……やめて……」と泣きじゃくるイヴリンだが、風田は彼女の哀願に耳を貸そうともしなかった。

 撮影風景を満足そうに見つめる遠山はぽつりとつぶやいた。

「撮影会はぼちぼち終りかな?」
「ええ、ほぼ終わりです」
「じゃあ二人に面白いものを見せてやろう。本当は私ひとりで楽しもうと思っていたのだがね。ぐふふ…。」

 遠山はソファに置いてあった小箱から奇妙な形をした道具を取り出してきた。

「へへへ、社長、次はバイブ責めって訳ですか。」
「いや、そんなありふれたものじゃないよ。」

 確かに見た感じではバイブレーターでもローターでもなさそうだ。
 風田は首を捻った。

「社長、それはいったい何なんですか?」
「ぐっふっふ、説明をする前に先ずは効果の程を君たちの目で確かめてもらおうか。ぐふふ・・・」

 遠山が手にした物体はゴム製のスポイドのような形をしており、長さが5センチぐらいで色はピンク色をしていた。
 持ち手部分は太く膨らんでおり、先端がラッパのように広がっている。
 しかもよく見ると先端の中央には5ミリ程度の吸込み口がぽっかりと口を開いていた。
 果たしてどのように使うものなのか。風田と美樹はその物体を見て首を傾げた。
 遠山は淫靡な笑みを浮かべながらぽつりとつぶやいた。

「美樹君、すまないがイヴリンのクリトリスを剥き出しにしてくれないか。」
「えっ!?は、はい、分かりました…」
「ふふふ…クリトリスは2人もよく知ってるだろうが、女性の体の中でも特に敏感な場所だよね。でも皮が冠ってる女性が多いしどちらかというと攻めにくい場所だよね。でもこの道具を使うとね、そんな攻めにくい場所でも簡単に集中攻撃ができてしまうんだよ。ふふふ、名前はクリキャップと言ってね、先端に穴が開いているだろう?ここがポイントなんだよ。花弁を広げてクリトリスを剥き出しにして、クリキャップの持ち手をつまみ空気を抜きそのままの状態でクリに当て、持ち手を離せばクリトリスに吸い付くという仕組みなんだ。ローションを塗ってやると吸い付きがより強力になるんだが、イヴリンは敏感そうだからローションなんてものは要らないね。美樹君、何ならのちほど君にも試してあげるよ。はっはっは~!」
「ほほほ、面白そうですね。では先ずはじめにイヴリンちゃんに試して効果のほどを見せてもらいましょうか。」

 まもなく美樹の指でイヴリンの花弁は大きく開かれ、最も敏感な部分が剥き出しにされてしまった。
 亀裂から覗く愛らしい実は朝露に濡れた真珠のようにきらりと輝きを見せていた。

「い、痛い!」
「ごめん、ごめん、イヴリンちゃん。私としたことが。」

 美樹はクリトリスを剥き出しにする際に、わざと爪を立てたのであった。
 美樹は形ばかりの謝意を口にする。

「おいおい美樹君、イヴリンはスターなんだから手荒に扱っちゃいけないよ。さて、それじゃあぼちぼちとクリキャップを使ってみるとするか。」
「や、やめて…変なことしないでください!」

 遠山はクリキャップをイヴリンの秘所に近づけた。
 予め持ち手部分の空気を押し出し真空状態にしたうえで、先端の小さな開口部をクリトリスに被せてしまった。
 そして持ち手部分の指の力を弱めていく。
 次第にスポイドは膨らみはじめ、キャップの先端が吸引されていく。

「ひぇえ~~~!あっ、あっ、や、やめて!変になっちゃう!いや、いや!やめてぇ~!」

 クリトリスは強い吸引力で吸い寄せられていく。

「わわわわわっ!ああ、おかしくなっちゃう~、いやっ!や、やめて~~~!お願い~~~!!」

 美樹はその効果のすさまじさに唖然とした。

「すごい効き目だわ。あれほど強気なイヴリンちゃんがこうまで取り乱すなんて。おほほ、私まで感じて来ちゃった」
「はっはっは~、本当にすごく効果だね。私も今回初めて使うんだけど、実に愉しい道具だね。わっはっはっはっは~。」

 イヴリンの痴態を黙々とカメラに収めていた風田も我慢できなくなったのか、思わず撮影の手を止めイヴリンの身体に手を伸ばしてきた。 大腿部や臀部等あらゆる箇所に指を這わせた。
 美樹はイヴリンの乳房を中心に愛撫を繰り返している。
 三人掛かりによるクリトリス吸引責めと全身愛撫。必死に堪えていたイヴリンではあったが、彼らの執拗なまでの羞恥責めによって、身体の奥で眠っていた官能の炎がめらめらと燃え上がってしまった。

(ああっ、だめ、感じてはいけないのに。ああ、いや、どうしよう……)


第12話

 と心では思ってはみても、心とは裏腹に身体は逆方向へ加速して行くのを禁じえなかった。
 遠山たちは舌を駆使し、乳房、唇、腹部、耳たぶ、さらにはアナルにまで愛撫を繰返した。

 彼らから絶え間なく執拗な愛撫を受けているうちに、イヴリンの確固たる意識はその肉体の奥から沸き立つ快楽の中へ包み込まれていく。
 数多くの番組や雑誌のグラビアを飾ってきたその涼やかな目元は、切なげに歪み焦点の合わない瞳も官能的に潤んでいた。
 すっきりした薄いめの唇は半開きになり、そこから断続的に淫靡な声が漏れていた。

 クリキャップ責めを続けていた遠山は、はたとその作業を止め、にやりと笑みを浮かべた。
 風田と美樹は遠山が今から何をするつもりなのかだいたいの察しがついた。

「へへへ、社長。いよいよ仕上げってわけですか。」
「ふっふっふ、私ももう限界なのでね。風田君、すまないがイヴリンを片足吊りに縛り直してくれないかね。」
「お安い御用ですよ。へへへ」

 風田はこっくりとうなづくと、イヴリンの太股をしっかりと抱え込み縄を数回回すと、左足だけを高く吊り上げた。
 イヴリンが悲痛な叫びを上げる。

「や、やめて!変なことしないで!」
「変なことはしないよ。今からその可愛い下のお口に、社長さんの立派なものをちょいと挿し込んでもらうだけだからさ。」

 風田がおどけながらイヴリンに語りかけた。

 イヴリンの身体は日頃ダンスで鍛えていることもあって実に柔軟だった。
 左足が扇形に大きく開かれた。
 同時に亀裂も大きく広がってしまい、内部の鮮やかなサーモンピンクをしっかりと見せつけていた。
 遠山のいちぶつはイヴリンに激しく反応し、すでに隆々とした反り返りを見せていた。
 遠山は正面からイヴリンに挑みかかった。
 イヴリンは血相を変えて遠山から避けようと試みたが、拘束されている身ではどうにもならなかった。
 肉棒がゆっくりと埋没する様を風田と美樹は固唾を飲んで見守った。

 おぞましい感触がイヴリンを襲った。
 遠山は出張った腹にもかかわらず器用に抽挿を続けている。
 色素の薄い陰唇が挿入により完全にめくれあがり、遠山の赤黒くいちぶつが見え隠れする様が実に淫靡に映った。

(グジュッ…)

「いやぁ~~~!やめて~~~!!」

 イヴリンの叫びが狭い部屋の中にこだました。


 遠山の肉棒を受け入れていくうちに、イヴリンの肉襞からはねっとりとした蜜液が溢れ出していた。
 蜜液で濡れそぼった秘所にはもはや太い肉棒は快感の道具でしかなかった。
 イヴリンは遠山から顔を背け必死に拒絶の姿勢を貫いたが、悲しいかな肉壷は彼女の意思に反して侵入者に対して歓待の姿勢を見せていた。

 遠山は肉の感触を楽しみながら、ゆっくりと一番深い部分まで肉棒を押し込み抽挿を繰り返した。

「あうっ……いやっ……お願い……や、やめて……お願いだから……」

(ヌッチョヌッチョ、ヌッチョヌッチョ……)

「ふふふ、嫌がっているように見えるけど、こっちの方は至って従順じゃないか。この嘘つきイヴリンが。がはははは~~~!」

 正面からイヴリンに挑む遠山は勢いづいてイヴリンの唇をも奪ってしまった。

「うぐっ!やめて!けだもの!」
「そう、毛嫌いしなくたって」

 シャッターがパシャパシャと炊かれる。
 風田はカメラマンとしての本能が蘇ったのか、ひたすら被写体に迫った。

「ああんっ、あっ……」

 遠山の怒張したものが肉壁を擦るたびに、イヴリンの口から切ない吐息が漏れた。
 あまりの激しい攻めにイヴリンの精神の牙城も限界点に近づいているようだ。
 遠山がイヴリンの中で果てた後、風田が待ちかねていたかのようにカメラを置きイヴリンに挑みかかった。



 その後、イヴリンはようやく戒めを解かれたものの、ベッドへと運ばれ、男ふたりに押さえつけられ、美樹にむりやり大型バイブを押し込まれた。
 イヴリンに対する陵辱は明方近くまで続いた。
 いってはならないと思いつつも、図らずもアクメに達してしまう自分が恨めしかった。

 夜明け頃、さすがに遠山たちも疲れの色が見え、ようやくイヴリンは解放されることとなった。
 帰り際、イヴリンが最も恐れることを遠山から告げられた。

「わざわざ言わなくても分かっているとは思うが、今日のことを外に漏らしたらどうなるか分かっているよね?君の写真を闇ルートに売りさばくと結構高く売れるんだよ。なんせ君は有名人だからね。ははははは~。いや、それだけでは済まないよ。彼氏に君がセックスしている写真を送りつけたって構わないんだ。こっちは別に儲かる訳じゃないんだけど、君には一番大きなリスクじゃないのかな。」
「くっ、卑怯な……。わ、分かったわ。絶対にしゃべらないから。」
「ああ、それと1つ朗報があるよ。今日、私たちのお相手をしてくれたご褒美として、この前言っていた番組への出演、君に頼むからね。ふっふっふ、嬉しいかね?その代りと言っちゃ何だけど、こんな楽しいパーティ、今回限りというのも寂しいのでまた開催したいと思うんだ。当然、付き合ってくれるよね?」
「……」

 遠山の言葉にイヴリンは肯きもしないで無言で立去った。


第13話

 茫然自失に陥ったイヴリンは、ぼんやりと魂が抜けたかのようにただ立ちつくしていた。
 その視線は宙を彷徨い、うつろで瞳は輝きを失っていた。
 昨夜の悪夢のような出来事も、明日以降先々のことも何も考えたくなかった。
 打ちひしがれ考える気力も失ったイヴリンではあったが、ひとつだけ気掛かりなことがあった。
 それは俊介のことであった。
 彼とはクリスマスイヴを二人で過ごそうと約束していたのに果たすことができなかった。
 彼は今頃どうしているのだろうか。
 とめどなく熱い涙が頬を伝った。



 イヴリンのマンションで彼女を待ちわび一夜を明かた俊介は、明け方マンションを後にした。
 テーブルには水分を失ったクリスマスローズの花束がしおれ掛けていた。

 俊介が家に着く頃、携帯が着信を告げた。
 イヴリンからであった。

「イヴリン、どうしてたの、昨夜は。オレずっと待ってたんだよ、君の家で。電話しても繋がらないし」
「ごめんね、俊介、連絡しなくて。撮影がうまく行かなくて何度も撮り直しをしてたの」
「ふうむ、そうなんだ。スタジオに電話をしたけど、繋がらなかったよ」
「え?ああ、あのう……スタジオから移動して別の場所で撮ってたの。俊介に電話をする暇もなかったの。ごめんね」
「そうだったんだ。かなり疲れたろう?ゆっくりと休んでね。お休み……」
「また電話するね。お休みなさい……」

 俊介には真実を告げたかった。喉まで出かけていた。
 だけど言えなかった。
 彼を失うのが恐いから、イヴリンは精一杯の嘘をついた。
 作り話を彼は信じてくれただろうか。
 いいや、信じてもらえなくても仕方がない。
 今のイヴリンにはそのように言うより他に方法がなかったのだから。



 それから2日後、俊介の元に一通の封書が届いた。

(誰からだろう?差出人が書かれていない)

 俊介は少し訝しく思ったが、封を切ってみることにした。
 中からは数枚の写真が出てきた。
 俊介は顔色を失った。
 それらの写真はすべてイヴリンで、あられもない恰好で男と交わっているではないか。
 作為的であったと思われるが、写真はすべて彼女の絶頂時を捉えたものばかりであった。
 相手の男の顔の部分にはモザイクが施していある。
 合成写真ではないかと疑ってはみたが、どうもすべて本物のようだ。
 写真には日付が入っていた。
 20××年12月24日……25日……

(あのクリスマスの日だ……)

 相手は、そして差出人は一体誰なんだろうか。
 そしていったい何のために俊介に送りつけてきたのか。

(むむっ……イヴリン、君のことを信じていたのに……)

 送付してきた人物の特定はできないが、イヴリンが見知らぬ男性とあのような破廉恥な行為をおこなったのは紛れもない事実である。
 俊介は信じていた女性に裏切られた口惜しさで胸が張り裂けそうだった。



 俊介はポケットから携帯を取り出し慣れ親しんだ名前をコールしようとしたが、しばらく考えた後掛けるのをやめてしまった。

(いや、やっぱり電話するのはよそう……自分が惨めになるだけだ。イヴリンはオレを裏切った。会う約束をしていたクリスマスイヴに他の男に抱かれた。それだけではなく、行為の様を撮影して俺に送り付けて来た。オレはイヴリンを見損なった。そんなヤツだと思っていなかった。。信じていたオレが浅はかだった。どうせオレはしがないバンドマン、スターのイヴリンと釣り合いが取れるわけないさ。つかの間の夢をありがとうよ。さようなら……イヴリン……)

 俊介は旅行カバンに荷物を詰め込んでいた。

(東京ともおさらばだ。故郷に帰ろう。田舎で別の仕事を探そう……)

 俊介はマンションの管理人に簡単に事情を述べマンションを後にした。
 そして一路東京駅へと向った。



「もしもし、イヴリンかね。この前はおつかれだったね。早速だが、明後日14時から君がMCを務める予定の歌番組の打合せをしたいんだけど来てくれるね?」
「いいえ、出演のお話はお断りします。社長の顔はもう見たくありませんので。それから事務所も辞めさせていただきます。」
「な、何だと!?出演を辞退すると?しかも事務所も辞めたいだと?そんなこと言っていいのか?私はあの夜の悶え狂う君の写真を持っているんだよ。」
「脅迫する気ですか?好きにバラ巻けばいいでしょう。どうせ落ち目の人気歌手・人気モデルですから、大したスクープにはならないと思いますわ。」
「くっ、くそ、開き直りおって……」
「用件はそれだけですか?もう電話切りますよ。」
「あ、ちょっと待ってくれ……いや、何とか出演をしてくれないと困るんだが……」

(ガシャン)

 イヴリンは社長の言葉を最後まで聞かず受話器を下ろした。
 そしてすぐに俊介の携帯に電話した。

「ああ……イヴリンか……」

 俊介は東京駅に向かう途中だった。

「俊介、この前はごめんね。今から会えないかしら。話がしたいの。」
「話を?今さら何を話そうって言うの。オレは今東京駅に向ってるんだ。故郷に帰ろうと思ってね。君とはさよならだよ。」
「え~~~っ!東京駅に、って、ま、まさか、冗談でしょっ!?」
「冗談じゃないよ。本当に今向かっているところでもう直ぐ着くよ。」
「ちょっ、ちょっと待ってて!私、今から東京駅に向うから!!乗るのは待って!!」

(……)

 急に無音状態になった。俊介が携帯を切ったようだ。
 イヴリンは着の身着のままでバッグだけを持って家を飛び出した。
 表通りまで行き1台のタクシーをひらった。

 運転手には、料金をはずむから少し無理をしてでも東京駅まで突っ走ってくれ、と頼み込んだ。
 運転手は驚くべき依頼に一瞬目を丸くしたが、イヴリンのただならぬ様子に同情したのか、彼なりに精一杯クルマを飛ばした。

 東京駅に到着したイヴリンは早速時刻表を見上げた。
 俊介の故郷は大阪だ。
 おそらく新大阪駅まで行くだろう。
 イヴリンは携帯をかけた。
 向うから聞き慣れた低い声が聞こえて来た。

「俊介?今ね、私、東京駅に着いたの。あなたは今どこにいるの?」
「ええっ!ここまで来たの!?オレは今15番線のホームにいるんだ。博多行きに乗って新大阪まで行くつもりなんだよ。もう直ぐ発車するんだ。11時56分発だ。」
「ええ!?11時56分発!?そんなぁ~!もう時間がないじゃない~!今すぐ行くから待ってて~!」

 イヴリンは腕時計を見た。
 時計の針は11時51分を指している。
 急いで入場券を買おうとしたが2、3人並んでる。
 詫びながら事情を告げると並んでいた客は快く順番を譲ってくれ、何とか入場券を買うことができた。
 イヴリンは一目散に自動改札を走り抜け、急ぎ足で階段を駆け上がった。
 息を切らしながらようやく15番線ホームに辿り着いたが、運悪く新幹線“のぞみ”は発車した直後であった。

「はあはあはあ……あぁ、間に合わなかったぁ……行っちゃったぁ……俊介が行っちゃったぁ……」

 イヴリンはがっくりと肩を落とし、小さくなっていく新幹線を見送った。
 溢れる涙を堪えることができない。

「俊介……どうして……どうして行っちゃったの……私を置いてどうして行っちゃったの……」

 その時、イヴリンの肩を叩く者がいた。

(ん?だれ?)

 イヴリンはふと振り返ってみた。
 そこには優しく微笑む俊介が立っていた。

「う、う、うっそ~~~!しゅんすけぇ~~~!新幹線に乗らなかったの!?」
「そりゃ当然だろう?イヴリンを残して行ける訳ないじゃないか」
「俊介ぇ~~~!だ~いすき~~~!!」

 ホームは次の新幹線を待つ人々で賑わい多くの人達が見つめていたが、イヴリンは周囲の視線を気にすることもなく俊介の胸に一目散に飛び込んだ。
 イヴリンの瞳からはとめどもなく涙がこぼれ落ちる。
 そんなイヴリンをしっかりと受け止めた俊介は頬に熱いくちづけをした。
 唇は頬から唇へと移動した。
 くちづけはイヴリンの頬伝う涙が混じりしょっぱい味がした。

「イヴリン、もう君を離さないからね……」
「私だって二度と俊介から離れないわ……」

 大晦日の0時過ぎ、時は一瞬止まってしまった。
 そして……
 時は再び動き始め、ふたりは新しい年に向かって歩き出した。


















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