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第2話 初めてのお姫様抱っこ まだ3月だが短く刈り込まれた芝が美しい。 おそらく寒冷地芝草のベントグラスが植えてあるのだろう。 海からの風は右から左に吹き、パターを構えるあやの頬を撫でる。 打ち寄せる波の音を聴きながら、あやはパターを小さくスイングした。 (コツン……コロコロコロ……コトンッ!) 「おおっ!ナイスバーディー!あや、すごく上手いじゃないか!」 「ええっ?ナイスバディー?いやぁ、それほどでも無いんですけど~」 「バカ、ナイスバーディーって言ったんだよ」 「あ、そうなんですか。波の音でよく聞こえなかったもので」 「天然ボケか……」 ふたりはパターゴルフを楽しんだ後、ペンションに戻り熱いシャワーで汗を流した。 風呂から上がったあやは着慣れないバスローブを羽織って英俊の前に現れた。 英俊はあやの肩を抱き寄せそっと唇を近づけた。 「やだぁ~、先輩~。何だか照れますよ~」 「……」 「先輩、ゴルフも上手いんですね。あの構えなんかベテランのゴルファーみたいで」 「あや、その話題は後で話そう……」 「え?」 「あや……」 (チュッ……) 英俊は半ば強引にあやの唇を奪った。 「先輩……」 「あや……」 (チュッ) 次の瞬間あやの身体がふわりと浮いた。 英俊があやの背中と膝に手を回し抱え上げていたのだ。 「え?え?これってもしかして、これってお姫様抱っこ!?」 思いがけない英俊の突然の行動に、あやは大きな目を一層大きく見開いた。 「あぁ、これがお姫様抱っこか~」 「何をうっとりしている」 「だって女の子なら誰でも憧れるお姫様抱っこですよ~?」 「へ~、憧れるんだ」 「先輩~、さすがですね~」 「どうしてだ?」 「だって私を軽々と抱え上げるんだから~」 「別に大した事じゃないよ」 「私、重いでしょう?」 「いいや、全然」 英俊は抱きかかえたままあやの唇にキスをした。 それに応えるあや。 あやの表情がかなり神妙になっている。 唇を重ね合わせながら英俊は一歩一歩ベッドに近づく。 「あや、オレはもうお前と同じ部員じゃない。それに高校生でもない」 「はい、そうっすね」 「だから」 「はい」 「あや、あのなあ……」 「はい?」 「あや、いい加減、その丁寧言葉はやめてくれないか?」 「だって先輩なんですもの」 「それは昨日までのことだ。さっき言ったようにオレはもう高校生じゃなくて卒業生だ」 「でも先輩は先輩ですから」 「みんなの前ならそれでもいいだろう。だけどここはホテルだぞ」 「はい、そうっすね」 「お前、分かってるのか?」 「何が……ですか?」 「男と女がホテルに二人でいるってことがどんな意味なのかが」 「……」 「オレとお前は今からセックスするんだぞ」 「や~ん!先輩のエッチ~!そんな恥かしいこと……」 「アホか……全く……」 ベッドまで辿り着いた英俊は少し乱暴にあやを下ろした。 「あ!先輩!後輩をそんな乱暴に扱っていいんですか!?」 「いや、オレは何も乱暴になんか扱ってない」 「え~ん、先輩が私を放り投げた~」 「そんな……ちょっとした弾みで」 「先輩」 「なんだ」 「お詫びに私を抱きしめてください……」 あやは急に甘えた仕草で英俊に抱擁をせがんだ。 それに応えるべく英俊はあやの横に寝転んだ。 (チュッ) 「あや、好きだ……」 「先輩、私も大好きです」 「あや、お願いだから、その先輩って言うのをやめてくれよ」 「あっ、そうだったですね。ごめんちゃ。じゃあ、ヒデ……」 「あや……」 (チュッ、チュッ、チュッ……) 「あや、舌を出して」 「え?舌ですか?」 あやは言われたとおり、舌をペロリと出した。 すると英俊も同じように舌を出し、あやの舌に合わせて来た。 (ペロペロ、ペロペロ……) 舌を絡めている間に英俊の手は伸びあやのバスローブの胸元に滑り込んだ。 「あ……」 あやは一瞬怯みキスを中断させる。 その隙に英俊は再び唇を奪った。 唇と唇が重なり合い、先程よりも濃厚なくちづけが展開された。 バスローブの中に滑り込んだ手は量感のある乳房を弄った。 あやの乳房の大きさは相当なもので、英俊の大きな掌でも包み込めない。 男と言う生き物は女性の乳房に触れると、本能的に『揉んでみたい』という衝動に駆られる。 英俊は弾力性に富んだ乳房の感触を指で楽しんだ後、本能のままにあやの乳房を揉み始めた。 「あぁん~……せんぱい~……」 「まだ言ってる」 「えへへ、つい口癖で言っちゃうんですぅ~」 あやは悪戯っぽく舌をペロリと出して詫びる仕草を見せた。 「まぁいいけどさ。ムード出ないだろう?」 「そうっすね。気をつけます~。せん…じゃなかった、ヒデ……そこすごくいいですぅ」 「オッパイを揉まれるってそんなに気持がいいのか?」 前頁/次頁 |