ファンタジー官能小説『セクスカリバー』

Shyrock 作



<第42章「荒城に棲む不死王」目次>

第42章「荒城に棲む不死王」 第1話
第42章「荒城に棲む不死王」 第2話
第42章「荒城に棲む不死王」 第3話
第42章「荒城に棲む不死王」 第4話
第42章「荒城に棲む不死王」 第5話
第42章「荒城に棲む不死王」 第6話
第42章「荒城に棲む不死王」 第7話
第42章「荒城に棲む不死王」 第8話
第42章「荒城に棲む不死王」 第9話
第42章「荒城に棲む不死王」 第10話

『セクスカリバー世界地図』




<登場人物の現在の体力・魔力>

シャム 勇者 HP 1300/1300 MP 0/0
イヴ 神官 HP 1000/1000 MP 1090/1090
アリサ 猫耳 HP 1030/1030 MP 0/0
キュー ワルキューレ HP1160/1160 M650/650
マリア 聖女 HP 850/850 MP 1210/1210
チルチル 街少女 HP 790/790 MP 0/0
ウチャギーナ 魔導師 HP 890/890 MP 1160/1160
リョマ 竜騎士 HP 1400/1400 MP 0/0
エンポリオ アーチャー HP 1020/1020 MP 0/0
メグメグ 武術家 HP 1200/1200 MP 0/0
エリカ ウンディーネ女王 HP 860/860 MP 1200/1200
シャルル 漁師・レジスタンス運動指導者 HP 1370/1370 MP 0/0
ドルジ 騎馬戦士 HP 1230/1230 MP 0/0
サラーナ 赤魔導師 HP 950/950 MP 1020/1020

⚔⚔⚔

ユマ 姫騎士 HP 1120/1120 MP 0/0
ソニア 侍女(幽霊) HP -700/-700 MP 500/500
ジン 将軍 HP 700/1100 MP 0/0
トマーゾ 幽霊騎士団団長 HP -1150/-1150 MP 0/0



⚔⚔⚔



第42章「荒城に棲む不死王」 第1話

 ムーンサルト城の南側を流れる川のせせらぎが、静かな午後の城内に響いていた。
 城の北側は大海に面しており、その天然の要塞としての姿が威厳を誇っていた。
 かつては栄華を極めたこの城も、メドゥサオールたちの襲撃によって荒廃し、一度はユマ姫たちが城の再建に取りかかったが、無念にも再び不死王リッチの手に落ちてしまった。

 だが、城内の片隅ではユマ姫率いる戦士たちが、反撃の機会をうかがっていた。
 彼らはリッチの暴虐を許すことなく、かつての栄光を取り戻すべく、静かに計画を進めていた。

 ある日、ユマ姫は忠実な戦士たちとともに、リッチの城に潜入する作戦を決行した。夜の闇に紛れ、戦士たちは城内に忍び込み、リッチの手下であるゾンビたちを次々と排除していった。
 最初は優位に展開していたが、リッチ側が墓地に呪文をかけ這い出した多くのスケルトン兵たちを投入し、ユマ姫たちは次第に劣勢に立たされていった。
 しかし、戦士たちはユマ姫を守るという使命を胸に秘めており、一人ひとりが勇敢に立ち向かった。
 中でも参謀のジン将軍は、リッチとの激しい一騎打ちを繰り広げていた。
 その激戦の中、不幸にもジン将軍の剣がリッチの魔法によって砕かれ、もはやこれまでと思われた時、颯爽と7人の幽霊騎士団が現れ、ジン将軍を救出したのだった。

 幽霊騎士団とは、メドゥサオールによって城が滅亡に追い込まれた際、最後まで勇敢に戦った7人の騎士たちのことであり、彼らは戦死後もムーンサルト城への思いを断ち切れず幽霊となって城内をさまよっていた。
 彼らは鎧冑(がいちゅう)を着用しているため、一見、生きている騎士と遜色ないが、鎧を脱ぐと実体がないため人間の目には見えないのである。
 はたして、少数の戦士たちと7人の幽霊騎士団でユマ姫を守ることができるのだろうか。
 その運命は、闇の中に包まれたままだった。

⚔⚔⚔

 ここはムーンサルト城南部にある大教会。
 教会とはいっても、建物を武装しているためまるで要塞のようである。
 現在は、城を追われたユマたちが根城として使い、ここを拠点としてリッチたちに対抗している。

ユマ「幽霊騎士団さん、ジン将軍の危機を救ってくれてありがとう。あなたが団長さんなのね?」
幽霊騎士団団長「ハイ、私ハ団長ノトマーゾト申シマス。私ノ声ガ聞コエルノデスネ?」
ユマ「だいじょうぶよ、しっかりと聞こえてるわ」
トマーゾ「ユマ姫様ノ前ナノニ鎧冑ヲツケタママデ失礼シマス。鎧冑ヲ外スト透明ニナッテシマイ、ユマ姫様ヲ驚カスト思ウノデ、ハズサナイゴ無礼ヲオ許シクダサイ」
ユマ「そんなの気にしなくていいわ」

 本来ユマは格式高い姫君だが、シャムたちと旅をしているうちに、いつしか彼らの影響で『気さくさ』や『気取らなさ』を身に着けたようである。

ユマ「ねえ、ソニア、幽霊になったあなたとも、最初からふつうに会話ができたよね」
侍女ソニア「ユマ姫様には特殊な能力があるようで、私たち幽霊の声が聞きとれるようなのです。ただし、信頼できる幽霊の声しか聞こえない勝手耳ですけどね」
ユマ「それって、勝手耳って言うの? ちょっと違うような気がするけど。、まあ、それは置いといて、ジン将軍の怪我の具合はいかが?」
ソニア「戻られてすぐに私がヒール魔法をかけておいたので、しばらく休めば元気になられると思います」
ユマ「そう、ありがとう、ヒール魔法って便利ね、私も使えたらいいのにね」
ソニア「ユマ姫様には神様からいただいた『天空魔法』があるじゃないですか」
ユマ「冗談はやめてよ、だって、私はMPがゼロなのよ。ゼロ~~~~!!」
ソニア「うわっ、びっくりした! そんな大きな声を出さなくてもちゃんと聞こえてますから。確か使うべき時が到来したら神様がMPを授けてくれると……亡き王妃様がおっしゃってましたわ」
ユマ「私もそう聞いているけど、早く使えた方が便利なのにね」
トマーゾ「アクマデ私ノ想像デスガ、天空魔法ノ破壊力ハトテツモナク巨大デ、ソレヲ使ウコトハユマ姫様ノ生命ヲ脅カスノカモシレマセンネ」
ソニア「もしそうならずっとMPゼロでいてください。私はユマ姫様の安全を願っておりますので」
ユマ「いいえ、そうなら、たとえ私の命と引き換えにしても、使うべき時が来たら使うわ……」

 ユマ姫は気高い姫騎士として一生涯を剣に捧げると誓った。

ユマ「今頃、シャムや皆はどうしてるのかなぁ……会いたいなぁ……」

⚔⚔⚔

 その頃、シャムたちはムーンサルト城へと向かっていた。

シャム「チルチル、そういえばおまえと出会ったのはムーンサルトの廃墟だったなあ」(第9章第1話~第2話参照)
チルチル「うん、笛を吹いているとシャムたちがやってきたでピョン♫」
シャム「確かお兄さんが魔物との戦いで亡くなったって言ってたな。あの時、いっしょに遺体を探してあげられなくてすまなかったな」
チルチル「うん、いいよ。3日間かけて探したんだけど、何かつらくなって……。気にしなくていいよ」
シャム「お兄さんの名前はなんていうの?」
チルチル「トマーゾ」
シャム「トマーゾか、いい名前だなあ」



第42章「荒城に棲む不死王」 第2話

イヴ「お兄さんはどんなお仕事だったの?」
チルチル「騎士だったの。幼い頃に見た兄の姿は今でも忘れないでピョン♫」
キュー「どんないでたちだったの?」
チルチル「え~とね~、黒いマントをひるがえし、馬を駆って、颯爽と風を切る姿は格好よくて、思わず『大きくなったらお兄ちゃんのお嫁さんになる!』って言ったら、『ははは~、よそからお嫁さんが来なかったら、その時はもらってやるよ』と笑ってたわ♫」
ウチャギーナ「チルチルちゃんのお兄さんだったら、きっと格好いい人だったんだろうね」

 チルチルは急に涙ぐんだみポツリとつぶやいた。

チルチル「……クスン……もう一度会いたいなぁ……」
マリア「チルチルさんの思いがお兄さんに通じて、もしかしたらお兄さんの魂が現れるかもしれませんわ、そんな気がするんです」
シャム「会えたらいいな」
チルチル「うん、魂でもいい、幽霊でもいい、お兄ちゃんに会いたいよぉ」

⚔⚔⚔

 ムーンサルト城周辺の大墳墓で、黒装束の男が呪文を唱え数多の死者をよみがえらせていた。
 彼の名前はエレジー。アンデッド種族の最高峰である『死の支配者』であり、ネクロマンサーという特異な職業を持つ。
 人間や魔物を極度に嫌悪し、リッチの地上界制覇の野望に共感し現在は彼の側近としてその任務を果たしている。
 彼は冷酷なまなざしでスケルトンやゾンビたちを操り、敵であるユマ姫軍せん滅の準備を行なっていた。

エレジー「我が使い魔たちよ、敵はかなり弱体化している。もう少しだ。今こそ我らの力を示すときだ」

 エレジーの声が響く中、アンデッドたちは無機的な動きでその指示に従った。
 彼らはかつての力を持って蘇り、恐ろしい軍勢を形成していた。

 ユマ姫軍を取り囲み一気に叩く。エレジーは悪意に満ちた笑みを浮かべながら、アンデッドたちに指示を与える。

エレジー「さあ、我が軍よ。リッチ閣下とともにユマ姫軍を討ち果たすのだ」

 城外戦が始まった。ユマ姫軍の配下はわずかだが、幽霊騎士団に幽霊戦士が加わり総勢100名程度になった。
 彼らは勇敢にアンデッドたちと戦いを繰り広げるが、その前に立ちはだかるアンデッドの大群に次第に押されていく。
 エレジーは満足げにその様子を見守っていた。
 彼はユマ姫軍の攻撃に備えて強大な軍勢を擁しており、勝利は着実にアンデッド軍に近づいていた。

リッチ「アンデッドたちよ、彼らを全滅させよ。所詮、人間と幽霊どもの烏合の衆に過ぎぬ。我らが力を示す時だ!」

 そして、スケルトンやゾンビたちはリッチの命令に従い、一気にユマ姫軍に襲いかかった。
 やはり城外戦においては兵力がものをいう。
 ユマ姫たちがいかに勇猛でも限りがある。
 彼らはリッチとエレジーの恐るべき力に屈し、敗北を喫し、敗走するのであった。

 ユマ姫軍はアンデッドの大群に追い詰められ、教会へと逃げ込んだ。
 教会は神の加護があり結界が張り巡らされているので、すぐに破られることはないだろう。
 しかし、いつまで持ちこたえられるか微妙な状況だ。

 そこでユマ姫は起死回生の策として、リッチと一騎打ちを敵に提案した。

ユマ「私が勝ったら、アンデッドたちはムーンサルト城から立ち去れ。もし私が負けたら、私を好きなようにすればよい。ただし私の配下と幽霊たちは助けてやってほしい。それを約束できるなら一騎打ちで決着をつけようではないか」
リッチ「いいだろう。おまえの提案を受け容れよう。一騎打ちの場所はどこだ?」

 リッチは驚くべきことにユマの提案を承諾した。

ユマ「ムーンサルト城の東にある林はどうだ。林といっても樹々は少なく見通しのよい場所だ」
リッチ「いいだろう。では1時間後、林で待つ」
ユマ「承知した」

 かくしてユマとリッチの一騎打ちが行なわれることになった。

⚔⚔⚔

ソニア「ユマ姫様、行ってはなりませぬ。敵の罠です。彼らはみすみす城を明け渡したりはしません」
トマーゾ「私モ同感デス。彼ラハズル賢イ連中デス。約束ヲ守ルトハ思エマセン。絶対ニ行かカナイデクダサイ」
ユマ「確かにこの教会には結界があるので籠城すればしばらくは持つだろう。だけど、水や食料は必ず尽きる。餓死するまで耐えろというのか。ここはのるかそるか、一騎打ちにかけるしかない」
ソニア「私や団長たちは幽霊です。水や食料は必要ありません。ユマ姫様と配下の皆さんの水と食料は私たちが教会を抜け出して調達して来ます」
ユマ「ダメです。みんなをそんな危ない目に遭わすわけにはいきません。許可しません」
トマーゾ「ユマ姫様……」
ユマ「一騎打ちは行います。リッチはきっと約束を守るはずです。私は信じます」



第42章「荒城に棲む不死王」 第3話

 ユマは配下を伴わず単身、ムーンサルト城の東に広がる林地に到着した。
 以前は青々と茂っていた林地も、落城後は樹々までが死に絶えてしまったかのように見える。
 白々と骨を立てたような枯れ木の原が哀愁を誘う。
 ユマの背後から、低くくぐもった声が聞こえてきた。

リッチ「よく来たな、ユマ姫。怖気づいて教会で震えていると思っておったが、そなたの勇気を誉めてやろう」
ユマ「リッチめ、現れたか。尋常に私と勝負しろ」
リッチ「はははは~、せっかちな姫だな。まあ、そう焦るな、時間はたっぷりとある。私に着いて来れるかな?」

 リッチは叫ぶと、突然ユマの前から逃げだした。

ユマ「逃げるのか!? 卑怯者め! 待て~~~!」

 剣を振りかざしリッチを追いかけるユマ。
 ただしリッチの行動に違和感を感じたユマは、このまま進めばきっと罠を仕掛けていると推測した。
 ユマの読みは見事に的中した。
 地面の一部だけが少しだけ色が違う。
 神経を研ぎ澄まし目を凝らさないと分からないほどの僅かな違いをユマは見分けることができた。
 これもユマがシャムたちとともに戦ってきた経験の成果であった。
 落とし穴が設置されていることを察知したユマは足を止めようとするが、それはかなわないとすぐに判断する。
 落とし穴がすぐ足元に迫っているからだ。
 急には止まれずそのまま穴に突っ込んでしまうのか。とっさに判断して出した答えとは……

ユマ「えい~~~っ!」

 それは跳ぶことだった。
 止まれなければ跳び越えればいいだけのこと。
 ユマは落とし穴を避けて地面へと着地した。

ユマ「私を罠にかけようなんて甘いわ!」

 リッチは一度振り返ったが、ふたたび逃げ出した。
 城に向かっている。一騎打ちを放棄して城に逃げこもうという算段か。

ユマ「逃げるなんて卑怯よ! 約束どおり私と一騎打ちしなさい!」

 本来ユマは足が速い方なのだが、武器や防具を装備しているのでさすがにスピードが鈍ってしまう。
 追いつ追われつの繰り返しで、なかなかリッチに追いつかない。

ユマ「いくらリッチがアンデッド王といっても所詮は死者。走りで死者に負けるわけにはいかないわ。待ちなさい!」

 ユマの言葉が届いたのか、突然立ち止まり振り返るリッチ。

リッチ「そんなに私と一騎打ちをしたいのか? 後悔しても遅いぞ」
ユマ「後悔? そんなもの私にはないわ。あなたは父母を殺した相手ではないけど、城を取り戻したいので、あなたには消えてもらいます」
リッチ「ん、両親を殺めたメドゥサオールに復讐をしたいのか? ヤツを倒したいなら手を組んでやってもいいぞ」
ユマ「ふん、誰があなたなんかと手を組むものですか。城の強奪者と……」
リッチ「ならば仕方ないな」

 不気味な笑みを浮かべるリッチに、美貌の中に精悍な表情でたたずむユマ。
 ついに戦いの火蓋が切られ、ユマとリッチの一騎打ちは開始された。
 姫のサーベルとドクロの剣をぶつけ合う。
 両者の一騎打ちは打ち合うたびに火花を散らし、閃々と輝きを発した。

 戦いの最中、ユマは不思議でならなかった。

(リッチは魔法も使えるはずなのに、どうして使ってこないんだろうか。たいがいの魔法を躱すことができるが、もし『呪いの魔法』を使用された場合、防ぐ手立てがないわ……)

 次の刹那、ユマに大きな幸運が訪れた。
 リッチの剣が空を切った時、わずかな隙が生じた。
 ユマはその隙を逃さなかった。
 ユマの横なぎの一閃でリッチの首を一刀で刎ねてしまった。

リッチ「グァァァァ~~~~~~~ッ!!」
ユマ「勝ったぁ……」

 ついに宿敵リッチを倒した。
 満面の笑みを浮かべるユマ。
 ところが突然小さなつむじ風が巻き起こり、大地に倒れていたリッチの首と骸が風にかき消されてしまったのだ。

ユマ「えっ……うそ!?」

 なにがなんだか訳が分からず呆然と立ち尽くすユマ。
 そんな時、いずこからか妖しい黒い霧が立ち込めてきた。

ユマ「なに……この霧……」

 霧は左側から流れてくる。
 ふと見ると枯れた大木にぽっかりと穴が開いて、その穴から黒い霧が吹き出ている。

ユマ「あの木から霧が……何だか眠くなってきた……」

 激しい睡魔に襲われたユマは力無く大地に倒れてしまった。

⚔⚔⚔

ジン将軍「どうして姫君をお止めしなったんだ!」
ソニア「トマーゾ団長といっしょに懸命にお止めしましたよ。でもユマ姫様は全く聞いてくださらなくて」
ジン将軍「一騎打ちなんて、そんなの敵の罠に決まっているじゃないか。ああ、私が怪我で眠っていなければ……」
トマーゾ「コノママ籠城シテモ最終的ニハ全滅ヲ待ツダケダトオッシャッテ、ユマ姫様ハカナリ強イゴ意思ノヨウデシタ。今カライキマセンカ?」
ジン将軍「決闘の場所はどこ?」
ソニア「ムーンサルト城の東の林地です」
ジン将軍「すぐに支度して、とにかく急ごう!」
トマーゾ「他ノ団員ニモ伝エマス」

 まもなく幽霊を含めて総勢20余名が武装し教会の礼拝堂に集結した。



第42章「荒城に棲む不死王」 第4話

 目が覚めた瞬間、ユマの身体はまだ痺れていた。
鬱蒼と繁る森の中、黒い霧が視覚をさえぎり、ユマは自分がどこにいるのかを分からなかった。

(ここはどこ……? 確かムーンサルト城近くの林でリッチを倒したはずだわ。その後、黒い霧が立ち込めて意識が薄れていった……そこから先を覚えていない……)

 ユマは辺りを見回した。
 周囲にそびえ立つ漆黒の樹木が、何やら不気味な雰囲気を醸し出している。
 樹木から伸びた枝がまるで触手のように蠢いている。

ユマ「そんなバカなっ! どうして木の枝が動くのよ!)

 もしかしたら樹木のように見えるが、魔物なのか? 否、どう見ても樹木にしか見えない。

ユマ「新種の怪物……!?」

 漆黒の樹木からアシュラの腕のように四方八方に枝が伸びている。
 ユマは知らないが、この樹木は『アシュラ・トゥリー』という名前を冠した地獄に密生する魔樹であった。
 幹が真っ黒で、枝から先端の葉に至るまで、すべて同色の黒で毒々しさが見て取れる。

ユマ「うそっ! 枝がこちらに来るわ! 剣はどこ?」

 いつも腰に差している姫のサーベルがない。リッチを倒した時、握っていたはずだ。
 ユマはやむを得ず予備の短剣を手に取った。

 ズズッとツルをすり足のように移動してくる。
 足音がしないため霧の中を蠢いていても接近されるまで、ユマは気づかなかった。

 ユマは立ち上がろうとしたが、ふらついて足元がおぼつかない。

 黒いツルが地面から蠢くように伸び、ユマの周囲に円を作った。その円を一気に狭めて自由を奪おうとしてくる。
 短剣で切って脱出を試みるユマだがツルは次々と繰り出されて幾重にも巻きつこうとする。黒い葉っぱがざわめいた。

ユマ「うっ……! まずいわ!」

 ユマは短剣で迫りくるツルを斬り裂こうとするが、鋭い刃に触れるや否や、ツルは意思を持ってスルリとすり抜けていく。
 その動きは意外なほど素早く、まるでそれ自体が生き物のようにしなやかだ。
 ユマは切るのを中断し身をひねって回避するが、背後から別のツルが絡みつくように迫ってくる。

ユマ「やめてっ!」

 ユマが伸びてきたツルを切った瞬間、漆黒の樹木の中心部から赤い花が開き、中心部がきらりと光った。一瞬黒い樹木が脈打つような動きをして、花芯から花粉が放出された。

ユマ「きゃっ! これなに!?」

 周囲に散布された花粉がユマの顔に降りかかる。
 鼻と口を腕で押さえようとしたが、間に合わなかった。

(しまった、花粉を吸いこんでしまった)

 次の刹那、膝を地面につきうつむいてしまった。
 脱力感がユマを襲う。

ユマ「この花粉って吸った生物を動けなくするのかしら……大変だわ……」

 悪い予感がした。
 植物が動物を捕食する目的で、動物に何かして動けなくすることがある。
 もしかしたら花粉にもそんな効果があるのかもしれない。

ユマ「うっ……!? 違うわ……」

 脱力感も感じるが、それよりも身体の奥に奇妙な疼きを感じ始めた。

ユマ「この花粉は、動けなくするためではないわ。女性の感度を上げることが目的なんだわ……まいったなぁ……」

 ついにツルがユマにまとわりつき、身に着けていた防具や衣服を脱がせにかかっている。
 所々引き裂かれたり破られたりして、身体を覆う表面積は次第に少なくなっていった。

ユマ「あっ……いやだわ……あうっ……」

 さらに服の隙間からツルが入り込み、ユマの身体に巻きついていく。
 まるでツルが愛撫しているかのようだ。
 胸の辺りの服が裂かれ乳房がさらされる。
 乳房にもツルが巻き付き、締め上げていく。
 次第に胸が膨張してピンク色に染まっていく。

ユマ「あぁん……あふっ……んあああっ……」

 足へのツルが絡みつくので、逃げることもままならない。、

ユマ「だめ……あ、あうっ……んんっ……」

 苦悶の真っ最中なのだが、その声に悦びの成分が混ざりつつあった。
 いつの間にかツルが秘部に到達し、ショーツをかき分け膣内への侵入を許していたのだ。
 しなやかさを持ったツルが繊細な抽送を繰り返している。

ユマ「あふ……ふうううっ……んくうっ……うんんぅぁっ……ひうっ……!」

 麗しき姫剣士が植物に股間をいじられて喘いでいる。
 そんな奇妙奇天烈で不気味な光景を、多くのアンデッドたちは興味深げに見つめている。
 表情の見えない植物がどのような目的に姫を犯しているのか分からないが、ユマを絶頂へ導こうとしていることは確かであった。

 次の瞬間、金属が擦れる不協和音のような声が響いた。
 広場の黒霧が蠢き泡立って、まるで夜の闇を引き裂くように、黒頭巾のアンデッドモンスターが出現した。
 それはリッチであった。

リッチ「淑女であるべきユマ姫が淫らな姿を晒しおって。ああ、哀れじゃのう」
ユマ「はぁはぁはぁ……おまえはリッチか!? 葬ったはずなのに……!?」
リッチ「めでたい姫じゃのう。おまえは私の幻を斬ったのじゃ。幻を斬って勝ち誇るとはのう。わっはっはっはっはっはっは~~~!」

 リッチにつられて、アンデッドたちの薄気味悪い笑いの渦が巻き起こった。

リッチ「なぜおまえが、魔樹『アシュラ・トゥリー』に責められているか、知りたいだろう?」
ユマ「どうして私を辱めるのだ。いっそ一思いに処刑すればいいのに」
リッチ「知ってのとおり私はアンデッドだ。アンデッドに子供は作れない。だけど私は子供が欲しい。それも有能な子供がのう」
ユマ「なんと……」
リッチ「アシュラ・トゥリーは生殖能力を持っている。それも人間の男と同様のな」
ユマ「まさか……」
リッチ「つまり女体のつぼみを開かせてそこに子種を植え付ければよいのだ」
ユマ「しかしそれではそなたの子供とはいえない」
リッチ「いいや、アシュラ・トゥリーは私の意志のままに動く、私の意志のままに性交する。つまり私の性交の代理人ということになるのじゃ」
ユマ「そんな……そんなのあなたの子供じゃないわ」
リッチ「ではおまえを孕ませてみよう。生まれてきた子供の顔を見れば分かる」
ユマ「やめて~~~~! あなたの子どもなんか生まないわ~~~~!」
リッチ「無理じゃな。アシュラ・トゥリーよ!! ユマを犯して犯して犯しまくるのじゃ!!」
ユマ「ひぃ~~~~~~!!」



第42章「荒城に棲む不死王」 第5話

 糸のような細めのツルがユマの股間に迫る。
 つづいてクリトリスをめがけて一直線に伸びた。
 足を閉じようとするユマだが、乳首を責めていたツルがきゅっと勃起乳首を突いて中へと押し込んだ。

ユマ「は、はうぅっ……あ、ああぁっ……あはあっ……!」

 乳頭を直接刺激される、かつて経験したことのない責めに、ユマは思わず身体を硬直させてしまう。
 アシュラ・トゥリーはその瞬間を逃さない。

 ツルがユマの両方の太腿に巻き付いて足を大きく広げさせる。
 アシュラ・トゥリーの方へ向かっての大股開きであり、当然リッチの方を向いていることにもなる。

リッチ「実によい眺めじゃ。生きていた頃が懐かしいのう」

 胸と膣への愛撫によってユマの花芯はびしゃびしゃに濡れて地面に愛液を滴らせる。

ユマ「ひあっ、あうっ……私をこんな目に遭わせてっ……リ、リッチ、おまえを許さない!」
リッチ「気が強い姫じゃなあ。沢山性交してよい子供を身ごもるのじゃ。アシュラ・トゥリーよ、徹底的に姫を犯すのじゃ」

 たとえ魔樹に犯されても、敵への戦意を失わない。
 わがまま姫だったユマも、城を追われシャムたちと行動を共にしてからというもの、いつしか心も身体も強くなっていた。
 ただし女が性感を刺激されつづけて長時間耐えることは厳しい。
 乳首に巻き付いたツルの先が小刻みに震え、いつしかユマは拘束されたまま腰を前後させて気持ちよさを露わにしていた。

ユマ「んっ、んううっ……あ、ああ……ああぁんっ……」

 切なげに喘ぐその姿をリッチは満足げに見つめる。あたかも自身が犯しているがごとく。
 恍惚の表情のユマの口から垂れるよだれが淫らで悩ましく映る。

 アシュラ・トゥリーからひときわ太いツルが伸びた。
 それはユマの腰に巻き付いていく。
 股間を這うツルによって身体を震わせ続ける彼女だが、太いツルによってアシュラ・トゥリーの本体の方に引き寄せられていく。

ユマ「な、何をする気っ!?」

 ついにはユマはアシュラ・トゥリーの身体の中心、太い幹の真上に連れてこられた。
 その身体はツタによって捧げられた供物のようにアシュラ・トゥリーの頭上に掲げられる。

 そしてその位置からの責めが再開された。
 片足を斜め上に持ち上げられ、その間に位置する濡れそぼった花裂に、2本のツルが忍び寄る。
 そして束ねられた2本がサブリナの花裂をなぞり始めた。

ユマ「ふあっ……! あ、あ、あはぅっ……! んうううっ! あはああっ!」

 花裂をたっぷりと擦ったツルは、ついに膣内に侵入してきた。

ユマ「あうううっ! いやぁぁぁぁぁ~~~~っ!」

 腕の辺りに巻き付いたツルを払い退けようとするが思うようにならない。
 執拗に繰り返されるツルによるピストン運動。
 植物に疲労があるのか、そもそもツルを人間の女性に挿入してアシュラ・トゥリー自身が気持ちいいのか知るよしもないが、一定の速度で膣の奥までかき回してくる責めでいよいよユマの限界が近い。

 ぐちゅぐちゅと一定のリズムを刻みながらユマの身体が浮き沈みし、そのたびにツルが膣奥へと突き刺されていく。
 よく見ると単に前後だけでなくツルの先が回転するように動き、膣壁をえぐりながら挿入を繰り返している。
 シャムなど性に長けた男子の『スクリュー技』といったところか。
 目を閉じて口をだらしなく開けたユマはいつ止むともしれぬ快感の渦の中にいた。

ユマ「そ、そこは、やめ……くふあっ!」

 甘いあえぎ声を繰り返していたユマだったが、突如甲高い声を上げた。
 膣への責めだけで満足していないのか、細いツルが尻の方にも伸びていく。
 むき出しになっている尻の中心にツルの先が軽く触れ、驚いたようにユマの身体がビクンと震えた。
 アヌスに侵入する細いツル。
 緊張から括約筋が収縮を繰り返すのを感じる。

ユマ「んうううっ……んぐ、く……そこはぁだめ……うああぁあっ……」

 艶やかなあえぎ方に変わるユマ。
 ツルの先は思いのほかやさしくアヌスをほぐしてくる。
 いきなりアヌス挿入するような無粋なまねはしないということなのか。
 いつしかアヌスを責めているツルは植物による分泌液でヌメヌメと湿っている。
 潤滑剤のようなものだろうか。

 周辺の肉を揉むような動きで緊張していた尻肉がゆるむ。
 そして頃合いを見たかのようにゆっくりとアヌスに入ったかと思うと、またゆっくりと抜く。
 にちゅっ、くちゅっと卑猥な音が聞こえだした。

ユマ「お、おぁあぁぁっ……おう、う、ああ、あぁ……いや、あ、はずか、しっ……おぉぅっ……」

 わずかにシャムとの性経験はあるが、アナルセックスは皆無だ。
 アヌスから来る刺激に抗うこともできず、ただ戸惑うばかり。
 勝手にヒクヒクと開いたり閉じたりを繰り返す菊門。

 当然膣責めしている方のツルも盛んな運動を繰り返す。
 単なる抜き差しではなく膣内を蹂躙するように、リッチの意思を伝達して動いているようだ。
 上向きに首を持ち上げ、ユマの腹の内側を擦るようにズリズリと撫でていく。

ユマ「ふひゃ、ふっあっ……んぶ……ぅううぁあっ……」

 連続してびくっびくっと痙攣するユマ。
 前後を同時に責められ訳が分からなくなっている。

 緩やかに、なめらかに身体の中に侵入してくるツルが性感帯を執拗になぞっていき、身体の外側からも内側からも感じているのだ。



第42章「荒城に棲む不死王」 第6話

 アヌスに挿入されていたツルがブルブルと震え始めた。
 そしてさらなる1本のツルがゆっくりと加わろうとしていた。
 他のとは異なり、そのツルの先端だけがカリのように膨らんでおり、まるでペニスの先を模した卑猥な形状をしている。
 すでに十分にほぐれたユマのアヌスにズブズブと入り込んでいく。

ユマ「おっ……あっ、おっ……おっ、おっ、おうっ……!」

 やや太めのツルにより不快感とかすかな痛みが混在した奇妙な感覚にユマはあえぐ。
 どこまで入っていくのか、不安が募る。

 まもなく、ある程度入ったところで太めのツルが脈動した。

ユマ「おぁあっ!? あ、あおぉおう……!」

 これまでとは明らかにユマの反応が異なる。
 どうやら脈動の際にツルが彼女の体内に蜜を注ぎ込んだようだ。
 アヌスから入りきらなかった蜜がドボドボと溢れ出る。
 蜜が発する甘い香りが周囲に漂っている。

 痛みを伴っているはずのユマの表情が再び恍惚のものへと変わっていく。
 ガクガクと全身を震わせるが、口から漏れるのは明らかに悦びの声だ。

ユマ「あぉぅぐっ! お、おはっぁ……うぅああぉおぉっ!」

 ブシュ~~~~ッ!

 ユマがついに限界を迎えた。
 アヌスから透明な液体が勢いよく吹き出される。
 ツルの先端から先程入れられた蜜を出しただけだが、宿敵リッチの目の前でひり出したことによってユマの尊厳がボロボロに打ち砕かれる。

ユマ「いや……だめっ、だめぇっ…… 見たら、だめっ……」 
リッチ「奥ゆかしいのう。アンデッドとなり果てた私にすら見せたくないとは。さすが元大国の姫じゃ。かっかっかっかっか~」

 端正な顔が涙と鼻水とよだれでぐしょぐしょになる。
 内部から蹂躙されたユマの理性を失った顔を見ながらリッチは珍しく興奮していた。

リッチ(もし私が、在りし日の姿ならばユマ姫のこの哀れな姿を見るだけで5回は射精していたであろうに)

ユマ「あひゅっ、あひゅうぁっ!」

 またもユマの股間から潮が噴出した。
 ツルによって左右に開かれた花裂からはつづけさまに潮がはじけ飛ぶ。

 ユマの身体から噴出されたものを浴びて、満足したようにアシュラ・トゥリーの身体が大きく身震いした。
 それは彼なりに歓喜の雄叫びを上げているかのようであった。

⚔⚔⚔

 ユマたちがムーンサルト城再建に取り掛かったのもつかの間、城はリッチの猛攻に遭いふたたび廃墟と化してしまった。
 城内にはいたることろに葬られることなく放置されたままの兵士や大工たちの亡骸が横たわっている。
 そんな悲惨な光景を見て一瞬悲しい表情を浮かべたシャムたちであったが、ユマ姫救出という大目標がありすぐに眼光の鋭さを取り戻して勇んで歩き出出した。
 城の南側に辿り着いた。教会の建物が見えている。
 教会に向かおうと歩き出したとき、突然、何者かが茂みをかき分けて先頭のシャルルに切りかかってきた。

シャルル「うわっ! 誰だ!?」

 危うく身をかわしたシャルルは相手の不気味な姿を見て驚いた。
 戦士らしきいでたちをしているのだが、身体が半透明なのだ。
 しかし剣は本物らしく金属の煌めきを発している。

シャルル「うわっ、こいつ実体があるような、ないような……もしや幽霊か!?」
キュー「リッチの仲間かもしれないわ。シャルル、気を付けて!」
シャルル「分かった!」

 シャルルは剣を抜き応戦する。
 しかし、敵はかなりの腕前のようで、シャルルはかろうじて攻撃をかわすことができた。

 現れた敵は最初の男だけではなかった。
 2人、3人と次々現れる。

シャム「よし! おいらが相手だ! かかってこい!」

 リョマ、ドルジ、アリサも前線に躍り出る。

ドルジ「隙ありっ!」

 ドルジが敵の腹部を突いた。
 ところがどうだ。
 敵はまったく傷を負うことなく、平然と反撃してきた。
 やっとのことで敵をかわしたドルジだが、顔が青ざめている。

ドルジ「みんな、気をつけて! こいつら剣で突いても歯ごたえがないというか、通り抜けてしまうんだ!」
シャム「おいらもさっきから3回突いたんだけど、敵さん平気なんだよな。どうして?」

 シャムたちは不気味な敵に恐怖を感じながらも懸命に戦う。
 エンポリオの矢も通り抜けてしまったし、エリカとウチャギーナの魔法もほとんどダメージを与えられなかった。

 マリア、サラーナ、イヴが並んで呪文を詠唱した。

イヴ、マリア、サラーナ「死者はこれに限るよね。神よ! ヒール~~~!」

 3人から白い光が発せられると、敵が苦しみ始めた。

チルチル「待って~~~~っ!!」
イヴ「はにゃ?」
マリア「どうしたのですか?」
サラーナ「チルチルさん、何か問題でも?」

 チルチルが真ん中にいる敵に向かって走っていった。

チルチル「お兄ちゃんでしょう!? トマーゾお兄ちゃん~~~~っ!」
トマーゾ「チルチル……?」



第42章「荒城に棲む不死王」 第7話

 中央の敵に向かって、チルチルが叫びながら一目散に駆けていった。
 
トマーゾ「チルチルナノカ……!?」
チルチル「トマーゾお兄ちゃんね、会いたかったよ~~~~」

 透き通った戦士は 構えていた剣を収め、走ってくるチルチルを受け容れようとした。
 ところが、どういうわけかチルチルの身体は、透き通った戦士の身体に触れることなくスッと通過してしまった。

チルチル「えっ……?」
トマーゾ「チルチル、ワタシハ、スデニ死ンデイルノデ、オマエニ触レルコトガデキナインダ……」
チルチル「お兄ちゃん、やっぱり戦死したのね……遺体を探したけど見つからなかったから、もしかしたら生きているかもしれない……と微かな望みを抱いていたけど、やっぱり……」
トマーゾ「メドゥサオール率イル魔物タチニ城ヲ攻メラレ懸命ニ戦ッタケド、結局敗レテシマッタ。残念ダケド力不足ダッタトイウコト。チルチル、私ヲ探シテクレテアリガトウ。オマエノソノ気持チガコノ再会ニ繋ガッタ……会エテ嬉シイヨ……」

 チルチルは泣いて言葉にならなかった。
 泣きじゃくる妹に寄り添ってやることもできず、トマーゾは困り果てている。
 すぐにシャムが駆け寄り、やさしくチルチルの肩を抱いた。

シャム「お兄さんに会えてよかったな」
チルチル「うん、シャムやみんなのお陰でお兄ちゃんと会うことができたでピョン」
トマーゾ「コノ方ハ?」
チルチル「彼氏だピョン♬」
トマーゾ「オオッ、モウソンナ歳頃ニナッタカ」

 トマーゾは本当に彼氏ができたと思い、いたく感激している。

チルチル「嘘でピョン♬ 彼氏じゃないよ、シャムは勇者だよ。人々の希望だよ。私は今、シャムや仲間たちと魔物を倒す旅をしているでピョン♬」
トマーゾ「ナント、カノ有名ナ勇者ノ仲間トハ! 兄サンハ誇ラシイヨ」
チルチル「えへっ♬」

 チルチルは久しぶりに兄に褒められ、満悦の表情を隠せない。

 トマーゾは、現在教会を拠点としてユマ姫たちとともに活動し、城を占領下においた悪霊リッチと対峙していることをシャムたちに説明した。
 ただ兵力差は歴然で、圧倒的にリッチ側が多いという。
 そして何よりシャムたちを驚愕させたことは、ユマがリッチに対し一騎打ちを提案し、リッチが受諾したことであった。
 一騎打ちの結果、ユマがリッチに勝利すればアンデッドたちはムーンサルト城から立ち去り、ユマが敗北を喫したらユマの配下と幽霊たちを救命することを条件にユマをリッチの自由にできるという約束がなされたという。    

シャム「そんな無謀な! そんなの敵の罠に決まってるだろう! なぜユマを止めなかったのだ!」

 シャムは珍しく激高した。

?「申し訳ございません……」
シャム「誰だ?」

 どこからか落ち着いた女性の声が聞こえてきた。
 それはどこかで聞いたことのある懐かしい声であった。
イヴ「その声はもしかしたら……?」
ソニア「はい、私はユマ姫様の侍女ソニアです。正確にいいますとソニアの幽霊です」
エリカ「ソニアさん、お久しぶりです、その節は色々と情報を聞かせていただき、ありがとうございました」
ソニア「ご無沙汰しております。時間がないので詳しい説明はできませんが、ユマ姫様をお止めしなかったことは私の責任です。お詫びいたします。ユマ姫様は私たちに絶対に来るなと言い残され一騎打ちに向かわれましたが、居ても立ってもいられなくて決闘の場所に駆け付けた時にはすでに人影はなく……後悔ばかりが募り……ああ、不覚でした……」
シャム「一騎打ちの場所はどこ?」
ソニア「城の東側にある林です。手分けして探しましたが、すでにユマ姫様の姿はなく……」

 ソニアの姿は見えない。前回は壁にかかっている絵画を媒体として会話をしていた。今回は近くにある大木を媒体としている話しているのだろう。

ソニア「大変勝手なお願いですが、ユマ姫様救出に手を貸してもらえませんか?」
シャム「当り前じゃないか。頼まれなくてもユマを助けに行くよ。だって、ユマはあんたたちのお姫様だけど、おいらたちにとっても大切な仲間なんだから」
トマーゾ「一旦教会ニ戻ッテ同志ヲ集メ、準備ヲ整エテ城ニ向カイマショウ」

⚔⚔⚔

 三日間、リッチがアシュラ・トゥリーに念波を送り女性と交尾すると、その女性は高確率で妊娠するという。
 ただし屋外で行い続けるとなると、ユマ配下の急襲も備えておかなければならない。
 リッチは慎重な人物である。否、慎重なアンデッドである。

リッチ「確か城の中庭に株分けしたアシュラ・トゥリーが生えていたな?」
スケルトン第一連隊長「はい、あります。まだ小ぶりですが、リッチ総統の年波をもってすればユマの妊娠は十分に可能かと思います」
リッチ「あと2日交尾を続ければよいのだな? どのようにいたぶってやろうかのう。城の中庭に鎖で繋いでおけ。自分が生まれ育った城の中庭で犯されるのも悪くなかろう。できるだけ破廉恥な姿で拘束しておくのだ」



第42章「荒城に棲む不死王」 第8話

 林の中でアシュラ・トゥリーに何やら液体を膣内に注がれたユマはいつの間にか失神していた。

ユマ「うっ……」

リッチに勝利したと思ったのもつかの間、彼のむくろが幻であると知った時はすでに遅かった。
 捕縛されアシュラ・トゥリーという奇怪な樹木に散々いたぶられ、その後意識を失い、目が覚めるとあろうことかマンぐり返しの格好で拘束されていた。

ユマ「んっ……えっ…?」

 最初に目に入ってきたのは獣の皮ディルドを突きさされた自身の性器だった。
 その淫猥な光景を見てぼんやりとしていた頭が徐々に覚醒し、記憶がよみがえってくる。
 奇怪な樹木に凌辱され、挙句の果て粘液を体内に受け容れてしまった自身の姿をはっきりと思い出した。

 ありえない。これは別人だ。
 ユマはそう思いたかったが、あまりにも鮮明なその記憶と目の前に広がる自分の身体がそれは真実だというのを物語っていた。

ユマ「あ、あぁぁ…こんなのいやあ~~~~っっ! シャムっ、助けて~~~~っ!」

 ユマはいつしかシャムの名前を呼んでいた。

⚔⚔⚔

 ところ変わって、こちらは1年の半分を雪に閉ざされた寒冷地カルミナの街。
 暖炉に灯りがともる瀟洒な空間にコーヒーの芳しい香りが漂ってきた。

ニンファ「失礼します」
セルペンテ「入りなさい」

 ドリルヘアのメイド・ニンファが心地よい匂いをまとわせて、淹れ立てのコーヒーを運んできた。
 酸味の強いコーヒーはセルペンテの大のお気に入りだ。

ニンファ「どうやら、勇者たちがリッチがいるムーンサルト城に向かったようです」
セルペンテ「予想通りだな」
ニンファ「魔界の反逆者リッチをセルペンテ様が征伐されると思っていましたが、どうして討たないのですか? 魔界ではセルペンテ様を弱腰だと罵る輩もいるようですが」

 ニンファの危惧をセルペンテは一笑に付した。

セルペンテ「ははははは~、言いたいやつには言わせておけ。討たないのは計略なのだ」
ニンファ「計略……なのですか? どういうことなのか教えてください」

 セルペンテはにこりと微笑むと静かに語りだした。

セルペンテ「接近している2頭の虎がいるとしよう。その2頭の間に肉を投げ込めば、どうなるかな?」
ニンファ「2頭の虎は肉を得ようとして戦いを始めると思いますが……」
セルペンテ「そのとおりだ。戦いを始めた2頭の虎はどちらかが死ぬまで戦い、勝った方も手負いとなるのは必定なので狩るのは簡単。つまり勇者とリッチを戦わせ、消耗しているところを潰してしまう。この計略を『二虎競食の計』という」

 セルペンテの妙案に感動し、ニンファは手をポンと叩いた。

ニンファ「さすが魔界において知将として高名なセルペンテ様です。恐れ入りました。ところで、『肉』とは誰を指すのですか?」
セルペンテ「ユマ姫だ」
ニンファ「どうしてユマ姫なのですか?」

 ニンファは話に引き込まれていく。

セルペンテ「以前からリッチがユマ姫に執心であることは聞いていた。そこで策を練ってみた。廃墟となったムーンサルト城を、ユマ姫が修復に乗り出したという情報を、間者を通してあらかじめリッチの耳に入れておいた。リッチはユマ姫を捕らえる絶好の機会と考え再建中のムーンサルト城を襲撃すると考えた。ユマ姫の周囲はほとんどが大工等の職人なのでリッチと戦ってまず勝ち目はないはず。リッチはユマ姫に勝利し念願が叶いユマ姫を捕らえるだろう」

 ニンファの瞳は爛々と輝いている。

ニンファ「なるほど、実に見事な計略ですね。ユマ姫が捕らえられたら、当然仲間である勇者シャムは放っておかないですからね」
セルペンテ「そういうことだ。勇者たちは必ずユマ姫救出のためリッチに挑むことになる」
ニンファ「どちらが勝ちますかね?」
セルペンテ「それは私にも分からない」
ニンファ「いずれが勝っても決着がつけばすぐに動かなければなりませんね。すぐに現地にスパイを送り込みましょう」
セルペンテ「それには及ばない。すでに手配済みだ」
ニンファ「なんという手回しのよさでしょう。今更ですが、計略から段取りに至るまでセルペンテ様のすばらしさに感服しました。最近、この街に来てからずっと籠りきりで夜遊びもされない理由がようやく理解できました」
セルペンテ「ははははは~、事件を起こせば何かと目立つからなあ」

 持ち前の美貌でニンファが妖しい視線を投げかけた。

ニンファ「もし夜がお寂しければ、いつでもお相手をさせていただきますので、いつでもお申し付けください」
セルペンテ「ありがとう。だけど、おまえには悪いが、魔界の女は無用だ」
ニンファ「人間の女、もしくはネコミミの女の愛液がセルペンテ様の栄養源になりますからね。それは承知しております。でも……」
セルペンテ「なんだ?」
ニンファ「私の愛液はセルペンテ様のお役には立てませんが、刹那的な快楽のひとときを過ごしてもらえることはできます」
セルペンテ「なるほど、では今夜はおまえと過ごすとしようか」

ニンファ「では、パメラとダリダにも声をかけておきますね」
セルペンテ「なに!? 3人と!?」



第42章「荒城に棲む不死王」 第9話

 ユマ「いやぁっ~~~~! 拘束具を外しなさいっ!」

 ユマは腰を左右に振ってアシュラトゥリーのツタから逃れようとするが、両手両足を大の字に拘束された状態では逃げようがない。
 ツタ枝は太腿を押さえ付け、剥き出しの女性器に照準を這わせた。
 割れ目がぴったりと合わさっており、性器として使用したことはチンヒールを含めわずかしかない。
 こんもりと膨らんだ大陰唇の間に、まっすぐな亀裂が見える。
 初々しいユマ姫の女性器は、敵の前でその無防備な姿を晒していた。

"女性にとっても最も恥ずかしい格好"と言われているのが、このまんぐり返しだ。
 アヌスと女性器が天井を向くまで尻を持ち上げられ、足が大きく開いている。
 当然ながらアヌスと女性器が丸見えになっており、女性にとっては羞恥心がかき立てられる。
 また、無理やりこの格好をさせられた場合は、最大の屈辱感を味わうことになる。

ユマ「この格好は嫌っ……早く解きなさいっ!」
エレジー「解くわけにはいきませんね。人間の女性が最も妊娠しやすい格好とされていますからね」
ユマ「あなたは誰? リッチじゃないわね」
エレジー「申し遅れました。私はネクロマンサーのエレジーと申します。どうぞお見知りおきを」
ユマ「ネクロマンサー? 人間なのね? 死霊や魔物に協力して恥ずかしくないの?」
エレジー「それは価値観の違いです。恥ずかしいどころかむしろ誇りに思っています」
ユマ「あなたと会話をしても無駄なようね」
エレジー「そのようですね。私の目的はユマ姫様のお腹にアシュラトゥリーを介してリッチ様の子供を宿すこと。そのための努力は惜しみません」
ユマ「何を言ってるの? 私は子供など産むつもりはありません」
エレジー「あなたの意志は関係ありません。すべてはリッチ様のご意向のままに……」
ユマ「あなたは狂っているわ! 早くこの拘束を解いてください!」

 エレジーはユマの言葉を聞き流し、アシュラトゥリーに不明な言語で語りかけた。

ユマ「……?」

 すると1㎜にも満たない繊毛のようなツタがくねくねとうねりながら、花裂に向かって突き進んできた。

ユマ「……えっ!? まさか……」

 繊毛のようなツタは、膣ではなく尿道を貫いた。

ユマ「ええっ!? ひぎぃぃいいいぃぃいいっ! にょ、尿道に入ったのっ!?」

 膣やアヌスなら理解できるが、物を挿入することを想定されてない器官に極細とはいえ異物をねじ込まれ表情が苦痛で歪み、あまりの激痛に目の前に火花が散り視界が眩む。

ユマ「ひぃ~~~~! (いいい、痛いっ! おしっこの穴、いじめないでぇっ~~~~!)

 続いて膣にも太いツタがねじ込まれてきた。

ユマ「いやぁ~~~~ん!」

 経験したこともない尿道責めの苦痛と膣挿入の二重の責めに悶絶していると、何やらアシュラトゥリーがうなり始めた。

ユマ「……!?」

 次の瞬間、尿道内で吸引が実施された。

(チュルチュルチュル……チュルチュルチュル……)

ユマ「ひぃぃっ!?す、吸われてるっ! 私のおしっこがっ、吸われてるっ! んぉひぃ~~~~っ!」

 すごい勢いで吸引され排尿を強制される。
 戦闘前尿意を催していたが我慢していたこともあり、一気に放出する爽快感と恥ずべき行為を敵に晒しているという屈辱感が交錯し、混乱をきたすユマ。

ユマ「だめぇ……ああぁ~~~~っ、おしっこ吸われてるぅ……ああっ! 恥ずかしいっ!」

 ブシュッ、ブッシャ~~~~ッ!

 あっけなく排尿するユマは、小便を吸引されながら、秘裂から愛蜜までも潮を噴く始末。
 排尿後、脱力感に鍛えられた美脚がプルプルと震えてる。

エレジー「なぜアシュラトゥリーがあなたの小水を吸い込んだか知ってますか?」
ユマ「……?」
エレジー「人間の小水は、アシュラトゥリーの栄養分になるのですよ。くっくっく……。喜んでください。これであなたはより妊娠しやすい身体になりました」

⚔⚔⚔

 悪霊リッチは攻撃力、守備力、魔力、知力、すべてに長けており、弱点が少ないとされている。その実力は、魔界でもおそらく5本の指に入るだろう。   
 そんなリッチの最大の武器は、邪悪な呪術『死の呪い』である。『死の呪い』をかけられた者は、高確率で一瞬にして死に至る。その死亡確率はなんと95%にものぼる。
 しかしシャムたちには防呪アイテム『デスワームの角』がある。
 苦労の末、砂漠でデスワームを倒し手に入れた『デスワームの角』をたとえ欠片でも保持していれば、上記と偶然同様で封呪効果が95%といわれている。

イヴ「そんな訳で、ユマ部隊の皆さんにも、デスワームの角をお配りします。リッチと戦うとき必ず持っていてください」
ジン「助かります。これで気兼ねなくリッチと戦うことができます」
トマーゾ「コレ、幽霊ノ私ニモ効果ガアルノデショウカ?」
イヴ「さあ、それは私にも分かりません」
マリア「死者といえども、あなたたちも同じ人間です。きっと効果があると信じていますわ」
ソニア「マリアさんがおっしゃるのだから間違いないわ。トマーゾ団長、私たちもしっかりと持参して戦いましょう」

 実体はないが、いずこともなく落ち着いたソニアの声が聞こえてきた。

トマーゾ「ソニア、アナタハ戦士デモ魔道師デモナイノニ、イッショニ戦ウノデスカ? 無理ハシナイデクダサイ。ソノ分私ガガンバリマスカラ」
ソニア「私は侍女ですが、ヒールぐらいなら習得しております。皆さんの治療ぐらいはできますわ」
トマーゾ「チョットチョット、幽霊ニヒール魔法ハ絶対ニヤメテクダサイ。私消エテシマウノデ」
ソニア「私だって幽霊ですわ。それぐらい知っていますわ。ヒールは生きている人にしか使いませんので安心してください」
ウチャギーナ「でも薬草は幽霊でも効果があるって聞いたでピョン。薬草をたくさん持ってきたから安心してね♬」
トマーゾ「シカシ、死ンダノニ、妹トイッショニ戦エルナンテ想像シテナカッタヨ」
ウチャギーナ「私もトマーゾおにいちゃんといっしょに戦えてすごく幸せピョン♬」
シャム「ああ、いいな~、この光景」
メグメグ「すごく微笑ましいわ」



第42章「荒城に棲む不死王」 第10話

 リッチ側の兵力は2,000人だが、ネクロマンサーがいて召喚が可能なので実際には2,000人以上の戦力と考えてよいだろう。
 ただし、いくらでも召喚ができる点を考慮すれば。
 一方、シャムたちはいくら精鋭ぞろいと言っても、シャム隊14人、ユマ配下(幽霊含む)20人、総勢34人と兵力差は歴然としており劣勢は否めない。

 さらにリッチ側の部隊を分析してみよう。
 彼らの半数はスケルトンで、残りの半数はほとんどゾンビで一部がグール。
 スケルトンは魔物の中でも最弱王と言われているが、「数の暴力」はかなり厄介だ。
 また、ゾンビの場合、噛まれるとゾンビ化してしまうので近接する時は注意が必要だ。彼らの弱点は「脳」であり頭部を狙えばほぼ勝利できる。
 グールは「鉄」に弱いことから、先手を打って剣で一撃するのがコツと言える。

 城攻めは、一般的に攻撃側は籠城側よりも3倍の兵力が必要とされているので、どう考えても無茶な戦いと言えるだろう。
 それなら奇策を講じてリッチ側に接近をはかるしかないだろう。

シャルル「正々堂々と真正面からぶつかるのが一番手っ取り早いのでは?」
シャム「兵力差を考えると力攻めは無茶だ……」
ジン将軍「裏側の勝手口から忍び込んで、敵をかく乱するのはいかがでしょうか?」
シャム「もしおいらたちが城側なら勝手口から敵が攻めてくると考えて守りを固めると思うぞ……却下」
リョマ「ドラゴンがいればなあ……」
シャム「どんなドラゴン?」
リョマ「飛竜ですが……」
シャム「空から攻撃するのか?」
リョマ「相手はリッチです。たとえドラゴンでも一匹で攻めるのは無謀ですよ。あくまで囮です。空中を舞って敵の気を引くんです」
シャム「なるほど! やつらがポカーンと空を見上げている間に、一気に攻める作戦だな?」
リョマ「そのとおりです。でもドラゴンがいない。私が竜騎士だったころのドラゴンはすでに高齢で死んでしまったので呼ぶことはできません。ああ、残念……」

 その時、リョマの背後から、黄色い声が聞こえてきた。

……「飛竜連れてきたよ~!」
リョマ「えっ……!?」

 リョマが振り返ると、そこには大きな瞳の長い黒髪の女性が微笑んでいた。
 驚いたのはリョマよりも、シャムやアリサたちであった。

アリサ「きゃああああ! モエモエちゃんだああああ!」
シャルル「びっくりしたな! 魔道師モエモエがいるじゃないか!」
イヴ「今はジャノバ国王の王妃だけどね。モエモエ王妃、ご無沙汰しております、で、どうしてここにおられるのですか?」
モエモエ「王妃なんて呼び方はやめてよ。このメンバーなら今までどおりモエモエでいいよ。実はね、エリカさんから手紙をもらってたの。リッチを倒すので手伝ってほしいと」
シャム「なんと! エリカがそんな手紙を送っていたとは!」
エリカ「シャムさんに伝えずごめんなさい」
シャム「いいよいいよ。で、隣にいるのはジャノバ国王のジュリアーノじゃないか? 二人そろって来てくれたんだ。嬉しいな~」
ジュリアーノ「シャム王子、元気そうで何よりです。毎日魔物退治の旅ご苦労さまです。今回リッチ征伐と聞いて、居ても立ってもいられず、私も兵士を連れて駆けつけてきました。どうか仲間に加えてやってくださいな」
シャム「兵士も連れてきたの? 50人ぐらいかな?」
ジュリアーノ「3,000人です。少なくてすみません」
シャム「さ、3……3,000人~~~~!?  少ないものか、十分だよ~! ああ、びっくりした?」
メグメグ「兵士の皆さんはどこにおられるのですか?」
ジュリアーノ「ここから少し離れたところで野営をしています。号令をかければいつでも攻撃が可能です」

 イヴが、ジン将軍、トマーゾ、そしてソニアをモエモエたちに紹介した。

モエモエ「皆さん、どうぞよろしくお願いします」
ソニア「こんなに大勢の援軍に来ていただけれなんて。嬉しくて嬉しく涙が出ます……」
ジュリアーノ「声は聞こえるけど、姿が見えないのですが……」
ソニア「驚かせてすみません。実は私は幽霊なんです。実体がなくこうして声だけでごめんなさい」
ジュリアーノ「あえて詳しくはお聞きしません。きっと深いご事情があるのでしょう。あなたのご無念、きっと晴らしてみせます」
ソニア「ありがとうございます……」

 ソニアは涙声に変わっていた。

リョマ「ところで、王妃、さきほど飛竜を連れてきたとおっしゃっていましたが……?」
モエモエ「はい、わずか2頭ですが連れてきました。1頭は竜騎士であるリョマさんに乗っていただきます」
リョマ「ありがとうございます。で、残りの1頭はどなたが乗られるのですか?」

 ウマやラクダと違って、飛竜を乗りこなすにはかなりの訓練が必要である。

モエモエ「私が乗ります。ジャノバで猛特訓をして、竜騎士協会から竜魔導師の称号をいただきました」

 飛竜に乗り主に槍を武器に空中からの攻撃を行う竜騎士に対して、竜魔導師は杖を持ち空中から攻撃魔法を放つことができる。

リョマ「何と竜魔導師とは! 実に頼もしい限りです!」
モエモエ「魔導師としての経験は長いのですが、竜魔導師としての実践はまだ浅いのです。リョマさん、どうかご指導を!」
リョマ「私などまだまだ未熟者です……あなたにはジュリアーノ国王がいらっしゃるじゃないですか」
モエモエ「国王は兵を率いてシャムたちといっしょに城を攻めるつもりです」
リョマ「なるほど、王妃と私が空から彼らの注意を引くわけですね。とても良い作戦だと思います」

 その夜、シャムたちはジュリアーノとモエモエを迎え熱のこもった軍議が行われた。

 ジュリアーノ国王は、リョマに『フレイムスピア』を贈った!
 リョマは『フレイムスピア』を装備した! リョマの攻撃力が10アップした!



第41章/第43章




ユマ姫


アンデッド帝王リッチ


幽霊騎士団団長トマーゾ











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