(第45話)



ありさ




第45話「スーパー店内でクリバイブ発動」

「ぐふふ、これぐらいで驚くな。今はまだ弱だ」

 クリバイブは5段階の強弱設定ができる。
 現在の設定は最弱の『1』だった。
 たとえ設定が『1』でも、室内でひとり楽しむのとは異なり、屋外でしかも他人に装着されたことで、刺激は増幅し、敏感な部分への振動はかなり強力に感じられた。

 クリバイブはすぐに止められたが、いつまたオンになるか気が気ではない。

「ほう、強さが5段階あるようだ。ありさはしょっちゅう使ってるだろうから、よく知っているよな?」
「使ってません」
「嘘つけ。旦那にしょっちゅうこれで可愛がられているんだろう? それとも旦那が働いている最中にこっそり一人遊びしてるのかな?」
「どっちもしてません」

 ありさは口を尖らせた。

「向きになりやがって。嘘の下手な女だな~。はははは」

 殿井は微笑みながら取扱説明書を眺めている。
 わざわざ声に出して読む上げる殿井。

「『1』がごく弱い・ゆっくりで、ウォーミングアップ。『2』が少し弱め・一定リズムで、じんわり慣らしたいときか。で、『3』が中くらい・一定リズムで、メインで刺激したいとき……ふむ、それから、『4』が強め・やや複雑が動きで、強い刺激が欲しいとき……ふむふむ。『5』がかなり強い・リズム系? 一気に高めたい・フィニッシュか、なるほど。こりゃおもしれえな、全部試してみなければ。楽しみにしてな」
「い、嫌です、やめてください」
「遠慮するなって。それじゃ買い物に行こうか」

 車を下りて、駐車場からスーパーの入口に向かう途中、いきなりありさの股間のバイブが振動し始める。

「うっ!」

 突然の刺激に、ありさは驚き、腹を押さえてうずくまった。

「ダメ……動けない……ねぇ、お願い、止めて、早く……」

 泣きべそをかきながら、ようやくそれだけ口にした。

「これがレベル『2』だ」

 殿井はそうつぶやくと、アプリのスイッチを切り、同時にありさの股間の振動も止まった。

「ひどい……」

 ありさは、泣き出しそうな顔でうつむいた。

「突然スイッチ入れるとびっくりするか。じゃあ、今度は大勢の買物客がいるところで、大声で『スイッチ入れるぞ』と、言ってやるから」
「ダメ。人前でそんな恥ずかしいことを言わないで……」
「さっ、中に入るぞ」

 殿井はありさの言葉などちゃんと聞いていない。
 
 スーパーに入ると、冷蔵ケースの冷気で店内が肌寒く感じられた。

 カートに籠を二つ乗せて富成が押し、ありさが品選びをして籠に入れていく。
 殿井がボソッとつぶやいた。

「肉が食いてえな。今夜はすき焼きがいいな」
「はい……分かりました……」

 ありさとしては、殿井たちといっしょに鍋を囲むのは避けたかったが、彼の怒りを買わないようにと従順にふるまうことにした。
 ところが珍しく、富成がポロリと本音をつぶやいた。

「真夏に鍋するの?」
「いけねえか?」
「いや、別にいいけど」

 ありさたちは野菜売り場で、長ねぎ、白菜、春菊、しいたけ等キノコ類を調達し、焼き豆腐やしらたきの売り場に向かおうとした時のことであった。

「あっ……!」

 突然、ありさは小さな声をあげ、うずくまってしまった。

「あうううっ……」

その直後。

「っ……あ、あぁ……っ!!」

 先程よりも強い刺激が、膣内とクリトリスを同時に襲った。
 強烈な快感が走る。

「やぁっ……あっ、やっ、だめ……っ」

 力が抜けて、取ろうとしていたしらたきを落としてしまった。
 ありさはガクンと膝から崩れ落ちてしまった。
 幸い袋は破れなかったが、下半身の刺激がじゃまをして取ることができない。

 殿井が周りの目を警戒しながら、声をかけるふりをしてさりげなく手を添えると、品出しをしていた女性店員が小走りでやってきた。

「お客様、だいじょうぶですか?」
「はい……だ、だいじょうぶです……」
「顔色がすぐれないようですし、事務所でお休みください」

 殿井と富成がありさを抱えあげる。
 ありさが喉の奥から震える声で店員に礼を言う。

「ありがとうございます……ちょっとくらくらしたけど、もうだいじょうぶですので……」

 立ち上がったありさは、笑顔を取り繕う。
 蜜液が太ももをつたって、膝裏にまで流れている感覚があるが、ここで騒ぐわけにもいかない。
 なんとかごまかして、店員が立ち去る頃には、顔が真っ赤になっていた。

「お願いです……店内でスイッチを入れるのはやめてくれませんか……」
「う~ん、どうしようかな? ちなみに今のがレベル『3』な。ここまで体験したらレベル『5』まで味わいたいだろう?」
「味わいたくありません……こんな恥ずかしい思いは、もうさせないで」
「は~い」

 殿井はしおらしく返事をしたが、おそらく本音ではないだろう。
 店を出るまでいつ仕掛け来るか分からない。
 不安が心の奥底から消え去ることはなかった。



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早乙女衣葡













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