(第37話)



野々宮ありさ




第37話「淫獣たちの狂宴(3)」

「はぁ、はぁ、はぁ……んっ、あぁ……っ……」

 俊介の上で、激しく腰を動かす衣葡。
 上下にではなく、前後に腰を振っている。
 時折、顔を上に向け、沸き立つ快感を懸命に堪えるように、小さく吐息を洩らす。

「うっ……ううっ……」

 俊介の口からも控えめだが、かすかなうめき声が洩れる。
 衣葡は俊介の反応を確かめながら、身体を俊介に密着させる。
 そして、濃厚なキスをする。

「んっ……むちゅっ……」

 間近で熟視しているありさの耳に、唾液が絡み合う卑猥な水音が、否応なしに飛び込んでくる。
 前屈騎乗位の体勢で獣のように絡み合うふたり。
 愛する夫と親友との理不尽なセックス……それが男たちの要求だとしても、ありさにとっては地獄絵図以外の何物でもなかった。

(十五分以内にイクことができれば全員が解放される、だから衣葡さんは仕方なくがんばっているんだわ。でも早く終わって……)

 ありさは、自分にそう言い聞かせ、早期終了を願った。
 しかしありさの願いとは反対に、ふたりの行為は益々エスカレートしていく。

 上にいる衣葡が、激しく吸い上げて、「ずずずっ」と、下品な音を立てる。
 俊介もその気になってきたようで、下からグイグイと腰を突き上げる。
 繋がり合う性器の間から溢れる愛液が、まるでローションのようににちゃにちゃと音を立てる。

「あっ、あっ……あうっ……うううっ……」
「はぁはぁはぁ……はぁはぁはぁ……」

 横合いから殿井と崎野が野次を飛ばす。

「ありさよ、目の前で旦那が大切な友達とオマンコしてるのを見るってどんな気分だ? 感想聞かせてよ~」
「これ、強制不倫っていうのか? だけどふたりとも気持ちよさげで、満更でもなさそうじゃん」

 傷心のありさに、さらに追い打ちをかけてくる男たち。

 衣は時間を気にしているのか、腰の動きが一段と速くなった。

「ううっ……そんなに動いたら……出るよ……」
「あぁ、ちょっと待って……私、まだイッていないから……耐えてっ……あぁん、あんあん……!」

 スキンを装着していない、いわゆる『生』の男根が、ありさの親友である衣葡の膣穴をかき回している。

 その頃、背徳感と罪悪感が渦巻く俊介の胸中で、一種の開き直りもあって、ありさとのセックスでは感じたことのない不思議な快感が芽生えていた。

(なんだこの快感は……こんな苦しい状況なのに、どうしてこんなに気持ちがいいんだろう……でも口が裂けても、ありさには言えないよ……あぁ、これは参ったぞ……)

 苦境と数奇な背景が、逆に快感の起爆剤となっているのかもしれないが、意外な膣肉の好感触に、焦る俊介であった。

「あぁん、ダメッ、ダメッ……いいっ……イクっ!」

 衣葡が俊介よりも早く絶頂を迎える。
 今まで以上に激しく腰を振る。
 俊介も、もう限界に来ていた。

「早乙女さんっ! ダメです! 抜かないと、膣内に出てしまうっ!」

 男たちが提示した条件は、十五分以内に衣葡が絶頂に達することだ。
 俊介の射精は条件に入っていない。

 衣葡の膣内に射精、絶対にしてはいけないことなのに、ぶちまけたい欲望が俊介を駆り立てる。
 だが衣葡は俊介から離れようとしないで、懸命に腰を振り続けている。
 俊介の我慢という名の堤防が、決壊しようとしていた。

「あぁっん……イくっ…イっちゃう……あ、ありさちゃん、ごめんなさい!……あぁぁぁぁぁぁ~~~~……!」
「おおおっ! 出るっ!」

 仰向けでベッドに背を預ける俊介に、力なく倒れかかる衣葡。
 荒い息と、上下する肩が、激しい性交の後であることを物語っている。
 俊介は倒れ掛かってきた衣葡を抱きしめる格好で、息を整えながら、快感の余韻に浸っていた。

「はぁはぁ……はぁはぁ……車井原課長、す、すみません、もたれかかって……あのぉ、中に出さなかったのですね……」

 俊介は射精する直前に腰を引き、肉柱を衣葡の膣から引き抜いた。
 真上に向かって放たれた濃い精液は、衣葡の身体に付着したのだった。

「うん、出さなかったよ、中には……衣葡さんを妊娠させるわけにはいかないから」

 それはあくまで建前であって、俊介の心の中では、衣葡の膣内で射精したい気持ちがあったことは否定できない。

「ありがとう……俊介さん」

 殿井があざ笑うような仕草で、ティッシュペーパーの箱を衣葡に手渡した。

「ぷっ、美談だな」
「ねえ、十五分以内だったでしょう?」
「うん、十四分だ」
「じゃあ、約束どおり二十四時間以内で出て行ってくれますよね?」
「ノーだ。出て行かねえ」
「どうして? 約束でしょう?」
「時間は合格だが、その前に俺が言ったことを忘れたのか?『中出し以外は認めねえ』って。だから失格。残念だったな、旦那が衣葡さんの中に出していたらな~、ああ、惜しい、惜しい~。がはははははは~」
「そんな……」

 衣葡と俊介ががっくりと肩を落とす。

 殿井が新たな命令を下した。
 次のターゲットは、ありさと悠太であった。

「今からおまえたちにもセックスをしてもらう。所要時間は三十分だ。喜べ、先程より時間増し増しだぞ。その代わり別の条件がある。体位は自由だが、スタートは『顔面騎乗位』から始め、フィニッシュは必ずベッドの縁で『背面座位』で行うこと。フィニッシュは華々しく挿入しているところを全員に見せるんだ」

 蒼ざめるありさと、戸惑いを見せる悠太。

「そんなの恥ずかし過ぎる……」
「背面座位って経験ないんだけど……」

「条件はまだあるぞ。ありさがイくことは必須だが、悠太は必ず二回中出ししろ! 三十分で二回出すんだ! いいな!」

 愕然として色を失う悠太。



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早乙女衣葡













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