第7話 あたしとブルマと好きなのはどっち?


「虫とかいるとまずいからな」

治彦は身に着けていた制服を脱いだ。
雑草が薄く繁る地面に、それらを並べていく。

「いつも優しいね、治彦は。だけど少し足りないみたい」

夏服でもある学生ズボンに、白いカッターシャツ。
勢いで脱いだ下着一式も揃えて、シーツ代わりに敷いたものの、智花が指摘するようにいささか手狭である。

シュル、シュル……

「あたしたちって、すごいことをしてるね」

話しかける声は潜められていた。
その少しかすれもした声にオーバーラップし、秘密めいた衣擦れの音色も。

智花もまた、身を包む制服に手をかけていた。
白さが眩しいブラウスを肩口から脱がせていく。
少女の腰をみっちりと留める、スカートのウエストにも指を当てる。
慣れているのにぎこちなくホックをゆるめ、サイドのファスナーを下ろした。

「ここは瞬き禁止だからね」

脱ぎかけのスカートを摘んだまま、智花が訴える。
言われなくても、瞳をドングリのように開かせた治彦を見つめた。

「ふうぅ……」

ファサ……

「あぁ……おぉっ!」

緑の空気をはらみ、赤と黒がクロスするチェックのスカートが舞った。
智花が噤んだ唇を鳴らし、治彦の射しこむ視線が彼女の股間を凝視し、雄たけびの声を漏らした。

健康美溢れる太腿のつけ根に、食いこむように貼りつく濃紺色のブルマ。
その魅惑的なアイテムの出現に、少年の胸は激しい鼓動を響かせた。

「やっぱり嬉しいんだ」

「あ、当たり前だろ。それよりも朝から穿いてたやつか? そのブルマ……」

「そうだよ、この前と一緒。ピチピチのブルマの中には、パンツとかパンティーとか穿いてないから、智花の恥ずかしい匂いだってたくさんついているかも?」

「恥ずかしい匂いって、なんだよ?」

「そんなの、あたしから言えるわけないでしょ。知りたかったら、治彦が調べてみてよね……あぁん、声にしただけで恥ずかしいんだから」

女の子したピンクのブラジャーと、紺色ブルマを着けた智花は、これまで脇に挟ませていた松葉杖を外した。
傷めた利き足を庇うようにしながら、腰をゆっくりと落としていく。

「治彦、あたしのもお願い」

脱ぎ落されたブラウスにスカートを、遥香の手が指している。
それを暫し呆然としていた治彦が、慌てて回収し、特設のシーツに継ぎ足していく。

「あたしたちって、お外でエッチするんだね」

「青姦って言うらしいぞ。外でセックスするのを」

智花は仰向けに寝そべっていた。
治彦は己が履いていたズボンの上に足を乗せた。

射しこむ木漏れ日が気になるのか?
それとも……?
まぶたを柔らかく閉ざした少女の上へと、全裸な男の肌を合わせていった。



「智花って、どんどんスケベになっていくんだな」

「はふぅんっ、だって……治彦の彼女なんだから……」

「それって答えになってないけど……ジュブ、ジュル……この場所は目をつけていたのか? 俺とセックスするために」

「ひぅん、ジンジンしちゃう……乳首吸われるとぉ……そ、そうよ、治彦とスリルのあるエッチをしたいなって……」

広葉樹の林と、垣根のように取り囲む植えこみの繁みの中で、治彦と智花は愛し合っていた。
寝そべる彼女に覆いかぶさり、ブラカップを首元へとずらせた少年は、唇をすぼめて乳房の頂を吸った。
汗の膜に覆われた指を使い、お椀を伏せたような乳肉を揉む。
餅肌の乳肉を少し乱暴に絞り上げ、硬く立ち上がった乳首の蕾に前歯も当てる。

「くぅっ! おっぱいばっかり……あぁ、いじめないでぇ……」

「ということは、他ならいいんだな?」

「はあぁ、知らない……」

智花の顔が伏せられる。
その鼻先に、治彦の腰を包んでいた下着が触れて、急いで顔の向きを反転させる。

「むはぁ、じゅば……」

「くふぅ、くすぐったい……」

次なるターゲットを目指して、治彦は身体をスライドさせる。
触れ合わせた唇はそのままに、乳房に乗せていた両腕を敷き詰めた着衣のシーツに突き立て、ピュアな素肌にキスの舐め痕を残しながら。

「ブルマって最高だよな」

そんな治彦の顔面が、智花の下腹のあたりで停止する。
分厚い唇をねっとりと濡らしたまま、頭を持ち上げた。

「あたしとブルマと、どっちが最高なの?」

「どっちもかな」

「ひどい! 智花の身体と着けてるブルマが一緒だなんて」

智花がほっぺたをふくらませた。
治彦を乗せたまま腹筋に力をこめると、腰を薄く浮かせた。

「お、おい……なにをする気だよ?」

「脱ぐの、ブルマ……治彦には、あたしだけを愛して欲しいから」

細くて頼りなげな指が、濃紺の生地を掴みしめている。
本気で脱がせるつもりだと、グイとそれをずらせて、鼠蹊部に刻まれたつけ根のラインを露わにさせる。

「その手を離してよ」

さらに引き下ろそうとさせて、治彦の腕が阻止させる。
男の体重は片腕に任せて、ブルマに引っかけた智花の指をなだめた。

「俺は、お前が好きだ。でも別の次元で、ブルマも大好きなんだ。だから……」

「ああぁっ、それってずるいよ……」

フェチな男心を納得させるような言葉は知らない。
治彦は思い浮かんだままを声に乗せた。
そして、ずらされかけたブルマの乱れを直すと、智花の女の子の部分を手の指になぞらせた。





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