第1話

大好きだった恵一さんと結婚したのは六月のこと。
 慌ただしい結婚式とハネムーンはあっという間に過ぎ、これから落ち着いた幸せいっぱいの新婚生活が始まる。

「恵一さん、おかえりなさい。ご飯とお風呂の準備はできてますよ。それとも、わたしを食べます?」

 半分冗談、半分本気で夫を迎える生活。
 毎晩、彼の愛を子宮でたっぷりと受け止め、早く赤ちゃんができないかなと考えていたのも束の間、夫の海外赴任が決まってしまった。
「なあに、一ヶ月だけの約束だから。すぐに戻ってくるよ」

 そう笑って機上の人になったのはちょうど一週間前。
 毎日メールと電話は欠かさずにしてくれていたが、分譲マンションに独り残されたわたしは部屋の広さと寂しさ感じずにはいられなかった。

 あと三週間。
 いつも指折り日にちを数えてしまう。
 ほんの数ヶ月前までは独り暮らしに慣れていたというのに、わずかな彼との結婚生活がこんなにもわたしの心の中で大きくなっていただなんて。

いけないと思いつつも、彼のモノを欲しがって疼く体を慰めてしまっていた。
 ピンポーン
 
 昼下がり。
 お昼ご飯も食べ終わって、長い午後の暇をどうやって潰そうと考えていた矢先に呼び鈴が鳴る。
 誰だろう。友達が訪ねてくるなんて聞いてないから、新聞屋か訪問販売か。
 慌てて玄関に行き、のぞき窓で様子を見ると、ああこれは夢だろうか。
 恵一さんが懐かしい微笑みをたたえてそこに立っていた。
 今、ベトナムに出張中なのに?

 あまりにも彼が恋しいからついに幻まで見るようになってしまったのだろうか。
頭を振って冷静になり、もう一度のぞき窓から様子を見る。
間違いなく、恵一さんだった。ほっぺを抓っても痛くないのは彼に逢えて嬉しいからだろう。

 ピンポーン
 痺れを切らしてもう一度呼び鈴が鳴る。わたしはハッと我に返って慌ててチェーンロックと鍵を開けて扉を開ける。
 
「おかえりなさいっ」
 がばっと勢いよく彼に抱きつく。懐かしい彼の感触は実感として蘇り、彼の腕の中で彼の香りを胸いっぱいに吸う。
 
「ねぇ、突然どうしたの? 帰ってくるなんて聞いてないよ」
「一泊の休暇をもらったんだ。さくらを驚かせたくて、黙って来ちゃった」

 ちょっと照れくさそうに言う彼の唇を塞ぐ。
 久しぶりのキス。はしたないとか、ご近所の目とかを気にせずマンションの廊下で一週間分を取り戻すかのように貪欲に彼の唇を求める。

「はぐっ。んっぐ。んっ……」
 舌と舌を絡み合わせ、唾液をくちゅくちゅと交換しあう。彼とのキスがこんなにも気持ちがよかったなんて。
 頭の中がとろとろになりそうになりながらお互い、キスを続ける。
 
「ふふっ、恵一さんったら。もうおちんちん大きくなってるよ?」
 抱き合っているから、お腹に彼の堅いモノを感じる。
「ずっとご無沙汰だったから、さくらが欲しくて欲しくて我慢できなかったんだ」

 と、嬉しいことを言ってくれる。そうまで言われたら、わたしの全てをあげたくなってくる。
 わたしも、彼のが欲しかったし。
 
「続きはベッドの上でしよっ」
 彼の手を引っ張って寝室まで行く。
 
「さくら、愛してるよ」
「恵一さん、わたしも愛してる」
 ベッドの上でキスの続きをする。
 わたしってこんなにはしたない娘だったかと思うほど彼の唇をむさぼる。
 唇と唇をあわせ、舌を彼の口の中に入れてねっとりと絡みつき、彼の舌に吸い付く。
彼の舌の裏側を愛撫したり、口腔の上の方を舌で刺激したり、されたり。
とろけそうなほどキスをしていると、彼の手がわたしのお尻に回ってくる。

「あっ……」
 ビクッと身体を震わせる。
 わたしの敏感なお尻をスカートの中に手を入れて、パンツの上から彼が優しく愛撫をする。
 結婚して少しだけお肉がついた臀部。
 小柄な割にはむっちりとしたお尻は彼の手がぴったりと吸い付くような感じがする。
 キスだけで恵一さんのモノは堅く勃起していたが、わたしもキスだけでぐっしょりと濡れてしまっていた。
 そんな中、キスをしながら彼がわたしのお尻を揉みほぐすようにいじると割れ目の方まで少しだけ上下に擦れだして我慢できないほど感じてきてしまう。
 
 直にさわって欲しいよ……。
 とろんとした視線で彼を見つめる。
 目で訴えかけるようにしてみるが彼はわかっているのかわかっていないのか微笑んだだけでお尻をいじるのをやめない。
 チュッチュッと上唇や下唇に吸い付き、顎や耳たぶにまで彼はキスを広げる。

「あはん……」
 彼の愛撫が胸にまでのびた時にまたわたしはビクッとする。
 服の上からではあったが、わたしのおっぱいは敏感になっていて、まるで肌に触られているかのような反応をした。
 あまりもの感度の良さに彼は微笑み、そして豊かなおっぱいを揉みしだく。


第2話

「また大きくなったんじゃないの?」
 悪戯っぽく彼が微笑する。
 彼と付き合う前はDカップだったのに、彼に揉まれたせいかFまでサイズが大きくなった。
 ただ、それも今はブラが少しきつく、このままだともうワンサイズ上のブラを買わなければならないかもしれない。
 ただでさえ大きいサイズは可愛いのが少ない上に値段も高い。
 いくら彼が大きなおっぱいが好きだからって、あまり喜んでばかりもいられない。
 
「んっ、そんなことないよ。あっ、あっ、恵一さんがいっぱい揉むから。あっ……」
 乳房を包み込むように彼は揉む。彼におっぱいを揉まれるのはすごく好きだった。
 なんというか、安心するのだ。
 ただ、一番敏感な乳首だけはわざと避けているみたいで、気持ちいいのだけどもどかしくもある。
 乳首の方に近づくにつれて期待が高まるものの、彼の手はぎりぎりのところで止まり、ぷっくりとした乳輪を、円を描くようにしてなぞるだけだった。

「焦らすなんてずるいよ……」
 思い切って訴えてみても、彼は「そっちの方が燃えるだろ?」と言うだけで取り合おうともしない。
 じゃあ、せめて直接触ってくれればいいのにと、彼のワイシャツのボタンに手をかける。

「そんなに欲しいんだ? いいよ。いっぱいしてあげる」
 彼のワイシャツを脱がすのがわたし。わたしのTシャツを脱がすのが彼。
 手慣れた手つきでTシャツを脱がすと、火照った肌が外気にさらされて少し気持ちがよい。
 薄いピンク色のフリルがついた可愛いフルカップのブラジャー。
 お気に入りだから少しだけ疲れては言えるけれど、こんな時に地味なブラを付けてなくてよかったと思う。
 
 そのまま彼はブラジャーのフックに手をやり、慣れた手つきでブラを外す。
 肩紐がさらりと落ち、カップもそのままはらりと脱げる。久しぶりに彼に見てもらうおっぱい。
 透けるような白さともちもちした感触。童顔のわたしには不釣り合いなほどのボリュームの胸はよく熟れていてちょっとだけ重力に負けて釣り鐘型に垂れ下がっている。
もう少し形がよければいいのにというのは無理な注文なのかもしれないが、彼はこのおっぱいをすごく好きだと言ってくれる。

「まだ触ってないのに乳首が勃ってるよ」
 乳首どころか乳輪までも期待感からかぷっくりと勃起していた。
 少し濃いめのピンク色した乳輪と乳首。
 白い肌との強いコントラストがよりいっそうエッチな気分に見えてすごく恥ずかしい。
 
「いじわる……。恵一さんだっておちんちんガチガチにしてるくせに」
 彼は「ごめんね」とキスをしてからおっぱいに触れる。手をブラジャーに見立てたかのように全体を優しく包み込む。
 ちょうど敏感な乳首が手のひらで押しつけられる。
「はぁぅっ……」

 ぎゅっと鷲掴みにして乳房の感触を味わう彼。
 マシュマロのようにぽやぽやと素直に形を変えるおっぱい。
 彼の指先がダイレクトにおっぱいに沈んでいき、少し遅れて反発する。
 わたしのおっぱいを愛撫している彼は本当に楽しそうだ。
 
「んっんっんっ」
 乳房のじわじわとした快感にわたしが酔っていると不意打ちのように彼は乳首を擦ってくる。
 今度は一直線に、わたしを燃え上がらせるように乳首を刺激してくる。
 擦ったり、摘んだり、強く弾いたり。そのたびにわたしはビクッと大きく震え、我慢しきれなくなった喘ぎ声が漏れる。
 いくら新婚だからといって、ここまマンションである。あまり大きい声をあげたらお隣さんにまで聞こえてしまうかもしれない。
 そんな理性もいつまで持つだろう。彼はわたしをおっぱいだけでイかせるかのように執拗におっぱいを責めてくる。
 
「んっ、んっ、あっ、ああっ、あっあっあっ!」
 擦る抓る摘む弾く。そんな刺激に慣れてきた頃に、一気に別の感触がわたしを襲う。ねっとりとした暖かいぬるぬるとした感じ。気がついたら彼はわたしの乳首を口に含んでいる。
「だめっ、気持ちよすぎておかしくなっちゃうよ」
 手の刺激よりも嘗められた方が絶対に気持ちいい。
 それに恵一さんがわたしのおっぱいを吸う姿はまるで彼がわたしの赤ちゃんになったような気分になる。
 一心不乱におっぱいを吸う彼に感じさせられながら、同時に愛おしくも思う。
「あん、あんっ、あっ!」

 おっぱいと子宮は感覚がつながっているからか、愛撫されているとあそこがジュクジュク熱くなってくる。
 きっと今は大洪水だろう。パンツにシミができないか心配になるものの、そんなことはすぐに考えられなくなるように快感の波がわたしを次々と襲う。
 このままおっぱいだけでイッてしまいそうな気分だが、それはもったいない。
 彼と一緒に感じて、彼と一緒にイきたい。
 わたしは無意識のうちに彼の股間に手が伸び、パンツの上から彼のモノをさすっていた。
 
「ねぇ、もういいよ。恵一さんのが欲しいよ。わたしのなかでいっぱいして。
今晩だけなんだから、時間がもったいないよ。おなかがパンパンになるくらい恵一さんが欲しい」



第3話

 ガチャガチャとベルトをはずし、トランクスをひょいと脱がすと愛しの恵一さんのおちんちんが露出する。
 ギンギンに勃起し、血管が浮いたりしている。彼の精液がたくさん詰まっているおちんちん。

 もう彼も我慢の限界なのか、先っぽから透明な液体がぷくーっとあふれ出ている。
 いい子いい子するように竿を握る。久しぶりの彼のそれはいつも以上に熱く堅いような気がした。
 
「すごいよ。大きい。一週間もお預けさせちゃってごめんね。すぐにいっぱい、わたしのなかで出させてあげるから」
 おちんちんに向かって話しかける。と、同時に彼もわたしのスカートを脱がし、パンツに手をかける。
「やっん」
 ねとーっとパンツにわたしの割れ目からあふれ出たものが糸を引く。
「さくらも僕のが欲しくてよだれがすごいよ」
「もう。今日の恵一さん、ちょっといじわるだよ……」

 生まれたままの姿にお互いなって肌と肌で感じあう。ベッドに横たわり、正常位の格好で一度、キスをする。
「さくら、いれるよ」
「うん」
 彼はおちんちんを手に持って、わたしの割れ目に狙いを定める。
 くちゅくちゅと筋をなぞって亀頭に愛液を十分絡ませる。
 
「あっんっ、やんっ。ねぇ、焦らさないで。んっ。さくら、切なくておかしくなっちゃうよ。早くいれて」
 今日の彼はいつも以上に嗜虐的なのかわたしの恥ずかしいことばかり口にする。
「さくらのおまんこ、僕のが欲しくて口をパクパクさせてるね」
「もう、お願い。おちんちんわたしのなかに入れてください」
 泣きそうになりながら懇願すると、彼はいつもの優しい笑顔に戻って「ごめん」
と言うと一気にわたしのなかに侵入してくる。

「あっ、うっ…んっ!」
 入口の側の一番狭いところをおちんちんがこじ開けるように通り抜ける。
 一瞬の抵抗ではあるが、何度エッチをしていても彼が入ってくる時は緊張する。
 一度そこを抜けてしまえばあとはわたしの膣壁を亀頭が擦りつけながら一番奥まで入ってくる。
 
「ぜんぶ入ったよ」
「うん、恵一さんの、子宮口に当たってるよ」
 ゴリゴリと乱暴にわたしの膣を広げてくる。
 相性というか、彼のは平均サイズであったがちょうどわたしの膣の長さにフィットしているみたいで根元まで挿入すると一番奥までフィットしてくる。
 お腹のなかいっぱいに広がった彼のモノを感じると無性に幸せな気分になる。

「うっ、あっ、さくらのなか、すごくやらしいよ」
 結婚する前はいつもゴムをしていたけれど、今はいつも生でやっている。
 粘膜と粘膜を擦りつけあう感触はゴムなんかもう付けられないほど気持ちいい。
 わたしのおまんこと恵一さんのおちんちんが溶けあうようなそんな感触。
 本当にひとつになったような幸福感を味わえる。彼のおちんちん全体に染み渡るわたしの愛液。
 彼が動かさなくても、わたしが腰を振らなくても膣は彼の精液を絞りだそうとおちんちんに絡みつき、彼を刺激する。
 彼の精子が欲しいと無意識に身体が反応してしまうことに羞恥心を覚えずにはいられない。
 
 恵一さんも、一刻も早くわたしの膣に射精したいのだろう。
 すぐにピストン運動を開始する。いつも一回目は獣のような荒々しいピストンをする。
 じゅぶじゅぶと音がするほど激しく、亀頭がかすかに引っかかるほどまで抜いてから、また一気にわたしのなかに押し込んでくる。
 一瞬、抜かれそうな感じになるとわたしは「抜いちゃやだぁ」って気持ちで入口をきゅーっと締め付ける。
 そして次の瞬間には彼は収縮した膣のひだひだに亀頭を擦りつけて一番奥までつっこんでくる。
「あっあっあっあっ!」

 それを繰り返しているとわたしも彼も気持ちよすぎて何も考えられなくなってくる。
 いつの間にかわたしも彼の動きにあわせてくねくねと腰を振っている。
 動きが激しくなればなるほどお互いに登り詰めていく。
 お隣さんに喘ぎ声が届いてしまうほどにわたしは喘ぎ、彼の呼吸も激しくなる。
 彼の呼吸を耳元で感じながら、彼にあわせてわたしも一段と高みに登っていく。
 お互いにこんな激しくしていればすぐに終わりがきてしまうのを知っていながら、それでも快感を貪りたかった。
 昂ぶれば昂ぶるほどもっと欲しいという本能とまだずっと味わっていたという気持ちが二律背反する。
 限界がもうすぐそこまで迫ってきて、わたしは達しないようにぎゅっとシーツを握りしめる。
 彼もまたきもち苦しそうに顔をゆがめて一心不乱に腰を振っている。
 そんな一番気持ちいい瞬間も一分も持てばいい方だ。彼のものが限界以上にまで膨らむ感触を感じるとわたしも快感の波がついに決壊する。
 
「さくら、もう射精るよ!」
「あああっ、ああっ、わたしももうだめ。イッちゃう。一緒にイこう。恵一さん来て! わたしのなかにいっぱい注いで!」
「あっ、あっ、射精るっ、射精るよっ」
「んっ、あっ、イイ! イク、イク、イッちゃう!」


第4話

 ぎゅっと膣が痙攣するのと、彼のおちんちんがわたしの膣でビクビクっと暴れ回るのはほぼ同時だった。
 一番深く入れたところで射精が始まり、わたしの子宮に直接、熱いものが注ぎ込まれる。
 あまりにもビクビク痙攣するものだから、精液はわたしの子宮のあちこちに飛び散っているような気分だった。
 頭の中が真っ白になりながら、彼の射精の瞬間を確かに感じている。
 永遠に近い快感の一瞬が過ぎ去っていくと、彼はピストン運動を徐々に落ち着かせ、荒い息でわたしにもたれかかる。
 わたしも飛んでいた感覚が徐々に戻ってきて、彼の体重とともに快感と幸せを感じてきた。
 敏感すぎるわたしのおまんこはまだ痙攣をし続け、彼の精液を一滴残らず搾り取ろうと収縮を繰り返している。

「はぁ、はぁ、はぁ。すごい、すごいよさくら。まだ膣でいやらしくぼくのちんぽに絡みついてきてるよ。あっ、もう出ないよ」

 急に冷静さを取り戻して来つつあるわたしは、わたしの身体のどん欲さに恥ずかしくなって顔を赤らめる。
「えっち。恵一さんだって、おちんちん全然小さくならないよ」
「えへへ。ずっと我慢してたから。さくらに久しぶりに逢えたらずっと興奮しっぱなしなんだ」

 あれだけ精を放出したというのに、彼のおちんちんは堅さを全然失おうとはしない。
 それどころかかえって大きく硬くなったかのような錯覚さえする。まだ出したりないのか、彼はすぐに腰を振り始める。
 
「あっ、やん……。もう二回戦なんて激しすぎてわたし、身体が持たないよ」
 じゅぶじゅぶと、精液が潤滑剤代わりになっていやらしい音が響く。
「今日はさくらのお腹が精液でたぷんたぷんになるくらいやるから」
「そんなにいっぱいしたら、すぐ妊娠しちゃうよ」

 二回戦はうってかわってゆっくりまったりと、キスを交えながらする。
 お互いに快感と愛情を一つ一つ確かめながら、噛み締めながら。
「さくらを孕ませたいんだ。僕の赤ちゃん、産んでくれる?」
「……うん、早く恵一さんの赤ちゃん産みたいよ」

 お互いにイッて敏感になっている場所をゆっくりと擦りあわせる。粘膜と粘膜。
一番無防備なものを触れあう時、二人が最も信頼しているという証。
今、つながっているのだと、お互いの心を直接、手で触れているような感触。気持ちいいという感情以外は何もわからない。
わたしと恵一さんという別々の命が融けあってこの一瞬だけは一つのものになっている感じ。
そんな時間をめいっぱいわたしたちは楽しんでいる。
よだれと汗と愛液と精液でぐちょぐちょのどろどろになりながらも、わたしたちはまた少しずつ、でも確実に快感の階段を登っていく。

「あっあっあっあっ、んっんっ、恵一…さ…あっあっ、んっ……」
「さくら、また射精るよ。奥の方で、いっぱいいっぱい、出してあげるから」
「恵一さん、ちょうだい。恵一さんの赤ちゃんいっぱい孕ませて」

 二度目の射精が終わって、またいちゃいちゃとしていたら三回目、四回目と夜遅くまで、彼の予告通りにお腹が精液でぽっこり膨らむくらいに赤ちゃんのもとを注いでもらった。
 さすがに三時を回る頃になって力尽きて、お互いが精液と愛液でべとべとになりながらもおっぱいにさわったり、彼の背中を撫でたりしてゆっくりとまどろんでいた。
 
「ねぇ、今わたしのお腹のなかに、恵一さんが何十億って入っているんだよ。
わたしの卵子を求めて、がんばって泳いでる。
でも、こんなにいっぱい出してくれたのに、わたしの卵子と出会えるのはたった一人だけなんだよね。
そう思うと、ちょっと可哀想だよ」

 わたしがそう言うと彼は無言のまま寂しそうに微笑んでわたしの下腹部を優しく撫でてから軽く唇と唇を合わせた。

「ん。んー」


第5話

 朝。ぼーっと寝ぼけている頭の中をぐるぐると振って枕元に置いてある携帯電話を手に取る。
 メールの着信がある。誰だろうと見てみると恵一さんからだった。
「んっと、なになに。昨晩は電話できなくてごめんね。緊急の仕事が入ってしまって。
そう、マンションに一人暮らしは物騒なために弟に様子を見てくれと頼んだ。
そろそろ南米からそちらに着く頃だと思うので、その際はよろしく受け入れてやってくれ?」

 低血圧だからか、頭がまだ起きていない。
 そのために、メールの内容がよくわからない。
 恵一さんは今、わたしの隣で気持ちよさそうに裸で寝ているというのに、なぜメールが届くのだろう。
 それに、弟、弟、弟……。
 
 ピンと来た。確か恵一さんにそっくりな双子の弟がいたのだった。
 放浪癖があって今はバックパッカーとして世界中を飛び回ってレアメタルの情報を集めているはず。
 わたしと恵一さんの結婚式にもアマゾンの奥地にいるとかで連絡が取れなかった。確か名前は犬塚悠。
 
 じーっと、まだ裸ですやすやと寝ている彼を見る。
 昨晩、おもいっきり愛しあった彼。まだおなかに彼のを感じるほど、生でいっぱい中だしされた……。
 昨日はもちろん危険日。もしできちゃったら、恵一さんの弟の子。
 
「むー。あっ、おはよ」
 ちょうど悠も目が覚めたみたいでわたしが青くなっているのにも気づかずに微笑んでくる。
「ちょっと、なんであんたがここにいるのよ!」
 ばしばしと叩きながら言うと、彼は罰が悪そうに舌をぺろっと出してはにかむ。

「あれ? もうバレちゃったんだ。メール見たんだろ? 兄貴に頼まれたんだよ。さくらを僕のかわりに守ってやってくれって」

 まるっきり同じ体型、同じ顔の悠。
 隣に並べてもわたしでもまったく見分けがつく自信がないくらいそっくりな彼は、口調だけは優しい恵一さんと正反対だった。
 
「守ってって、絶対にそういう意味じゃないよ! 第一、なんで恵一さんのフリをするのよ?」
 またばしばしと叩く。ばしばしと叩いても、彼は痛そうな素振りさえ見せずにあははと笑うだけだった。
 
「兄貴に会えなくてさくらちゃんが寂しそうにしてるんじゃないかと思ってさ。
俺が兄貴の真似して慰めてあげようと思ったんだよ。でも、本当に気づかないとは思わなかったなぁ。
まぁ、ママンだって俺と兄貴がお互いに入れ替わると見分けが付かないんだけどさ」
「ぜんぜん嬉しくないー。それに、赤ちゃんできちゃったらどうするのよ?」
「ははは、兄貴とは一卵性双生児だから、DNA鑑定したって、区別は付かないよ。だからできちゃっても大丈夫」
「ぜんぜん大丈夫じゃないー」
「さくら、僕のことが嫌いなの?」

 そうやって急にシリアスな表情になって、恵一さんの口調まで似せると、本当に恵一さんのように見えてわたしはドキッとする。
 そっと顔が近づいてきて、彼がキスをしようとしているのがわかっていても、突き飛ばすことができない。 偽物だとわかっているのに。
 彼におはようのキスをされて、恵一さんにまるでされているような気分になって、つい許してしまう。

「ねぇ、これからどうするのよ。まさか、ずっとここに住み着くつもりじゃないでしょうね」
 暗に出て行ってといったのだが、彼はわかってかわからずか、あっけらかんとわたしにとって最悪の答えを言う。
 
「そう、そのまさか。まさか、叩き出そうっていうの? そんなことしたら、さくらを守ってくれて言われた兄貴に絶縁されちゃうよ。な、頼むよ。さくら」
 悠の時は「さくらちゃん」と呼ぶのに、恵一さんのまねをするときだけ卑怯にも「さくら」になる。
 わたしには恵一さんを叩き出すのは不可能だった。頭ではわかっているのに、悠が恵一さんになるとさからえない。
 渋々ながら、彼がここに住み着くことを承諾してしまう。
 そんなこんなで恵一さんが帰ってくるまでの三週間、彼との奇妙な同居生活が繰り広げられるのだが、さて、どうなってしまうのだろう。
「ねぇ、早く帰ってきてよ恵一さん。でないと、悠ちゃんに孕まされちゃうよ……」





























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