気持ちいいこと ~乱夢白書~ |
乱夢子作 |
第1~4話 | 第5~8話 | 第9~12話 |
第1話
「じゃあ、いきますか」 オジサンはラブホテルの大きなベッドの上で胡座をかいて、わたしのことを膝にのせながら、独り言のようにつぶやいた。 わたし、この人の名前、知らない。 この人も、わたしの名前、知らない。 さっき、出会ったばっかりだから。 でも、それだとちょっと都合が悪いから、湯原真由梨(ゆはらまゆり)の一文字だけを教えて「まーちゃん」なんて呼んでもらっている。 オジサンの膝の上にのせられたら、ほんの少しだけドキドキした。 あ、両手が背中の方から這いまわってきて、わたしのおっぱいを、ゆっくりと揉みはじめる。 熱くて大きな手と、太い指。 その人差し指と親指が、両方の乳首を同時にキュッとつまみあげる。 「あんっ」 思わず声が出てしまう。 つまみあげられた乳首は、指の間でゆっくりゆっくり転がされた。 「ん、ん、んん……」 声が、勝手に出てしまう。 こんな風にいじられてると、おっぱいの先から、ベトベトの甘い蜜が出てきそうだ。 もっとされたいような、逃げ出したいような、おかしな気持ち。 「ねえ、おっぱいいじられるの、好きなの?」 「……そうみたい」 「みたいって?」 「……今まであんまり、そんな風じゃなかった」 「じゃあ、どこがよかったの?」 「……どこも。えっちは嫌いじゃないけれど、いいとか思ったこと、あんまりない」 「今はいいんだ」 「……うん」 「うれしいな」 オジサンとぼそぼそ話をしているうちに、おっぱいだけじゃなくって、身体ぜんぶがぼおっと熱くなって、とっても不思議な気分になった。 頭も身体もドキドキして、何かとっても『期待』してるみたいな、変な気分。 そのうちにオジサンの手が、アソコの方へと伸びてくる。 「毛」をかき分けて、そろそろと入ってきたオジサンの太い指は、突然アソコの、お腹に近いところあたりをグリグリと摩りはじめた。 「キャンッ!」 脚が、自分のものじゃないみたいにピンッと跳ねて、電気が走ったように、身体が思い切りのけぞった。 「ごめんね、刺激が強すぎたかな?」 今度はオジサンは、そおっとそのあたりを摩りだした。 「あっ、ああ、あああん……」 摩られているうち、口がだんだん開いてしまう。 アソコのあたりもジンジンしてきて……甘ったるいような、気持ちいいような……ああ、どうしよう。 「脚をうんと開くと、もっと気持ちがよくなるよ」 そういうとオジサンは、わたしの脚を胡座をかいている腿の外側へ、引っ掛けるように開かせた。 いやだ、これじゃあ大股開きだ。 何だかとっても恥かしい。 でもアソコはもっとジンジンしてきて、何かをとっても欲しがってるみたい。 「んんっ、んっ、ああ……」 ああ、わたしいったい、どうなっちゃうんだろう。 オジサンとは、今日はじめて会ったばかりなのに。 オジサンと会うきっかけは、たどっていくと一ヶ月も前にさかのぼる。 まだ十八歳になったばっかりなんだけど、いろいろ理由があって、小さな設計事務所に勤めていた、のだ。 お正月開けの最初の出勤の日、事務所のドアを開けたとたん、わたしはあっけにとられてしまった。 事務所は、もぬけの殻。 そこには、ごみ箱がひとつ転がっているだけだった。 すっごく驚いて、急いでビルの管理室へと走っていった。 訳をいったら、ビルの管理人さんはすぐさまいっしょに来てくれた。 「……やられたね。こりゃ夜逃げだよ」 「はあっ?」 「社長も専務も、どっかへ逃げちゃったっていうこと。あーあ、わたしもオーナーに怒られちゃうなあ。あんた、ここの人達どこへ行ったか見当つかない?」 「いえ、ぜんぜん。でも、高校の先生に紹介してもらった会社だから、聞けば何かがわかるかも」 「わかったら、教えてよ。家賃一ヶ月分、滞納してるんだもの」 でも高校のときの先生に聞いても、手掛かりになるようなことは、何もわからなかった。 途方にくれた。 わたしの親は、ふたりとも高校に入ってすぐぐらいに、交通事故で死んでしまったのだ。 姉キがふたりいるけれど、もう結婚していて、どちらの家もあんまりお金はないみたい。 弱った。これからどうやって、生活していけばいいんだろう。 どうしていいかわからなくなって、パニックになったわたしは、高校のときの親友に、思い切って電話をかけて打ち明けてみた。 「すっごーい。たいへんーーっ。でもさあ、それなら真由梨、援助交際しちゃえばいいじゃない?」 「……そっかな」 「そうだよ。伝言ダイヤルとか、テレクラとかでさ、相手なら簡単にみつかるよ。ちょっとお金がほしい子は、みんなしてるし。真由梨みたいにみなしごでプーになったんなら、もう絶対にしかたがないよ。悪くない。わたし認める。やっちゃえやっちゃえ」 「そうしちゃおうかな」 「そうしちゃいなよぉ。それで昼間に職探しして、みつかったらさ、止めればいいんだから」 「うーん、そっか。どうもありがとう」 そんなわけで今、会ったばかりのオジサンの膝の上で、こうして思い切り脚を開いているの。 もちろん「処女」というわけじゃない。 高校の頃につきあっていた彼氏と、それなりに何度かえっちはした。 でも抱き合うのがうれしいだけで、正直けっこう痛かった。 こんな風に、身体がジンジン痺れるくらいいいのって、生まれてはじめてだと思う。 「もうそろそろ、いいかな?」 「あ、あああんっ」 おじさんの太い指が、わたしの中に入ってきた。 太い中指が、アソコの中を、ゆっくりと出たり入ったりする。 でも親指はまだ、さっきのところを擦っているのだ。 「ああっ……あんっ……」 「いいね、ずいぶん濡れてきた」 脚が勝手に、大きく開く。 ああ、そうだ。わたしはさっきから、こんな風にしてほしかったんだ。 「ああっ、あっ、あああっ……」 わたしは気持ちよくなりすぎて、置きどころのなくなった掌を、オジサンの膝や太ももに強く擦りつけるようになった。 「撫でてくれるなら、ここがいいな」 オジサンはわたしの手をとって、「アレ」をしっかりと握らせた。 ああ、もうずいぶん固くなってる。 これって、ほんとに変な形だ。 こんなのがあの中に入ってくるなんて、ちょっと嫌かもしれないな……。 そう思ってるうちにオジサンは、わたしの腰を両手でつかんで持ち上げて、あの変なモノのをあてがって、ゆっくりずぶずぶ沈めていった。 「あああああ……」 オジサンのモノが入ってくると、アソコの痺れは、ウソのように消えていく。 かわりに、ああ、もっと気持ちがよくなった。 オジサンは腰を動かして、ゆっくりと、でもだんだん早くアレでわたしをかきまわす。 そのたびじわじわした快感が、身体ぜんぶに広がっていく。 「あっ、ああっ、あっ、ああっくっ……」 ああ、でもどうしよう。 このままいったらもしかして、オシッコもっちゃうかもしれない ああ、あ、でもそんな、そんなことって信じられない。 第2話 「うっ、うっ、うっ、うっ……」 オジサンのアレはわたしのアソコに、ギチギチにキツく入りこんでる。 オシッコはすぐに何とかなったけど、アレは膝の上で揺すぶられるたびに中できしんで、閉じてる口からどうしても声が出てしまう。 まわりが霞んで見えるのは、目に、涙がにじんでいるからだろう。 気持ちいい、すごく。 でもそれが、どういう気持ちよさなのかは、ぜんぜん口ではいえない感じ。 「あうっ、あっ、あああ……」 オジサンの膝のむこうで、わたしの足がヒョコヒョコ揺れているのが、妙におかしくて、とても生々しい気がする。 揺れてる足の下にある固くて白いシーツが、ひどく遠い。 アレが入ってて動けないから、今はあのシーツには、足先でかすることもできない。 ……逃げたいような、もっともっともっと欲しいような、何ともいえない気持ちよさが、アソコの奥やおしりに溜まって、そこがどろどろ溶けちゃいそう。 「……だんだん熱くなってきたから、もうすぐイクかな」 オジサンはわたしの耳元でそうささやくと、まるでこどもにオシッコさせるみたいに、膝の裏側を両手で持って、上下にグシグシと動かしはじめた。 「あっ、あああんっ、ああああああ!」 身体中が痺れてしまった。 涙が、涙が出てきて、どうにかなっちゃう。 「あああっ、そんなのダメよぉ!」 急に身体がビクンッと跳ねて、のけぞった。 どろどろと溶けて、アソコの奥にたまったものが、勢いよく外へ吹き出したみたい。 そのまま身体は、水からあがった生きた魚みたいに、オジサンにアレを入れられたまま、ビクビクビチビチ跳ねていた。 「なんだぁ、もうイッちゃったのか。じゃあ、おれもそろそろ……」 そういってオジサンはアレを引き抜くと、わたしの身体を仰向けにして、大きく脚を開かせる。 そしてもう一度、グイッと奥まで突き入れたあと、激しく腰を揺すりはじめた。 「うっ、ううっ……」 アソコの奥が、またジンジンと熱くなってくる。 「まーちゃん、すごくかわいいね。とってもかわいい顔してる……」 オジサンはわたしに、何度も何度もそういって、すこししたころ「ウッ」といったきり動かなくなった。 次の日わたしは、昼少し前に起きてから、駅ビルのあるショップに買い物にでかけていった。 「イッたのはじめてなんだ」っていったら、オジサンは三万円の約束のところを、一万多くくれたのだ。 あった。あれだ。 前から欲しいと思ってた、フェイクファーの豹ガラのジャケット。 店のいちばん目立つ場所で、首のないマネキンが着ている、あれ。 たしか今ならバーゲンだから、二万ちょいで買えるはず……。 「あのー、これ、ちょっと着たいんだけど」 声をかけると、店員はニコニコしてジャケットをマネキンからはずしてくれた。 「あ、似合う似合う。すっごくかわいい。ピッタリですよ」 わたしはそのジャケットを買うと、ダッシュでうちに帰って、鏡の前でポーズをとった。 やっぱり、いい。 思った通り、ううん、それよりもっと似合う。 豹ガラのジャケットは、マネキンが着てたときはわからなかったがけど、けっこうタイトで着ると自然に、胸やウエストが強調されるようになっている。 一通りポーズをつくるのに飽きると、引き出しの中からアイラインを出して、なるべく濃いめに目を縁取った。 勤めてたときにわたしがこういう化粧をすると、社長や専務(社員はわたしを入れて三人なのに)がイヤミをいうので、頭にきて会社にはノーメークで通っていたのだ。 最後はリップグロスで、唇をツヤツヤにしてできあがり。 「うわーっ、かっわいいーっ!」 すごいイケてる。 まるで、タレントの上戸彩ちゃんみたい。 『まーちゃん、すごくかわいいね。とってもかわいい顔してる』 『あ、似合う似合う。すっごくかわいい。ピッタリですよ』 頭の中で、オジサンの声や店員の声がグルグルまわった。 うれしかった。 得意だった。 あ、そうだ。マスカラつけるの忘れてる……。 わたしはこうして、日が暮れて部屋が暗くなるまで、鏡の前で化粧して、いろんなポーズをとり続けていた。 次の日、急にわたしは憂鬱になった。 サイフの中には、二万円しかない。 「来月、家賃が払えない……」 今月は何とかなる。 でも、貯金はもう十万しかないのだ。 情けなかった。 同い年で、こんな惨めなことで悩んでるコは、いない。 わたしは、カーテンレールにかけているジャケットを振り向いた。 『まーちゃん、すごくかわいいね……』 頭の中を、またオジサンの声が駆けていった。 もう一回、電話しよう。 それしか方法、ないもんね。 わたしは公衆電話をかけるために、家の外へと出ていった。 今度のオジサンは、痩せている人だった。 痩せてて、皮膚がカサカサした感じで、頭にずいぶん白髪がまじっている。 わたしはちょっぴり、不安だった。 だってこの人、あんまりおしゃべりしないんだもの。 シティホテルのバスルームで、シャワーを浴びて出ていくと、オジサンは腰にタオルを巻いて、ソファーでビールを飲んでいた。 「もう、いいのかな?」 わたしも身体にバスタオルを巻いたまま、その言葉にこくりとうなづく。 するとこんどのオジサンは、だまってこちらに大股で歩いてくると、物もいわずにわたしのことを抱きしめた。 「かわいい……」 すごい力だ。 背骨が折れそう。 でもかわいいっていわれると、何だか何でも許せてしまう。 しばらくそうして抱きしめたあと、オジサンはふいに、激しいキスをしかけてきた。 オジサンの舌が、わたしの舌とからみあう。 ビールのにおい。 それからちょっと苦いような、煙草の味が口いっぱいに広がった。 結び目が引かれ音もなく、バスタオルが床の上に落ちる。 ああ、こんな部屋の真ん中で、素っ裸なんて心細い。 オジサンの手がおそるおそる、おっぱいに触れる。 乾いた手が、蜘蛛や蟹か何かみたいに、おっぱいの上でゴソゴソ動く。 「あっ、あんっ……」 おっぱいの先をツンッとつままれると、背骨の中を、ゾクゾク電気が駆け抜けていった。 「ベッド、行こうか」 オジサンは、わたしの身体をヒョイッと抱き上げると、ベッドの上まで運んでくれた。 ……もう、わたしダメになっちゃうかもしれない。 だって、したくてしたくて、もうたまらないんだもん。 第3話 前の人よりだいぶ細身のオジサンは、抱え上げたわたしの身体を、ベッドの上にそっと降ろした。 なんだか、ずいぶん純情そうに見えるけど……。 そして身体を重ねると、腰に巻いていたタオルを引っ張ってとった。 固くなっているアレが、太ももあたりに押し付けられる。 あ、前の人よりずいぶん固い。 別れた彼氏……ほどじゃないけど。 オジサンは、わたしの首すじに唇をつけ、下から上へとゆっくり舐め上げる。 うーん。 正直いって、イヤじゃないけど、くすぐったい。 笑いたいけど、ぎゅっと口をつむって、天井見ながらじっと我慢。 でも、オジサンの唇が耳のうしろにまわったときに、背筋がゾクッと気持ちよくなって、思わず声が出てしまった。 わたしに横を向かせると、オジサンはそのまま、耳のうしろの首のあたりをゆっくり下から何度も舐めた。 「あっ、ううんっ、んっ……」 どうしよう。アソコがムズムズよくなってくる。 思わず身体をのけぞらせたら、オジサンの唇が、おっぱいの先へぴょん、と飛んだ。 「あんっ、あっ」 オジサンは乳首をチュクチュク吸うと、もう一方の先っちょも、指でクリクリひねりはじめた。 ああ、すごく気持ちいい。 唾がたくさん湧いてきて、それを何度も飲みこんでいる。 まぶたの裏で、線香花火みたいな火花が、パチッパチッと何度もはじけた。 ほしい、もっと。 腰が自然に浮き上がる。 そうしていたらオジサンは、わたしのウエストを両手で撫で上げ、全身をゾクゾク気持ちよくしてから、乳首の先から口を離した。 で、いきなり太ももに両手をかけると、けっこう乱暴にグイッと大きく開かせる。 「あっ!」 わたしはオジサンから、あわてて顔をそむけた。 だってオジサン、恐い顔してわたしのアソコをじっと見ているんだもん。 ああ、いやだ、まだ見てる。 これ以上は無理っていうくらい、大きく脚を開いてるのに。 「あああっ、ああんっ!」 わたしの身体が、急にビクンッと反り返る。 オジサンは、あたしのアソコの前の方の、すごい敏感で芽みたいなところに、いきなり口で吸ったのだ。 もう全身が突っ張っちゃって、まるでいうことを聞いてくれない。 「ひっ、いいいっ」 舌がペロンッと、敏感な芽を舐め上げる。 「いっ、いっ……」 変な声。いやだ、こんなのわたしじゃない。 でもオジサンが舌を使うたび、ビクッビクッと身体がはねて、今まで口から出たことのない、異様な声がもれてくる。 舌の動きが、だんだん早まる。 「いっ、あっ、だめっ、ダメですっ!」 ぜんぜん強くはない刺激なのに、わたしは我慢ができなくなった。 脚を拡げてる腕をつかんで、引き剥がそうとしたけれど、オジサンの力はけっこう強くて、腕はびくともしなかった。 「ひっ、いっ、いっ、ああ……」 オジサンは、ますます強くソコを吸い、ますます早く舌を動かす。 いつのまにか、その気もないのに泣き出していた。 アソコのあたりが甘くって、キュッとしびれて、もう自分のじゃないみたい。 「あっ、あっ、たすけて、ああああんっ……」 これ以上開かないはずの脚が、勝手に外へ拡がって、アソコガ爛れそうなほど、甘い快感があふれてくる。 「イッちゃったの? ずいぶん濡れたね。ヒクヒクしてたし」 オジサンは、耳元でそういったけど、わたしはダルくて返事もできない。 脚を閉じ、うつぶせになって、小さく一度うなずいただけだ。 「ん、うしろからがイイのかな?」 いったん身体を離したオジサンは、わたしのお腹に腕をまわしてヒョイッと持ち上げると、アレを一気に、お腹の奥まで突き立てた。 「あああああっ!」 心の準備がなかったせいか、獣のような声が出た。 あ、ちがう。こんなに奥まで入れられたことが、今までなかったせいかもしれない。 「あっ、んんっ、うっ、んんん……」 オジサンは大きく腰を動かして、打ちつけるように入れてくる。 わたしは四つん這いになって、必死で手足を突っ張ったけど、入れられるたび、少しずつ前へせり出てしまう。 ああっでも、その強い刺激に、アソコがジンジン気持ちいい。 奥まで入るたび息が詰まって、おっぱいが揺れた。 わたしは揺れるおっぱいを、シーツぎりぎりまで下げて、突かれるたびに、先っちょが擦れるようにした。 そうしたら、もう全身が、爛れるくらいに気持ちよくなる。 ふいにグニュッと、アソコの奥が拡がる気がした。 「ああっ、だめっ、まだっ、いやぁ……」 身体が勝手に反り返り、お尻が高く天井を向く。 オジサンが、すかさず奥までアレを差し込み、腰を回して刺激してくる。 「あっ、んんんっ、くっ、ああ……」 ドロリとネバネバした液が、アソコの奥から流れ出てくる。 「あなたはほんとに、気持ちよさそうにイクね」 オジサンはさも楽しそうにいうと、あたしのウエストをつかんで、腰をグイグイ振り立てた。 「ああっ、あっ……」 だめだ。また、引き込まれていく。 わたしは胸をベッドに押しつけ、シーツをつかんで目を閉じた。 一度は引いた快感が、また身体中に充ちていくのを感じながら。 「また買っちゃった……」 家に着いて、あらためてサイフの中をのぞくと、さすがに自分が嫌になる。 でも。 振り返ると、小さな玄関に不似合いなくらいの、素敵なスエードのブーツが、ピッとそろって立っている。 うれしい。 あのブーツは、豹ガラのコートにものすごくよく似合ったのだ。 「ま、いいか。しょうがないよね」 ほんといって、ブーツを買ったことには、ちっとも後悔していないのだ。 ただ、お金が減ってしまうことが、とっても不安なだけだった。 ことに、こうして夜中に一人だと、なおさらだ。 わたし、友だちはあんまりいない。 学校を止めてずいぶん減って、仕事が忙しくなって、もっと減った。 いくらか残った友だちも、わたしが仕事の最中に、この部屋でひどく暴れたりしたので、怒って縁を切ってしまった。 ほんと、電話で相談したコ、ぐらいなのだ。 「でもさすがに、こういう生活は、ちょっとマズイかもしれないなあ……」 わたしは玄関にあるブーツを眺めながら、ベッドにごろんと横になった。 そうだ。 ちょっとくらいは、バイトしよう。 そうすれば、いくらかお金も入って、気分ももっとよくなるだろう。 わたしは明るい気持ちになって、ルンルンしながら眠りについた。 第4話 「そっかあ。でさあ真由梨ちゃん、何時から何時まで働いてもらえる?」 「九時から三時ぐらいまでに、したいんですけど」 わたしはまわりをキョロキョロ見回したい気持ちをおさえて、目の前に座っているコンビニの店長さんに、にっこりと微笑んだ。 今、家からちょっとだけ離れたところにある、コンビニのバックルームで、アルバイトをはじめるために、面接をうけている。 店長さんは、三十代半ばぐらいだろうか。 目も鼻も口も大ぶりで、どこかで焼いてきたのか、ちょっと色が黒い。 柔らかめの髪に、クシャクシャッとしたゆるいパーマをあてて、ほんのりと暗めの色のついた丸眼鏡をかけている。 そういう垢抜けた外見やいかにも軽そうな雰囲気に、ロゴが一面にプリントされたコンビニの制服は、あんまり似合ってない感じ。 「しっかしねえ。入ってた会社がつぶれちゃったなんて、かわいそうだね。保護者は一応お姉さんと……お、なんだよ。真由梨ちゃん、柴崎の生徒だったの? じゃああれ、トンズラしちゃった社長って、向井のこと?」 「はあ?」 「んとさ、俺、真由梨ちゃんの担任だった柴崎と、高校いっしょだったの。それで、柴崎が紹介した会社の社長も知ってるわけ」 「あ、そうだったんですか」 「真由梨ちゃん、会社に夜逃げされてよかったと思うよ。向井、やくざから逃げてるって噂だもん」 「そんな危ない仕事してるなんて、ぜんぜん気がつきませんでした」 「そっかあ。ヤツにもそれなりの思いやりがあったってとこかな。で、いつから来れる?」 「明日からでも」 「よし、決まり。じゃあ、明日からね」 店長が立ち上がると、わたしもあわてて立ち上がり、我慢をやめて回りをキョロキョロ見回した。 コンビニの裏側なんて見たことないから、めずらしくってしょうがない。 部屋の角には、銀色のでっかい業務用の冷蔵庫があって、左側の壁にも、何か品物を保存するのに使う、密封できそうな扉がたくさんついている。 机の上には、パソコンとレジを合わせたような機械が一台。 そこへ背の高い男の人が入ってきて、買い物カゴからおにぎりやサンドイッチを取り出して、その機械にバーコードを読み取らせはじめた。 「あ、松井、紹介するよ。このコ、明日から来てくれる湯原真由梨ちゃん」 「あ、ども」 男の人は、やや茶色っぽい髪をサラリとかき上げながら、無愛想に頭を下げた。 「よろしくお願いしまーす」 目いっぱいかわいぶって返事をしたが、わたしの方を見ようともしない。 「あれは週に四回入っている大学生で、松井義孝(まつい よしたか)。人見知りするからはじめは無愛想だけど、馴れるといいヤツだからね」 そのあからさまな言い方に、松井さんはバーコードを読み取らせながら、口を尖らせる。 「あ、そうそう。俺は店長で細見俊哉(ほそみ としや)っていいます。三十歳で独身です。どーぞよろしく」 店長はそういって、小学生みたいにおじぎをした。 「ん、んんっ」 ボディシャンプーでヌルヌルした手が、ウエストをつかみ、そのまま上がっておっぱいを揉みしだく。 わたしはコンビニで面接したあと、伝言ダイヤルに電話して、もう一つのアルバイトに精を出している。 今日の相手は……オジサンというにはちょっと若い、そう、コンビニの店長ぐらいの年の人。 お風呂、いっしょに入ろうっていうから、そうしている。 太ってもいないし、痩せてもいない。 髪型も顔もふつうの人で、別に特徴はないんだけれど、オヤジっぽさがあんまりなくって親しみやすい。 揉んでいる手は、ちょっと力が入るとつるりとすべって、なかなかおっぱいをつかめない。 仕方なしにその人は、身体中に手を泳がせはじめた。 ヌルリとした手が、おしりやおなかや脇腹を下から上へと撫で上げていく。 そのたび身体に、ぞくりとした快感が駆け抜けた。 「あんっ」 その人の手が、おしりの方からアソコの割れ目に滑り込んでいく。 そのまま、中指だけがせり出てきて、溝にはまって何度も何度も行き来する。 「だめぇ……」 乳首をつまもうとして出来なかった指先が、その上を軽くなぞるように、ゆっくりゆっくり円を描く。 「あ、あ……ん」 この頃『濡れてくる』のが、自分でもわかるようになってきた。 おしっこみたいに、出るのがはっきりわかるわけじゃないけれど、アソコやおっぱいがじんじん熱くなってくると、とろりとろりと液がこぼれてしまうのだ。 「ね、ここでしてもいい?」 その人は、わたしのことを抱き寄せて、耳元でそうささやいた。 ほしかったから、だまってこくりとうなずいた。 するとわたしは、壁際に手をついて立たされた。 その人はウエストを両手で引き下げて、ちょっとがに股のはずかしい格好にさせてから、ずいっと中に入ってきた。 「あっ……ああんっ……」 この人、前にした二人のオジサンのより『頭のところ』が、ずいぶん大きい。 だから少し動いただけで、アソコにじんじん響いてくる。 その人はその『頭のところ』が大きいモノで、小刻みにわたしを突き上げてくる。 「あっ、あっあっ……」 お風呂の中は、声が響くから恥ずかしい。 なるべく声を出さないようにと思いながらも、飲み込む前に、どうしても口から漏れてしまう。 そんなことを考えていたら、いきなりシャワーの栓がひねられ、身体にお湯を浴びせられた。 その人は、わたしを細かく突き上げながら、シャワーで泡を流してくれる。 シャワーで泡を流される……なんてあんまりえっちじゃないことされると、逆にアレの入ってるアソコが、とってもえっちに思えてくる。 「これできれいになりました」 つぶやいてからその人は、シャワーヘッドをいちばん高いフックにかけた。 背中や肩に、熱いシャワーをあびながら、その人は、わたしを抱えてゆさぶった。 「ああああ、だめぇ……」 シャワーのしずくは、たまに顔の上ではじけ、目や鼻に情け容赦なく入ってくる。 でもその刺激が、スパイスみたいにアソコの熱さに染み渡る。 「ねえ、ちょっと横を見てごらん」 ふと横をのぞいてみると、そこには大きな鏡があった。 そこにはこれ以上はないというくらい、淫らな格好でつながった、その人とわたしが映し出されていた。 次頁へつづく |