時代SM連載小説 『牢獄の美姉弟』 ~捕われの志乃と菊乃助の屈辱の日々~ 作者:縄吉及びShyrock(リレー小説) |
第36話「家老黒崎大善邸」
いきなり志乃を布団の上に押し倒した進十朗は花弁を愛撫しながらぴったりと唇を合わす。
抵抗しつつも進十朗の舌先を受け入れる志乃。
志乃の太腿を抱えた進十朗が一気に刺し貫くと志乃は一瞬苦しげな表情を見せる。
それは憎い男と繋がりを持った悔しさかも知れなかった。
しかし、媚薬が効き始めると、そんなことはどうでもいいくらいに志乃の肉体は燃え上がり、進十朗の動きに合わせ、荒々しい呼吸を繰り返していた。
激しいむず痒さと火照りが志乃を襲う。
「ああっ……あうっ……もう、お許しください……」
「ここでやめていいのか? 今やめるとおまえは悶え苦しむぞ。それでもいいのか?」
「うあっ……ああっ……どうしよう……ううっ……あんっ……」
進十朗の荒々しい動きに呼応して、痒みのせいもあって無意識に腰を動かし、うわ言のように訴える志乃。
起き上がった進十朗の腰の上に対面座位の体勢で載せ上げられ、呼吸も止まるほどに揺さぶられる志乃。
進十朗の膝の上で弾むように出し入れが繰り返される。
肉隗は一段と硬さを増し、より奥の方まで入ってくる。
「あっ、あっ、あぁ……!」
「志乃……可愛いぞ」
耳元でそんな言葉を囁ささやかれてもちっとも嬉しくない。
揺さぶられるたびに、進十朗の腹部に肉芽が擦れる。
すでに十分深くまで挿入されているのに、それでも進十朗はより深い快感を求めて突き込んでくる。
「志乃、いいぞ!」
耳元で志乃の名を呼ぶ進十朗。腰の動きは一向に止まらない。
いやらしく響く水音に、志乃の頭がぼ~っとして蕩けそうになる。
「志乃、いいぞ、その調子だ!」
「ううっ……っ、あぁ、私……もっ……」
進十朗は再び志乃を押し倒し、正常位に戻った。
腰の動きが、一段と速くなる。
志乃は無意識で進十朗の肉隗を締め上げ、快感の洪水に備えた。
「志乃……くっ……!」
「ああぁ、もう、……っああ!」
進十朗の肉隗が志乃の中で脈打つと同時に、不本意ながら志乃も頂点を極めた。
身体中を駆け巡る快感に、より甲高い声が部屋に響き渡る。
その余韻を、噛みしめていた。
ブルブルと震える身体を進十朗に抱きしめられ、息を切らせる志乃の耳元に進十朗はささやいた。
「ぐふふ、憎き男とともにいってしまったか?」
うなずくことも否定することもなく上気させて顔を背ける志乃は、このまま消えてしまいたかった。
そうすれば全てを忘れられる。
父親のことも、弟のことも、そしてみじめな自身のことも忘れ去りたい今の志乃であった。
しかし、また進十朗が動き始めると志乃は現実に引き戻され、引きつった声を上げながら再び助走を開始するのであった。
憎き敵にわが身を翻弄され、いつ果てるともしれない快楽地獄に叩き落され、昏迷状態に陥ろうとしていた。
☯☯☯
奉行松平利定が宮本鉄乃進と手勢の者を引き連れ、家老黒崎大善の屋敷に到着したのは未ノ刻(ひつじのこく)であった。
家老の屋敷には門前に広場が設けられている。訪ねて来た客人の籠や、槍を持つ中間、足軽などが待機するためである。
そんな広場も二十頭の馬がやってくるとさすがに狭く感じられる。
利定の配下の者が門をたたく。
「ご家老様!表を開けてくだされ!」
ニ、三度呼ぶと表門横の勝手口が開き使用人が顔を出した。
「これはこれは松平様! ただいまご家老はお出かけでございます。して、どのようなご用でございましょうか?」
「では嫡男の進十朗様はおられるか?」
「はい、おりますが、ただいま取り込み中でございまして」
「構わぬ。門を開けい!」
「門を開けろとは何たることを! ここはご家老の屋敷でございますよ! いかにお奉行様でも些か無礼ではございませぬか!」
利定が一歩前に出て使用人を一喝した。
「よく聞くがよい。私は沢辺藩奉行として参ったのではない。徳川家旗本松平利定が江戸表代理人として参った。殿殺害の嫌疑にて黒崎親子を吟味致す! 早々に門を開けい!」
使用人はブルブルと震えうろたえている。
「は……はい……ただいま進十朗様をお呼びして参りますので、今しばらくお待ちください……」
「呼ぶには及ばぬ! こちらから参る! 進十朗様はいずこにおられる? すぐに案内せい!」
「はい……奥の離れにおられます……す、すぐにご案内いたします……」
使用人は恐れおののきつつも慌ただしく開門した。
敷地内になだれこんだ利定一行は、使用人の案内により屋敷右側の通路を通り、進十朗のいる離れへと向かった。
現在屋敷内には進十朗のほかに、配下の武士が五名、使用人が三名、女中が五人、そして笹川一家の連中が数名がいるに過ぎなかった。
大勢の武士が敷地内に入ってきたため、母屋から女中や使用人たちが出てきて何事かと驚きを隠しきれない様子だ。
離れに通じる通路には青御影の踏み石が敷かれ、その石の行列のずっと先に、ひっそりと佇む離れが見えてきた。