時代SM連載小説
『牢獄の美姉弟』
~捕われの志乃と菊乃助の屈辱の日々~
作者:縄吉及びShyrock(リレー小説)





第34話「火照る花芯、火照る肉道」

 濃厚な吐息を漏らしながら、ピタリと揃えた太腿を切なそうに擦り合わせ続ける志乃。
 縛られて不自由な手に力がこもる。
 頭の中で股間を搔きむしっている自身の姿が幾度となく浮かんでは消えた。
 肉体の欲求に負けそうになると、わずかに残っている理性が何とか奮起して抑制に走る。
 額に脂汗がにじむ。
 父親の末永謙信が常々志乃に語っていたこと。
『武士の心得として最も重要なものは何か? 自分の成し遂げたいもののために、一分一秒、魂を賭してそれに向き合うこと。その心は武士の娘も同様である』と。
 志乃としては拷問に耐える精神力は備わっているが、快楽責めはまったく異質のものであり実に耐えがたい行為であった。

 まもなくバタンと襖が開き進十朗が入ってきた。

「志乃、どうした? 少し顔色が悪いではないか」

 わざとらしく声をかける進十朗。

「な、何を塗ったのですか……!?」
「ぐふふふふ、そんなに驚かなくてもよいではないか。傷薬じゃ、ガマの油に気持ちが高ぶる薬を少々混ぜただけじゃ」
「道理で……」
「いかがじゃ? 身体が熱くなってきただろう? 大切な場所がむず痒くて仕方がないのであるまいか? 私が掻いてやろうか?」
「やめてください!」
「志乃、おまえには何度も求愛したが、そなたはいつもつれなかった」
「……」
「じゃが今日こそは我が物にしてくれるぞ」
「嫌です。あなたのような方に嫁ぐぐらいならいっそ潔く死を選びます」
「ふん、可愛くないことぬかしおる。じゃが簡単には殺さぬわ。直訴状の所在も吐いてもらわねばならぬからのう」

 媚薬の効果が次第に現れてきたようで、会話をしている最中も志乃の額からは冷や汗が噴き出している。

「薬効が現れてきたようじゃな。おまえの変貌ぶりをじっくりと見てみたいが、それほど時間に余裕があるわけでもないからな。ふむ、ちと手伝ってやるか」

 進十朗が鼻からフンッと息を漏らし、股間のほうへスーッと腕を伸ばしていく。

「いやっ……」

 かたく閉じた太腿の付け根に、進十朗がグリグリと手を突っ込ませてきた。

「ほらほら、そんなに強情を張るのはやめよ。素直に脚を開け。ここを弄ってほしいんじゃろう? ジンジン疼いて堪らないんじゃろう?」

 手をこじ入れながら、進十朗が卑猥な言葉を綴ってくる。
 志乃は閉じた太腿にギュッと力をいれた。
 花びらに触れられるのが怖かった。
 いま触れられたら、きっと疼き立つ肉体が堰を切ったように悶え狂うだろう。
 そうなったらもう、自分の肉体を、いや、不埒になっていく情欲さえも抑制する自信が志乃にはなかった。
 うなじにフゥっと息をかけられ、進十朗に太腿の裏側をなぞられただけで、身体に強い痺れを感じた。

「んっ……いやっ……やめっ」

「どうした? 声が震えておるぞ?」

「嫌です、やめてください!」

「やめてもいいのか? ここはそうは言うておらぬが」

 太股から脚の間に滑り込んだ指先からクチュリと粘ついた音が響くと、ビクンと志乃の身体が震えた。

「やっ……」
「拒んでも無駄だ。こんなにぐっしょり濡らしておるではないか。拒む女が濡らす量ではないぞ? ぐふふふふ」
「そんな……」

 耳元に息を吹きかけながら、進十朗は志乃の花芯を指でかきまぜた。
 膣内の襞を指先でくすぐり、膨らみ始めた肉豆を揺らされるたび、志乃ははしたなく身体を揺らし、粘ついた蜜をトロリトロリと吐き出した。

「ひぃっ……ああっ……はぁっ……ああっ……」
「こんなに身体を熱くしおって。早くも気をやりたくなったのではないか?」
「あっ……ああっ」

 耳元で囁かれた言葉は、熱を含んで身体の中にたまっていく。
 ついに志乃は進十朗の指に合わせて腰を振り始めてしまった。

「……やめて……」
「ここが痒いか? こうして擦ると気持ちが良いじゃろう? まもなくもっと気持ちよくやるからのう。ぐふふふふ」
「んぁっ……いけません……ああっ……」

 両手で腰を掴まれ、グイッと上げられたと思うと、股間に熱い肉隗を押し付けられた。

「はっ……あ、ああ、あ、ひぃっ……しんっ……進十朗様……もう許して……ああっ」

 ズイッ! 貫かれただけで砕けそうになる志乃の腰を支えながら、進十朗は己の腰を揺らし始めた。

「あ……ああ……ああっ」

 ただ乱暴なだけの手つき、性欲を満たすためだけの抽送、愛の欠片もなく憎しみに満ちた交わり。
 そんな鬼畜のような交尾であっても、火照った女の身体を蕩けさせるには十分な効果があった。
 志乃は密かに慕う宮本鉄乃進を心の中で呼んだ。

(鉄乃進様……どうかこんな破廉恥な志乃をお許しください……)

 心は鉄乃進を想っていながら、身体はこの肉隗を狂い求める。

「あっ……ああっ……ああっ」

「いい声だ。まこと、おまえの声は耳について離れぬ。もっと啼き叫べ、私を奮い立たせろ」

「ひぃっ……あひっ……ひぃんっ」

 内臓がドロドロに溶けて、出口を求めて渦巻いているようだ。
 なにも考えられない。ここがどこだったかさえ忘れてしまいそうだ。

「あひぃっ……ああっ……ああ……ああああっ」

 身体中から汗を吹き出しながら、志乃は叫ぶ。

「あっ……もっ……とぶっ……とっ」

「そうか、では、私も付き合ってやろう」

 進十朗の腰遣いが激しさを増すと、待ちかねたように志乃の腰が合わせて踊り出した。
 肉隗に擦りつければ火照りと痒みが刹那緩和される。

「ひぃっ……あっ……ああああっ……あ~~~~~っ!」

 ビクン、ビクン、と身体を震えたのと同時に熱い粘液が身体の中で弾け散った。

「ひ、ひ、ぃい!」

 下腹を波立たせる志乃の腰にピタリと自身の腰を張りつかせ、進十朗は欲望を流し込んでいく。
 なにもかもが気持ちいい。ヌルリとしたその熱い感触さえも。


つづく


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